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書きたくなるヒヤリ・ハット報告
体験から学ぶ看護事故防止のツボ

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ヒヤリ・ハット報告は、看護事故の発生要因と、その防止策を教えてくれる貴重な教材である。“個人の反省”にとどまらない、組織としての事故防止に役立てるための考え方と、その成果としての事故防止策を、多数の事例を用いて具体的に紹介。特に最優先の課題である注射エラーの防止策はすべての看護職に必要な知識を網羅している。
川村 治子
発行 2000年10月判型:A5頁:128
ISBN 978-4-260-33093-0
定価 1,650円 (本体1,500円+税)
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リスクマネジメント教育に不可欠な1冊
書評者: 小原 圭子 (国立療養所南九州病院看護部長)
 医療事故防止を考える時,事故の原因とその分析,状況,リスクの評価が大切である。人は事故の原因を分析する時,自分たちを納得させる論理で行ないたがる。そこでは科学的思考,論理的思考とは違う論理に従った思考に陥りやすい。また一度結論が出てしまうと,それ以上の原因追究をしなくなってしまいがちである。それを防いでくれるのがこの『書きたくなるヒヤリ・ハット報告-体験から学ぶ看護事故防止のツボ』である。

◆病院全体で事故防止に取り組む

 私たち看護婦は古くから報告制度を持っている。このヒヤリ・ハット報告は,組織全体(病院全体)で事故防止に取り組むための情報提供や,職員1人ひとりのリスクに対する意識づけの大きな武器となる。著者である川村先生に,1年間病院職員への教育とリスクマネジメント部会での事例検討の指導をいただいての実感である。本書をもとにした当院での取り組みを紹介したい。
 看護婦が書いたヒヤリ・ハット報告のリスクの原因分析と処理・対応を検討する場合,看護部門のみでは解決できないことが多々ある。そこで当院では,医師・看護婦・薬剤師・臨床検査技師・放射線技師によるリスクマネジメント部会を設立した。特に医師の指示に基づく看護業務の領域では,部会の全メンバーで話し合うことで,それぞれの専門的な知識をもとにした判断ができるようになり,事故防止のための視点が養なわれ,スムーズな解決に結びつくことが多い。
 また,職員が報告をしてよかったと実感し,かつ報告がどのように事故防止に活かされたかをわかってもらうために専任のヒヤリ・ハットマネジャーを置いている。ヒヤリ・ハットマネジャーはスピーディに,しかも原因分析と処理・対応を,広報紙などを通じてフィードバックしている。
 本書に1例として掲載されているヒヤリ・ハット報告書の書式を実際に使用して2年目になる。週に約30例の報告書が提出されている。この報告書には,収集担当者と当事者がリスク要因,リスク評価(重大性,緊急性),リスク対応を記載することになっている。これらはそれぞれの職場で検討されるので,事故防止への意識向上とリスクに対するセルフモニター,チームモニターとして活用されている。
 本書の最後には,全国から報告された約2800事例をもとに,看護婦が最優先で取り組むべき注射事故について業務プロセスとエラーの内容で整理したエラーマップが示されている。このエラーマップは,リスクマネジメントマニュアルの再検討と業務の見直しにきわめて有用である。
 本書は,医療事故に対する川村先生の情熱的な取り組みをもとに,ヒューマンエラーの視点,危険要因別の分析,改善すべきシステム上の問題などが個々の事例をあげて具体的に整理されている。リスクマネジメント教育には欠かせない書である。

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