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内視鏡外科における縫合・結紮法
トレーニングからアドバンスト・テクニックへ

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内視鏡下手術は低侵襲手術の一環として広く行われているが,そのテクニック修得には従来の外科にはない特殊なトレーニングが必要とされる。本書では著者の考案した簡便なトレーニング法を紹介し,あわせて内視鏡下の縫合・結紮のきめ細かなスキルやコツを懇切丁寧に解説。さまざまなテクニックのヒントが含まれた,ためになる1冊。
監修 黒川 良望
安藤 健二郎
発行 2004年04月判型:B5頁:192
ISBN 978-4-260-12259-7
定価 8,250円 (本体7,500円+税)
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  • 目次
  • 書評

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○総論
第1章 内視鏡下手縫い縫合・結紮に用いられる道具
第2章 内視鏡下縫合・結紮の理論と基本操作
第3章 内視鏡下手縫い縫合・結紮法の基本形
 -筆者らが提案する4種の縫合・結紮法
第4章 トレーニングボックス「ラップコーチャー」を用いた
 内視鏡外科縫合の練習法
○各論
第1章 消化性潰瘍穿孔手術における縫合・結紮
第2章 腹腔鏡下噴門形成術でのWRAP形成
第3章 胃部分切除,胃腸吻合での縫合・結紮
第4章 腹膜,腸間膜閉鎖時の縫合・結紮
第5章 スリップノット(SLIPKNOT)を用いた肝wedge biopsy
第6章 胆管縫合
第7章 肺瘻閉鎖時の縫合・結紮
第8章 各種メッシュの固定
第9章 胆嚢管の結紮
索引

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内視鏡下手術操作における縫合・結紮手技のコツをていねいに解説
書評者: 白石 憲男 (大分大助教授・第1外科)
 1990年,わが国に腹腔鏡下胆嚢摘出術が導入されて以来,内視鏡下手術は急速に普及し,その適応が拡大されてきた。これは,体に優しい「低侵襲手術」が,国民の福祉に貢献すると期待されているからである。しかしながら,その手術手技は従来の開腹手術と異なり,モニター下の鉗子操作であるため,外科医のトレーニングが必要である。

 内視鏡下手術操作の中で最もトレーニングが必要な操作の1つに縫合や結紮操作があげられる。そのため,日本内視鏡外科学会の技術認定医制度においても縫合・結紮操作の提示が必須の要件とされている。内視鏡外科における縫合と結紮法のコツが理論的に示された本書は,そのような時代にマッチしたテキストブックと言える。

 本書の主旨は,「序」に示されているように「どうすれば内視鏡下での手縫い縫合・結紮がスムーズにできるようになるか」ということである。

 本書の構成は,総論と各論からなり,バランスのとれた内容になっている。総論においては,縫合・結紮に必要な道具の紹介にはじまり,その理論と基本操作,著者が考える4つの基本手技,その練習法について述べている。特に鉗子操作による結紮・縫合の三大要素として手術対象と持針器との(1)方向,(2)角度,(3)距離をあげ,基本手技の手順とコツをていねいに解説している。各論においては,縫合・結紮手技が重要な9つの術式をとりあげ,その具体的な手技を著者の経験にもとづき記述している。いずれもわかりやすいイラストと説得力のある記述で解説されている。さらに,それぞれの章ごとにKnack & Pitfallsが記載されており,実際に手技を行う際のアドバイスとして有用である。

 このように,本書は内視鏡外科における縫合・吻合法のガイドとして有用な書物である。全編にわたり,記述は実にていねいで思いやりにみちたものである。行間に安藤先生のお人柄がにじみでており,読んだ後には心地よい満足感が得られる。本書を手にした読者は,必ずやスムーズな縫合・結紮法を習得できるにちがいない。

 初学者のみならず,日常診療において内視鏡外科を実践している外科医たちにぜひ読んでいただきたい書物である。

合理的な縫合・結紮法が学べる内視鏡医必読のバイブル
書評者: 山川 達郎 (帝京大溝口病院 内視鏡手術センター・外科)
 このたび,安藤健二郎先生著,『内視鏡外科における縫合・結紮法―トレーニングからアドバンスト・テクニックへ』と題する単行本が黒川良望教授(東北大学先進医工学研究機構)監修で医学書院から刊行された。安藤健二郎先生は東北大式トレーニングボックス(ラップコーチャー)の開発者で,内視鏡外科手術がわれわれの臨床に登場した幕明け期から,その普及には教育システムの必要性を強調されてこられた。私自身も先生のラップコーチャーにご厄介になった者の1人で,先生がこのようなご著書を刊行されたことに心からの敬意を表するとともに,期待を持って拝読させていただいた。折しも,日本内視鏡外科学会は,内視鏡外科医の手術技量到達目標を“それぞれの領域に定着した内視鏡外科手術手技において,術者としてやっていける十分な技量の習得”におき,所定の申請書類のほか,申請者が行った手術の未編集ビデオや,縫合・結紮術が含まれないビデオ提出者には,それを示す副ビデオを審査して認定する技術認定制度が発足した。まことに機を得た刊行である。

 本書では数多くのシェーマを用いて,各種の結紮・縫合法の基礎について解説後,各論では消化性潰瘍穿孔部の縫合術,噴門形成術でのWrap形成術,胃部分切除・胃腸吻合術での縫合・結紮法,腹膜・腸間膜閉鎖時の縫合法,肝wedge biopsy時のslip knotの使用法,胆管縫合法,肺瘻閉鎖法など例を挙げて説明されている。

 最近,動物を用いたセミナーでも縫合法のトレーニングが平行して行なわれているのに接する。しかし著者が述べる“左で針先を軽く把持したまま,右で糸針結合部付近の糸をつまんで針の持針器の軸となす角度を調節した後,針の根元をしっかり把持する”,あるいは“糸針結合部の近くで糸を持針器に巻きつける操作”といったことが教えられているのに接したことがない。小生が米国で学んだのもこの安藤方式であるが,first knot時,糸の巻きつけ方を1重,2重にすることでsimple knot,surgical knotが可能であるし,また巻きつけ方の方向をfirst knotとsecond knotで変えることにより男結び(sailors knot),女結び(granny knot)が容易に行なえる合理的な方法である。糸だけを把持して行なう方法は糸に癖があると難しく,また糸もほころびるので推奨できる方法ではないと考えている。ぜひ,この安藤法を身につけて欲しいと思う。本書は内視鏡医必読の有用なバイブルである。

 黒川教授は「監修者序」で,縫合法・結紮の訓練をすることが内視鏡外科手術に特徴的なハンド・アイ・コーディネイションや両手の協調運動の習得にも効果的であると述べられている。私自身もこれを体験として感じているが,内視鏡外科手術の到達目標は限りなく開腹術と同じことができるようになることであるので,将来は,経済効果や正当性も考慮されて,内視鏡下にも結紮・縫合法がもっともっと気軽に試みられるようになるのではなかろうか。

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