臨床のための
QOL評価ハンドブック
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開く
第1部 総論編
I. いまなぜQOLか―患者立脚型アウトカムとしての位置づけ
II. QOL測定理論
[1]計量心理学
[2]選好に基づく尺度(EQ‐5Dを中心に)
[3]QOLの統計学的評価
第2部 包括的尺度
[1]健康プロファイル型尺度(SF-36を中心に)
[2]効用理論
第3部 疾患特異的尺度
[1]がん
[2]呼吸器疾患
[3]糖尿病
[4]慢性腎疾患
[5]泌尿器科疾患
[6]消化器疾患
[7]精神科領域―うつ,睡眠を中心に
[8]神経内科疾患
[9]リウマチ疾患
[10]骨粗鬆症
座談会:アウトカム評価におけるQOL研究
I. いまなぜQOLか―患者立脚型アウトカムとしての位置づけ
II. QOL測定理論
[1]計量心理学
[2]選好に基づく尺度(EQ‐5Dを中心に)
[3]QOLの統計学的評価
第2部 包括的尺度
[1]健康プロファイル型尺度(SF-36を中心に)
[2]効用理論
第3部 疾患特異的尺度
[1]がん
[2]呼吸器疾患
[3]糖尿病
[4]慢性腎疾患
[5]泌尿器科疾患
[6]消化器疾患
[7]精神科領域―うつ,睡眠を中心に
[8]神経内科疾患
[9]リウマチ疾患
[10]骨粗鬆症
座談会:アウトカム評価におけるQOL研究
書評
開く
QOL尺度の研究・開発そして活用に向けて
書評者: 小出 里美 (順天堂医療短大・看護学科)
◆医療の評価としてのQOLの重要性
今日,医療の評価としてQOLの重要性が叫ばれている。しかし,このQOLが人間の身体,心理,社会,家族も含む広範囲な概念であることから,それぞれの考えでQOLについて述べられていることが多い。
本書では,第1部を「総論編」として,医療の評価としてのQOLをどのように概念化していくのか,QOLの定義,基本的構成要素,QOLの測定について述べられている。QOL尺度の開発にあたっての概念から,計量心理学などの学問体系として必要な項目についてまとめられている。
第2部は「包括的尺度」として,さまざまな疾患を持つ人や一般に健康と言われる人々に共通する要素によって構成されるQOL尺度であるSF-36やEQ-5Dなどについて述べられている。
第3部は「疾患特異的尺度」として,がん,呼吸器疾患,糖尿病,腎疾患,泌尿器科疾患,消化器疾患,精神科領域,神経内科疾患,リウマチ疾患,骨粗鬆症といった疾患の特徴をふまえたQOL尺度について述べられている。第2部の「包括的尺度」,第3部の「疾患特異的尺度」では,これらの尺度について,実際にどのようなものがあり,これらの尺度がどのように開発されていったのか,尺度の内容や尺度を用いた研究例,尺度の使用方法などが,1つひとつ具体的に紹介されている。
◆QOL尺度の理解・使用に重宝
QOLの評価に用いられるQOL尺度には,その使用目的により多くの種類が開発されている。これらの尺度の開発には,多くの研究者たちの長い年月がかけられている。それは単なる測定に終わるものではなく,比較できることが必要であり,それも国際比較できることが重視されているのである。また,それらの日本語版作成にあたっても,信頼性,妥当性,反応性を検証するために多くの時間が費やされている。QOLを評価するにあたっては,これらのQOL尺度を熟知し,その目的に応じて尺度を選定していかなければならない。本書には,これらのQOL尺度の理解や使用していく際の留意点などがわかりやすく記述されており,重宝するハンドブックになると思われる。QOLをどのようにとらえ,どのように測定していくかにあたっては,個々の概念ではなく,多分野の専門家,研究者たちによる共通理解や共通認識が必要である。その上で,今後のよりよいQOL尺度のあり方や改良を考えていくことが望まれる。
QOL尺度が研究者による研究にとどまらず,多くの臨床家がそのことを理解し,彼らもまたその研究チームの一員として関与できるとよいと思う。特に看護職としては,医療の評価のためのQOLだけでなく,具体的に患者にもフィードバックされるQOL評価であるように望みたい。よりよいQOL尺度の研究・開発,さらには患者への活用に多くの看護者が関与できることを願い,看護職にも本書を強く推薦する次第である。
