IVRマニュアル
簡潔な文体と豊富なシェーマでIVRテクニックを解説
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種々の疾患に対する有効な治療手技として広く普及しているIVRテクニックを具体的に解説。血管系と非血管系のそれぞれに対するIVRテクニックが実際の現場ですぐに参照できるように,使い勝手を重視した簡潔な文体と豊富なシェーマで構成。さまざまな状況における血管拡張術,ドレナージ,ステント,動脈塞栓術を臨床の最前線で活躍する執筆陣が詳解。
監修 | 打田 日出夫 / 山田 龍作 |
---|---|
編集 | 栗林 幸夫 / 中村 健治 / 廣田 省三 / 吉岡 哲也 |
発行 | 2002年08月判型:A5頁:348 |
ISBN | 978-4-260-13896-3 |
定価 | 6,380円 (本体5,800円+税) |
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- 書評
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I 総論
II IVRの基本手技と術前準備
III Vascular Intervention
A. 血管に対するIVR
B. 動脈塞栓術,他
C. 門脈圧亢進症に対するIVR
D. 動注化学療法
IV Non-vascular Intervention
V IVRにおける被曝と防護
VI IVRに必要な解剖図譜
付録
1. 略語・用語集
2. 材料一覧
II IVRの基本手技と術前準備
III Vascular Intervention
A. 血管に対するIVR
B. 動脈塞栓術,他
C. 門脈圧亢進症に対するIVR
D. 動注化学療法
IV Non-vascular Intervention
V IVRにおける被曝と防護
VI IVRに必要な解剖図譜
付録
1. 略語・用語集
2. 材料一覧
書評
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簡潔な文体と豊富なシェーマでIVRテクニックを解説
書評者: 岡崎 正敏 (福岡大教授・放射線医学/日本血管造影IVR学会理事長)
臨床の現場でInterventional Radiology(以下IVR)は,重要な近代医療部門として内外で認知されるところまできている。
本邦における全国レベルでのIVR勉強会は,1982年の日本血管造影IVR研究会発足以来,1995年に学会と移行し,20年が経過している。
20年前からIVR研究会・学会の際,最先端のIVR,症例数,成績,適応,技術,新しいdivice,基礎実験,術前・術中・術後管理などの発表,討論の中心となったのは関西のIVRistたちであった。IVR学会関西地方会の延長が,全国のIVR学会であるというような感じを持つ人も少なくなかった。本書『IVRマニュアル』の監修者である打田日出夫IVR学会前理事長,山田龍作前理事のお2方のスーパーマン的リーダーシップによるところ大である。
◆現場に即したIVR経験の集大成
本書は,この20数年来の本邦,特に関西地区のIVR経験の集大成ともいえるプラクティカルなIVRマニュアルである。本書の特徴について,以下箇条書きに述べさせてもらうこととする。
(1)出身母体の異なる編集者お4方(栗林幸夫,中村健治,廣田省三,吉岡哲也の各氏)の忌憚のない意見交換による執筆者の選択や編集が,内容の向上に最大の貢献をしたものと考えられる。出身大学や医局講座の壁を越えた従来にないマニュアルといえる。
(2)執筆者陣は,大御所から新進気鋭の関西地区若手医師まで多岐にわたっているが,適材適所の人選で,臨床の現場に即したIVR全域を網羅したマニュアルである。
(3)非常に簡潔な文章とわかりやすいシェーマとが相まって,IVR現場でマニュアルを参考にしながらIVRを施行する機会も多いものと考えられる。
(4)IVR手技を熟練して初めてわかる解剖や手技のシェーマが適材適所にちりばめられているのも読者の心を和ませ,IVR意欲をかきたてるものと言えよう。
(5)IVRがチームプレイであり,医師・放射線技師・看護師の三位一体の重要性も考慮した新しい企画と言える。コメディカルの方々にも大変勉強になるマニュアルである。
(6)現在IVRに直接従事されていない医療従事者にも,ぜひ読んでいただきたい書物である。カンファレンスやインフォームド・コンセントを得る際,きわめて利用価値のある書物と考える。
最後に,このような臨床の現場で有用なマニュアルを執筆してくださったIVRistに感謝するとともに,次は日本全国レベルでのマニュアル作製に向かって,皆で努力できる態勢を作りたいものである。
時宜をえた出版,待望のIVR手引書
