痴呆性高齢者の残存能力を高めるケア
痴呆性高齢者のアセスメントと実際のケアをわかりやすく解説
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残存能力を強化するという視点から,痴呆性高齢者のケアについて,著者らの経験と研究のエビデンスにもとづいてまとめている。セルフケア能力,社交性能力,対人関係能力,認知機能の各面について,患者のアセスメントと実際のケアについてわかりやすく解説している。巻末に痴呆性高齢者の残存能力測定尺度を収載している。
著 | パム・ドーソン / ドナ L. ウェルズ / カレン・クライン |
---|---|
監訳 | 山下 美根子 |
発行 | 2002年07月判型:A5頁:184 |
ISBN | 978-4-260-33221-7 |
定価 | 2,860円 (本体2,600円+税) |
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はじめに
第1章 痴呆性高齢者の看護
第2章 セルフケア能力
第3章 社交性能力
第4章 対人関係能力
第5章 認知機能
第6章 終章
付録 痴呆性高齢者の残存能力測定尺度
第1章 痴呆性高齢者の看護
第2章 セルフケア能力
第3章 社交性能力
第4章 対人関係能力
第5章 認知機能
第6章 終章
付録 痴呆性高齢者の残存能力測定尺度
書評
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プラス思考による援助の姿勢を強調
書評者: 高崎 絹子 (東医歯大教授)
◆認識深まる痴呆ケアに対する研究と対策
2004年10月に世界アルツハイマー病協会の国際会議が京都で開催される予定ですが,日本でも痴呆ケアに対する研究や対策に本腰を入れる必要性が認識されるようになりました。しかしながら,一般的には老人性痴呆は高齢社会の象徴のようにマイナス面だけがいたずらに強調されることが多いといえます。そうした中で,『痴呆性高齢者の残存能力を高めるケア』という本書の前向きなタイトルは,非常に魅力的です。内容も,高齢者ケアに対する理念と理論,さらに長年クリニカルナーススペシャリストとして勤務していた著者自身の豊富な実践経験に裏打ちされており,小さな判型の本ですが,読み応えのある1冊です。
◆重要な「プラス思考で看護する」姿勢
本書の特徴は,予防や治療法すら明確ではない痴呆性疾患の現状の中で,介護する家族や看護者は,「プラス思考で看護しよう」という姿勢が何より重要であると強調されていることです。“イネイブルメント”(enablement;できる能力に働きかける過程)という概念を中核にし,痴呆症の患者の機能が最高のレベルを維持できるような“コンテント・メソドロジー”(content―methodology;内容方法論)を開発することを目的にしています。
イネイブリングの目標は,「他者が成長し,回復し,セルフケアを遂行できるように促す」ことですが,その人の“できる能力”に焦点を当てているという点が,痴呆性高齢者の心身の病理とそこから生じる能力の喪失に焦点を当てる臨床医学のアプローチとは,対照的な考え方です。
痴呆疾患によって障害される「社交性」,「セルフケア」,「対人関係」,「認知機能」の4つの分野に焦点を当て,痴呆性高齢者が自分の能力を日常生活の中で最大限に発揮し,痴呆のために生じる予期しない出来事に「うまく対処できる」ように支援することが重要であるとしています。例えば,アルツハイマー病の高齢女性が目の不自由な人に向かって声を出して本を読んであげている場合,たとえ彼女が読んでいる内容が理解できなくても,読む能力があることは彼女自身の満足感につながると同時に,聞いている人の役に立っていることに意味がある,と著者は述べています。この考え方については,日本でも馴染みのあるジョンズホプキンス大学のラビンス博士の理論やアプローチと共通するころがあります。
本書の各論では,「社交性」,「セルフケア」,「対人関係」,「認知機能」の内容について,臨床上の特徴と影響を受ける能力,アセスメントの方法,看護介入に関し,日常遭遇する具体的な例を豊富にあげて説明がされています。医師や看護職はもちろん,PT,OTを含む医療職や介護職などさまざまな職種の方にも読んでいただき,実践の中で活用することをお勧めします。
書評者: 高崎 絹子 (東医歯大教授)
◆認識深まる痴呆ケアに対する研究と対策
2004年10月に世界アルツハイマー病協会の国際会議が京都で開催される予定ですが,日本でも痴呆ケアに対する研究や対策に本腰を入れる必要性が認識されるようになりました。しかしながら,一般的には老人性痴呆は高齢社会の象徴のようにマイナス面だけがいたずらに強調されることが多いといえます。そうした中で,『痴呆性高齢者の残存能力を高めるケア』という本書の前向きなタイトルは,非常に魅力的です。内容も,高齢者ケアに対する理念と理論,さらに長年クリニカルナーススペシャリストとして勤務していた著者自身の豊富な実践経験に裏打ちされており,小さな判型の本ですが,読み応えのある1冊です。
◆重要な「プラス思考で看護する」姿勢
本書の特徴は,予防や治療法すら明確ではない痴呆性疾患の現状の中で,介護する家族や看護者は,「プラス思考で看護しよう」という姿勢が何より重要であると強調されていることです。“イネイブルメント”(enablement;できる能力に働きかける過程)という概念を中核にし,痴呆症の患者の機能が最高のレベルを維持できるような“コンテント・メソドロジー”(content―methodology;内容方法論)を開発することを目的にしています。
イネイブリングの目標は,「他者が成長し,回復し,セルフケアを遂行できるように促す」ことですが,その人の“できる能力”に焦点を当てているという点が,痴呆性高齢者の心身の病理とそこから生じる能力の喪失に焦点を当てる臨床医学のアプローチとは,対照的な考え方です。
痴呆疾患によって障害される「社交性」,「セルフケア」,「対人関係」,「認知機能」の4つの分野に焦点を当て,痴呆性高齢者が自分の能力を日常生活の中で最大限に発揮し,痴呆のために生じる予期しない出来事に「うまく対処できる」ように支援することが重要であるとしています。例えば,アルツハイマー病の高齢女性が目の不自由な人に向かって声を出して本を読んであげている場合,たとえ彼女が読んでいる内容が理解できなくても,読む能力があることは彼女自身の満足感につながると同時に,聞いている人の役に立っていることに意味がある,と著者は述べています。この考え方については,日本でも馴染みのあるジョンズホプキンス大学のラビンス博士の理論やアプローチと共通するころがあります。
本書の各論では,「社交性」,「セルフケア」,「対人関係」,「認知機能」の内容について,臨床上の特徴と影響を受ける能力,アセスメントの方法,看護介入に関し,日常遭遇する具体的な例を豊富にあげて説明がされています。医師や看護職はもちろん,PT,OTを含む医療職や介護職などさまざまな職種の方にも読んでいただき,実践の中で活用することをお勧めします。
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