患者のQOLの評価に関する説明を詳細に紹介
書評者: 高久 史麿 (自治医大学長)
昨年,池上直己,福原俊一,下妻晃二郎,池田俊也の4氏の編集による『臨床のためのQOL評価ハンドブック』が医学書院から刊行された。患者のQOLという言葉が医療の現場で使われるようになってから久しいが,QOLがキィ・ワードのような形で使われることが多く,その定義は必ずしも明確なものではなかった。QOLを問題にするならば,当然その評価が必要であり,現在国際的,国内的に広く用いられている評価方法が存在しているが,臨床家の多くは評価の尺度として有名なSF-36などについてもあまり知識がなく,漠然とした概念でQOLという言葉を使っているのが現状である。
本書は,そのQOL評価のためのハンドブックとして刊行されたものであり,上記の4人の編者と20人の執筆者(編者も含む)によってQOLの評価に関する説明が詳細になされている。
本書の内容は3部に分かれており,第1部の「総論編」では,「いまなぜQOLか-患者立脚型アウトカムとしての位置づけ」とQOL測定理論について,第2部の「包括的尺度」のところでは,SF-36を中心とする健康プロファイル型尺度と,EQ-5Dを中心とする選択に基づく尺度のことが説明されている。また第3部の「疾患特異的尺度」では,「がん」,「呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患,気管支喘息など)」,「糖尿病」,「慢性腎疾患」,「泌尿器疾患(排尿障害,男性性機能障害)」,「消化器疾患(胃食道逆流症,アカラシア,炎症性腸疾患,慢性肝炎,慢性膵炎など)」,「精神科領域(うつ,睡眠障害)」,「神経内科疾患(てんかん,アルツハイマー,パーキンソン病,片頭痛)」,「リウマチ疾患」,「骨粗鬆症」が取りあげられ,これらの疾患におけるQOL評価法が紹介されている。疾患特異的尺度というと,多くの人はまずがん患者のQOLを思い浮かべるが,実際には上記のように数多くの疾患でQOLの評価が行なわれていることに驚かれる方が多いと思う。
◆今後ますます強調されるQOLの評価の重要性
「患者中心の医療」という言葉が最近よく使われるようになったが,生活習慣病に代表される慢性疾患の患者が増加している現状を考えると,治療の効果を患者の視点から判定するQOLの評価の重要性が,今後ますます強調されるようになると考えられる。その意味で,今回医学書院から本書が刊行されたことは誠に時宜を得たものと言える。私も目を通してみたが,専門的なことに関してもわかりやすく説明されており,臨床の現場にある医師たちにぜひ本書を一読され,患者のQOLということを新しい観点から考えていただくよう要望したい。
書評者: 小出 里美 (順天堂医療短大・看護学科)
◆医療の評価としてのQOLの重要性
今日,医療の評価としてQOLの重要性が叫ばれている。しかし,このQOLが人間の身体,心理,社会,家族も含む広範囲な概念であることから,それぞれの考えでQOLについて述べられていることが多い。
本書では,第1部を「総論編」として,医療の評価としてのQOLをどのように概念化していくのか,QOLの定義,基本的構成要素,QOLの測定について述べられている。QOL尺度の開発にあたっての概念から,計量心理学などの学問体系として必要な項目についてまとめられている。
第2部は「包括的尺度」として,さまざまな疾患を持つ人や一般に健康と言われる人々に共通する要素によって構成されるQOL尺度であるSF-36やEQ-5Dなどについて述べられている。
第3部は「疾患特異的尺度」として,がん,呼吸器疾患,糖尿病,腎疾患,泌尿器科疾患,消化器疾患,精神科領域,神経内科疾患,リウマチ疾患,骨粗鬆症といった疾患の特徴をふまえたQOL尺度について述べられている。第2部の「包括的尺度」,第3部の「疾患特異的尺度」では,これらの尺度について,実際にどのようなものがあり,これらの尺度がどのように開発されていったのか,尺度の内容や尺度を用いた研究例,尺度の使用方法などが,1つひとつ具体的に紹介されている。
◆QOL尺度の理解・使用に重宝