書評者: 平松 京一 (慶大客員教授)
◆目を見張るIVRの進歩,発展
近年におけるinterventional radiology(IVR)の進歩,発展には実に目を見張るものがあり,日常の診療には不可欠の治療手技となっている。その対象となる領域は全身におよび,その基本手技も多種多様である。
このIVRは,画像診断に用いる手技を治療に応用するものであり,血管系のIVR(vascular intervention)については血管造影の手技,つまり経皮カテーテル法の手技を,また非血管系のIVR(non―vascular intervention)では,主として超音波ガイド下穿刺の手技などを十分にマスターしておくことが必要である。また最近は後者の場合,CTやMRIガイド下の穿刺法までも必要となってきている。
このように多くの複雑な手技をマスターし,さらに血管解剖,CT,MRI,USなどの解剖を熟知しておかないとIVRを円滑に施行することはできないし,起こり得る合併症,適応,禁忌などについても十分な知識が要求されるのは当然である。
◆最先端のIVR施行の知識を濃縮
現在まではこれらの問題点がすべてまとめられた手引書は皆無であったが,このたび,医学書院より打田日出夫,山田龍作両先生の監修になる『IVRマニュアル』が刊行されたことは実に喜ばしく,時宜にかなったものと言える。世界のIVRパイオニアとして知られる打田,山田両先生の監修に加え,今や本邦のIVRをリードする栗林幸夫,中村健治,廣田省三,吉岡哲也の先生方の編集によりすばらしい小冊子にまとめあげられている。
まずIVRの基本手技と術前準備にはじまり,vascular intervention, non―vascular interventionにかんするすべての手技につき,適応,禁忌,術前準備,手技,術後処置,成績,合併症,文献などが簡潔にまとめられている。特に,手技につき注意すべき点については「手技のポイント」,知識として必要事項については「メモ」として囲み記事として,本文とは別に記載されている。
手技については,非常にわかりやすいシェーマがつけ加えられており,操作の理解が容易となるような配慮がなされている。
最後には,IVRにおける被曝と防護につき詳細な説明がなされ,さらにIVRに必要な解剖図譜がシェーマでつけ加えられており,IVRを施行する際に大いに参考となるすばらしい図譜となっている。
以上のようにIVRを施行する際に必要な知識が濃縮されて記載されており,これからIVRを始める初心者はもとより,IVRの専門家にとっても大いに役立つ手引書であると確信している。
簡潔な文体と豊富なシェーマでIVRテクニックを解説
書評者: 岡崎 正敏 (福岡大教授・放射線医学/日本血管造影IVR学会理事長)
◆内外で認知されてきたIVR
臨床の現場でInterventional Radiology(以下IVR)は,重要な近代医療部門として内外で認知されるところまできている。
本邦における全国レベルでのIVR勉強会は,1982年日本血管造影IVR研究会発足以来,1995年学会と移行し,20年が経過している。
20年前からIVR研究会・学会の際,最先端のIVR,症例数,成績,適応,技術,新しいdivice,基礎実験,術前・術中・術後管理などの発表,討論の中心となったのは関西のIVRistたちであった。IVR学会関西地方会の延長が,全国のIVR学会であるというような感じをもつ人も少なくなかった。本書,『IVRマニュアル』の監修者である打田日出夫IVR学会前理事長,山田龍作前理事のお2方のスーパーマン的リーダーシップによるところ大である。
◆臨床の現場に即したIVRマニュアル
本書は,この20年数来の本邦,特に関西地区のIVR経験の集大成ともいえるプラクティカルなIVRマニュアルである。本書の特徴について以下箇条書きに述べさせてもらうこととする。
(1)出身母体の異なる編集者お4方(栗林幸夫,中村健治,廣田省三,吉岡哲也の各氏)の忌憚のない意見交換による執筆者の選択や編集が内容の向上に最大の貢献をしたものと考えられる。出身大学や医局講座の壁を越えた従来にないマニュアルと言える。
(2)執筆者陣は大御所から新進気鋭の関西地区若手医師まで多岐にわたっているが,適材適所の人選で,臨床の現場に即したIVR全域を網羅したマニュアルである。
(3)非常に簡潔な文章とわかりやすいシェーマとが相まって,IVR現場でマニュアルを参考にしながらIVRを施行する機会も多いものと考えられる。
(4)IVR手技を熟練して初めてわかる解剖や手技のシェーマが適材適所にちりばめられているのも読者の心を和ませ,IVR意欲をかきたてるものと言えよう。
(5)IVRがチームプレイであり,医師・放射線技師・看護師,三位一体の重要性も考慮した新しい企画と言える。コメディカルの方々にも大変勉強になるマニュアルである。
