困ったときの消化器疾患患者の看護
困ったあなたをサポートする,すぐに役立つ実地書
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消化器疾患患者の看護を行うなかで,(1)治療や診断時,(2)患者の疾病や障害,(3)日常生活上,(4)患者指導の場面で,しばしば遭遇する問題や,困ったと感じるケースを取り上げ,看護上の問題を解決するための具体的方策を解説している。事例に基づきベテラン看護師の行ってきた臨床の知を紹介。困った場面ですぐに役立つ実地書。
編集 | 花田 妙子 |
---|---|
発行 | 2002年01月判型:A5頁:236 |
ISBN | 978-4-260-33171-5 |
定価 | 2,640円 (本体2,400円+税) |
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目次
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第1章 患者の苦痛や訴えに対する援助
A. 肝硬変で腹部膨満感を訴える患者
B. 黄疸で掻痒感・不眠を訴える肝疾患患者
C. 癌性疼痛が増悪する膵臓癌患者
第2章 有害作用や随伴症状に対する援助
A. 術後,外瘻孔部からの排液漏出がみられる患者
B. 喉頭切除によって発声障害が生じた患者
C. 膵体尾部切除術後,通過障害を生じた患者
D. 術後せん妄を生じた高齢患者
第3章 食事摂取に問題の生じた患者への援助
A. 経口摂取が進まない胃切除後の患者
B. 食事摂取困難な食道癌患者
C. 入退院を繰り返すクローン病患者
D. 通過障害で絶飲食を強いられる患者
E. 膵炎再発により食事のできなくなった患者
第4章 術後の排泄に問題のある患者への援助
A. 排便機能障害のある直腸癌術後患者
B. ストーマケアによるトラブルをおこした患者
第5章 検査の介助
A. 外来において注腸検査を受ける患者
B. 消化管出血をおこし,内視鏡検査・治療を受ける患者
第6章 予後不良患者への援助
A. C型肝炎から肝硬変・肝癌を合併していく患者
B. 肝性昏睡で入退院を繰り返す患者
C. 化学療法により有害作用を生じた患者
A. 肝硬変で腹部膨満感を訴える患者
B. 黄疸で掻痒感・不眠を訴える肝疾患患者
C. 癌性疼痛が増悪する膵臓癌患者
第2章 有害作用や随伴症状に対する援助
A. 術後,外瘻孔部からの排液漏出がみられる患者
B. 喉頭切除によって発声障害が生じた患者
C. 膵体尾部切除術後,通過障害を生じた患者
D. 術後せん妄を生じた高齢患者
第3章 食事摂取に問題の生じた患者への援助
A. 経口摂取が進まない胃切除後の患者
B. 食事摂取困難な食道癌患者
C. 入退院を繰り返すクローン病患者
D. 通過障害で絶飲食を強いられる患者
E. 膵炎再発により食事のできなくなった患者
第4章 術後の排泄に問題のある患者への援助
A. 排便機能障害のある直腸癌術後患者
B. ストーマケアによるトラブルをおこした患者
第5章 検査の介助
A. 外来において注腸検査を受ける患者
B. 消化管出血をおこし,内視鏡検査・治療を受ける患者
第6章 予後不良患者への援助
A. C型肝炎から肝硬変・肝癌を合併していく患者
B. 肝性昏睡で入退院を繰り返す患者
C. 化学療法により有害作用を生じた患者
書評
開く
臨床で積み重ねた豊富な知識を言語化
書評者: 斉藤 伊都子 (順大浦安病院)
◆ベテランナースは,看護上の問題をどう解決したか
本書は,消化器疾患患者の看護の経験が豊富な,臨床で活躍しているベテランナースによって執筆されている。看護の実践場面で,頻繁に遭遇する看護問題やさまざまな事例について,ベテランナースがどのように実際にかかわったのか,看護上の問題を解決するための対策や看護の工夫がていねいに解説してある。
その内容は,「患者の苦痛や訴えに対する援助」,「有害作用や随伴症状に対する援助」,「食事摂取に問題の生じた患者への援助」,「術後の排泄に問題のある患者への援助」,「検査の介助」,「予後不良患者への援助」の,6章から構成されている。各章ごとに,日常,消化器疾患患者にかんする誰でもが体験する,肝硬変で腹部膨満感を訴える患者,術後せん妄を生じた高齢患者,経口摂取が進まない胃切除後の患者,ストーマケアによるトラブルをおこした患者,内視鏡検査・治療を受ける患者,化学療法により有害作用を生じた患者などの,看護場面が具体的に事例展開されている。
◆これこそ「臨床看護の知」
各項は,患者の状況と問題点,対策,事例紹介の3つの柱で構成されている。患者の状況と問題点では,フィジカルアセスメントにより正確に病状を把握し,そこから発生する身体的・精神的問題が明確に記述されている。対策には,最初に看護の基本的原則が記述してあり,看護問題に直面したとき,どのようなケアや処置,患者指導を行なっているか,何故そのような方法をとったかについて詳しく解説されている。特に,事例紹介では,患者のありのままの言動から患者の反応や気持ちをとらえ,ケアに必要なデータを把握し,ベテランナースが身体面と精神面への援助をバランスよく提供していく看護過程が詳細に記述されている。ケアの内容と方法が患者の病状回復をどのように促進したか,また,患者の自己実現をどのようにサポートしたかが具体的で,わかりやすい。ベテランナースの,臨床経験で積み重ねた豊富な知識を言語化したもので,ベナーの言う「臨床の知」だと言えるのではないか。
