Sobotta
実習人体組織学図譜 第5版
好評の医学生・歯学生向け組織学実習用アトラス
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医学生・歯学生向けの組織学実習用アトラスとして好評を得ている図譜の日本語訳第5版。図や写真は本国ドイツで印刷し,本文は日本で印刷。光学顕微鏡写真,電子顕微鏡写真,模式図をバランスよく配した定番のアトラス。
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目次
開く
組織学技術の基礎
細胞学
組織学(総論)
上皮組織
結合組織と支持組織
筋組織
神経組織
組織学(各論)
血液
リンパ器官
血管系
消化器系
呼吸器系
泌尿器系
男性生殖器
女性生殖器
内分泌腺
皮膚
末梢神経の終末
感覚器
神経系
表
和文索引
欧文索引
細胞学
組織学(総論)
上皮組織
結合組織と支持組織
筋組織
神経組織
組織学(各論)
血液
リンパ器官
血管系
消化器系
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女性生殖器
内分泌腺
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末梢神経の終末
感覚器
神経系
表
和文索引
欧文索引
書評
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組織学・細胞学の理解を深める良質の図譜
書評者: 柴田 洋三郎 (九大副学長/大学院教授・形態機能形成学)
Sobottaの組織細胞学図譜の日本語第5版『実習 人体組織学図譜』が,刊行された。ドイツ語原著第6版の翻訳版である。旧版と同様,誠に美しいカラー顕微鏡写真や電顕写真の連続であり,ほれぼれ眺め見惚れていると,一見これまでとさほど変わっていないような印象をうける。しかし,詳細に読み進むと,その様な感を受けるのは,見事なまでの図版の美しさ,精密さと図譜の配置の妙からくる錯覚であり,随所に従来と比較して大きな改編が行われていることに気付かされる。
今回の原著第6版の特徴として,(1)まず最近の細胞生物学の発展による所見を取り入れたわかりやすいカラー模式図やスキームが各所で加えられ,分子生物学の知見とその展開の場である組織細胞との理解の橋渡しの役割を果たしてくれている。さらに,(2)特異免疫標識法による免疫組織化学標本での細胞識別や,TUNEL法によるアポトーシスやFISH法などに遺伝子発現解析など,分子生物学的解析法の成果も広範に取り入れられている。また新たに今回から,(3)パラフィンに代わりプラスチック切片による解像度の高いカラー染色標本写真がふんだんに用いられ,これは特に組織観察に有用な中等度倍率の所見観察でその効果が大きいようである。
このように差し替えられたり,新たに追加された図版は,細胞学の部で23図,組織学総論の部で38図,各論で92図,表6枚の合計159箇所にのぼり,実に図譜と表総数の合計約3割余が更新されている。その多くは表紙のプラスチック・カラー染色標本像にみられるように,描画図と見まがうばかりの,極めて鮮明で適切な中等倍率の図譜で占められ,非常に理解を深める内容のものとなっている。
Sobottaの組織学図譜は,従来から英語圏の類書に比べて,ある種のこだわりを持ち味として感じさせる構成と記述であった。今回は肺の図譜と記述が数量的にも整理され,また訳者のお一人,甲状腺の大家である藤田尚男先生に配慮したわけでもあるまいが,内分泌腺のうちとくに甲状腺の内容が一新され,より鮮明な図による適切な構成となっている。電顕写真では,血球や骨髄が大幅に改変されている。一方で,図の改編にタイトルの表示などが追いついてないような箇所も見受けられる。
なお以前の版の特徴でもあった,組織鑑別診断のための比較図の項目がなくなっている。これは,冗漫さを避けるため,あるいは巻末に表にまとめてある類似組織の比較鑑別法の記述との不必要な重複を避けたためかもしれない。その結果,新たな図表が加わったにもかかわらず,総ページ数は以前のままで,よりメリハリのきいた構成となっている。
