微生物学・臨床微生物学 第2版
4年制大学を視野に入れた新カリキュラムで改訂
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O157腸管出血性大腸菌・レジオネラ・クリストポリジウムによる重篤な感染症の急増により、近年改めて重要視されている臨床微生物学をわかりやすく解説する章と、さらに学生・臨床検査技師が有用性の高い検査技術を習得できるための実習編の2本建てとした。臨床と検査の両面から総合的な理解を目指す。
編集 | 菅野 剛史 / 松田 信義 |
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著 | 飯沼 由嗣 / 那須 勝 / 一山 智 / 松本 一郎 / 久米 光 / 賀来 満夫 / 山中 喜代治 / 相原 雅典 |
発行 | 2001年04月判型:B5頁:416 |
ISBN | 978-4-260-27446-3 |
定価 | 6,600円 (本体6,000円+税) |
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1 微生物学
A. 微生物学の概要
B. 微生物の分類
C. 細菌の形態と機能
D. 細菌の遺伝と変異
E. 細菌の栄養と代謝
F. 化学療法
G. 耐性と薬剤感受性
H. 細菌と感染
I. 滅菌と消毒
J. 細菌の培養と培地
K. ウイルス学
L. 真菌
2 臨床微生物学
I 臨床細菌学
A. グラム陽性菌(好気性・通性嫌気性)
B. グラム陰性球菌群(好気性・通性嫌気性)
C. グラム陰性桿菌群(好気性・通性嫌気性)
D. グラム陽性桿菌群(好気性・通性嫌気性)
E. 偏性嫌気性菌
F. マイコバクテリア
G. らせん菌群
H. スピロヘータ
I. マイコプラズマ
J. クラミジア
K. リケッチア
II 臨床ウイルス学総論
A. ウイルスの臨床的分類
B. ウイルス感染症
C. 物理・化学的因子による影響
D. ウイルス感染の予防・治療
E. ウイルス検査法
III ウイルス学各論
A. DNAウイルス
B. RNAウイルス
C. 症候群別起因ウイルス
D. 細菌ウイルス(バクテリオファージ)
IV 臨床真菌学総論
A. 真菌症の臨床的分類
B. 検査法
V 病原真菌各論
A. 接合菌類
B. 不完全菌類
C. 酵母,酵母様真菌
D. 放線菌類
E. 輸入真菌症の起炎菌
3 実習
I 微生物学実習
II 臨床微生物学実習
A. 臨床材料別検査の進め方
B. 嫌気性菌検査法
C. 抗酸菌検査法
D. 同定に用いる検査項目
E. 同定の進め方
F. 薬剤感受性検査法
A. 微生物学の概要
B. 微生物の分類
C. 細菌の形態と機能
D. 細菌の遺伝と変異
E. 細菌の栄養と代謝
F. 化学療法
G. 耐性と薬剤感受性
H. 細菌と感染
I. 滅菌と消毒
J. 細菌の培養と培地
K. ウイルス学
L. 真菌
2 臨床微生物学
I 臨床細菌学
A. グラム陽性菌(好気性・通性嫌気性)
B. グラム陰性球菌群(好気性・通性嫌気性)
C. グラム陰性桿菌群(好気性・通性嫌気性)
D. グラム陽性桿菌群(好気性・通性嫌気性)
E. 偏性嫌気性菌
F. マイコバクテリア
G. らせん菌群
H. スピロヘータ
I. マイコプラズマ
J. クラミジア
K. リケッチア
II 臨床ウイルス学総論
A. ウイルスの臨床的分類
B. ウイルス感染症
C. 物理・化学的因子による影響
D. ウイルス感染の予防・治療
E. ウイルス検査法
III ウイルス学各論
A. DNAウイルス
B. RNAウイルス
C. 症候群別起因ウイルス
D. 細菌ウイルス(バクテリオファージ)
IV 臨床真菌学総論
A. 真菌症の臨床的分類
B. 検査法
V 病原真菌各論
A. 接合菌類
B. 不完全菌類
C. 酵母,酵母様真菌
D. 放線菌類
E. 輸入真菌症の起炎菌
3 実習
I 微生物学実習
II 臨床微生物学実習
A. 臨床材料別検査の進め方
B. 嫌気性菌検査法
C. 抗酸菌検査法
D. 同定に用いる検査項目
E. 同定の進め方
F. 薬剤感受性検査法
書評
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臨床に則した実践的内容の微生物学入門書
書評者: 木下 承晧 (神大附属病院・中央検査部)
