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師長・主任のこんな時どうする!?

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リスニングもアサーティブもコーチングも勉強したけれど、職場の人間関係にまつわる問題を解決するのにそのスキルが活かされないのはなぜ? 本書では具体的な事例からそのようなスキルをいつ・どのように活用するのかがわかる。人間の数だけ問題の種類があるから100%解決できない問題もあるけれど、本書を読めば、人間関係で落ち込んだりイライラしている気持ちが少し軽くなる!?
武藤 清栄 / 村上 章子 / 鶴谷 有子
発行 2005年08月判型:A5頁:164
ISBN 978-4-260-00135-9
定価 2,200円 (本体2,000円+税)
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  • 目次
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パート1 “問題”の部下
 ケース1~ケース8
パート2 “問題”の師長・主任や医師にはどう対応するの?
 ケース9~ケース13
パート3 自分のことなのに,どうすればいいかわからない!
 ケース14~ケース23
パート4 職場の環境,なんとかしたい!
 ケース24~ケース27

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人間関係調整とメンタルヘルスの良きアドバイザー (雑誌『看護管理』より)
書評者: 篠原 弘子 (川崎市立川崎病院副院長・看護部長)
 「ああ,あるあるこんなこと」「いるいるこういう人」と,看護職なら誰もが思い当たる,人間関係に関わる27の場面や事例。職場の人間関係とメンタルヘルスの問題には密接な関係があることはいうまでもない。メンタルヘルスを脅かす要因のなかで,最も大きなものが人間関係であるともいわれ,これは医療の場に限らず広く社会的な問題でもある。

 また,医療はチームワークで行なわれるものであるだけに,安全で効率的で良質な医療を提供するためには,医療者間の人間関係が円滑で良好であることが求められる。

◆Q&A形式で,実感的,共感的に読める

 本書は看護現場での身近な,そして切実な問題でもある人間関係に関わる事例を取り上げ,そのなかに潜む本質的な問題をわかりやすく解説するとともに,ていねいに問題解決へと導いてくれる。

 パート1は,師長や主任からみた「問題の部下」への対応,パート2は,「年上部下」や同僚としての「問題の師長・主任や医師」への対応,パート3は,他者との関係における「自分自身」の問題への対応,パート4は,「職場環境」の問題への対応,といった多様な事例を,問題となる対象によって4つのカテゴリーに整理している。そして,事例ごとにそのなかで求められる問題のとらえ方や問題解決への考え方,対応策が,Q&A形式で解説されており,実感的,共感的に読み進むことができる。

 また本書の特徴に,その内容に関し著者らの専門性が存分に活かされ,心理学やカウンセリングの理論を根拠に,事例に沿った考察がされている点がある。さらに,それらへの対応や問題解決には,コーチング,カウンセリング,アサーションのポイント,コミュニケーションにおけるプラスのストロークなど,各事例に対応した具体的で実践的なアプローチが提示されていて,われわれにとって良きアドバイザーかつガイド役となる書である。

◆人間関係の問題解決に強い味方

 掲載されている事例はどれも,身近でよくある,一見些細なことにもみえる問題である。それだけに,実際に直面した当事者にとっては,かえって誰にも相談できず,問題解決の糸口がみつけられないまま,次第に大きなストレスとして自分のなかに蓄積してしまうといったことも多いのではないだろうか。

 師長や主任に求められる看護管理者としてのマネジメント能力のなかでも,人間関係調整能力は特に重要である。日常の職場において,人間関係に関わるさまざまな問題に直面することは避けられず,時には行き詰まりを感じることも多い。そのようなとき,本書は私たちに問題解決の糸口や方向性を示唆してくれる強い味方になってくれる本でもある。そして,仕事へのやる気をなくしてしまいそうな疲れた心を,「そうか,その方向でもう一度やってみよう」とリフレッシュさせてくれる。

 日々人間関係調整に苦労し悩んでいる師長や主任はもちろん,職場の人間関係に悩む多くの人にも,ぜひおすすめしたい一冊である。

(『看護管理』2005年12月号掲載)
シチュエーション別Q&Aで師長・主任の心をサポート
書評者: 濱口 秀子 (慈愛病院看護部長)
 厚生労働省や一般企業で,メンタルヘルスへの取り組みが進む中,看護の世界でもやっと,重要課題として近年取り上げられるようになってきた。看護現場では,人員不足による過重労働,変則勤務による心身の疲労や人間関係など,スタッフのストレスも大きいが,私たちもまた,部下の育成から労務管理・病院経営まで幅広い対応が求められストレスにさらされている。

 この本は,圧倒的な時間不足の中,カウンセリングスキルや心理療法などに興味を持ちながらも,なかなか実際に取り組めず,人間関係や自分自身に悩んで迷っている人に,具体的なコミュニケーションのやりとりや,コーピング(対処行動)を指し示してくれている。

 本書は,「問題の部下」「問題の師長・主任・医師」「自分のこと」「職場環境」の4つのパートに分類され,計27ケースに対してQ&Aという形式で構成されている。例えば,「気分にムラがある部下」に対してはコーチングによる対応を,「波長の合わない主任」へはプラスのストロークを,「自分のこと」ではストレスマネジメントの方法や手紙療法を,「職場環境」ではエコグラムやミラクルクエスチョンを用いた解決方法などを紹介している。

 その中でも特に私が自分と重ね合わせて共感したのは,「自分を癒す手紙療法」である。看護を我が天職と思って数十年走り続け,師長業務に明け暮れる中,ふっと,「私のやりたかった看護はこれ?」と考え込み悩む。それはまさに,今の自分が置かれている状況とうりふたつであった。

 これに対して著者は,「自分で自分に出す癒しというか励ましの手紙」を書くように勧めている。これを読んだ時,「私自身,もしかしたら客観的に現状を書きつらねていくうちに,素直な気持ちになり,ポジティブさを取り戻す糸口がつかめるかもしれない」と考えられるようになり,メンタルヘルスが改善するきっかけを頂いた。

 ストレスとは,「思い通りにならないこと」と言われている。私たちの看護現場は思い通りにならないことばかりである。しかし,ストレスにさらされながら何ひとつ解決という終着点にはつかなくとも,置かれている現状を見つめ,先入観を捨てて,自分や相手の気持ちをじっくり聴き,受けとめることが結局は,自分自身を支える原動力と,明日を切り開く力になっていくということを,改めて痛感することとなった。

 本書は,まさに「悩み」という荷物を整理するための,私たち師長・主任の心をサポートしてくれる一冊といえる。

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