(6)現在IVRに直接従事されていない医療従事者にぜひ読んでいただきたい書物である。カンファレンスやインフォームド・コンセントを得る際,きわめて利用価値のある書物と考える。
最後に,このような臨床の現場で有用なマニュアルを執筆してくださったIVRistに感謝するとともに,次は日本全国レベルでのマニュアル作製に向かって,皆で努力できる態勢を作りたいものである。
待望のIVRの座右書
書評者: 松井 修 (金沢大大学院教授・経血管診療学)
◆大きな成果をあげているIVR
IVRは多臓器,多疾患に応用され大きな成果をあげている。しかしながら専門的な技術を必要とするために近年放射線科医が中心となって施行する施設が急増している。すなわち,少数のIVRに習熟した医師が広い領域をカバーしている。またIVRは救急医療には欠かせない手技となっており緊急に施行される場合も少なくない。IVRについての研究や論文,総説,教科書は多数あるものの,このような臨床の現場ですぐに参照できる“IVRマニュアル”はわが国ではこれまでに十分なものはなかったと言っても過言ではない。
その理由としては,IVR手技は過去20数年間にわたり進歩し続けており,コンセンサスが十分確立していない場合が少なくないこと,EBMに基づいた臨床研究が十分なされておらず各施設の“流儀”的な要素が少なくなかったことなどが考えられる。しかしながら,臨床の現場では,その場で参考にできる信頼性の高いマニュアルは切望されていた。欧米ではこうした観点からいち早く優れたマニュアルが発行されているが,対象疾患,手技にはわが国独特のもの,あるいはわが国にオリジナルティがあるものなどが少なくなく,わが国の臨床の場では即有用であるとは言えなかった。
◆IVRの現場に必須の好著
今回,わが国のIVRの創始者とも言える打田日出夫前奈良医大教授,山田龍作前大阪市大教授が監修され,両教授の門下生あるいは強い薫陶を受けた関西の新進気鋭のIVR専門医が中心となって発行された『IVRマニュアル』は,まさに待望の書と言える。直接の編集は,栗林幸夫慶應義塾大教授(前国立循環器センター),中村健治大阪市大助教授,廣田省三兵庫医大放射線科助教授,吉岡哲也県立奈良病院部長の4人であるが,それぞれが知る人ぞ知るvascularあるいはnon―vascular IVRのわが国の第一人者であり,かつ現在アクティブに実地に関わっている方々である。まさに最適の人選といえる。内容はvascular interventionとnon―vascular interventionに分けられ,それぞれに日常診療で遭遇する必須の手技が網羅されている。手技の適応,禁忌,術前処置,手技,術後処置,合併症,治療成績が簡便にポイントを確実に押さえて記述されている。また手技のコツについても明確に言及されている。自分の習熟した手技でもIVR施行直前に復習を兼ねて読むと参考になる部分が少なくない。これらに加えて,総論として,インフォームド・コンセントのあり方や薬剤の投与方法,重要な画像解剖,カテーテルなどのIVR器具の特徴やメーカー名なども記載されており,まさに編集者あるいは著者ら自身が現場で感じる必要な項目を網羅していると言える。IVRの現場に必須の好著である。また,広範囲のIVRをカバーする放射線科医にも広く推奨できる。これからIVRを学ぶ研修医の座右の書として,また放射線科専門医あるいはIVR指導医試験の参考書としても大いに役立つ書と言える。
書評者: 岡崎 正敏 (福岡大教授・放射線医学/日本血管造影IVR学会理事長)
臨床の現場でInterventional Radiology(以下IVR)は,重要な近代医療部門として内外で認知されるところまできている。
本邦における全国レベルでのIVR勉強会は,1982年の日本血管造影IVR研究会発足以来,1995年に学会と移行し,20年が経過している。
20年前からIVR研究会・学会の際,最先端のIVR,症例数,成績,適応,技術,新しいdivice,基礎実験,術前・術中・術後管理などの発表,討論の中心となったのは関西のIVRistたちであった。IVR学会関西地方会の延長が,全国のIVR学会であるというような感じを持つ人も少なくなかった。本書『IVRマニュアル』の監修者である打田日出夫IVR学会前理事長,山田龍作前理事のお2方のスーパーマン的リーダーシップによるところ大である。
◆現場に即したIVR経験の集大成
本書は,この20数年来の本邦,特に関西地区のIVR経験の集大成ともいえるプラクティカルなIVRマニュアルである。本書の特徴について,以下箇条書きに述べさせてもらうこととする。
(1)出身母体の異なる編集者お4方(栗林幸夫,中村健治,廣田省三,吉岡哲也の各氏)の忌憚のない意見交換による執筆者の選択や編集が,内容の向上に最大の貢献をしたものと考えられる。出身大学や医局講座の壁を越えた従来にないマニュアルといえる。