◆多様化した感染症
わが国の感染症は,1999年4月に「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症新法)が施行されたように,非常に多様化している。病原微生物に対する抗菌薬療法は,コレラやチフスなどの体外性の感染症を減少させたが,これらの繁用や医療技術の進歩から常在および環境微生物による感染症を増加させた。ペニシリン使用からすでに半世紀以上を過ぎ,MRSAやPRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)など,多くの耐性菌を生じ,新しい感染症対策が求められている。
微生物学検査は,臨床から感染症新法の新興・再興感染症,易感染者の感染発症,薬剤耐性菌,院内感染および細菌以外のウイルス・真菌・原虫などの幅広い分野と迅速性を要求されており,その対応を急ぐ必要がある。事実,病院などの医療機関では,細菌検査から微生物検査や感染症検査へ組織を変えたり,院内感染を制御しようという考えから感染制御検査の構築を進めている施設もある。
このような中で,今回『臨床検査技術学・c02d・微生物学・臨床微生物学』の改訂が行なわれた。執筆には,検査部や臨床の第一線で活躍中の先生方が携わっておられる。本書は,臨床に則した実践的な内容であり,臨床検査学生のみならず,医学生,看護学生などの初めての微生物学入門書として推薦できる。
◆検査室に常備したい1冊
本書は,「微生物学」,「臨床微生物学」,「実習」の3部で構成されており,原生生物を除く,細菌,ウイルスおよび真菌について基礎,臨床,検査法を明快に解説している。「微生物学」は,基礎的な各微生物の分類,遺伝子,代謝などの内容に加えて,従来の成書では手薄であった化学療法薬の種類,耐性および薬剤感受性が充実している。
「臨床微生物学」は,臨床的に有用な細菌を中心に述べられており,生化学的性状が簡便に整理されている。各菌種ごとに示されている病原性や病原因子,抗菌薬の感受性・耐性頻度および診断法などは,分離菌の重要性や患者病態との関連を考える上でも有用である。臨床ウイルス学および臨床真菌学は,多くの医療機関でまだ十分な対応が行なわれていない中で,多くの図表を明記し,その解説,培養同定法,診断がていねいにまとめられている。
「実習」は,病院検査室で実際に実施されているラ菌検査に沿った形で進められており,微生物実習では微生物を取り扱う時のバイオハザード(業務感染防止)対策,染色,培地作成方法が記され,われわれがつい疎かにしてしまう菌株の管理や保存方法が述べられている。臨床微生物実習では材料別検査の進め方と分離菌の考え方および報告の方法について詳細に示しながら,同定に必要な形態・生化学的検査,免疫学的検査,PCR法などの分子生物学的検査,同定キットなど,最新の内容が解説されている。また,感受性検査の標準法,耐性菌の検索などの検査対応が必要な事項についても示されている。
最近,病院などの医療機関では,検査室の再編や検査部内ローテーションなどを行なうことも多くなっている。他部門から新たに微生物検査を担当することになった技師諸氏の検査書としても高く評価でき,検査室にぜひ1冊は常備したいものである。
臨床検査技師のための一級の教科書
書評者: 播金 收 (医療技術学校講師・環境調査会社顧問)
『臨床検査技術学 12 微生物学・臨床微生物学 第2版』を見ての所感を述べさせていただきます。
結論から申し上げれば,臨床検査技師,微生物検査担当40年以上の筆者にして,その内容の学術的レベルにおいて,当該内容の国内刊行図書としては第一級のものであると言えるでしょう。ある意味では,本邦における臨床細菌学の教育レベルがここまで高揚されてきたことに対する,驚異と尊敬の両念を禁じ得ません。執筆者の先生方のすばらしさをよく存じているだけに,納得できるまで読ませていただきました。
顧みれば,1958年に衛生検査技師法が施行され,medical technologistの養成が急務となりましたが,当時,順天堂大学名誉教授であられた,故小酒井望先生が監修されていた『衛生検査技師講座』(医学書院刊)の中の細菌検査編が私の記憶の中にあります。臨床細菌学を自分で意識し,検体別細菌検査法を実施したものです。それ以前の教科書としては,当時の東京大学伝染病研究所(現在の東大医科研)刊行の『細菌学実習提要』を参考書として使用した経験があります。