顕微鏡組織標本の観察理解に図譜が極めて有効なことは論をまたない。けだし,「先達はあらまほしきものかは」である。このような良質の図譜が,実習時における指導やガイドブックとしてだけでなく,組織学・細胞学の理解と学習の基本となろう。一方で,IT時代であり,情報処理技術の飛躍的な進歩の時代である。ディジタル情報化による画像処理と情報検索システムやその伝達技術の導入が通信基盤整備に伴って学術情報の分野でも急速に進展を遂げている。将来はこの伝統的な図譜も,そのような情報技術革新をとりいれ,どのような新たな装いに変革するのであろうか,いまから大いに楽しみである。
わかりやすさに重点を置いた初学者のための組織学図譜
書評者: 高田 邦昭 (群馬大大学院教授・生体構造解析学)
Sobottaの組織学図譜第5版(原書第6版)が出た。標本作製法,細胞の光顕像と電顕像,組織学総論,組織学各論,付表,和文・英文索引からなり,いわば組織学をもれなくカバーした従来のオーソドックスな章立てを踏襲している。しかしながら,中を開いてみるとその進化に驚く。今回の改訂では,プラスチック切片を用いた薄い組織切片の明快な写真が要所要所にあって理解を助けている。また,ヒト試料の電顕写真の大幅な採用と,その解説などが大きな変更点である。
従来,この図譜は明快なカラー写真やカラースケッチののった数少ない組織学図譜の1つであった。ページをめくっていると,駆け出しの解剖学教室助手時代に,組織学実習で教えるために,英語版原書(1976年版)を見ながら一生懸命標本を観察した記憶が懐かしくよみがえってきた。同時に,内容がさらにクリアーカットになったのに驚いた。
序に,「この本を利用するわが国の学生が内容をよく理解できることに最大の重点をおいたために,原文とは随分かけ離れた訳になっている」が,「わかりにくい個所はまずないものと自負している」とある。わが国の組織学教科書の文字通りの標準である標準組織学の著者と,息のあった師弟コンビにして初めて自信をもって言えることであろう。実際,訳文は非常によくこなれていて,翻訳であることを意識させない。組織学用語は日本語と英語が併記されていて,現在のカリキュラムにもよく適合している。
この図譜の特徴として,組織の肉眼やマクロ観察による全体像から,詳しい組織や細胞構築をへて電顕での細胞小器官レベルまでシームレスにつながるよう工夫されている点があげられる。低倍率で全体像を見る場面では,無理に低倍率写真を使わないで,綺麗で明快なスケッチを使っている。これは初版から採用されている手法であるが,低倍写真では説明できない点がスケッチによりとても明瞭に示されている。例えば卵巣では,原始卵胞,二次卵胞,グラーフ卵胞,閉鎖卵胞,黄体,白体などが1つの卵巣内に見事に描かれていて,各段階の卵胞の大きさ,配置などが一目で頭に入るようになっている。ページをめくると通常の光学顕微鏡写真とともに,明快な電顕写真があり,適切な解説とともに,この3ページを見るだけで,卵巣の構造と卵胞の成熟過程を理解するよう工夫がされている。
今回の版では,多色刷りの模式図も加わり,さらに理解が深まるであろう。惜しむらくは,この模式図が,従来の図とタッチが違って若干の違和感のある点であるが,カラフルでわかりやすいのは間違いない。
この種の本は,恐竜の進化のように,版を重ねるにつれて,とかく肥大化して自滅することが多いのだが,この本は,付け加えるのではなく,図や説明を入れ替えたり改良したりすることにより,初学者の理解を助けるのに精力が傾けられている。結果として,組織学をはじめて勉強しようという者にとって,間違いのない,熟成していて安心して寄りかかることのできる図譜に成長している。
巻末には,表がまとめて配置してある。これには染色法,組織や細胞の分類や比較,腺や消化管の部位などの似た構造の鑑別診断法などが丁寧にまとめてある。これらの文字のページと図譜のページを往き来することによって,人体の組織構築が文字通り血となり肉となって身に付くであろう。
組織学実習の指針となる図譜
書評者: 塩田 清二 (昭和大教授・解剖学)