(2)執筆者陣は,大御所から新進気鋭の関西地区若手医師まで多岐にわたっているが,適材適所の人選で,臨床の現場に即したIVR全域を網羅したマニュアルである。
(3)非常に簡潔な文章とわかりやすいシェーマとが相まって,IVR現場でマニュアルを参考にしながらIVRを施行する機会も多いものと考えられる。
(4)IVR手技を熟練して初めてわかる解剖や手技のシェーマが適材適所にちりばめられているのも読者の心を和ませ,IVR意欲をかきたてるものと言えよう。
(5)IVRがチームプレイであり,医師・放射線技師・看護師の三位一体の重要性も考慮した新しい企画と言える。コメディカルの方々にも大変勉強になるマニュアルである。
(6)現在IVRに直接従事されていない医療従事者にも,ぜひ読んでいただきたい書物である。カンファレンスやインフォームド・コンセントを得る際,きわめて利用価値のある書物と考える。
最後に,このような臨床の現場で有用なマニュアルを執筆してくださったIVRistに感謝するとともに,次は日本全国レベルでのマニュアル作製に向かって,皆で努力できる態勢を作りたいものである。
時宜をえた出版,待望のIVR手引書
書評者: 平松 京一 (慶大客員教授)
◆目を見張るIVRの進歩,発展
近年におけるinterventional radiology(IVR)の進歩,発展には実に目を見張るものがあり,日常の診療には不可欠の治療手技となっている。その対象となる領域は全身におよび,その基本手技も多種多様である。
このIVRは,画像診断に用いる手技を治療に応用するものであり,血管系のIVR(vascular intervention)については血管造影の手技,つまり経皮カテーテル法の手技を,また非血管系のIVR(non―vascular intervention)では,主として超音波ガイド下穿刺の手技などを十分にマスターしておくことが必要である。また最近は後者の場合,CTやMRIガイド下の穿刺法までも必要となってきている。
このように多くの複雑な手技をマスターし,さらに血管解剖,CT,MRI,USなどの解剖を熟知しておかないとIVRを円滑に施行することはできないし,起こり得る合併症,適応,禁忌などについても十分な知識が要求されるのは当然である。
◆最先端のIVR施行の知識を濃縮
現在まではこれらの問題点がすべてまとめられた手引書は皆無であったが,このたび,医学書院より打田日出夫,山田龍作両先生の監修になる『IVRマニュアル』が刊行されたことは実に喜ばしく,時宜にかなったものと言える。世界のIVRパイオニアとして知られる打田,山田両先生の監修に加え,今や本邦のIVRをリードする栗林幸夫,中村健治,廣田省三,吉岡哲也の先生方の編集によりすばらしい小冊子にまとめあげられている。
まずIVRの基本手技と術前準備にはじまり,vascular intervention, non―vascular interventionにかんするすべての手技につき,適応,禁忌,術前準備,手技,術後処置,成績,合併症,文献などが簡潔にまとめられている。特に,手技につき注意すべき点については「手技のポイント」,知識として必要事項については「メモ」として囲み記事として,本文とは別に記載されている。
手技については,非常にわかりやすいシェーマがつけ加えられており,操作の理解が容易となるような配慮がなされている。
最後には,IVRにおける被曝と防護につき詳細な説明がなされ,さらにIVRに必要な解剖図譜がシェーマでつけ加えられており,IVRを施行する際に大いに参考となるすばらしい図譜となっている。
以上のようにIVRを施行する際に必要な知識が濃縮されて記載されており,これからIVRを始める初心者はもとより,IVRの専門家にとっても大いに役立つ手引書であると確信している。
簡潔な文体と豊富なシェーマでIVRテクニックを解説
書評者: 岡崎 正敏 (福岡大教授・放射線医学/日本血管造影IVR学会理事長)
◆内外で認知されてきたIVR
臨床の現場でInterventional Radiology(以下IVR)は,重要な近代医療部門として内外で認知されるところまできている。
本邦における全国レベルでのIVR勉強会は,1982年日本血管造影IVR研究会発足以来,1995年学会と移行し,20年が経過している。
20年前からIVR研究会・学会の際,最先端のIVR,症例数,成績,適応,技術,新しいdivice,基礎実験,術前・術中・術後管理などの発表,討論の中心となったのは関西のIVRistたちであった。IVR学会関西地方会の延長が,全国のIVR学会であるというような感じをもつ人も少なくなかった。本書,『IVRマニュアル』の監修者である打田日出夫IVR学会前理事長,山田龍作前理事のお2方のスーパーマン的リーダーシップによるところ大である。
