エビデンスに基づく看護学教育
エビデンスに基づいた看護実践の実現に向けて
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EBNの普及に伴い,看護学教育の場においてもエビデンスに基づいた研究が必要とされている。本書は,そのニーズに応えるべく,全米看護連盟(NLN)が集積してきた研究成果を集約した書。精選された論文の要約・分析から,看護学教育の充実と指導者の資質向上,ひいてはエビデンスに基づいた看護実践の実現をめざす。
編集 | キャスリーン・スティーブンス / バージニア・キャシディ |
---|---|
監訳 | 杉森 みど里 |
発行 | 2003年07月判型:B5頁:224 |
ISBN | 978-4-260-33288-0 |
定価 | 3,520円 (本体3,200円+税) |
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- 目次
- 書評
目次
開く
1. エビデンスに基づいた教育の推進
2. 看護学教育におけるメンターシップ
3. 模擬実習における精神運動技能の教育
4. 大学教育における不正行為
-カンニングや盗作,専門職による違法行為について
5. 登録看護師資格試験の合否に関わる要因
6. 上級実践看護師としてのナースプラクティショナーの教育
7. 修士課程と博士課程の修了生の活用
-カリキュラムに関する提言
参考文献
索引
2. 看護学教育におけるメンターシップ
3. 模擬実習における精神運動技能の教育
4. 大学教育における不正行為
-カンニングや盗作,専門職による違法行為について
5. 登録看護師資格試験の合否に関わる要因
6. 上級実践看護師としてのナースプラクティショナーの教育
7. 修士課程と博士課程の修了生の活用
-カリキュラムに関する提言
参考文献
索引
書評
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文献研究の意義を実感する1冊
書評者: 舟島 なをみ (千葉大学看護学部教授)
本書は,米国において行なわれた看護学教育研究に関する文献レビューの成果を収載しており,全7章から成る。第1章は,エビデンスに基づく看護学教育とは何かを概説するとともに,その実現に向けて先行研究の検討と統合が必要不可欠であることを述べている。また,第2章から第7章は,各々が特定のテーマに焦点を当てた文献レビューとなっており,文献を検索,分析,統合する過程,及び,その成果を詳述している。各章が取り上げているテーマは,看護学教育におけるメンターシップ,看護技術教育,大学教育における不正行為と倫理,看護師資格試験,上級実践看護師としてのナースプラクティショナーの教育,看護における博士・修士課程修了生の状況と多岐にわたっている。
◆500編の看護学研究から学ぶ
本書の成立を支えているのは,各章に紹介された看護学研究であり,その総数は約500編におよぶ。本書を読むことは,これら膨大な先行研究に系統的に触れることでもあり,読者は,我が国の看護実践・教育・研究について考えるためのさまざまな知的刺激を得ることができる。
例えば,看護技術教育に焦点を当てた第3章は,看護基礎教育課程におけるミニマムエッセンシャルズとなる看護技術が何かを探求したいくつかの研究を取り上げている。これは,我が国においても関心が高まっている領域であり,研究が長年にわたり継続されている米国の状況の一端を知ることは興味深い。
また,大学院修了生の状況に焦点を当てた第7章は,教育職に就いた者の業績の産出に関係する要因を探索した研究を紹介している。結果は,博士課程において指導を受けた教員の研究プロジェクトに参加することが修了生の業績の産出に関係することを示す等,大学院教育に携わる教員にとって示唆に富む内容となっている。
◆先行研究レビューの必要性を実感
また,本書は,頁が進むほどに,エビデンスに基づく看護学教育の実現にとって,先行研究の系統的な検索,検討が必要不可欠であることを示している。
筆者が所属する千葉大学看護学部看護教育学教育研究分野は,監訳者である杉森みど里氏が教授であった1993年,文献研究「我が国における看護学教育研究の動向」に着手した。これは,看護教育学における研究領域や研究課題の解明に向け,1989年以後に我が国の主な看護系学会に発表された看護学教育研究を検索し,多角的に分析する研究であり,今日まで継続的に行なっている。
文献研究は,膨大な先行研究の中から関心を持つテーマについての文献を確実に検索し,1編1編精読,分析する必要があり,地道な根気のいる過程を通し,ようやく成果の産出に至る。本書を読み終えた今,これまで継続してきた文献研究の意義,それを今後さらに継続する必要性を再確認する思いである。教育の場に所属する看護職者はもとより,「エビデンスに基づく実践」や文献研究に関心のある看護職者にも,ぜひ本書をご一読することをお勧めしたい。
書評者: 舟島 なをみ (千葉大学看護学部教授)
本書は,米国において行なわれた看護学教育研究に関する文献レビューの成果を収載しており,全7章から成る。第1章は,エビデンスに基づく看護学教育とは何かを概説するとともに,その実現に向けて先行研究の検討と統合が必要不可欠であることを述べている。また,第2章から第7章は,各々が特定のテーマに焦点を当てた文献レビューとなっており,文献を検索,分析,統合する過程,及び,その成果を詳述している。各章が取り上げているテーマは,看護学教育におけるメンターシップ,看護技術教育,大学教育における不正行為と倫理,看護師資格試験,上級実践看護師としてのナースプラクティショナーの教育,看護における博士・修士課程修了生の状況と多岐にわたっている。
◆500編の看護学研究から学ぶ
本書の成立を支えているのは,各章に紹介された看護学研究であり,その総数は約500編におよぶ。本書を読むことは,これら膨大な先行研究に系統的に触れることでもあり,読者は,我が国の看護実践・教育・研究について考えるためのさまざまな知的刺激を得ることができる。
例えば,看護技術教育に焦点を当てた第3章は,看護基礎教育課程におけるミニマムエッセンシャルズとなる看護技術が何かを探求したいくつかの研究を取り上げている。これは,我が国においても関心が高まっている領域であり,研究が長年にわたり継続されている米国の状況の一端を知ることは興味深い。
また,大学院修了生の状況に焦点を当てた第7章は,教育職に就いた者の業績の産出に関係する要因を探索した研究を紹介している。結果は,博士課程において指導を受けた教員の研究プロジェクトに参加することが修了生の業績の産出に関係することを示す等,大学院教育に携わる教員にとって示唆に富む内容となっている。
◆先行研究レビューの必要性を実感
また,本書は,頁が進むほどに,エビデンスに基づく看護学教育の実現にとって,先行研究の系統的な検索,検討が必要不可欠であることを示している。
筆者が所属する千葉大学看護学部看護教育学教育研究分野は,監訳者である杉森みど里氏が教授であった1993年,文献研究「我が国における看護学教育研究の動向」に着手した。これは,看護教育学における研究領域や研究課題の解明に向け,1989年以後に我が国の主な看護系学会に発表された看護学教育研究を検索し,多角的に分析する研究であり,今日まで継続的に行なっている。
文献研究は,膨大な先行研究の中から関心を持つテーマについての文献を確実に検索し,1編1編精読,分析する必要があり,地道な根気のいる過程を通し,ようやく成果の産出に至る。本書を読み終えた今,これまで継続してきた文献研究の意義,それを今後さらに継続する必要性を再確認する思いである。教育の場に所属する看護職者はもとより,「エビデンスに基づく実践」や文献研究に関心のある看護職者にも,ぜひ本書をご一読することをお勧めしたい。
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