緩和内視鏡治療
緩和医療としての内視鏡治療はいかにあるべきか?
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近年著しい進歩を遂げた内視鏡は,根治的治療としてのみならず,末期癌の諸症状の軽減や患者・家族のQOL向上においても大きな役割を果たす。本書では出血や狭窄に対する治療から,PEG,ペインコントロールまでを詳述。緩和医療としての内視鏡治療はいかにあるべきか? 「緩和内視鏡治療」を提唱し,その真髄を伝える本邦初の書。
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緩和医療における内視鏡治療の役割
I 緩和内視鏡治療を考える
II 出血に対する緩和内視鏡治療
A 重症合併症を伴った消化管出血
B 癌性消化管出血
C 食道静脈瘤出血
D 胃静脈瘤出血
消化管出血に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
III 消化管狭窄に対する緩和内視鏡治療
A 良性消化管狭窄(IBDを含む)
B 消化管術後瘢痕狭窄
C 癌性食道狭窄(噴門を含む)
D 癌性消化管狭窄(食道・噴門を除く)
消化管狭窄に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
IV 胆道・膵管狭窄に対する緩和内視鏡治療
A 良性胆管疾患
B 癌性胆道狭窄
C 膵管狭窄
胆道・膵管狭窄に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
V 気道狭窄に対する緩和内視鏡治療
A 良性気道狭窄
B 癌性気道狭窄
気道狭窄に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
VI 内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
A 栄養アクセスとしてのPEG
B 癌性狭窄に対するPEG
C 悪性消化管閉塞に対するPTEG
緩和内視鏡としてのPEGの現状と展望
VII ペインコントロールとしての緩和内視鏡治療
A 超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック術
B 胸腔鏡下大内臓神経切離術
C カラードプラ超音波内視鏡下膵嚢胞ドレナージ術
緩和内視鏡からみた癌性疼痛,膵炎疼痛の対策と展望
VIII ITによる支援システムと緩和内視鏡治療
IX トレーニングシステムと緩和内視鏡治療
索引
I 緩和内視鏡治療を考える
II 出血に対する緩和内視鏡治療
A 重症合併症を伴った消化管出血
B 癌性消化管出血
C 食道静脈瘤出血
D 胃静脈瘤出血
消化管出血に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
III 消化管狭窄に対する緩和内視鏡治療
A 良性消化管狭窄(IBDを含む)
B 消化管術後瘢痕狭窄
C 癌性食道狭窄(噴門を含む)
D 癌性消化管狭窄(食道・噴門を除く)
消化管狭窄に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
IV 胆道・膵管狭窄に対する緩和内視鏡治療
A 良性胆管疾患
B 癌性胆道狭窄
C 膵管狭窄
胆道・膵管狭窄に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
V 気道狭窄に対する緩和内視鏡治療
A 良性気道狭窄
B 癌性気道狭窄
気道狭窄に対する緩和内視鏡治療の現状と展望
VI 内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
A 栄養アクセスとしてのPEG
B 癌性狭窄に対するPEG
C 悪性消化管閉塞に対するPTEG
緩和内視鏡としてのPEGの現状と展望
VII ペインコントロールとしての緩和内視鏡治療
A 超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック術
B 胸腔鏡下大内臓神経切離術
C カラードプラ超音波内視鏡下膵嚢胞ドレナージ術
緩和内視鏡からみた癌性疼痛,膵炎疼痛の対策と展望
VIII ITによる支援システムと緩和内視鏡治療
IX トレーニングシステムと緩和内視鏡治療
索引
書評
開く
「緩和内視鏡治療」を提唱し,その真髄を伝授
書評者: 近藤 仁 (斗南病院消化器病センター長/前・国立がんセンター)
◆今世紀の主流になる緩和内視鏡治療
興味を持って一気に読み通した。著者らの豊富な臨床経験がコンパクトに整理されており,通読すると緩和医療において知っておくべき内視鏡治療のすべてがわかる構成になっている。「緩和内視鏡は,今世紀の内視鏡診療の主流になる」という編者の言葉を実感させられる待望の1冊である。
緩和医療の基本は,チーム医療である。嚥下困難や消化管狭窄などのがん患者のQOLを向上させるために,緩和医療チームの中で内視鏡治療が果たす役割はきわめて大きく,実際,緩和医療の学会では内視鏡関連の演題が数多く発表されている。しかし,これまで適当な緩和内視鏡治療の参考書がなかったうえに,緩和医療の教科書を繙いてみても残念ながら内視鏡検査についての記述は,ほとんど見当たらなかった。
