困ったときの心疾患患者の看護
ベテラン看護師の臨床の知を紹介する,すぐに役立つ実地書
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心臓疾患患者の看護を行うなかで,(1)治療や診断時,(2)患者の疾病や障害,(3)日常生活上,(4)患者指導の場面で,しばしば遭遇する問題や,困ったと感じるケースを取り上げ,看護上の問題を解決するための具体的方策を解説。事例に基づきベテラン看護師の行ってきた臨床の知を紹介。困った場面ですぐに役立つ実地書。
編集 | 花田 妙子 |
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発行 | 2002年03月判型:A5頁:264 |
ISBN | 978-4-260-33187-6 |
定価 | 2,640円 (本体2,400円+税) |
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- 書評
目次
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第1章 治療の受け入れをためらう患者への援助
A. PTSMAの受け入れに不安を持つ患者
B. PTCA受け入れが困難な患者
C. 入院早期の治療受け入れが難しい急性心筋梗塞患者
第2章 術前・術後の不安に対する援助
A. ICD作動に不安を持つ患者
B. 精神不穏をきたした心臓手術後の患者
C. 心臓手術後にせん妄を起こした高齢患者
D. 社会復帰に対して不安がある患者
第3章 セルフケアの維持が困難な患者への援助
A. 安静を守れず,病態を悪化させる患者
B. 外泊・退院後に心不全が悪化する患者
C. 心不全の発症・悪化を繰り返す独居患者
D. 禁煙が困難な心筋梗塞患者
E. 入退院を繰り返す「タイプA」行動パターンの患者
第4章 患者のADLを高めるための援助
A. 術後ADL拡大の遅れている患者
B. 心臓リハビリテーションが進まない患者
C. 循環動態が不安定で清潔保持が困難な患者
第5章 合併症・随伴症状のある患者への援助
A. 術前・術後に血糖コントロールが必要な患者
B. 心臓手術後,排痰困難をきたす患者
C. 褥瘡ができやすいPCPS使用患者
第6章 発作や症状の急変に対する援助
A. 自宅で心臓停止を起こした心疾患患者
B. 容態が急変した重症三枝病変患者
C. 開心術後,循環動態が不安定な患者
A. PTSMAの受け入れに不安を持つ患者
B. PTCA受け入れが困難な患者
C. 入院早期の治療受け入れが難しい急性心筋梗塞患者
第2章 術前・術後の不安に対する援助
A. ICD作動に不安を持つ患者
B. 精神不穏をきたした心臓手術後の患者
C. 心臓手術後にせん妄を起こした高齢患者
D. 社会復帰に対して不安がある患者
第3章 セルフケアの維持が困難な患者への援助
A. 安静を守れず,病態を悪化させる患者
B. 外泊・退院後に心不全が悪化する患者
C. 心不全の発症・悪化を繰り返す独居患者
D. 禁煙が困難な心筋梗塞患者
E. 入退院を繰り返す「タイプA」行動パターンの患者
第4章 患者のADLを高めるための援助
A. 術後ADL拡大の遅れている患者
B. 心臓リハビリテーションが進まない患者
C. 循環動態が不安定で清潔保持が困難な患者
第5章 合併症・随伴症状のある患者への援助
A. 術前・術後に血糖コントロールが必要な患者
B. 心臓手術後,排痰困難をきたす患者
C. 褥瘡ができやすいPCPS使用患者
第6章 発作や症状の急変に対する援助
A. 自宅で心臓停止を起こした心疾患患者
B. 容態が急変した重症三枝病変患者
C. 開心術後,循環動態が不安定な患者
書評
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さあどうする? 循環器系ナースのバイブル
書評者: 桑子 嘉美 (順天堂医療短大)
