小児科レジデントマニュアル 第2版
小児科医必携の書。多くの項目を追加した充実の改訂版
もっと見る
医師にとって,common diseasesに対応できる臨床能力を持つことは,各領域の専門性を高めることと同じくらい大切である。沖縄県立中部病院小児科スタッフによる本書は,この点を銘記し,大幅な項目追加を経て,小児科医のための必携書として新しく生まれ変わった。小児科の広い守備範囲を高い水準でカバーした,日本のHarriet Laneである。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
編集 | 安次嶺 馨 / 我那覇 仁 |
発行 | 2002年07月判型:B6変頁:528 |
ISBN | 978-4-260-11915-3 |
定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
- 販売終了
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 目次
- 書評
目次
開く
I 小児救急
II 小児疾患
呼吸器
循環器
腎・泌尿器
消化器
血液
内分泌・代謝
感染症
神経疾患
III 新生児疾患
IV 小児保健
V 検査・手技
VI 検査基準値
VII 薬用量一覧
II 小児疾患
呼吸器
循環器
腎・泌尿器
消化器
血液
内分泌・代謝
感染症
神経疾患
III 新生児疾患
IV 小児保健
V 検査・手技
VI 検査基準値
VII 薬用量一覧
書評
開く
グローバルスタンダードの内容,追随を許さない勝れ物
書評者: 山城 雄一郎 (順大教授・小児科学)
沖縄県立中部病院では,いまだ米軍統治下の1967(昭和42)年の開院以来,ハワイ大学と提携して米国式の卒後研修を行なっている。今ではその研修終了者の中から教授や指導的上級医師を多数輩出しており,わが国有数のレベルの高い研修教育病院の1つであることは,今さら述べるまでもない。それ故,高いモチベーションを持った研修希望者が全国から押しかけ,選抜試験が行なわれている。講義などのため筆者は,過去に中部病院を何度か訪問した際に研修医と接する機会があり,彼らの充実した研修内容はよく承知している。
◆安心できる小児科最新情報,頼れるマニュアル
今回,沖縄県立中部病院小児科のレジデントマニュアルの第2版が出版され,書評を依頼された。編者の安次嶺馨副院長(米国小児科専門医)が序文で述べられておられるように,初版を一新した形の改訂マニュアルが生まれた。
初版も出版当時,本邦で出版されていたマニュアル本に追随を許さない勝れ物であった。
第2版は,初版の経験を基盤にその後の研修者と指導者の体験,学問の進歩,社会と医療情勢の変化などをも考慮して,記載項目を増やし,かつより詳細な内容となっている。その結果,記載内容がレベルアップされたが,決して情報の過剰感はなく,簡潔でわかりやすく感心するくらいむだな文章がない。急を告げる多忙な救急当直外来で研修医が本書の頁をチラッとめくって安心できる情報を得るのにちょうどよく,研修医の頼れるマニュアルになることは間違いない。
グローバルスタンダードの内容で,現時点での国際的な最大公約数的コンセンサスが反映されていて,若い医師の教育上も片寄った学説に引きずられてないので,安心して勧められる。この本を出版するまでに個々の執筆者がよく文献を読んで勉強し,全体のバランスを考えながら編者との間で相当活発な討論と綿密な打合せを重ねたことであろうと想像に難くない。common diseasesとcommon conditionsに対処できることがレジデント研修の主眼であるが,本書はもちろんこの点に重点をおいて編集されている。
大項目が「小児救急」,「小児疾患」,「新生児疾患」,「小児保健」,「検査・手技」,「検査基準値」そして「薬用量一覧」の7項目からなっている。
各大項目例えば「II.小児疾患」の中に「呼吸器」,「循環器」などの小項目があり,小項目中に各臓器のcommon diseasesやcommon conditionsが述べられている。
◆魅力的で秀逸な小児救急の記載
筆者の私的な観点から言うと,中でも「I.小児救急」にある全17項目の記載内容は,秀逸で魅力的でさえある。「発熱」,「痙攣」,「意識障害……」とcommon conditionsの小項目があり,まず一般的注意説明に続き,診断や検査のポイントそして治療の記載が続く。これには,minimum essentialsに加え執筆者の体験および中部病院小児科で蓄積された救急患者管理のノウハウがプラスアルファとして遺憾なく述べられている。とりわけ救急研修の充実を誇る中部病院の面目躍如たるところである。だらだらとした文章は避け,重要ポイントを簡潔に箇書きにして示してある。