◆役立つ確実な内視鏡手技の会得
本書では,緩和内視鏡治療を「積極的に苦痛を和らげる治療」と広義にとらえて,がん患者に対するステント留置やPEG(内視鏡的胃瘻造設術)はもちろん,静脈瘤や消化管出血など良性疾患に対する治療についても解説されている。そのため,さまざまな病態に応用が利く広範な知識を身につけることができる。また各治療法の利点・欠点を実践的に理解できるように「期待通りの効果が得られた症例」だけでなく,「効果が得られなかった症例」も呈示されており,臨床家には大いに参考になるに違いない。写真や図をふんだんに用いた解説は,コメディカルにもわかりやすく,また確実な内視鏡手技の会得に役立つことは言うまでもない。
医師,特に内視鏡医にはもちろんのこと,ぜひとも看護師やMSWも読んで日常臨床に役立てていただきたい。本書が単なる技術書にとどまらないことは,編者の言葉や,各章末尾の「現状と展望」に総括された緩和医療学における内視鏡論をご覧になればわかっていただけると思う。緩和内視鏡学の教科書と
して,緩和医療に携わる皆さんに推薦したい。
新しい医学の分野を切り開く画期的内視鏡治療書
書評者: 大木 隆生 (アルバート・アインシュタイン医大付属モントフォーレ病院助教授・血管外科部長)
◆21世紀の医療のトレンドにそう著書
レーザー治療や粘膜切除術などに代表されるように,多くの消化管疾患治療において内視鏡は重要な役割を演じていることは周知の事実である。こうした病気を“根治”する分野においては,本邦の内視鏡技術は世界をリードする立場にありながら,本書で述べられている“緩和”を目的とした分野においては,米国の後塵を拝していると言わざるを得ない。
米国では,政治,経済にとどまらず,医療界においても徹底した合理化,民主化が進められている。合理的な医療とは,すなわち理にかなった,無駄のない医療であり,民主的な医療とは,患者中心の医療である。患者にとって理にかなった医療を行なう土壌が成熟している米国において,PEGや消化管用ステントをはじめとする緩和内視鏡技術が速やかに普及したことは偶然ではない。一方,こうした優れた治療法が本邦では注目されにくかった理由は,日本の医学界が,政治,経済同様,主権在君的で,その上,重厚長大をよしとしていたことと密接に関係しているように思われる。医療における主権在君は,すなわち医療者中心の医学であり,重厚長大は,延命を第一目標とした根治・拡大手術礼賛主義である。こうした風土が,本書で述べられている緩和医療の市民権獲得を遅らせたと言っても過言ではない。21世紀の医療は,根治術のさらなる進歩のみならず,患者のQOLを最小限の侵襲で向上させ,いかに病気と共存するかが大きなテーマとなるであろう。その意味で,本書はこれまであまり注目されなかった新しい分野を切り開く画期的な著書である。
◆内視鏡と胸腔鏡による緩和(姑息)治療の実際を解説
本書は,それぞれの分野の第一人者による全9章(178頁)から構成されており,消化管出血,狭窄,胆道狭窄,気道狭窄,経口摂取困難症(PEG),消化器病起因の疼痛(神経ブロック,剥離術),膵嚢胞(ドレナージ)に対する内視鏡と胸腔鏡を用いた緩和(姑息)治療の実際を解説している。
多数の著者による執筆にもかかわらず,各章は一貫して同一の構成が保たれており大変わかりやすい。各章ともその病態の背景,治療目的,適応,期待される成績,治療手技の実際,治療に必要な解剖,症例提示(著効例と失敗例)が,豊富で明解な図表(図131コ,表31コ)と285の引用文献で説明されている。緩和医療においてはQOLの向上が第一目的であるため,EBMにはなじまないが,各章ごとに治療成績がまとめられており,21世紀の医療をめざす編者の意図がくみとれる。また,各章にその分野の現状と将来展望が語られており興味深い。緩和内視鏡治療におけるインターネットおよびトレーニング用シミュレーターの活用法を解説した章も大変参考になる。
本書で述べられている技術が適応される疾患は,多くの消化器・呼吸器疾患,さらには嚥下困難を合併する脳血管疾患,AIDSと多彩である。したがって,本書は内視鏡医にとどまらず,こうした疾患を扱うすべての医師,看護師,さらには21世紀の新しい医療のありかたを学ぼうとする医学生にとって必読の書であると考える。本書で述べられている治療は,必ずしも延命につながるわけではない。しかし,本書は,延命が医療のすべてではなく,患者のQOL向上も同等もしくはそれ以上に重要であることをすべての医療従事者に教えている。本書が日本における緩和内視鏡治療の普及にとどまらず,QOLを重視した“主権在患者”の医療の確立に貢献することを期待したい。
書評者: 近藤 仁 (斗南病院消化器病センター長/前・国立がんセンター)
◆今世紀の主流になる緩和内視鏡治療
興味を持って一気に読み通した。著者らの豊富な臨床経験がコンパクトに整理されており,通読すると緩和医療において知っておくべき内視鏡治療のすべてがわかる構成になっている。「緩和内視鏡は,今世紀の内視鏡診療の主流になる」という編者の言葉を実感させられる待望の1冊である。
