看護業務のシステム化をめざして 第2版
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第1章 医療情報システムと看護システム
第2章 医療のシステム化とコンピュータの導入
第3章 看護システム導入の手順と諸条件
第4章 JR東京総合病院における病院情報システム
第2章 医療のシステム化とコンピュータの導入
第3章 看護システム導入の手順と諸条件
第4章 JR東京総合病院における病院情報システム
書評
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病院情報システムに看護業務システムを導入する手引書
書評者: 坂本 すが (NTT東日本関東病院看護部長)
『看護業務のシステム化をめざして』の第2版が出版された。本書はすでに看護職だけではなく,医療情報システムを構築する職種の人々からも高い評価を受け,病院などで医療情報システムを導入する関係者に基本文献として用いられている。
本書の特徴は,現在は鈴鹿医療科学技術大学医用工学部医用情報工学科教授の坂部長正先生と,埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科教授の中崎啓子先生と,JR東京総合病院の元スタッフと,竹本敬子副看護部長をはじめとする現職スタッフとの共同作業による,医療情報学,看護情報教育,看護実践の3分野の視点から看護業務のシステムを分析している点である。システムを構築する場合に必要なバランス(システム開発の視点,看護情報学の視点,看護実践の視点)が取れた内容になっている。
◆具体的かつ実用的な内容
看護情報システムを導入する場合,用語の不慣れや実践状況をシステム開発の担当者にわかってもらうことは容易ではない。その理由としては,看護職自身も不明確に業務をしていたり,理解していなかったり,フローなどの分析に慣れていないことなどがある。本書では,システム開発や導入に際して問題となることが具体的に示されている。そして,その問題を解決するにはどうすればよいかを分析し,現実に使えるように示している。長年の医療情報学会や看護情報システム研究会での討議や研究プロセスも寄与しているのだろう。
第1章は,医療情報システムと看護情報システムの定義から現在までの流れ,第2章では,システムとは何かをあげ,基本的な理解を,第3章では,看護情報システム導入の手順と諸条件として具体的に看護部門の内外のコンフリクトがあげられ,要因,対策が述べられている。第4章には,JR東京総合病院における病院情報システムとして,同病院が医療情報システムを導入してきた経緯,現状分析やフロー調査などが区分けされ,紹介されている。看護情報システムを導入する際に,解決しておかなければならない項目を詳細かつ具体的に展開しており,今すぐからでも役立つバイブル的に使用可能な本である。システムを導入すると言っても,何から手をつけたらよいのかわからなくなるが,この本を参考にすれば,スムーズに取り組んでいけるだろう。
◆求められるe-Japan戦略にそった看護業務のシステム化
ITが,急激に医療界に入ってきている。政府は「e-Japan戦略」を打ち出し,情報システムを取り入れる方針を出した。診療録の電子化も推進され,電子媒体保存も政府は許可した。看護も電子媒体保存を視野に入れた動きが始まっているが,そのためには看護情報を整理し,記録の分析・標準化に向けた体制準備をしていかなければならないだろう。
この本は,他の本には見られない具体的な情報が多く入っており,現実的な状況がわかりやすく書かれている。ここまでリアルに書かれた本はそう多くないだろう。
初版は1994年に発行されたが,病院のシステムのバージョンアップを機に構成を整理し,内容を充実させた今回の第2版となった。看護支援システムを導入する予定がある病院の看護職や医療情報関連の方たちに,ぜひ入門書として勧めたい1冊である。
書評者: 坂本 すが (NTT東日本関東病院看護部長)
『看護業務のシステム化をめざして』の第2版が出版された。本書はすでに看護職だけではなく,医療情報システムを構築する職種の人々からも高い評価を受け,病院などで医療情報システムを導入する関係者に基本文献として用いられている。
本書の特徴は,現在は鈴鹿医療科学技術大学医用工学部医用情報工学科教授の坂部長正先生と,埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科教授の中崎啓子先生と,JR東京総合病院の元スタッフと,竹本敬子副看護部長をはじめとする現職スタッフとの共同作業による,医療情報学,看護情報教育,看護実践の3分野の視点から看護業務のシステムを分析している点である。システムを構築する場合に必要なバランス(システム開発の視点,看護情報学の視点,看護実践の視点)が取れた内容になっている。
◆具体的かつ実用的な内容
看護情報システムを導入する場合,用語の不慣れや実践状況をシステム開発の担当者にわかってもらうことは容易ではない。その理由としては,看護職自身も不明確に業務をしていたり,理解していなかったり,フローなどの分析に慣れていないことなどがある。本書では,システム開発や導入に際して問題となることが具体的に示されている。そして,その問題を解決するにはどうすればよいかを分析し,現実に使えるように示している。長年の医療情報学会や看護情報システム研究会での討議や研究プロセスも寄与しているのだろう。
第1章は,医療情報システムと看護情報システムの定義から現在までの流れ,第2章では,システムとは何かをあげ,基本的な理解を,第3章では,看護情報システム導入の手順と諸条件として具体的に看護部門の内外のコンフリクトがあげられ,要因,対策が述べられている。第4章には,JR東京総合病院における病院情報システムとして,同病院が医療情報システムを導入してきた経緯,現状分析やフロー調査などが区分けされ,紹介されている。看護情報システムを導入する際に,解決しておかなければならない項目を詳細かつ具体的に展開しており,今すぐからでも役立つバイブル的に使用可能な本である。システムを導入すると言っても,何から手をつけたらよいのかわからなくなるが,この本を参考にすれば,スムーズに取り組んでいけるだろう。
◆求められるe-Japan戦略にそった看護業務のシステム化
ITが,急激に医療界に入ってきている。政府は「e-Japan戦略」を打ち出し,情報システムを取り入れる方針を出した。診療録の電子化も推進され,電子媒体保存も政府は許可した。看護も電子媒体保存を視野に入れた動きが始まっているが,そのためには看護情報を整理し,記録の分析・標準化に向けた体制準備をしていかなければならないだろう。
この本は,他の本には見られない具体的な情報が多く入っており,現実的な状況がわかりやすく書かれている。ここまでリアルに書かれた本はそう多くないだろう。
初版は1994年に発行されたが,病院のシステムのバージョンアップを機に構成を整理し,内容を充実させた今回の第2版となった。看護支援システムを導入する予定がある病院の看護職や医療情報関連の方たちに,ぜひ入門書として勧めたい1冊である。
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