◆臨床の現場に即したIVRマニュアル
本書は,この20年数来の本邦,特に関西地区のIVR経験の集大成ともいえるプラクティカルなIVRマニュアルである。本書の特徴について以下箇条書きに述べさせてもらうこととする。
(1)出身母体の異なる編集者お4方(栗林幸夫,中村健治,廣田省三,吉岡哲也の各氏)の忌憚のない意見交換による執筆者の選択や編集が内容の向上に最大の貢献をしたものと考えられる。出身大学や医局講座の壁を越えた従来にないマニュアルと言える。
(2)執筆者陣は大御所から新進気鋭の関西地区若手医師まで多岐にわたっているが,適材適所の人選で,臨床の現場に即したIVR全域を網羅したマニュアルである。
(3)非常に簡潔な文章とわかりやすいシェーマとが相まって,IVR現場でマニュアルを参考にしながらIVRを施行する機会も多いものと考えられる。
(4)IVR手技を熟練して初めてわかる解剖や手技のシェーマが適材適所にちりばめられているのも読者の心を和ませ,IVR意欲をかきたてるものと言えよう。
(5)IVRがチームプレイであり,医師・放射線技師・看護師,三位一体の重要性も考慮した新しい企画と言える。コメディカルの方々にも大変勉強になるマニュアルである。
(6)現在IVRに直接従事されていない医療従事者にぜひ読んでいただきたい書物である。カンファレンスやインフォームド・コンセントを得る際,きわめて利用価値のある書物と考える。
最後に,このような臨床の現場で有用なマニュアルを執筆してくださったIVRistに感謝するとともに,次は日本全国レベルでのマニュアル作製に向かって,皆で努力できる態勢を作りたいものである。
待望のIVRの座右書
書評者: 松井 修 (金沢大大学院教授・経血管診療学)
◆大きな成果をあげているIVR
IVRは多臓器,多疾患に応用され大きな成果をあげている。しかしながら専門的な技術を必要とするために近年放射線科医が中心となって施行する施設が急増している。すなわち,少数のIVRに習熟した医師が広い領域をカバーしている。またIVRは救急医療には欠かせない手技となっており緊急に施行される場合も少なくない。IVRについての研究や論文,総説,教科書は多数あるものの,このような臨床の現場ですぐに参照できる“IVRマニュアル”はわが国ではこれまでに十分なものはなかったと言っても過言ではない。
その理由としては,IVR手技は過去20数年間にわたり進歩し続けており,コンセンサスが十分確立していない場合が少なくないこと,EBMに基づいた臨床研究が十分なされておらず各施設の“流儀”的な要素が少なくなかったことなどが考えられる。しかしながら,臨床の現場では,その場で参考にできる信頼性の高いマニュアルは切望されていた。欧米ではこうした観点からいち早く優れたマニュアルが発行されているが,対象疾患,手技にはわが国独特のもの,あるいはわが国にオリジナルティがあるものなどが少なくなく,わが国の臨床の場では即有用であるとは言えなかった。
◆IVRの現場に必須の好著
今回,わが国のIVRの創始者とも言える打田日出夫前奈良医大教授,山田龍作前大阪市大教授が監修され,両教授の門下生あるいは強い薫陶を受けた関西の新進気鋭のIVR専門医が中心となって発行された『IVRマニュアル』は,まさに待望の書と言える。直接の編集は,栗林幸夫慶應義塾大教授(前国立循環器センター),中村健治大阪市大助教授,廣田省三兵庫医大放射線科助教授,吉岡哲也県立奈良病院部長の4人であるが,それぞれが知る人ぞ知るvascularあるいはnon―vascular IVRのわが国の第一人者であり,かつ現在アクティブに実地に関わっている方々である。まさに最適の人選といえる。内容はvascular interventionとnon―vascular interventionに分けられ,それぞれに日常診療で遭遇する必須の手技が網羅されている。手技の適応,禁忌,術前処置,手技,術後処置,合併症,治療成績が簡便にポイントを確実に押さえて記述されている。また手技のコツについても明確に言及されている。自分の習熟した手技でもIVR施行直前に復習を兼ねて読むと参考になる部分が少なくない。これらに加えて,総論として,インフォームド・コンセントのあり方や薬剤の投与方法,重要な画像解剖,カテーテルなどのIVR器具の特徴やメーカー名なども記載されており,まさに編集者あるいは著者ら自身が現場で感じる必要な項目を網羅していると言える。IVRの現場に必須の好著である。また,広範囲のIVRをカバーする放射線科医にも広く推奨できる。これからIVRを学ぶ研修医の座右の書として,また放射線科専門医あるいはIVR指導医試験の参考書としても大いに役立つ書と言える。
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