◆心疾患患者のわかりにくさを解消
「先生,心不全患者の看護ってなんだかよくわかりません」。臨床実習で学生がよく口にする言葉である。そのつど,自分が行なった心機能障害患者の看護の授業内容や構成に自信をなくす。けれども気を取りなおして,学生と一緒に病態や精神状態を情報から分析し,今患者に何が必要かを考えていくうちに,学生の理解が深まっていくことを実感する。では,心不全患者の看護において何がわかりにくいのだろうか。
まず,患者に自覚症状がない場合,心機能が低下しているという事実がわかりにくい。そして,心機能をどのように評価して心不全というのか,その視点と程度,根拠がわかりにくい。さらに,実際の援助活動を,患者の自立度やセルフケア能力を考えて立案しても,心機能に見合っていないと指摘される,など。
このようなわかりにくさの解消に役立つのが,本書である。本書は心機能や病態生理をビジュアル的に関連図などで説明しているのではない。けれども,それらは数々出ているその専門書に任せればよい。本書は,とにかく患者の状況や問題,そしてその具体的な援助がイメージできる著書である。
◆心疾患患者の看護の道しるべ
構成としては,章ごとにいくつかの状況設定があり,その状況から起こりうる問題点と要因,その対策を要点ごとにまとめている。その後に患者のありのままの状況と看護介入のあり方を,具体的に紹介している。患者は実際にどのような発言をして,どのような行動をしたのか,その結果どのような問題に発展していくのか。看護師は,それらにどのような態度や言葉で対応をしたのか。その判断と行動のプロセスが,手にとるように解説されている。
◆「臨床看護の知」がいっぱい
「臨床の知」とは,直感と経験と類推の積み重ねからなっているので,経験が大きな働きをし,大きな意味を持つとされている。まさに,本書は編者が序で著しているように,ベテランナースが多くの経験の中から得た,巧みな看護技術を言語化している。それはケアを積み重ね,その効果を実証してきたものである。それゆえ,「臨床における看護の知」にあふれていて,「心疾患患者の看護」が玉手箱のようにくり広げられている。
ビジュアル的な部分が少なく,ていねいに書かれている分,文章が多くとっつきにくい感はある。しかし,内容が豊富でさまざまな看護場面で生じる倫理的な問題に関しても,示唆を与えてくれる。学生はもちろん,新人ナース,循環器系の病棟に初めて配属されたナースのバイブルとなるだろう。また,ベテランナースにおいても自分の看護を振り返るうえで役立つ1冊としてお勧めしたい。
事例から学ぶ臨床看護の知
書評者: 冨重 佐智子 (日本看護研究支援センター所長)
◆ベテラン看護師の「臨床の知」
本年度より日本看護研究支援センターを開設し,今まで以上に臨床看護師と看護や研究について語る機会を得た。そんな中,最も活気があるはずのベテラン看護師にいまひとつ活気がないことに一抹の不安を抱いた。どうも彼らは,看護研究や看護理論といった昨今の看護の趨勢に,日常的な看護の重要性を実感できなくなっているようであった。
しかし実際に彼らの看護を垣間見ると,コミュニケーションを駆使しながら,細やかに観察し,知識と勘を総動員して瞬時に問題の本質に迫ってしまう。彼らのほとんどがこのようなすばらしい能力(臨床の知)を持っているのである。また,この能力の背景には,「患者の回復を心より願うねばり強さ」など,看護師自身の強い信念や意気込みが感じられる。そしてこの信念や意気込みこそが,真に患者を癒すものではないかとさえ思われた。残念なことにベテラン看護師の多くは,この「臨床の知」を当たり前のこととして扱い,特別なこととして他者に論じてこなかった。「臨床の知」の中にこそ,看護理論では表現しきれない,生き生きとした「看護の原点」が存在するといっても過言ではないのに。
◆「臨床の知」を言語化したシリーズ