QOLの評価に用いられるQOL尺度には,その使用目的により多くの種類が開発されている。これらの尺度の開発には,多くの研究者たちの長い年月がかけられている。それは単なる測定に終わるものではなく,比較できることが必要であり,それも国際比較できることが重視されているのである。また,それらの日本語版作成にあたっても,信頼性,妥当性,反応性を検証するために多くの時間が費やされている。QOLを評価するにあたっては,これらのQOL尺度を熟知し,その目的に応じて尺度を選定していかなければならない。本書には,これらのQOL尺度の理解や使用していく際の留意点などがわかりやすく記述されており,重宝するハンドブックになると思われる。QOLをどのようにとらえ,どのように測定していくかにあたっては,個々の概念ではなく,多分野の専門家,研究者たちによる共通理解や共通認識が必要である。その上で,今後のよりよいQOL尺度のあり方や改良を考えていくことが望まれる。
QOL尺度が研究者による研究にとどまらず,多くの臨床家がそのことを理解し,彼らもまたその研究チームの一員として関与できるとよいと思う。特に看護職としては,医療の評価のためのQOLだけでなく,具体的に患者にもフィードバックされるQOL評価であるように望みたい。よりよいQOL尺度の研究・開発,さらには患者への活用に多くの看護者が関与できることを願い,看護職にも本書を強く推薦する次第である。
患者のQOLの評価に関する説明を詳細に紹介
書評者: 高久 史麿 (自治医大学長)
昨年,池上直己,福原俊一,下妻晃二郎,池田俊也の4氏の編集による『臨床のためのQOL評価ハンドブック』が医学書院から刊行された。患者のQOLという言葉が医療の現場で使われるようになってから久しいが,QOLがキィ・ワードのような形で使われることが多く,その定義は必ずしも明確なものではなかった。QOLを問題にするならば,当然その評価が必要であり,現在国際的,国内的に広く用いられている評価方法が存在しているが,臨床家の多くは評価の尺度として有名なSF-36などについてもあまり知識がなく,漠然とした概念でQOLという言葉を使っているのが現状である。
本書は,そのQOL評価のためのハンドブックとして刊行されたものであり,上記の4人の編者と20人の執筆者(編者も含む)によってQOLの評価に関する説明が詳細になされている。
本書の内容は3部に分かれており,第1部の「総論編」では,「いまなぜQOLか-患者立脚型アウトカムとしての位置づけ」とQOL測定理論について,第2部の「包括的尺度」のところでは,SF-36を中心とする健康プロファイル型尺度と,EQ-5Dを中心とする選択に基づく尺度のことが説明されている。また第3部の「疾患特異的尺度」では,「がん」,「呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患,気管支喘息など)」,「糖尿病」,「慢性腎疾患」,「泌尿器疾患(排尿障害,男性性機能障害)」,「消化器疾患(胃食道逆流症,アカラシア,炎症性腸疾患,慢性肝炎,慢性膵炎など)」,「精神科領域(うつ,睡眠障害)」,「神経内科疾患(てんかん,アルツハイマー,パーキンソン病,片頭痛)」,「リウマチ疾患」,「骨粗鬆症」が取りあげられ,これらの疾患におけるQOL評価法が紹介されている。疾患特異的尺度というと,多くの人はまずがん患者のQOLを思い浮かべるが,実際には上記のように数多くの疾患でQOLの評価が行なわれていることに驚かれる方が多いと思う。
◆今後ますます強調されるQOLの評価の重要性
「患者中心の医療」という言葉が最近よく使われるようになったが,生活習慣病に代表される慢性疾患の患者が増加している現状を考えると,治療の効果を患者の視点から判定するQOLの評価の重要性が,今後ますます強調されるようになると考えられる。その意味で,今回医学書院から本書が刊行されたことは誠に時宜を得たものと言える。私も目を通してみたが,専門的なことに関してもわかりやすく説明されており,臨床の現場にある医師たちにぜひ本書を一読され,患者のQOLということを新しい観点から考えていただくよう要望したい。
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