緩和医療の基本は,チーム医療である。嚥下困難や消化管狭窄などのがん患者のQOLを向上させるために,緩和医療チームの中で内視鏡治療が果たす役割はきわめて大きく,実際,緩和医療の学会では内視鏡関連の演題が数多く発表されている。しかし,これまで適当な緩和内視鏡治療の参考書がなかったうえに,緩和医療の教科書を繙いてみても残念ながら内視鏡検査についての記述は,ほとんど見当たらなかった。
◆役立つ確実な内視鏡手技の会得
本書では,緩和内視鏡治療を「積極的に苦痛を和らげる治療」と広義にとらえて,がん患者に対するステント留置やPEG(内視鏡的胃瘻造設術)はもちろん,静脈瘤や消化管出血など良性疾患に対する治療についても解説されている。そのため,さまざまな病態に応用が利く広範な知識を身につけることができる。また各治療法の利点・欠点を実践的に理解できるように「期待通りの効果が得られた症例」だけでなく,「効果が得られなかった症例」も呈示されており,臨床家には大いに参考になるに違いない。写真や図をふんだんに用いた解説は,コメディカルにもわかりやすく,また確実な内視鏡手技の会得に役立つことは言うまでもない。
医師,特に内視鏡医にはもちろんのこと,ぜひとも看護師やMSWも読んで日常臨床に役立てていただきたい。本書が単なる技術書にとどまらないことは,編者の言葉や,各章末尾の「現状と展望」に総括された緩和医療学における内視鏡論をご覧になればわかっていただけると思う。緩和内視鏡学の教科書と
して,緩和医療に携わる皆さんに推薦したい。
新しい医学の分野を切り開く画期的内視鏡治療書
書評者: 大木 隆生 (アルバート・アインシュタイン医大付属モントフォーレ病院助教授・血管外科部長)
◆21世紀の医療のトレンドにそう著書
レーザー治療や粘膜切除術などに代表されるように,多くの消化管疾患治療において内視鏡は重要な役割を演じていることは周知の事実である。こうした病気を“根治”する分野においては,本邦の内視鏡技術は世界をリードする立場にありながら,本書で述べられている“緩和”を目的とした分野においては,米国の後塵を拝していると言わざるを得ない。
米国では,政治,経済にとどまらず,医療界においても徹底した合理化,民主化が進められている。合理的な医療とは,すなわち理にかなった,無駄のない医療であり,民主的な医療とは,患者中心の医療である。患者にとって理にかなった医療を行なう土壌が成熟している米国において,PEGや消化管用ステントをはじめとする緩和内視鏡技術が速やかに普及したことは偶然ではない。一方,こうした優れた治療法が本邦では注目されにくかった理由は,日本の医学界が,政治,経済同様,主権在君的で,その上,重厚長大をよしとしていたことと密接に関係しているように思われる。医療における主権在君は,すなわち医療者中心の医学であり,重厚長大は,延命を第一目標とした根治・拡大手術礼賛主義である。こうした風土が,本書で述べられている緩和医療の市民権獲得を遅らせたと言っても過言ではない。21世紀の医療は,根治術のさらなる進歩のみならず,患者のQOLを最小限の侵襲で向上させ,いかに病気と共存するかが大きなテーマとなるであろう。その意味で,本書はこれまであまり注目されなかった新しい分野を切り開く画期的な著書である。
◆内視鏡と胸腔鏡による緩和(姑息)治療の実際を解説
本書は,それぞれの分野の第一人者による全9章(178頁)から構成されており,消化管出血,狭窄,胆道狭窄,気道狭窄,経口摂取困難症(PEG),消化器病起因の疼痛(神経ブロック,剥離術),膵嚢胞(ドレナージ)に対する内視鏡と胸腔鏡を用いた緩和(姑息)治療の実際を解説している。
多数の著者による執筆にもかかわらず,各章は一貫して同一の構成が保たれており大変わかりやすい。各章ともその病態の背景,治療目的,適応,期待される成績,治療手技の実際,治療に必要な解剖,症例提示(著効例と失敗例)が,豊富で明解な図表(図131コ,表31コ)と285の引用文献で説明されている。緩和医療においてはQOLの向上が第一目的であるため,EBMにはなじまないが,各章ごとに治療成績がまとめられており,21世紀の医療をめざす編者の意図がくみとれる。また,各章にその分野の現状と将来展望が語られており興味深い。緩和内視鏡治療におけるインターネットおよびトレーニング用シミュレーターの活用法を解説した章も大変参考になる。
本書で述べられている技術が適応される疾患は,多くの消化器・呼吸器疾患,さらには嚥下困難を合併する脳血管疾患,AIDSと多彩である。したがって,本書は内視鏡医にとどまらず,こうした疾患を扱うすべての医師,看護師,さらには21世紀の新しい医療のありかたを学ぼうとする医学生にとって必読の書であると考える。本書で述べられている治療は,必ずしも延命につながるわけではない。しかし,本書は,延命が医療のすべてではなく,患者のQOL向上も同等もしくはそれ以上に重要であることをすべての医療従事者に教えている。本書が日本における緩和内視鏡治療の普及にとどまらず,QOLを重視した“主権在患者”の医療の確立に貢献することを期待したい。
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