シンプルガイド血液ガス
平易な文章とイラストで血液ガスを分かりやすく解説
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難解な数式は最小限に止め、平易な文章と随所に挿入されたイラストにより、血液ガスデータの解釈に必要な「酸塩基平衡」と「呼吸生理」の知識を無理なく身に付けることができる実践的なガイド。採血の方法からアシドーシス、アルカローシスのメカニズムまで、臨床に即し要点をおさえた明快な解説。自己学習に最適。
原著 | Peter Driscoll / Terry Brown / Carl Gwinnutt / Terry Wardle |
---|---|
監訳 | 片山 正夫 |
訳 | 片山 正夫 / 大和田 哲郎 / 山家 安子 / 青木 和裕 |
発行 | 2000年10月判型:A5頁:184 |
ISBN | 978-4-260-11963-4 |
定価 | 3,850円 (本体3,500円+税) |
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書評
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読んで楽しく理解する血液ガス分析の入門書
書評者: 西野 卓 (千葉大教授・麻酔学)
◆数式や難解な表現なし
“A simple guide to blood gas analysis”は血液ガス分析や酸塩基平衡を学ぶための入門書である。原本は英国から出版されているが,今回,『シンプルガイド血液ガス』というタイトルで翻訳本が出版された。翻訳者は聖路加国際病院麻酔科・集中治療室の諸氏であり,特に監訳者の片山正夫先生は臨床呼吸生理に興味を持っている同士として普段より親しくつき合わせてもらっている。
さて,本書の特徴は,タイトルからも明らかなように数式や難解な表現を極力避け,多少説明を要する部分はごく普通の言葉で漫画イラストを含むわかりやすい図表で十分な説明がなされていることである。酸塩基平衡といえば,Henderson-Hasselbachの式の理解なしに話は進まないと信じていた自分だが,この本を読んでみるとHenderson-Hasselbachの式を示さなくともpH,CO2,HCO3の三者の関係を説明できることに驚かされた。
◆自己評価問題で臨床に自信
本書は全部で7つの章から構成されており,第1-4章までは血液ガスの基礎的解説,第5-6章ではよく遭遇するアシドーシス,アルカローシスがそれぞれ解説され,最後の7章では基礎的知識を踏まえた臨床的応用という形で血液ガスの測定値の解釈が解説されている。1章から7章までの総頁数はわずかに130頁であり,全部を読んでもそれほど時間を要しない。本書では各章の初めにはその章で学習されるべき目的が明記されており,図をふんだんに利用して基本的事項の理解がなされるようになっている。また,各章の途中には随所に「メモ」や「ちょっと一息」といった要点の整理に役立つ挿入欄があり,各章での最後には必ず「まとめ」とクイズがある。これらの工夫で,その章で学習した事項の理解度が高まるようになっている。さらに,各章末のクイズには詳細な解答と解説が加えられており,学習事項の理解度の確認ができる工夫もなされている。
通常の酸塩基平衡の入門書では酸塩基平衡の総論や用語の説明から始まるのが普通であるが,この本では動脈血の採血法から始まり,次に用語の説明へと話が進展していく構成となっている。この点も臨床を重視した本書の特徴と言える。本書の最後には各章末のクイズとは別に自己評価問題として,26例の症例問題が付加されている。これらの症例はいずれも日常の臨床で遭遇するような症例であり,読者がこれらの症例を理解し説明できるようになれば,かなり臨床での自信を持つことができるようになるのではないかと思われる。もちろん,これらの自己評価問題にも詳細な解答と説明が付加されている。
本書は研修医,看護スタッフ,医学生を対象とした血液ガス分析の入門書であり,読んで楽しく理解するという目的を十分に果たしていると思われる。最後に原書の内容を変えずに自然な日本語に翻訳された訳者諸氏に敬意を表したい。
難解なイメージの血液ガスをシンプルに解説
書評者: 宮坂 勝之 (国立小児病院・麻酔集中治療科医長)
◆一気に読んで理解を深める
臨床に携わる私たちの多くは,血液ガス分析と聞くだけで,統計学の場合と同じく,勉強しなければと思いながらも,難解であるとのイメージを抱く。それで“簡単”とか“やさしい”との言葉に誘われて解説書を求め,勉強を始めるものの,数頁でギブアップした経験をお持ちの方も多いと思う。
本書はとても読みやすく,理解しやすい。文章がこなれていて翻訳口調でないことも幸いしているが,説明の要所で要点を数項目にまとめる手法がとても生きている。図表も効率よく使われている。訳語も理解しやすい選択がなされ,多数の翻訳者が参加していながらも,監訳者がその役目を十分に果たしていることがうかがわれる。小型の装丁で軽く持ち歩きやすい本ではあるが,携行して参考にする書というより,一気に読んで理解を深めるのに向いていると私は思う。
難点をあげれば,理解をもっと助けるであろうsignificant bandが,基本的な説明がないまま用いられていること,実際の症例解析の中で,酸素分圧(PO2)に関してのデータとその解析が多くの症例で省略されていることである。本文中で,「検査依頼書には,患者の酸素濃度も含めなければならない」と誠に適切に太字で注意が喚起されていることを考えるとやや残念である。訳注ででも説明が加えられればよかったと思うが,これらは本書の利点を損なうほどのものでない。
