応用サイトメトリー
サイトメトリーの今日的進歩をまとめた実用的解説書
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日本サイトメトリー学会発足後10年を経たサイトメトリーの今日的進歩をまとめた。本書のポイントは、(1)新しい機種の開発に対応、(2)分子生物学的アプローチを導入、(3)臨床の各分野への応用をリストアップするなど、最近の知見と動向を示した。フローとイメージの両者を併せたサイトメトリーについてのスタンダードな実用的解説書である。
監修 | 天神 美夫 |
---|---|
編集責任 | 河本 圭司 / 井上 勝一 / 中内 啓光 |
発行 | 2000年08月判型:B5頁:384 |
ISBN | 978-4-260-10997-0 |
定価 | 13,200円 (本体12,000円+税) |
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書評
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遺伝子,染色体,そして細胞機能の総合的把握のために
書評者: 今井 浩三 (札幌医大教授・内科学)
昨年のヒトゲノムプロジェクトによるゲノム概要の発表により,多くの遺伝子情報が入手可能となった。21世紀はさらに遺伝子情報が豊かになるものと考えられる。今後は加えてポストゲノムの流れが加速され,蛋白や糖鎖の機能と,何よりもそれらの総合機能としての細胞の働きが新しい観点から検討されるようになろう。それに伴いサイトメトリーを利用した研究は,さらに新しい展開を示し,ますます普及するものと考えられる。
そのような時期にすばらしい本が誕生した。この本は10数年の実績を有する日本サイトメトリー学会の編集委員会の先生方,特に河本圭司教授,井上勝一助教授,中内啓光教授の責任編集のもと,一流の執筆陣により完成された。またこの分野に造詣の深い天神美夫先生の監修もいただいている。
◆最新の情報にあふれたテキスト
その内容は,難しい理論を意識的に少なくして,その実際の応用を中心に述べられていて,わかりやすいのが特徴である。本書においては,まずサイトメトリーの基本であるフローサイトメトリーについて十分なスペースが割かれている。それとともに,今後ますます活用価値のある細胞のソーティングについても熱のこもった記載がみらえる。さらに,DNA ploidy解析に便利なレーザースキャニングサイトメトリー(LSC)についてその方法が詳細に述べられている。
次に,臓器や器官の一部を丸ごと観察したり,厚みのある生きた細胞をそのまま観察する研究に強力な武器となっている共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)についても注目すべき記述が認められる。この顕微鏡はレーザー光を光源とした共焦点光学系と走査法を組み合わせた“cell biology”に必須のものである。また,蛍光物質使用による染色体解析であるfluorescence in situ DNA hybridization (FISH),ならびに遺伝子の増幅と欠失を同時に検出可能なcomparative genomic hybridization(CGH)法等の魅力的な分野がそれぞれの専門家によりきわめて要領良く,また興味深く説明されている。
さらに,第7章には新しいサイトメトリー:世界と日本,と題して今後の方向性が述べられている。
全体的にみて,本書ははじめてフローサイトメトリーを扱う方にも親切であり,内容は高度でしかもわかりやすく,最新の情報にあふれている。このような技術を習得することにより高度の研究成果が得られることは間違いないが,さらにサイトメトリー技術者認定制度の発足に関連して,貴重な教科書としても大いに活用していただきたく,ここに自信を持って推薦したい。
書評者: 今井 浩三 (札幌医大教授・内科学)
昨年のヒトゲノムプロジェクトによるゲノム概要の発表により,多くの遺伝子情報が入手可能となった。21世紀はさらに遺伝子情報が豊かになるものと考えられる。今後は加えてポストゲノムの流れが加速され,蛋白や糖鎖の機能と,何よりもそれらの総合機能としての細胞の働きが新しい観点から検討されるようになろう。それに伴いサイトメトリーを利用した研究は,さらに新しい展開を示し,ますます普及するものと考えられる。
そのような時期にすばらしい本が誕生した。この本は10数年の実績を有する日本サイトメトリー学会の編集委員会の先生方,特に河本圭司教授,井上勝一助教授,中内啓光教授の責任編集のもと,一流の執筆陣により完成された。またこの分野に造詣の深い天神美夫先生の監修もいただいている。
◆最新の情報にあふれたテキスト
その内容は,難しい理論を意識的に少なくして,その実際の応用を中心に述べられていて,わかりやすいのが特徴である。本書においては,まずサイトメトリーの基本であるフローサイトメトリーについて十分なスペースが割かれている。それとともに,今後ますます活用価値のある細胞のソーティングについても熱のこもった記載がみらえる。さらに,DNA ploidy解析に便利なレーザースキャニングサイトメトリー(LSC)についてその方法が詳細に述べられている。
次に,臓器や器官の一部を丸ごと観察したり,厚みのある生きた細胞をそのまま観察する研究に強力な武器となっている共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)についても注目すべき記述が認められる。この顕微鏡はレーザー光を光源とした共焦点光学系と走査法を組み合わせた“cell biology”に必須のものである。また,蛍光物質使用による染色体解析であるfluorescence in situ DNA hybridization (FISH),ならびに遺伝子の増幅と欠失を同時に検出可能なcomparative genomic hybridization(CGH)法等の魅力的な分野がそれぞれの専門家によりきわめて要領良く,また興味深く説明されている。
さらに,第7章には新しいサイトメトリー:世界と日本,と題して今後の方向性が述べられている。
全体的にみて,本書ははじめてフローサイトメトリーを扱う方にも親切であり,内容は高度でしかもわかりやすく,最新の情報にあふれている。このような技術を習得することにより高度の研究成果が得られることは間違いないが,さらにサイトメトリー技術者認定制度の発足に関連して,貴重な教科書としても大いに活用していただきたく,ここに自信を持って推薦したい。
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