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糖尿病のマネージメント 第3版
チームアプローチと療養指導の実際

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「患者の生活と人生の質を高める」という糖尿病治療の目的を達成するために,医師・患者・コメディカルスタッフのチームワークをどのように進めていけばよいか,またチームの構成メンバーがそれぞれの立場で効果的に糖尿病をコントロールするためにどのような知識と技術が必要かを,わかりやすく具体的に示した実践書。患者からの疑問に答えられるようにQ&Aのコラムを多数設けた。
編集 松岡 健平 / 河盛 隆造 / 岩本 安彦
発行 2001年08月判型:B5頁:344
ISBN 978-4-260-11978-8
定価 5,280円 (本体4,800円+税)
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  • 目次
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1. 診断
 糖尿病とはどんな病気か
 診断の仕方
 健康診断と人間ドック
 
2. 治療
 糖尿病コントロールの指標
 血糖・尿糖自己測定法の指導
 食事療法
 糖尿病と運動療法
 経口薬による治療
 インスリン療法
 低血糖の症状と対策
 民間療法の是非
 
3. 療養指導
 患者教育の方法と技術
 一般診療所での患者指導の実際
 糖尿病患者教育の形成
 在宅ケアの実際
 精神的ケア
 小児の糖尿病
 高齢者の糖尿病
 妊娠と糖尿病
 遺伝カウンセリング
 境界型の取り扱い方と糖尿病の一次予防
 
4. 合併症の予防と対策
 糖尿病患者の合併症
 糖尿病と動脈硬化
 糖尿病と眼
 糖尿病性腎症
 糖尿病の神経障害
 糖尿病と泌尿器系の障害
 糖尿病の足病変
 糖尿病と消化器系の障害
 糖尿病患者の感染症
 糖尿病性昏睡
 糖尿病患者と手術
 
付録1 日本糖尿病協会本部・支部所在地 
付録2 日本糖尿病学会認定教育施設一覧 
付録3 視覚障害者の生活訓練のための更生施設

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糖尿病療養指導士必携の書
書評者: 河口 てる子 (日赤看護大教授)
◆糖尿病看護分野で認定看護師誕生

 1994年刊行の第2版から7年経ち,その間にWHOやアメリカ糖尿病協会,日本糖尿病学会の糖尿病診断基準が変わりました。この新しい診断基準に合わせて改訂が必要でしたし,療養指導環境においては2001年6月に日本糖尿病療養指導士が誕生し,2002年8月には糖尿病看護分野の認定看護師が誕生しました。糖尿病専門医とあわせて強力なチーム医療,チーム教育をなし得る環境が整いつつあります。このような環境下では,糖尿病教育に携わる教育担当者向け,療養指導士・認定看護師向けのよきテキストが必須アイテムでした。その点,この本は充実した内容といい具体的な解決策の提示といい,またこの時期での改訂といいまさにぴったりの本だと思われます。

◆高い専門性を備えながらコメディカルの疑問,質問にも答えてくれる内容
 
この第3版を第2版と比較してみますと,まず編者・著者の方々が若返りました。糖尿病医学領域の重鎮の方々から,現在ばりばりに活躍しておられる方々と理想的なバトンタッチが行なわれています。昨今の新しいテーマであるクリニカルパス,精神的ケア,遺伝カウンセリング,高齢者ケアが追加され,充実した品ぞろえになっています。
 第2版もそうでしたが,本書は単なる糖尿病学の専門書ではなく,実地医家や糖尿病教育に携わる看護師・栄養士・薬剤師・検査技師にとって非常に便利に興味深く作られているのが特徴です。内容は専門性の非常に高いものですが,コメディカルの疑問,質問に答えてくれる面倒見のよさをかね備えています。今回の改訂では,その面倒見のよさはそのままに,新しい知見を加味して,より一層使いやすい内容となっています。そのよさの1つが,「Q&A」コーナーの話題内容とわかりやすさにあります。前版からこの形式で,具体的でわかりやすいと好評でした。今回の改訂版でもこの形式を踏襲し,患者さんが発する素朴な質問に要領よく,しかも結構高度な専門的知識を駆使して回答しておられるのに感心します。きっと知的だけれど,ちょっと理屈っぽく気難しい患者さんをも十分満足,納得させられると思います。また,糖尿病教育初心者の医療職にとっては「Q&A」を読んでいるだけでも,かなり高度な知識を身につけられるように思います。専門書を読んでいるだけと違って,知識が身につき血肉となる感じが快いものです。
 新しい診断基準のわかりやすい解説などは言うまでもないのですが,昨今の医療費抑制の影響もあり,実地医家やコメディカルに関心の高いクリニカルパスが第3章・療養指導のトップに設けられています。医療費抑制下でも質の高い効率的なケアを提供するために,各種の患者を想定し,例えば新患患者,1型糖尿病患者,2型糖尿病患者,妊娠糖尿病,高齢糖尿病患者のためのクリニカルパスが紹介されています。精神的ケアの項では,糖尿病患者の感情の問題,悲嘆プロセスが説明され,また糖尿病患者のセルフケア行動に関しては,変化ステージモデルを使ったケアの方法が述べられています。在宅ケアの実際の項では,2000年から施行された介護保険制度に合わせて,要介護認定の申請から訪問看護制度の活用まで具体的な事例を通して説明されています。在宅療養の推進が叫ばれている中,特に高齢の糖尿病患者の訪問看護や社会資源の活用方法が有益でしょう。
時宜を得た糖尿病チーム医療展開のバイブル
書評者: 齊藤 寿一 (社会保険中央総合病院長)
 『糖尿病のマネージメント-チームアプローチと療養指導の実際』第3版が発刊された。増え続けている糖尿病患者は,集団検診で発見された軽症のものから,複数の合併症を伴ったもの,あるいは血糖コントロールの困難な患者まで,多様な病態で医療機関を訪れ,それぞれに相応しい診療形態が求められる。患者への対応は,医師,看護婦,栄養士,検査技師,薬剤師などの医療従事者が,連携しつつチーム医療を展開することとなる。日本糖尿病学会でも専門医とならんで2001年からは,糖尿病療養指導士の制度を発足させている。
 このような医療現場で求められるのは,糖尿病についての考え方,診断や治療の進め方あるいは患者の療養指導などについて,各医療従事者が共有できる最新情報の基盤であろう。