医学および歯学を学ぶ者にとって,人体各臓器・器官の正常構造とその機能を知るためには,組織学および細胞学の確かな知識を持っていることが必要である。組織学は,肉眼解剖学と生理学をつなぐ総合的な学問である。しかし,近年の細胞生物学や分子生物学の急速な発展に伴い,この分野からもたらされた情報は古典的な組織学の体系に大きな衝撃を与え,多くの新しい知見が加わって組織学はさらに大きく発展してきた。一方,人体各組織の正常構造と病的状態における組織学的変化を知るためには,細胞学と組織学の確かな知識を持っておくことも必要であり,基本的で重要な知識を提供するテキストが必要であることは言うまでもない。
Sobottaの実習人体組織学図譜第6版の日本語訳(日本語訳としては第5版)が最近出版された。原書の第4版の準備中に,共著者であったHammersen教授が亡くなられたという。この本は世界的にみても基礎医学歯学教育の領域では大変評価の高いものであることは周知の事実である。この第6版の図譜は,全体で528の図からなり,内訳は光学顕微鏡写真が397枚,電子顕微鏡写真が104枚,残りの27枚は新たにコンピュータで作製されたカラーのイラストである。
新版では,旧版に比べてさらに新しい工夫や改善点が随所にみられる。その第一は,光学顕微鏡の図版をできるだけプラスチック切片標本で撮影したものにしたことであり,組織構造の理解が容易になったことである。第二は,組織や細胞の動的な状態を示す免疫組織化学の写真を新たに追加したことであり,細胞増殖やアポトーシス,あるいは表皮のランゲルハンス細胞のように通常の組織写真ではわかりにくいものを免疫染色標本を用いてより明瞭に示したことである。第三は,電子顕微鏡写真の試料をできるだけヒトの試料に取り替えたことであり,ヒトの組織や細胞の様子がよりよく理解できるようになったことである。さらに特筆すべきは,コンピュータで作製したカラーイラストの図版を新たに加えたことであり,これによって組織の構造のみならず機能的な理解が容易になったことである。今回の第6版は,著者たちの創意工夫によって組織および細胞の構造と機能とを密接につなげたものであり,読者は最新の組織学のもつ意義についての理解を深めていくことができる。
この第6版の図譜は,ただ単に図の美しさにとどまらず,内容の素晴らしさや情報量にとんだ新しい優れた図を収集し,さらにより組織の構造の理解を深める工夫がなされている。学生は,この組織学図譜で学ぶ事柄が,高学年で臨床の現場で出会う種々の疾患とどのようにつながるのかを理解し,そこで形態学のもつ重要性を認識するであろう。また,この図譜は,学生のみならず医学や歯学の基礎教育に携わるものにとっても,自己の知識の点検や確認にも供しえるに違いないと思われる。本図譜が組織学実習を行う際の指針となるべき図譜であることを信じる。
書評者: 柴田 洋三郎 (九大副学長/大学院教授・形態機能形成学)
Sobottaの組織細胞学図譜の日本語第5版『実習 人体組織学図譜』が,刊行された。ドイツ語原著第6版の翻訳版である。旧版と同様,誠に美しいカラー顕微鏡写真や電顕写真の連続であり,ほれぼれ眺め見惚れていると,一見これまでとさほど変わっていないような印象をうける。しかし,詳細に読み進むと,その様な感を受けるのは,見事なまでの図版の美しさ,精密さと図譜の配置の妙からくる錯覚であり,随所に従来と比較して大きな改編が行われていることに気付かされる。
今回の原著第6版の特徴として,(1)まず最近の細胞生物学の発展による所見を取り入れたわかりやすいカラー模式図やスキームが各所で加えられ,分子生物学の知見とその展開の場である組織細胞との理解の橋渡しの役割を果たしてくれている。さらに,(2)特異免疫標識法による免疫組織化学標本での細胞識別や,TUNEL法によるアポトーシスやFISH法などに遺伝子発現解析など,分子生物学的解析法の成果も広範に取り入れられている。また新たに今回から,(3)パラフィンに代わりプラスチック切片による解像度の高いカラー染色標本写真がふんだんに用いられ,これは特に組織観察に有用な中等度倍率の所見観察でその効果が大きいようである。
