神経診察ビジュアルテキスト

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本書では神経診察に偏らず,レイヤー透視のオリジナルの図を用いて,必要十分な神経解剖を解説。従来の神経診察のテキストのように詳細な手技の羅列でなく,臨床に必要な手技に限定し,不必要な手技,悪い手技をその理由とともに記した。解説は簡明を旨とし,全体を通読できる量に留めた。医学生・研修医・コメディカル必読の書。
小嶺 幸弘
発行 2002年10月判型:B5頁:252
ISBN 978-4-260-11877-4
定価 5,280円 (本体4,800円+税)

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  • 目次
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第1章 はじめに
第2章 意識
第3章 精神状態
第4章 脳神経1(頭部,眼部)
第5章 脳神経2(眼球運動)
第6章 脳神経3(顔面,耳鼻口)
第7章 頚部,脊柱
第8章 全身状態,胸・腹部
第9章 運動
第10章 感覚
第11章 反射
第12章 協調運動
第13章 自律神経
第14章 脳高次機能(神経心理学)
第15章 診察のまとめ
第16章 救急時の診察・処置

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神経の局在診断学の貴重なテキスト
書評者: 柳澤 信夫 (関東労災病院長)
いまだに神経疾患の診療は,難しいという説がある。神経系の基礎知識があれば,局在診断は論理的に明確にできるのが神経内科の特徴である。神経系はこまかく機能分化し,脳および脊髄の局所,脳神経から脊髄神経,そして自律神経はそれぞれ異なる機能を持つことから,患者の示す機能障害の組み合わせを明らかにすることによって,障害部位が診断できる。これが神経病の局在診断学である。

 神経疾患の診療は診断からスタートするが,その診断は局在診断と病変の原因の診断からなる。そして局在診断と病気の経過からおおよそ7―8割の患者は,初診における診察とアナムネーゼの聴取によって病気の見当づけができる。このように神経系の診察は,診療上きわめて重要な意義を持つ。近年画像検査が発達して病変の局在診断に有力な武器となったが,これのみに頼ると重大な誤りを犯す場合が少なくない。あくまでも神経学的診察から見当づけをして,画像検査でそれを確かめるという手続きをとらなければならない。

 このたび上梓された,小嶺幸弘氏による『神経診察ビジュアルテキスト』は,神経の局在診断学のテキストとしてまことに時宜を得た企画と内容であり,学生諸君や神経内科を学ぶ若手医師にとって貴重なテキストになるものと期待される。

◆若い読者の勉強の仕方にマッチした記述

 本書の特徴は,神経系,血管その他の臓器と身体部位を立体的にとらえた図に,初心者に理解しやすい解説を加えたはじめての診断学テキストという点にある。私たちの若い頃は,平面的に詳細に図示された解剖学書を読んで,いかにして立体構造のイメージを得るかに大変苦労したものである。著者の小嶺氏は,教育上の苦労から本書を生み出したことを序文で述べているが,その配慮は本書の隅々にうかがえる。短い箇条書きの文章,頭をやわらげるエピソードなど,今時の若い人たちの勉強の仕方にマッチした記述であろう。

 神経学の教科書は,ともすると記載漏れのない,完全な書物であることを目指し,しかし書籍の常として重要性のアクセントがつけ難いために分厚い難しいものになりがちである。本書はこの点記載が簡単すぎる,断続的すぎるという感がなきにしもあらずだが,若い人たちにどれだけ受け入れられるかが私自身興味のあるところである。有益なテキストとして活用されることは疑いないが,小嶺氏にはここで示された優れた才能を駆使して,次の段階として大脳,脳幹,小脳,脊髄とわけた中枢神経系と周辺組織の立体的アトラスに発展させていただくことを願っている。

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