◆即戦力を重視し,糖尿病診療の疑問に応える

 本書は,そのようなニードに応える糖尿病診療でのバイブルとしてきわめて時宜を得た書であると言えよう。執筆には,糖尿病臨床の第一線で活躍中の気鋭の専門家27氏があたられ,診断,治療,療養指導,そして合併症の予防と対策の各章の細目を分担して,最新の考え方や情報が平易で具体的に記されている。
 日常の糖尿病診療で疑問に感じること,あるいは患者や家族が質問する内容をしっかりと受け止める形で全体が構成されている。各細目ごとに内容は,「ポイント」としてまとめられ,また模式図を多用した豊富な図表で,高い水準の内容がわかりやすい形で述べられている。
 「Q & A」形式での明快な解説も随所に配置されており,即戦力となる書となっている。
 糖尿病のチーム医療は,知識や考え方を異にする複数の医療職種の担当者で展開されるため,円滑な連携には十分な配慮が必要である。これについて本書では,「糖尿病患者教育チームの形成」に1章をあて,チーム形成の基盤調整の方法や各医療職員が担うべき役割などについて,有用な助言が数多く盛込まれている。これから糖尿病診療チームを編成しようとする医療機関にとっても,貴重な指針となるものと思われる。

◆求められる糖尿病患者の程度に応じたていねいな説明

 本書の第2版は,1994年に上梓されているが,今回の第3版では内容も一新され,例えば日本糖尿病学会の新しい診断基準,インスリン抵抗性改善薬や速効性インスリン分泌促進薬,あるいは性機能障害におけるバイアグラの使用など新しい薬剤についての情報も十分に盛り込まれている。また,最近多くの疾病について導入されている医療従事者連携をもととした診療の経時的な展開計画,クリニカルパスについても,糖尿病におけるあり方が具体的に示されている。患者の事情や病状に応じて,初診来院後の外来診療あるいは1週間程度の短期入院,さらには中期ないし長期的なクリニカルパスのあり方について,ていねいな説明がなされている。この他最近は,患者や家族から質問を受けることが多くなった糖尿病の遺伝についても,最新の研究成果を踏まえたカウンセリングのあり方が述べられており,参考となる点が多い。

◆切実な問題,糖尿病と医療経済

 糖尿病は,患者にとって長期の取り組みが求められる疾病であり,医療費の負担も少なくない。また,医療機関にとっては,しばしば保険診療の枠内で最も実効ある診療を展開することに吟味が求められる。今回の版では,深く取りあげられてはいないものの,健康保険上で認められる検査の適応や頻度,あるいは各種の患者指導の診療報酬への反映といった糖尿病のマネージメントにおける医療経済も,患者や医療機関にとっては,切実な問題となりつつある。今後の版では,そのようなテーマも取りあげられることが期待される。
 いずれにしても,糖尿病マネージメントについてのこのような平易でしかも充実した助言・指導書が今回発刊されたことを,糖尿病診療にあたる医療従事者の1人として患者・家族とともに喜びたい。

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