このように差し替えられたり,新たに追加された図版は,細胞学の部で23図,組織学総論の部で38図,各論で92図,表6枚の合計159箇所にのぼり,実に図譜と表総数の合計約3割余が更新されている。その多くは表紙のプラスチック・カラー染色標本像にみられるように,描画図と見まがうばかりの,極めて鮮明で適切な中等倍率の図譜で占められ,非常に理解を深める内容のものとなっている。
Sobottaの組織学図譜は,従来から英語圏の類書に比べて,ある種のこだわりを持ち味として感じさせる構成と記述であった。今回は肺の図譜と記述が数量的にも整理され,また訳者のお一人,甲状腺の大家である藤田尚男先生に配慮したわけでもあるまいが,内分泌腺のうちとくに甲状腺の内容が一新され,より鮮明な図による適切な構成となっている。電顕写真では,血球や骨髄が大幅に改変されている。一方で,図の改編にタイトルの表示などが追いついてないような箇所も見受けられる。
なお以前の版の特徴でもあった,組織鑑別診断のための比較図の項目がなくなっている。これは,冗漫さを避けるため,あるいは巻末に表にまとめてある類似組織の比較鑑別法の記述との不必要な重複を避けたためかもしれない。その結果,新たな図表が加わったにもかかわらず,総ページ数は以前のままで,よりメリハリのきいた構成となっている。
顕微鏡組織標本の観察理解に図譜が極めて有効なことは論をまたない。けだし,「先達はあらまほしきものかは」である。このような良質の図譜が,実習時における指導やガイドブックとしてだけでなく,組織学・細胞学の理解と学習の基本となろう。一方で,IT時代であり,情報処理技術の飛躍的な進歩の時代である。ディジタル情報化による画像処理と情報検索システムやその伝達技術の導入が通信基盤整備に伴って学術情報の分野でも急速に進展を遂げている。将来はこの伝統的な図譜も,そのような情報技術革新をとりいれ,どのような新たな装いに変革するのであろうか,いまから大いに楽しみである。
わかりやすさに重点を置いた初学者のための組織学図譜
書評者: 高田 邦昭 (群馬大大学院教授・生体構造解析学)
Sobottaの組織学図譜第5版(原書第6版)が出た。標本作製法,細胞の光顕像と電顕像,組織学総論,組織学各論,付表,和文・英文索引からなり,いわば組織学をもれなくカバーした従来のオーソドックスな章立てを踏襲している。しかしながら,中を開いてみるとその進化に驚く。今回の改訂では,プラスチック切片を用いた薄い組織切片の明快な写真が要所要所にあって理解を助けている。また,ヒト試料の電顕写真の大幅な採用と,その解説などが大きな変更点である。
従来,この図譜は明快なカラー写真やカラースケッチののった数少ない組織学図譜の1つであった。ページをめくっていると,駆け出しの解剖学教室助手時代に,組織学実習で教えるために,英語版原書(1976年版)を見ながら一生懸命標本を観察した記憶が懐かしくよみがえってきた。同時に,内容がさらにクリアーカットになったのに驚いた。
序に,「この本を利用するわが国の学生が内容をよく理解できることに最大の重点をおいたために,原文とは随分かけ離れた訳になっている」が,「わかりにくい個所はまずないものと自負している」とある。わが国の組織学教科書の文字通りの標準である標準組織学の著者と,息のあった師弟コンビにして初めて自信をもって言えることであろう。実際,訳文は非常によくこなれていて,翻訳であることを意識させない。組織学用語は日本語と英語が併記されていて,現在のカリキュラムにもよく適合している。
この図譜の特徴として,組織の肉眼やマクロ観察による全体像から,詳しい組織や細胞構築をへて電顕での細胞小器官レベルまでシームレスにつながるよう工夫されている点があげられる。低倍率で全体像を見る場面では,無理に低倍率写真を使わないで,綺麗で明快なスケッチを使っている。これは初版から採用されている手法であるが,低倍写真では説明できない点がスケッチによりとても明瞭に示されている。例えば卵巣では,原始卵胞,二次卵胞,グラーフ卵胞,閉鎖卵胞,黄体,白体などが1つの卵巣内に見事に描かれていて,各段階の卵胞の大きさ,配置などが一目で頭に入るようになっている。ページをめくると通常の光学顕微鏡写真とともに,明快な電顕写真があり,適切な解説とともに,この3ページを見るだけで,卵巣の構造と卵胞の成熟過程を理解するよう工夫がされている。