◆血液ガスの初歩を理解できる
本書は本当に「シンプル」の名に値し,気楽に読めるし,理解できる。医学生やベッドサイドで働く看護婦さん,検査技師の方が,血液ガスの初歩的なことを系統的に短時間で理解するのにはとても適している。そして,「いまさら人に聞けない」ものの,何となく血液ガスを理解していると思っている医師で,日頃の自分自身の知識の曖昧さを補うのにも最適な書である。かくいう私自身にとっても,とても参考になった。
書評者: 西野 卓 (千葉大教授・麻酔学)
◆数式や難解な表現なし
“A simple guide to blood gas analysis”は血液ガス分析や酸塩基平衡を学ぶための入門書である。原本は英国から出版されているが,今回,『シンプルガイド血液ガス』というタイトルで翻訳本が出版された。翻訳者は聖路加国際病院麻酔科・集中治療室の諸氏であり,特に監訳者の片山正夫先生は臨床呼吸生理に興味を持っている同士として普段より親しくつき合わせてもらっている。
さて,本書の特徴は,タイトルからも明らかなように数式や難解な表現を極力避け,多少説明を要する部分はごく普通の言葉で漫画イラストを含むわかりやすい図表で十分な説明がなされていることである。酸塩基平衡といえば,Henderson-Hasselbachの式の理解なしに話は進まないと信じていた自分だが,この本を読んでみるとHenderson-Hasselbachの式を示さなくともpH,CO2,HCO3の三者の関係を説明できることに驚かされた。
◆自己評価問題で臨床に自信
本書は全部で7つの章から構成されており,第1-4章までは血液ガスの基礎的解説,第5-6章ではよく遭遇するアシドーシス,アルカローシスがそれぞれ解説され,最後の7章では基礎的知識を踏まえた臨床的応用という形で血液ガスの測定値の解釈が解説されている。1章から7章までの総頁数はわずかに130頁であり,全部を読んでもそれほど時間を要しない。本書では各章の初めにはその章で学習されるべき目的が明記されており,図をふんだんに利用して基本的事項の理解がなされるようになっている。また,各章の途中には随所に「メモ」や「ちょっと一息」といった要点の整理に役立つ挿入欄があり,各章での最後には必ず「まとめ」とクイズがある。これらの工夫で,その章で学習した事項の理解度が高まるようになっている。さらに,各章末のクイズには詳細な解答と解説が加えられており,学習事項の理解度の確認ができる工夫もなされている。
通常の酸塩基平衡の入門書では酸塩基平衡の総論や用語の説明から始まるのが普通であるが,この本では動脈血の採血法から始まり,次に用語の説明へと話が進展していく構成となっている。この点も臨床を重視した本書の特徴と言える。本書の最後には各章末のクイズとは別に自己評価問題として,26例の症例問題が付加されている。これらの症例はいずれも日常の臨床で遭遇するような症例であり,読者がこれらの症例を理解し説明できるようになれば,かなり臨床での自信を持つことができるようになるのではないかと思われる。もちろん,これらの自己評価問題にも詳細な解答と説明が付加されている。
本書は研修医,看護スタッフ,医学生を対象とした血液ガス分析の入門書であり,読んで楽しく理解するという目的を十分に果たしていると思われる。最後に原書の内容を変えずに自然な日本語に翻訳された訳者諸氏に敬意を表したい。
難解なイメージの血液ガスをシンプルに解説
書評者: 宮坂 勝之 (国立小児病院・麻酔集中治療科医長)
◆一気に読んで理解を深める
臨床に携わる私たちの多くは,血液ガス分析と聞くだけで,統計学の場合と同じく,勉強しなければと思いながらも,難解であるとのイメージを抱く。それで“簡単”とか“やさしい”との言葉に誘われて解説書を求め,勉強を始めるものの,数頁でギブアップした経験をお持ちの方も多いと思う。
本書はとても読みやすく,理解しやすい。文章がこなれていて翻訳口調でないことも幸いしているが,説明の要所で要点を数項目にまとめる手法がとても生きている。図表も効率よく使われている。訳語も理解しやすい選択がなされ,多数の翻訳者が参加していながらも,監訳者がその役目を十分に果たしていることがうかがわれる。小型の装丁で軽く持ち歩きやすい本ではあるが,携行して参考にする書というより,一気に読んで理解を深めるのに向いていると私は思う。
難点をあげれば,理解をもっと助けるであろうsignificant bandが,基本的な説明がないまま用いられていること,実際の症例解析の中で,酸素分圧(PO2)に関してのデータとその解析が多くの症例で省略されていることである。本文中で,「検査依頼書には,患者の酸素濃度も含めなければならない」と誠に適切に太字で注意が喚起されていることを考えるとやや残念である。訳注ででも説明が加えられればよかったと思うが,これらは本書の利点を損なうほどのものでない。
◆血液ガスの初歩を理解できる
本書は本当に「シンプル」の名に値し,気楽に読めるし,理解できる。医学生やベッドサイドで働く看護婦さん,検査技師の方が,血液ガスの初歩的なことを系統的に短時間で理解するのにはとても適している。そして,「いまさら人に聞けない」ものの,何となく血液ガスを理解していると思っている医師で,日頃の自分自身の知識の曖昧さを補うのにも最適な書である。かくいう私自身にとっても,とても参考になった。
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