エビデンスに基づくクリニカルパス
これからの医療記録とヴァリアンス分析
医療現場におけるこれからの医療記録とヴァリアンス分析について解説する
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医療現場で実際に使えるパスを目指すのであれば、EBMとヴァリアンス分析は今や必須である。本書では、医療情報の手法なども交え、エビデンスに基づくパスを作成する具体的手法、ヴァリアンスデータの収集からパスへの導入方法までを詳述。さらにスタッフ教育、リスクマネジメント、薬効評価などをキーワードに、広くパスの可能性を探る。
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書評
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日本の医療・看護ケアのレベルアップと効率化に貢献
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院名誉院長)
『エビデンスに基づくクリニカルパス―これからの医療記録とヴァリアンス分析』と題したB5判,136頁のクリニカルパスの有効使用のテキストがこのたび医学書院から刊行された。
クリニカルパスの方式は,1985年にカレン・ザンダー女史により開発され,わが国にも早速輸入され,過去5年の短い期間に急速に広がることとなった。
これは日本のように少数の看護定員の中で,標準的な,しかし最もup-to-dateな医療を医師,その他の医療職とともにチームを編成して行なう上では,診療録作りのシステムとしては非常に都合のよい方式だと思う。
◆パスのアウトカムを高める手法
この方式で看護を効果的に行なうための記録のフォームをつくる,また医療ないし看護行動をチェックし,その評価を行なう,これらのことは単純なプライマリ・ケア医療の場合,数少ない病院の定員の枠であれば,さほどの訓練は必要ない。しかし医療の質をさらに高めてよき成果(アウトカム)を狙うためには,このシステムの上にエビデンス(科学的証拠)に基づいた指導を加える必要がある。
本書はクリニカルパスの初心者向けに書かれたガイダンスではなく,すでにある程度のクリニカルパスの基礎知識と実践の経験のある者が,ヴァリアンス分析からどのようにクリニカルパスをレベル高く用いてパスのめざす成果(アウトカム)を一層高め,さらに有効に活用できるようにするにはどうするのかというガイダンスの役目をなす本と言えよう。経験の少ないナースにクリニカルパスを教える立場にある方々にぜひ読んでほしいものと思う。
◆EBNの基本を教えるテキスト
最近の医療は,EBM(Evidence-Based Medicine)の手法を用いて研究したり,臨床行動を行なう方向に向かいつつあるが,看護もまたこの方向に展開されつつある。その意味では,看護の実践にもクリニカルパスを行なう場合,EBN(エビデンスに基づくナーシング)により過程を指導されることが必要である。
クリニカルパスは医療または看護ケアの標準化により,ケアの質を向上させるが,これを行なうことにより医療費の無駄が省かれよう。日本でも米国の医療にみるような管理ケア(マネジド・ケア)的制約が加わる見通しである現在,EBNの適用は保険医療の効率や看護ケアのQOLを保つための手段になると思われるのである。本書には,EBNの内容概略がわかりやすい言葉で説明されているので,パスのテキストであると同時に,EBNの基本を教えるテキストともなっているものと思う。
本書は医師とナース,薬剤師,医療政策や看護管理の専門家によって,全体が6章に分担執筆されている。ヴァリアンスの考え方の説明も要を得てわかりやすい。すなわち標準化されたパスで予測された責任や結果と実際との間に,どんな差があるかを示し,症例1つひとつの個別性(予測された医療計画のパスからはずれたもの)への対応の術が,第5章にはわかりやすく書かれている。
このガイダンスは将来の日本の医療・看護ケアのレベルアップと効率化へ貢献することが大きいものと信じる。
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院名誉院長)
『エビデンスに基づくクリニカルパス―これからの医療記録とヴァリアンス分析』と題したB5判,136頁のクリニカルパスの有効使用のテキストがこのたび医学書院から刊行された。
クリニカルパスの方式は,1985年にカレン・ザンダー女史により開発され,わが国にも早速輸入され,過去5年の短い期間に急速に広がることとなった。
これは日本のように少数の看護定員の中で,標準的な,しかし最もup-to-dateな医療を医師,その他の医療職とともにチームを編成して行なう上では,診療録作りのシステムとしては非常に都合のよい方式だと思う。
◆パスのアウトカムを高める手法
この方式で看護を効果的に行なうための記録のフォームをつくる,また医療ないし看護行動をチェックし,その評価を行なう,これらのことは単純なプライマリ・ケア医療の場合,数少ない病院の定員の枠であれば,さほどの訓練は必要ない。しかし医療の質をさらに高めてよき成果(アウトカム)を狙うためには,このシステムの上にエビデンス(科学的証拠)に基づいた指導を加える必要がある。
本書はクリニカルパスの初心者向けに書かれたガイダンスではなく,すでにある程度のクリニカルパスの基礎知識と実践の経験のある者が,ヴァリアンス分析からどのようにクリニカルパスをレベル高く用いてパスのめざす成果(アウトカム)を一層高め,さらに有効に活用できるようにするにはどうするのかというガイダンスの役目をなす本と言えよう。経験の少ないナースにクリニカルパスを教える立場にある方々にぜひ読んでほしいものと思う。
◆EBNの基本を教えるテキスト
最近の医療は,EBM(Evidence-Based Medicine)の手法を用いて研究したり,臨床行動を行なう方向に向かいつつあるが,看護もまたこの方向に展開されつつある。その意味では,看護の実践にもクリニカルパスを行なう場合,EBN(エビデンスに基づくナーシング)により過程を指導されることが必要である。
クリニカルパスは医療または看護ケアの標準化により,ケアの質を向上させるが,これを行なうことにより医療費の無駄が省かれよう。日本でも米国の医療にみるような管理ケア(マネジド・ケア)的制約が加わる見通しである現在,EBNの適用は保険医療の効率や看護ケアのQOLを保つための手段になると思われるのである。本書には,EBNの内容概略がわかりやすい言葉で説明されているので,パスのテキストであると同時に,EBNの基本を教えるテキストともなっているものと思う。
本書は医師とナース,薬剤師,医療政策や看護管理の専門家によって,全体が6章に分担執筆されている。ヴァリアンスの考え方の説明も要を得てわかりやすい。すなわち標準化されたパスで予測された責任や結果と実際との間に,どんな差があるかを示し,症例1つひとつの個別性(予測された医療計画のパスからはずれたもの)への対応の術が,第5章にはわかりやすく書かれている。
このガイダンスは将来の日本の医療・看護ケアのレベルアップと効率化へ貢献することが大きいものと信じる。
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