今回の版では,多色刷りの模式図も加わり,さらに理解が深まるであろう。惜しむらくは,この模式図が,従来の図とタッチが違って若干の違和感のある点であるが,カラフルでわかりやすいのは間違いない。
この種の本は,恐竜の進化のように,版を重ねるにつれて,とかく肥大化して自滅することが多いのだが,この本は,付け加えるのではなく,図や説明を入れ替えたり改良したりすることにより,初学者の理解を助けるのに精力が傾けられている。結果として,組織学をはじめて勉強しようという者にとって,間違いのない,熟成していて安心して寄りかかることのできる図譜に成長している。
巻末には,表がまとめて配置してある。これには染色法,組織や細胞の分類や比較,腺や消化管の部位などの似た構造の鑑別診断法などが丁寧にまとめてある。これらの文字のページと図譜のページを往き来することによって,人体の組織構築が文字通り血となり肉となって身に付くであろう。
組織学実習の指針となる図譜
書評者: 塩田 清二 (昭和大教授・解剖学)
医学および歯学を学ぶ者にとって,人体各臓器・器官の正常構造とその機能を知るためには,組織学および細胞学の確かな知識を持っていることが必要である。組織学は,肉眼解剖学と生理学をつなぐ総合的な学問である。しかし,近年の細胞生物学や分子生物学の急速な発展に伴い,この分野からもたらされた情報は古典的な組織学の体系に大きな衝撃を与え,多くの新しい知見が加わって組織学はさらに大きく発展してきた。一方,人体各組織の正常構造と病的状態における組織学的変化を知るためには,細胞学と組織学の確かな知識を持っておくことも必要であり,基本的で重要な知識を提供するテキストが必要であることは言うまでもない。
Sobottaの実習人体組織学図譜第6版の日本語訳(日本語訳としては第5版)が最近出版された。原書の第4版の準備中に,共著者であったHammersen教授が亡くなられたという。この本は世界的にみても基礎医学歯学教育の領域では大変評価の高いものであることは周知の事実である。この第6版の図譜は,全体で528の図からなり,内訳は光学顕微鏡写真が397枚,電子顕微鏡写真が104枚,残りの27枚は新たにコンピュータで作製されたカラーのイラストである。
新版では,旧版に比べてさらに新しい工夫や改善点が随所にみられる。その第一は,光学顕微鏡の図版をできるだけプラスチック切片標本で撮影したものにしたことであり,組織構造の理解が容易になったことである。第二は,組織や細胞の動的な状態を示す免疫組織化学の写真を新たに追加したことであり,細胞増殖やアポトーシス,あるいは表皮のランゲルハンス細胞のように通常の組織写真ではわかりにくいものを免疫染色標本を用いてより明瞭に示したことである。第三は,電子顕微鏡写真の試料をできるだけヒトの試料に取り替えたことであり,ヒトの組織や細胞の様子がよりよく理解できるようになったことである。さらに特筆すべきは,コンピュータで作製したカラーイラストの図版を新たに加えたことであり,これによって組織の構造のみならず機能的な理解が容易になったことである。今回の第6版は,著者たちの創意工夫によって組織および細胞の構造と機能とを密接につなげたものであり,読者は最新の組織学のもつ意義についての理解を深めていくことができる。
この第6版の図譜は,ただ単に図の美しさにとどまらず,内容の素晴らしさや情報量にとんだ新しい優れた図を収集し,さらにより組織の構造の理解を深める工夫がなされている。学生は,この組織学図譜で学ぶ事柄が,高学年で臨床の現場で出会う種々の疾患とどのようにつながるのかを理解し,そこで形態学のもつ重要性を認識するであろう。また,この図譜は,学生のみならず医学や歯学の基礎教育に携わるものにとっても,自己の知識の点検や確認にも供しえるに違いないと思われる。本図譜が組織学実習を行う際の指針となるべき図譜であることを信じる。
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