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高次神経機能障害の臨床はここまで変わった

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失語症をはじめとする高次神経機能障害の臨床に携わる一般医やコメディカルスタッフに向けて,診断・治療そしてリハビリテーションについての最新情報を紹介。本書の特色は,実際の患者を目の前にしたとき,どのような手順で分類し,診断や訓練を進めていくかを,最新の成果を踏まえて紹介し,臨床面で問題提起をしていることである。
宇野 彰 / 波多野 和夫
発行 2002年03月判型:A5頁:176
ISBN 978-4-260-11868-2
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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  • 目次
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第1章 言語情報処理の考え方から失語症を捉えなおす-障害メカニズムと訓練法
第2章 痴呆とそのリハビリテーションはここまで変わった
第3章 ヒトの地理感覚機能の新しい理解-街並の記憶と道順の記憶
第4章 記憶障害と健忘症のリハビリテーションはここまで変わった
第5章 半側空間無視とそのリハビリテーションはここまで変わった
第6章 ここまで来た認知神経心理学
第7章 発達神経心理学とそのリハビリテーションはここまで変わった

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高次神経機能障害に関する最近のトピックスを解説
書評者: 種村 純 (川崎医療福祉大教授・医療技術学)
本書はタイトルが示すように高次神経機能障害に関する最近のトピックスを解説している。多くの海外文献にあたらずとも斯界の最新動向を得られるので,入門の段階を過ぎて自ら勉強を進めようという方には,適当な参考書である。

◆「認知神経心理学」的観点からのリハビリテーションへの展開

 本書の特徴は,「認知神経心理学」的な観点を強く打ち出していることにある。中枢神経系の,特に連合野の機能に関する臨床・解剖学が従来の神経心理学の基本的方法論であった。これに対し,内的な処理・操作を認知心理学の方法に基づいて確認し,さらにその神経基盤を求めようとすることが従来とは「変わった」点と言える。
 本書が扱う問題は高度に学問的で,理解しやすいわけではない。しかし,図表を多用するなどの工夫をしていて,わかりやすくする努力がなされている。この認知神経心理学は,読み書きの障害に関する分析から始まり,他の障害に広げられていった。英米では,この動向がいちじるしく発展しており,専門雑誌も出されている。
 認知的方法の長所の1つに,リハビリテーションへの展開に示唆が得られる点がある。リハビリテーションでは,残存した機能を利用して障害された機能を改善させることになる。「脳の局所病変によりこのような症状が出現する」という知識だけでは,このような介入の計画は立てられず,本書に示されるような詳細な分析がきわめて有効である。
 本書の各章でリハビリテーションにも言及している点は,治療者にとって大きな魅力であり,失語症などに関する章に,その有効性が明らかにされている。しかし,どの分野でも認知神経心理学の方法が,十分に認められているわけではない。言語,読字,地理認知,空間無視の問題では,神経基盤と認知課題の詳細な分析との間に見事な対応関係が見いだされている。一方,痴呆,記憶,学習障害という,従来は神経心理学的アプローチが困難であった分野でも成果をあげているが,まだこのような理解は広まっていない。
 本書が,これらの分野の臨床家に広く受け入れられることを願っている。

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