『困ったときの○○看護』シリーズの最大の特徴は,これまであまり論じられてこなかった看護師の「臨床の知」を,事例を通して余すことなく言語化した点にある。「困ったときの○○」のタイトルにあるように,事例はどれも1度は病棟カンファレンスで取り上げられるような身近なものばかりである。これらの事例の1つひとつをみると,どれもが科学的であり,情熱的である。すなわち看護師たちが,科学的かつ丹念な情報収集をもとに問題の本質を絞り込み,他職種や患者の家族と連携をとりながらねばり強く看護を繰り返していった様子がありありと示されているのである。紹介されている事例は,「問題解決」に到達したものばかりではない。「問題解決」をめざしながら,患者の死によって終わってしまった事例もある。しかしどちらの事例も,同じような事例に悩む看護師に,さまざまな課題を提起する力強い余韻を持っている。
このシリーズの第2の特徴は,事例を理解する上での病態生理や各病期の患者の問題点・看護の基本原則など,基礎知識に関わる資料が充実していることである。それらは,すぐにでも実践に役立つように整理されており,学校で教えられる内容とは性質を異にする。これらの基礎知識は,ケースカンファレンスや学習会で活用されることによって,個々の看護師の臨床判断を鍛えるのに大いに役立つことだろう。現在のところ,シリーズは,『消化器疾患患者の看護』,『心疾患患者の看護』,『呼吸器疾患患者の看護』,『糖尿病患者の看護』,『リハビリテーション看護』の5つが出版され,いずれも好評である。
このシリーズを特に読んでほしい対象に,経験の浅い看護師があげられる。最近はローテーションの影響で,特定領域のベテラン看護師が少なくなり,経験の浅い看護師が,彼らから「臨床の知」を継承する機会が激減してしまった。しかしこのシリーズが,その機会を補う役割を果たしてくれるのではないかと考える。また,ベテラン看護師にもぜひ読むことを勧めたい。このシリーズは,ベテラン看護師たちの日頃の実践に自信と価値を与え,自らの「臨床の知」を生き生きと表現するきっかけを与えてくれることだろう。
書評者: 桑子 嘉美 (順天堂医療短大)
◆心疾患患者のわかりにくさを解消
「先生,心不全患者の看護ってなんだかよくわかりません」。臨床実習で学生がよく口にする言葉である。そのつど,自分が行なった心機能障害患者の看護の授業内容や構成に自信をなくす。けれども気を取りなおして,学生と一緒に病態や精神状態を情報から分析し,今患者に何が必要かを考えていくうちに,学生の理解が深まっていくことを実感する。では,心不全患者の看護において何がわかりにくいのだろうか。
まず,患者に自覚症状がない場合,心機能が低下しているという事実がわかりにくい。そして,心機能をどのように評価して心不全というのか,その視点と程度,根拠がわかりにくい。さらに,実際の援助活動を,患者の自立度やセルフケア能力を考えて立案しても,心機能に見合っていないと指摘される,など。
このようなわかりにくさの解消に役立つのが,本書である。本書は心機能や病態生理をビジュアル的に関連図などで説明しているのではない。けれども,それらは数々出ているその専門書に任せればよい。本書は,とにかく患者の状況や問題,そしてその具体的な援助がイメージできる著書である。
◆心疾患患者の看護の道しるべ
構成としては,章ごとにいくつかの状況設定があり,その状況から起こりうる問題点と要因,その対策を要点ごとにまとめている。その後に患者のありのままの状況と看護介入のあり方を,具体的に紹介している。患者は実際にどのような発言をして,どのような行動をしたのか,その結果どのような問題に発展していくのか。看護師は,それらにどのような態度や言葉で対応をしたのか。その判断と行動のプロセスが,手にとるように解説されている。
◆「臨床看護の知」がいっぱい
「臨床の知」とは,直感と経験と類推の積み重ねからなっているので,経験が大きな働きをし,大きな意味を持つとされている。まさに,本書は編者が序で著しているように,ベテランナースが多くの経験の中から得た,巧みな看護技術を言語化している。それはケアを積み重ね,その効果を実証してきたものである。それゆえ,「臨床における看護の知」にあふれていて,「心疾患患者の看護」が玉手箱のようにくり広げられている。