その後,1967年に俗に『赤本』と呼ばれる『臨床検査学講座』の初版が東京医科歯科大学名誉教授の清水文彦先生の編集で医歯薬出版から発刊されました。この本は後に,橋本雅一,岡田淳両先生の編集で改版されましたが,この初版の「臨床微生物学」の原本となったBailly and Scottの原著『Diagnostic Microbiology, 2nd edition』を読んで,当時としては最高級の臨床細菌学の教科書だと思ったものです。
その後,本講座の教科書は著者が徐々に変わり,橋本,岡田両先生を除くと,私にはあまりお名前の存じ上げない都立衛生研OBの先生方の執筆が多くなり,当初に比べて内容が相当変化しているようです。
◆今後の医学細菌学教育
ところで,今回改版された医学書院の『臨床検査技術学12 微生物学・臨床微生物学 第2版』は,学会でよくお見かけもし,私もよく存じあげている現役の大学教授や,また個人的にも親しくさせていただき,その学識経験,人格ともに誇り得る2人の細菌学専門のmedical technologistが執筆者であるだけに,今後の医学細菌学教育の上で1つの大きな転機の要因になり得るものと確信できます。
特に巻頭のカラーグラビア,コロニーと顕微鏡写真のコントラストは,今までにないすばらしさです。また,検査内容,同定内容の諸反応の記述にしても,外国文献の直訳ならばいたずらに反応系testのみの羅列が多く記載されていたものですが,本書では重複するものはできる限り省略化され,必要なものだけをselectしたideaは,原本の内容を推察でき,すばらしい着想だと思います。
あえて提言を述べるならば,使用外国語の片仮名表記(日本語訳)の発音部分に英独混合が多いように感じます。例えばStaphylococcus epidermidisなど,スタヒロコッカスエピデルミーデスなのかエピダーミージスなのかわからない書き方をするより,きちんとした英語読みの仮名使いにするべきではないでしょうか。医療を学ぶ学生たるものは,これくらいの横文字が読めなくてはいけません。外国語の仮名書きは原文で表示すべきでしょう。
書評者: 木下 承晧 (神大附属病院・中央検査部)
◆多様化した感染症
わが国の感染症は,1999年4月に「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症新法)が施行されたように,非常に多様化している。病原微生物に対する抗菌薬療法は,コレラやチフスなどの体外性の感染症を減少させたが,これらの繁用や医療技術の進歩から常在および環境微生物による感染症を増加させた。ペニシリン使用からすでに半世紀以上を過ぎ,MRSAやPRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)など,多くの耐性菌を生じ,新しい感染症対策が求められている。
微生物学検査は,臨床から感染症新法の新興・再興感染症,易感染者の感染発症,薬剤耐性菌,院内感染および細菌以外のウイルス・真菌・原虫などの幅広い分野と迅速性を要求されており,その対応を急ぐ必要がある。事実,病院などの医療機関では,細菌検査から微生物検査や感染症検査へ組織を変えたり,院内感染を制御しようという考えから感染制御検査の構築を進めている施設もある。
このような中で,今回『臨床検査技術学・c02d・微生物学・臨床微生物学』の改訂が行なわれた。執筆には,検査部や臨床の第一線で活躍中の先生方が携わっておられる。本書は,臨床に則した実践的な内容であり,臨床検査学生のみならず,医学生,看護学生などの初めての微生物学入門書として推薦できる。
◆検査室に常備したい1冊
本書は,「微生物学」,「臨床微生物学」,「実習」の3部で構成されており,原生生物を除く,細菌,ウイルスおよび真菌について基礎,臨床,検査法を明快に解説している。「微生物学」は,基礎的な各微生物の分類,遺伝子,代謝などの内容に加えて,従来の成書では手薄であった化学療法薬の種類,耐性および薬剤感受性が充実している。
「臨床微生物学」は,臨床的に有用な細菌を中心に述べられており,生化学的性状が簡便に整理されている。各菌種ごとに示されている病原性や病原因子,抗菌薬の感受性・耐性頻度および診断法などは,分離菌の重要性や患者病態との関連を考える上でも有用である。臨床ウイルス学および臨床真菌学は,多くの医療機関でまだ十分な対応が行なわれていない中で,多くの図表を明記し,その解説,培養同定法,診断がていねいにまとめられている。