臨床の看護場面では,忙しさや言語化することの難しさからベテランナースが行なった看護実践を新人や経験の浅い看護師に言語化された知識として伝える機会が持ち難い。
本書が,経験の豊富さから語られる事例を「臨床看護の知」として言語化できたことは,熟練した看護技術と知識が共有でき,患者1人ひとりのニーズにあった看護の工夫に生かされる1冊となるであろう
事例から学ぶ臨床看護の知
書評者: 冨重 佐智子 (日本看護研究支援センター所長)
◆ベテラン看護師の「臨床の知」
本年度より日本看護研究支援センターを開設し,今まで以上に臨床看護師と看護や研究について語る機会を得た。そんな中,最も活気があるはずのベテラン看護師にいまひとつ活気がないことに一抹の不安を抱いた。どうも彼らは,看護研究や看護理論といった昨今の看護の趨勢に,日常的な看護の重要性を実感できなくなっているようであった。
しかし実際に彼らの看護を垣間見ると,コミュニケーションを駆使しながら,細やかに観察し,知識と勘を総動員して瞬時に問題の本質に迫ってしまう。彼らのほとんどがこのようなすばらしい能力(臨床の知)を持っているのである。また,この能力の背景には,「患者の回復を心より願うねばり強さ」など,看護師自身の強い信念や意気込みが感じられる。そしてこの信念や意気込みこそが,真に患者を癒すものではないかとさえ思われた。残念なことにベテラン看護師の多くは,この「臨床の知」を当たり前のこととして扱い,特別なこととして他者に論じてこなかった。「臨床の知」の中にこそ,看護理論では表現しきれない,生き生きとした「看護の原点」が存在するといっても過言ではないのに。
◆「臨床の知」を言語化したシリーズ
『困ったときの○○看護』シリーズの最大の特徴は,これまであまり論じられてこなかった看護師の「臨床の知」を,事例を通して余すことなく言語化した点にある。「困ったときの○○」のタイトルにあるように,事例はどれも1度は病棟カンファレンスで取り上げられるような身近なものばかりである。これらの事例の1つひとつをみると,どれもが科学的であり,情熱的である。すなわち看護師たちが,科学的かつ丹念な情報収集をもとに問題の本質を絞り込み,他職種や患者の家族と連携をとりながらねばり強く看護を繰り返していった様子がありありと示されているのである。紹介されている事例は,「問題解決」に到達したものばかりではない。「問題解決」をめざしながら,患者の死によって終わってしまった事例もある。しかしどちらの事例も,同じような事例に悩む看護師に,さまざまな課題を提起する力強い余韻を持っている。
このシリーズの第2の特徴は,事例を理解する上での病態生理や各病期の患者の問題点・看護の基本原則など,基礎知識に関わる資料が充実していることである。それらは,すぐにでも実践に役立つように整理されており,学校で教えられる内容とは性質を異にする。これらの基礎知識は,ケースカンファレンスや学習会で活用されることによって,個々の看護師の臨床判断を鍛えるのに大いに役立つことだろう。現在のところ,シリーズは,『消化器疾患患者の看護』,『心疾患患者の看護』,『呼吸器疾患患者の看護』,『糖尿病患者の看護』,『リハビリテーション看護』の5つが出版され,いずれも好評である。
このシリーズを特に読んでほしい対象に,経験の浅い看護師があげられる。最近はローテーションの影響で,特定領域のベテラン看護師が少なくなり,経験の浅い看護師が,彼らから「臨床の知」を継承する機会が激減してしまった。しかしこのシリーズが,その機会を補う役割を果たしてくれるのではないかと考える。また,ベテラン看護師にもぜひ読むことを勧めたい。このシリーズは,ベテラン看護師たちの日頃の実践に自信と価値を与え,自らの「臨床の知」を生き生きと表現するきっかけを与えてくれることだろう。
書評者: 斉藤 伊都子 (順大浦安病院)
◆ベテランナースは,看護上の問題をどう解決したか
本書は,消化器疾患患者の看護の経験が豊富な,臨床で活躍しているベテランナースによって執筆されている。看護の実践場面で,頻繁に遭遇する看護問題やさまざまな事例について,ベテランナースがどのように実際にかかわったのか,看護上の問題を解決するための対策や看護の工夫がていねいに解説してある。
その内容は,「患者の苦痛や訴えに対する援助」,「有害作用や随伴症状に対する援助」,「食事摂取に問題の生じた患者への援助」,「術後の排泄に問題のある患者への援助」,「検査の介助」,「予後不良患者への援助」の,6章から構成されている。各章ごとに,日常,消化器疾患患者にかんする誰でもが体験する,肝硬変で腹部膨満感を訴える患者,術後せん妄を生じた高齢患者,経口摂取が進まない胃切除後の患者,ストーマケアによるトラブルをおこした患者,内視鏡検査・治療を受ける患者,化学療法により有害作用を生じた患者などの,看護場面が具体的に事例展開されている。
