ケアエコノミクス
医療福祉の経済保障

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医療と福祉、経済と保険、これらが複雑に絡み合った今、医療職として知っておかねばならない内容を網羅し、わかりやすく解説した参考書。学生だけでなく、実際現場で働いている現役の医療職にとっても身近な実例をとりあげながらの解説が役に立つことだろう。
岡本 悦司
発行 2001年03月判型:A5頁:208
ISBN 978-4-260-33121-0
定価 3,080円 (本体2,800円+税)
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  • 目次
  • 書評

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第1章 国民経済における医療福祉の経済規模 
第2章 医療福祉の財源 
第3章 医療保険制度と保険料 
第4章 財政調整 
第5章 医療費の支払 
第6章 保険診療のしくみ 
第7章 医療機関の経営 
第8章 傷病・障害に対する所得保障制度 
第9章 介護保険 
第10章 改革の動向 
第11章 ケアエコノミクスの展開

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わが国の医療保険に関する深い理解と洞察
書評者: 小林 廉毅 (東大大学院教授・公衆衛生学)
◆時宜を得た待望の書

 介護保険の導入によって,医療と高齢者福祉の垣根が低くなる一方で,医療経済学の研究対象も個々人の純粋な経済行動から,社会の制度面の分析へとその比重を移しつつある。このような時期に出版された本書はまさに待望の書であると同時に,時宜を得たものと言えよう。
 本書は全11章,約200頁の構成である。まず,最初の数章は,わが国の医療費の規模や中身の分析に費やされている。分析のツールとして,ジニ係数や経済統計の正しい見方などが紹介されているところが新鮮である。そして,医療費・財源問題から医療保険へと話が進んでいく。わが国の医療保険における保険料の決め方,異なる保険間の財源調整,医療機関への支払い方式などに関する平易な解説に加えて,それらの抱える問題点についても詳しく述べられている。わが国の医療保険に関する著者の深い理解と洞察力を示した本書の中心的部分である。中盤後半にかけて,医療機関の経営についての章があり,著者の医学,法学双方のバックグラウンドが活かされている。最後の数章は介護保険,今後の改革の道筋,医療・介護領域におけるレセプト情報活用など,エビデンスに基づく政策立案の重要性とケアエコノミクスの役割についての議論が展開される。

◆専用ウェブサイトを用意

 さらに「序」にもあるように,インターネットの専用ウェブサイトが用意されていることが,本書の1つの特色である。しかし,実際に読んでみればわかることだが,ウェブサイトを参照しなくても,本書はそれだけで完結した書物として十分に成立している。専用のウェブサイトを構築した著者の熱意もさることながら,このように膨大な領域を約200頁の分量にまとめた著者の力量にも拍手を送りたい。
 本書は専門的な内容をコンパクトにまとめてあり,また文章もたいへん読みやすく,医療と介護の経済学および制度論に関心を持つ医療関係者や,これからこの分野の勉強を始めようとする人にぜひ勧めたい1冊である。

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