1つのcommon conditionについての記載は,5―6頁に留めてあるが中身は濃い。治療に関しては,EBMを重視し本邦で慣用されている処置に対しても,効果が認められている物と不明の物とははっきりとしたコメントを付してあり,敬意を表する。
代表的な内外の参考文献を計2―3編紹介し,短いが適切なコメントもあり,さらなる勉強に役立つことを意識した配慮である。
患者家族への説明のポイントにも触れており,後々の訴訟トラブルなどを起こさないためのrisk management面的な点まで考慮されている。Side memoやinstructive caseは,研修の幅を持たせることに役立つと思うが,超短編読み物としても興味深い。中部病院研修のエッセンスが詰まった研修医必携の書である。筆者の所属する施設の研究医にももちろん勧めている。
めざせ!国際スタンダードの臨床研修
書評者: 小林 陽之助 (関西医大教授・小児科学)
◆必須のポイント―急性期ケアやコモン・ディジーズの治療・処置
「週刊医学界新聞」第2495号(2002年7月22日)のトップ頁を飾る座談会記事「〈国際スタンダードの臨床研修をめざす〉沖縄県立中部病院のアメリカ式臨床研修」をご覧になった読者も多いことと思う(もしまだなら,ぜひご一読いただければ幸いである)。
小児科医であり副病院長をお務めの安次嶺馨先生のご司会で,我那覇仁小児科部長はじめ小児科スタッフの方々が参加して,同病院の臨床研修の概要が主に小児科を中心に展開されている。その記事を拝読すれば,アメリカ式臨床研修をめざそうとすれば本マニュアルが生まれるにいたった背景,またその必要性が容易に理解されよう。
本書の特徴は,急性期ケアやコモン・ディジーズの治療・処置について,その場で役立つ,というのが大きなポイントである。 本書がまず小児救急の重要17項目,ついで小児疾患の配列で組まれていることからも,この方針がうかがわれる。さらに新生児疾患,小児保健にも多くの頁があてられ,小児・新生児医療に携わる医療従事者,コメディカルスタッフにも役立つよう工夫されている。
記述内容は要を得て簡潔,しかも必須事項は網羅されている。これは,執筆者が同小児科スタッフや研修修了者であることにもよるのであろう。しかしそれ以上に,同院の研修医教育の中で交わされる活発なディスカッションの蓄積により,何が必要かを十分熟知されているからこそ可能になったものと思われる。各項目末尾の参考文献も最新の重要なものが選定され,しかも文献内容のエッセンスが記され,自学自習に便利なように配慮されているのはありがたい。
◆卒後臨床研修の高い水準をカバー,日本のHarriet Laneに
同病院の臨床研修は,現在厚生労働省が考えている卒後臨床研修の1つのモデルにもなっている。
日本各地から意欲ある若い医師が同病院で研修を重ね,彼らが執筆陣に加わって数年後にはさらに内容が充実した第3版が出版されるものと期待したい。
本書は,日本の『The Harriet Lane Hand-book, The:A Manual for Pediatric House Officers(Johns Hopkins Hospital, Mosby)』に準えられている。元祖は初版以来半世紀を超えたが,この『小児科レジデントマニュアル』も版を重ね,洛陽の紙価を高められるよう祈念している。
書評者: 山城 雄一郎 (順大教授・小児科学)
沖縄県立中部病院では,いまだ米軍統治下の1967(昭和42)年の開院以来,ハワイ大学と提携して米国式の卒後研修を行なっている。今ではその研修終了者の中から教授や指導的上級医師を多数輩出しており,わが国有数のレベルの高い研修教育病院の1つであることは,今さら述べるまでもない。それ故,高いモチベーションを持った研修希望者が全国から押しかけ,選抜試験が行なわれている。講義などのため筆者は,過去に中部病院を何度か訪問した際に研修医と接する機会があり,彼らの充実した研修内容はよく承知している。
◆安心できる小児科最新情報,頼れるマニュアル
今回,沖縄県立中部病院小児科のレジデントマニュアルの第2版が出版され,書評を依頼された。編者の安次嶺馨副院長(米国小児科専門医)が序文で述べられておられるように,初版を一新した形の改訂マニュアルが生まれた。
初版も出版当時,本邦で出版されていたマニュアル本に追随を許さない勝れ物であった。
第2版は,初版の経験を基盤にその後の研修者と指導者の体験,学問の進歩,社会と医療情勢の変化などをも考慮して,記載項目を増やし,かつより詳細な内容となっている。その結果,記載内容がレベルアップされたが,決して情報の過剰感はなく,簡潔でわかりやすく感心するくらいむだな文章がない。急を告げる多忙な救急当直外来で研修医が本書の頁をチラッとめくって安心できる情報を得るのにちょうどよく,研修医の頼れるマニュアルになることは間違いない。