「実習」は,病院検査室で実際に実施されているラ菌検査に沿った形で進められており,微生物実習では微生物を取り扱う時のバイオハザード(業務感染防止)対策,染色,培地作成方法が記され,われわれがつい疎かにしてしまう菌株の管理や保存方法が述べられている。臨床微生物実習では材料別検査の進め方と分離菌の考え方および報告の方法について詳細に示しながら,同定に必要な形態・生化学的検査,免疫学的検査,PCR法などの分子生物学的検査,同定キットなど,最新の内容が解説されている。また,感受性検査の標準法,耐性菌の検索などの検査対応が必要な事項についても示されている。
最近,病院などの医療機関では,検査室の再編や検査部内ローテーションなどを行なうことも多くなっている。他部門から新たに微生物検査を担当することになった技師諸氏の検査書としても高く評価でき,検査室にぜひ1冊は常備したいものである。
臨床検査技師のための一級の教科書
書評者: 播金 收 (医療技術学校講師・環境調査会社顧問)
『臨床検査技術学 12 微生物学・臨床微生物学 第2版』を見ての所感を述べさせていただきます。
結論から申し上げれば,臨床検査技師,微生物検査担当40年以上の筆者にして,その内容の学術的レベルにおいて,当該内容の国内刊行図書としては第一級のものであると言えるでしょう。ある意味では,本邦における臨床細菌学の教育レベルがここまで高揚されてきたことに対する,驚異と尊敬の両念を禁じ得ません。執筆者の先生方のすばらしさをよく存じているだけに,納得できるまで読ませていただきました。
顧みれば,1958年に衛生検査技師法が施行され,medical technologistの養成が急務となりましたが,当時,順天堂大学名誉教授であられた,故小酒井望先生が監修されていた『衛生検査技師講座』(医学書院刊)の中の細菌検査編が私の記憶の中にあります。臨床細菌学を自分で意識し,検体別細菌検査法を実施したものです。それ以前の教科書としては,当時の東京大学伝染病研究所(現在の東大医科研)刊行の『細菌学実習提要』を参考書として使用した経験があります。
その後,1967年に俗に『赤本』と呼ばれる『臨床検査学講座』の初版が東京医科歯科大学名誉教授の清水文彦先生の編集で医歯薬出版から発刊されました。この本は後に,橋本雅一,岡田淳両先生の編集で改版されましたが,この初版の「臨床微生物学」の原本となったBailly and Scottの原著『Diagnostic Microbiology, 2nd edition』を読んで,当時としては最高級の臨床細菌学の教科書だと思ったものです。
その後,本講座の教科書は著者が徐々に変わり,橋本,岡田両先生を除くと,私にはあまりお名前の存じ上げない都立衛生研OBの先生方の執筆が多くなり,当初に比べて内容が相当変化しているようです。
◆今後の医学細菌学教育
ところで,今回改版された医学書院の『臨床検査技術学12 微生物学・臨床微生物学 第2版』は,学会でよくお見かけもし,私もよく存じあげている現役の大学教授や,また個人的にも親しくさせていただき,その学識経験,人格ともに誇り得る2人の細菌学専門のmedical technologistが執筆者であるだけに,今後の医学細菌学教育の上で1つの大きな転機の要因になり得るものと確信できます。
特に巻頭のカラーグラビア,コロニーと顕微鏡写真のコントラストは,今までにないすばらしさです。また,検査内容,同定内容の諸反応の記述にしても,外国文献の直訳ならばいたずらに反応系testのみの羅列が多く記載されていたものですが,本書では重複するものはできる限り省略化され,必要なものだけをselectしたideaは,原本の内容を推察でき,すばらしい着想だと思います。
あえて提言を述べるならば,使用外国語の片仮名表記(日本語訳)の発音部分に英独混合が多いように感じます。例えばStaphylococcus epidermidisなど,スタヒロコッカスエピデルミーデスなのかエピダーミージスなのかわからない書き方をするより,きちんとした英語読みの仮名使いにするべきではないでしょうか。医療を学ぶ学生たるものは,これくらいの横文字が読めなくてはいけません。外国語の仮名書きは原文で表示すべきでしょう。
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