腹腔鏡下大腸手術
アプローチ&スタンダードテクニック

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患者の負担の軽減をめざした低侵襲手術の一貫として,腹腔鏡下手術が盛んに行われている。「腹腔鏡下大腸切除研究会」では大腸手術における標準術式をアプローチ法別に示し,誰でもできる安全な手術の普及のために本書を刊行。手術のプロセスとそのチェックポイントを明快に記載する。大腸外科を標榜する全外科医必携のマニュアル。
編集 腹腔鏡下大腸切除研究会
発行 2002年04月判型:B5頁:120
ISBN 978-4-260-12243-6
定価 8,800円 (本体8,000円+税)
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  • 目次
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総論
 腹腔鏡下大腸切除-術式の発展・展開と課題
  A. 本術式の発展過程と変遷
  B. 技術面での発展
  C. 合併症
  D. 今後の技術面での課題
  E. トレーニング方法
各論-手術手技
 1. 外側アプローチ(D1,D2+も含む)
  1 右側結腸
  2 下行結腸
  3 S状結腸,直腸(Rs,Ra)
 2. 内側アプローチ(D2,D3)
  1 右側結腸
  2 下行結腸
  3 S状結腸,直腸(Rs,Ra)
 3. 後腹膜アプローチ
  1 右側結腸
  2 下行結腸,S状結腸,直腸(Rs,Ra)
 4. 横行結腸へのアプローチ
  1 横行結腸中部の癌に対する手術

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たゆまず発展してきた腹腔鏡下大腸切除研究会の成果
書評者: 山川 達郎 (帝京大名誉教授)
◆大腸癌に対する内視鏡外科手術の意義を追求

 大腸癌に対する内視鏡外科手術の意義を追求することに情熱を傾けられてこられた,自治医科大学大宮医療センター小西文雄教授を代表世話人とする,腹腔鏡下大腸切除研究会が編集された『腹腔鏡下大腸手術―アプローチ&スタンダードテクニック』と題する単行本が,このたび発刊されました。先生は,その目的を達成するためには,術式の定型化,データの集積による遠隔成績の分析,トレーニング法の確立が不可欠であり,その手段としてはまず研究会の設立が必須であることを,かつて日本内視鏡外科学会教育委員会委員長を務めていた筆者に,熱っぽく話してくださったことを今も鮮明に思い出すことができます。確か1998年頃だったかと思われますが,大腸癌研究会のプロジェクトに先生の考えがとりあげられたのに相前後して腹腔鏡下大腸切除研究会が設立され,以降,同会はたゆまぬ発展を続けてきました。このたびその成果をこのような立派な単行本としてまとめられたことは,誠にご同慶のいたりです。

 内容は,第一線でご活躍中の著者ら各人が,固執し,試行錯誤しながらきわめた術式の現況を,それぞれ外側,内側アプローチ法,後腹膜アプローチ法などと命名して,懇切ていねいに紹介しています。術式の選択は,一般にいかなる方法で腹腔鏡下手術を始められたかによって決められていると思われますが,原則は皆同じでありますから,これでなくてはならないという規則はありません。ことに手術の難易度は,病変部位,患者さんの体格,手術既往の有無などによっても異なり,また場合によってはいろいろな工夫を必要とするので,まずは今回発刊されたような優れた手技解説書を座右に置き,参考にしながら,いかなる事態にも対処できるように技術を磨き,その手技を自分のものにすることが大切です。

◆手術に役立つ貴重な手引き書

 しかし,内側と外側アプローチの手法はともに腹腔内の手術であり,その時々の腹腔内の状況によりそれぞれの手技の応用がより合理的な手術につらなることがありますから,両者の手技に等しく通じておくべきです。一方,後腹膜アプローチは,泌尿器や整形外科領域の内視鏡下手術にも応用され,注目を浴びている手技で,知っていると役に立つ手法ですが,バルーンの挿入法1つをとってもちょっとしたコツがあります。そんなところが,本書では大変,要領よく説明されていますので,本書は,実際の手術の際にただちに役立つ貴重な手引書であるということができます。

 しかしながら,一読すると一見簡単にできそうな術式のような気がするかも知れませんが,腹腔鏡下大腸切除術は一種のadvanced surgeryであり,2次元の視野下での高度な鉗子操作技術が要求される術式です。したがって初心者のみならず,ある程度の腹腔鏡下大腸切除術を経験した外科医が読んでも参考になりますので,ぜひ,皆様には本書を座右に置かれ,実際の臨床に役立たせてほしいと念願しています。
腹腔鏡下大腸手術の標準化をめざすガイドブック
書評者: 白水 和雄 (久留米大教授・外科学)
腹腔鏡下大腸切除術が施行されるようになってから,欧米では11年,本邦では9年の年月が経過し,腹腔鏡手術は大腸の良性疾患のみならず悪性疾患に対する手術にも欠くことができない低侵襲手術術式として定着してきている。腹腔鏡手術を行なうことにより,術創が小さく術後の疼痛が少なく,また術後の癒着性イレウスが少ない特徴もある。
 腹腔鏡下大腸切除研究会編集の『腹腔鏡下大腸手術―アプローチ&スタンダードテクニック』は,大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術式の手技を標準化することを目的として,わが国におけるこの領域のエキスパートによって共同執筆された単行書である。

◆安全で確実な腹腔鏡下大腸手術の普及のための好書

 大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術式のこれまでの発展過程と変遷,超音波凝固切開装置など技術面での発展,手術適応の変遷,技術的な問題点,術中術後合併症,トレーニング方法などの「総論」から始まり,「各論」では実際の手術における体位,および手術場のセットアップ,ポート設置部位,さらにはアプローチの方法,すなわち内側アプローチ,外側アプローチ,後腹膜アプローチのそれぞれの利点,欠点が詳細に述べられているだけでなく,さらには病変の部位に分けて腹腔鏡下手術に特有な解剖学的事項をふまえた手術方法が述べてある。早期大腸癌に対するD1-2郭清術式から低位直腸癌の側方郭清を除いた進行大腸癌に対する主幹動脈根部までのD3郭清術式も,ほぼ確立された術式と考えられる。
 大腸癌に対してこれから腹腔鏡下大腸切除を始めようとするビギナーのみならず,専門医への安全で確実な手術を行なうためのガイドブックとして勧められる好書である。

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