◆これこそ「臨床看護の知」
各項は,患者の状況と問題点,対策,事例紹介の3つの柱で構成されている。患者の状況と問題点では,フィジカルアセスメントにより正確に病状を把握し,そこから発生する身体的・精神的問題が明確に記述されている。対策には,最初に看護の基本的原則が記述してあり,看護問題に直面したとき,どのようなケアや処置,患者指導を行なっているか,何故そのような方法をとったかについて詳しく解説されている。特に,事例紹介では,患者のありのままの言動から患者の反応や気持ちをとらえ,ケアに必要なデータを把握し,ベテランナースが身体面と精神面への援助をバランスよく提供していく看護過程が詳細に記述されている。ケアの内容と方法が患者の病状回復をどのように促進したか,また,患者の自己実現をどのようにサポートしたかが具体的で,わかりやすい。ベテランナースの,臨床経験で積み重ねた豊富な知識を言語化したもので,ベナーの言う「臨床の知」だと言えるのではないか。
臨床の看護場面では,忙しさや言語化することの難しさからベテランナースが行なった看護実践を新人や経験の浅い看護師に言語化された知識として伝える機会が持ち難い。
本書が,経験の豊富さから語られる事例を「臨床看護の知」として言語化できたことは,熟練した看護技術と知識が共有でき,患者1人ひとりのニーズにあった看護の工夫に生かされる1冊となるであろう
事例から学ぶ臨床看護の知
書評者: 冨重 佐智子 (日本看護研究支援センター所長)
◆ベテラン看護師の「臨床の知」
本年度より日本看護研究支援センターを開設し,今まで以上に臨床看護師と看護や研究について語る機会を得た。そんな中,最も活気があるはずのベテラン看護師にいまひとつ活気がないことに一抹の不安を抱いた。どうも彼らは,看護研究や看護理論といった昨今の看護の趨勢に,日常的な看護の重要性を実感できなくなっているようであった。
しかし実際に彼らの看護を垣間見ると,コミュニケーションを駆使しながら,細やかに観察し,知識と勘を総動員して瞬時に問題の本質に迫ってしまう。彼らのほとんどがこのようなすばらしい能力(臨床の知)を持っているのである。また,この能力の背景には,「患者の回復を心より願うねばり強さ」など,看護師自身の強い信念や意気込みが感じられる。そしてこの信念や意気込みこそが,真に患者を癒すものではないかとさえ思われた。残念なことにベテラン看護師の多くは,この「臨床の知」を当たり前のこととして扱い,特別なこととして他者に論じてこなかった。「臨床の知」の中にこそ,看護理論では表現しきれない,生き生きとした「看護の原点」が存在するといっても過言ではないのに。
◆「臨床の知」を言語化したシリーズ
『困ったときの○○看護』シリーズの最大の特徴は,これまであまり論じられてこなかった看護師の「臨床の知」を,事例を通して余すことなく言語化した点にある。「困ったときの○○」のタイトルにあるように,事例はどれも1度は病棟カンファレンスで取り上げられるような身近なものばかりである。これらの事例の1つひとつをみると,どれもが科学的であり,情熱的である。すなわち看護師たちが,科学的かつ丹念な情報収集をもとに問題の本質を絞り込み,他職種や患者の家族と連携をとりながらねばり強く看護を繰り返していった様子がありありと示されているのである。紹介されている事例は,「問題解決」に到達したものばかりではない。「問題解決」をめざしながら,患者の死によって終わってしまった事例もある。しかしどちらの事例も,同じような事例に悩む看護師に,さまざまな課題を提起する力強い余韻を持っている。
このシリーズの第2の特徴は,事例を理解する上での病態生理や各病期の患者の問題点・看護の基本原則など,基礎知識に関わる資料が充実していることである。それらは,すぐにでも実践に役立つように整理されており,学校で教えられる内容とは性質を異にする。これらの基礎知識は,ケースカンファレンスや学習会で活用されることによって,個々の看護師の臨床判断を鍛えるのに大いに役立つことだろう。現在のところ,シリーズは,『消化器疾患患者の看護』,『心疾患患者の看護』,『呼吸器疾患患者の看護』,『糖尿病患者の看護』,『リハビリテーション看護』の5つが出版され,いずれも好評である。
このシリーズを特に読んでほしい対象に,経験の浅い看護師があげられる。最近はローテーションの影響で,特定領域のベテラン看護師が少なくなり,経験の浅い看護師が,彼らから「臨床の知」を継承する機会が激減してしまった。しかしこのシリーズが,その機会を補う役割を果たしてくれるのではないかと考える。また,ベテラン看護師にもぜひ読むことを勧めたい。このシリーズは,ベテラン看護師たちの日頃の実践に自信と価値を与え,自らの「臨床の知」を生き生きと表現するきっかけを与えてくれることだろう。
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