グローバルスタンダードの内容で,現時点での国際的な最大公約数的コンセンサスが反映されていて,若い医師の教育上も片寄った学説に引きずられてないので,安心して勧められる。この本を出版するまでに個々の執筆者がよく文献を読んで勉強し,全体のバランスを考えながら編者との間で相当活発な討論と綿密な打合せを重ねたことであろうと想像に難くない。common diseasesとcommon conditionsに対処できることがレジデント研修の主眼であるが,本書はもちろんこの点に重点をおいて編集されている。
大項目が「小児救急」,「小児疾患」,「新生児疾患」,「小児保健」,「検査・手技」,「検査基準値」そして「薬用量一覧」の7項目からなっている。
各大項目例えば「II.小児疾患」の中に「呼吸器」,「循環器」などの小項目があり,小項目中に各臓器のcommon diseasesやcommon conditionsが述べられている。
◆魅力的で秀逸な小児救急の記載
筆者の私的な観点から言うと,中でも「I.小児救急」にある全17項目の記載内容は,秀逸で魅力的でさえある。「発熱」,「痙攣」,「意識障害……」とcommon conditionsの小項目があり,まず一般的注意説明に続き,診断や検査のポイントそして治療の記載が続く。これには,minimum essentialsに加え執筆者の体験および中部病院小児科で蓄積された救急患者管理のノウハウがプラスアルファとして遺憾なく述べられている。とりわけ救急研修の充実を誇る中部病院の面目躍如たるところである。だらだらとした文章は避け,重要ポイントを簡潔に箇書きにして示してある。
1つのcommon conditionについての記載は,5―6頁に留めてあるが中身は濃い。治療に関しては,EBMを重視し本邦で慣用されている処置に対しても,効果が認められている物と不明の物とははっきりとしたコメントを付してあり,敬意を表する。
代表的な内外の参考文献を計2―3編紹介し,短いが適切なコメントもあり,さらなる勉強に役立つことを意識した配慮である。
患者家族への説明のポイントにも触れており,後々の訴訟トラブルなどを起こさないためのrisk management面的な点まで考慮されている。Side memoやinstructive caseは,研修の幅を持たせることに役立つと思うが,超短編読み物としても興味深い。中部病院研修のエッセンスが詰まった研修医必携の書である。筆者の所属する施設の研究医にももちろん勧めている。
めざせ!国際スタンダードの臨床研修
書評者: 小林 陽之助 (関西医大教授・小児科学)
◆必須のポイント―急性期ケアやコモン・ディジーズの治療・処置
「週刊医学界新聞」第2495号(2002年7月22日)のトップ頁を飾る座談会記事「〈国際スタンダードの臨床研修をめざす〉沖縄県立中部病院のアメリカ式臨床研修」をご覧になった読者も多いことと思う(もしまだなら,ぜひご一読いただければ幸いである)。
小児科医であり副病院長をお務めの安次嶺馨先生のご司会で,我那覇仁小児科部長はじめ小児科スタッフの方々が参加して,同病院の臨床研修の概要が主に小児科を中心に展開されている。その記事を拝読すれば,アメリカ式臨床研修をめざそうとすれば本マニュアルが生まれるにいたった背景,またその必要性が容易に理解されよう。
本書の特徴は,急性期ケアやコモン・ディジーズの治療・処置について,その場で役立つ,というのが大きなポイントである。 本書がまず小児救急の重要17項目,ついで小児疾患の配列で組まれていることからも,この方針がうかがわれる。さらに新生児疾患,小児保健にも多くの頁があてられ,小児・新生児医療に携わる医療従事者,コメディカルスタッフにも役立つよう工夫されている。
記述内容は要を得て簡潔,しかも必須事項は網羅されている。これは,執筆者が同小児科スタッフや研修修了者であることにもよるのであろう。しかしそれ以上に,同院の研修医教育の中で交わされる活発なディスカッションの蓄積により,何が必要かを十分熟知されているからこそ可能になったものと思われる。各項目末尾の参考文献も最新の重要なものが選定され,しかも文献内容のエッセンスが記され,自学自習に便利なように配慮されているのはありがたい。
◆卒後臨床研修の高い水準をカバー,日本のHarriet Laneに
同病院の臨床研修は,現在厚生労働省が考えている卒後臨床研修の1つのモデルにもなっている。
日本各地から意欲ある若い医師が同病院で研修を重ね,彼らが執筆陣に加わって数年後にはさらに内容が充実した第3版が出版されるものと期待したい。
本書は,日本の『The Harriet Lane Hand-book, The:A Manual for Pediatric House Officers(Johns Hopkins Hospital, Mosby)』に準えられている。元祖は初版以来半世紀を超えたが,この『小児科レジデントマニュアル』も版を重ね,洛陽の紙価を高められるよう祈念している。
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。