ビジュアル的な部分が少なく,ていねいに書かれている分,文章が多くとっつきにくい感はある。しかし,内容が豊富でさまざまな看護場面で生じる倫理的な問題に関しても,示唆を与えてくれる。学生はもちろん,新人ナース,循環器系の病棟に初めて配属されたナースのバイブルとなるだろう。また,ベテランナースにおいても自分の看護を振り返るうえで役立つ1冊としてお勧めしたい。
事例から学ぶ臨床看護の知
書評者: 冨重 佐智子 (日本看護研究支援センター所長)
◆ベテラン看護師の「臨床の知」
本年度より日本看護研究支援センターを開設し,今まで以上に臨床看護師と看護や研究について語る機会を得た。そんな中,最も活気があるはずのベテラン看護師にいまひとつ活気がないことに一抹の不安を抱いた。どうも彼らは,看護研究や看護理論といった昨今の看護の趨勢に,日常的な看護の重要性を実感できなくなっているようであった。
しかし実際に彼らの看護を垣間見ると,コミュニケーションを駆使しながら,細やかに観察し,知識と勘を総動員して瞬時に問題の本質に迫ってしまう。彼らのほとんどがこのようなすばらしい能力(臨床の知)を持っているのである。また,この能力の背景には,「患者の回復を心より願うねばり強さ」など,看護師自身の強い信念や意気込みが感じられる。そしてこの信念や意気込みこそが,真に患者を癒すものではないかとさえ思われた。残念なことにベテラン看護師の多くは,この「臨床の知」を当たり前のこととして扱い,特別なこととして他者に論じてこなかった。「臨床の知」の中にこそ,看護理論では表現しきれない,生き生きとした「看護の原点」が存在するといっても過言ではないのに。
◆「臨床の知」を言語化したシリーズ
『困ったときの○○看護』シリーズの最大の特徴は,これまであまり論じられてこなかった看護師の「臨床の知」を,事例を通して余すことなく言語化した点にある。「困ったときの○○」のタイトルにあるように,事例はどれも1度は病棟カンファレンスで取り上げられるような身近なものばかりである。これらの事例の1つひとつをみると,どれもが科学的であり,情熱的である。すなわち看護師たちが,科学的かつ丹念な情報収集をもとに問題の本質を絞り込み,他職種や患者の家族と連携をとりながらねばり強く看護を繰り返していった様子がありありと示されているのである。紹介されている事例は,「問題解決」に到達したものばかりではない。「問題解決」をめざしながら,患者の死によって終わってしまった事例もある。しかしどちらの事例も,同じような事例に悩む看護師に,さまざまな課題を提起する力強い余韻を持っている。
このシリーズの第2の特徴は,事例を理解する上での病態生理や各病期の患者の問題点・看護の基本原則など,基礎知識に関わる資料が充実していることである。それらは,すぐにでも実践に役立つように整理されており,学校で教えられる内容とは性質を異にする。これらの基礎知識は,ケースカンファレンスや学習会で活用されることによって,個々の看護師の臨床判断を鍛えるのに大いに役立つことだろう。現在のところ,シリーズは,『消化器疾患患者の看護』,『心疾患患者の看護』,『呼吸器疾患患者の看護』,『糖尿病患者の看護』,『リハビリテーション看護』の5つが出版され,いずれも好評である。
このシリーズを特に読んでほしい対象に,経験の浅い看護師があげられる。最近はローテーションの影響で,特定領域のベテラン看護師が少なくなり,経験の浅い看護師が,彼らから「臨床の知」を継承する機会が激減してしまった。しかしこのシリーズが,その機会を補う役割を果たしてくれるのではないかと考える。また,ベテラン看護師にもぜひ読むことを勧めたい。このシリーズは,ベテラン看護師たちの日頃の実践に自信と価値を与え,自らの「臨床の知」を生き生きと表現するきっかけを与えてくれることだろう。
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