対談 私たちの看護管理実践
変えられるものを変える勇気を与えてくれる一冊
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日米のユニークな病院として知られる札幌麻生脳神経外科病院とワシントンD.C.にあるプロビデンス病院。そこで長年看護管理者として病院経営にも参画してきた2人が、医療の安全を主眼に、患者のニーズをどう探り応えてきたかを語る。時代の激しい変化に立ち向かい、自由な発想で困難を乗り越えてきたプロセスは読む者に勇気と力を与えてくれるだろう。
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はじめに 紙屋克子
序章 米国のプロビデンス病院とはこんな病院 住吉蝶子
第1章 人を育てるということ
第2章 スタッフの育成
第3章 管理者の育成
第4章 人権を守る
第5章 チーム医療の推進
第6章 21世紀の看護に向けて
終章 医療におけるリスクマネージメント
医療事故と看護組織管理 紙屋克子
リスクマネージメントと看護者の役割 住吉蝶子
おわりに 住吉蝶子
序章 米国のプロビデンス病院とはこんな病院 住吉蝶子
第1章 人を育てるということ
第2章 スタッフの育成
第3章 管理者の育成
第4章 人権を守る
第5章 チーム医療の推進
第6章 21世紀の看護に向けて
終章 医療におけるリスクマネージメント
医療事故と看護組織管理 紙屋克子
リスクマネージメントと看護者の役割 住吉蝶子
おわりに 住吉蝶子
書評
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看護管理者の3つの条件,知的な勇気とセンス,豊かな表現力
書評者: 西元 勝子 (固定チームナーシング研究所)
おもしろい。経験と理念に基づいた体験談は実におもしろい。あるべき論ではなく,著者2人の実践的看護管理論が満載されている。私は常日頃,管理は知的な勇気とセンスが決め手になると考えている。しかし,この本を読んで組織の管理者にはもう1つ能力が必要だと思った。それは,自己の信念をその体験を通して魅力的に仲間に伝えられる,豊かな表現力である。それがないと優れたリーダーシップはとれないと実感した。これらの条件を備えた2人の著者が,テニスコートで意気投合して日米の看護管理をテーマにラケットで打ち合っているような,今までにないムードの看護管理読本である。経験を話しながら夢を語り,日米双方の医療保険制度や医療組織の違いを述べながら2人の対話は続く。
◆現状分析から問題解決志向で論じる
管理の説明をする時に必要なことは,どのような現場でその看護管理が実践されたのかだが,この点がどの話の中にも出てくる。現状分析から問題解決志向で論じられていて納得できる。
著者の1人である住吉蝶子氏の勤務された米国のプロビデンス病院の現状が具体的なデータで説明される序章から始まる。ベッド数と職員数の割合など,日本の病院,勤務している病院と比較しながら,問題意識を持って批判的に読むと興味深い。
第1章「人を育てる」では,ヴィジョンの共有化をどのようにするかが,プロビデンス病院と紙屋克子氏が看護部長として勤務された札幌麻生脳神経外科病院での場合とで述べられている。プロビデンス病院では病棟婦長にスタッフナースの採用権(人事権)があり,現在教育の費用等もそれぞれの現場婦長(ナースマネジャー)が責任と権限を持って運営しているという。日本では沖縄県浦添市の浦添総合病院でも同様なことが実践されたと聞いたが,日本の多くの病院では看護部長には採用権はない。日本の雇用とローテーションの実状や人件費・人事権を持たない看護部の話など2人の話の中から,看護の展望をイメージして大いに刺激を受ける。
第2章「スタッフの育成」では,リーダーシップとコミュニケーションを中心に看護観・教育観が述べられている。看護界でも豊かな表現力を高く評価されている紙屋氏がコミュニケーション能力について語っている中で“自分自身の欠点を克服する”という小見出しのついた頁は感慨深い。
こうして第6章まで続くのであるが,どの章にも臨床看護現場で,今話題のテーマが盛り込まれている。読みやすさの1つは対話のテーマと小見出しのおもしろさである。例えば看護とコミュニケーションの項の“バイタル語,皮膚語ってわかりますか?”,管理と人材育成の項の“後継者育成のポイントは変化に対応できること”,変化を起こすの項の“1年後,3年後,5年後と段階を追って夢を実現する”などである。またカットが楽しい。
さらに終章「医療におけるリスクマネジメント」の資料1「患者の安全と組織看護管理」を紙屋氏が,資料2「リスクマネジメントと看護者の役割」を住吉氏が担当しているのも今,現場の管理者に参考になる。
書評者: 西元 勝子 (固定チームナーシング研究所)
おもしろい。経験と理念に基づいた体験談は実におもしろい。あるべき論ではなく,著者2人の実践的看護管理論が満載されている。私は常日頃,管理は知的な勇気とセンスが決め手になると考えている。しかし,この本を読んで組織の管理者にはもう1つ能力が必要だと思った。それは,自己の信念をその体験を通して魅力的に仲間に伝えられる,豊かな表現力である。それがないと優れたリーダーシップはとれないと実感した。これらの条件を備えた2人の著者が,テニスコートで意気投合して日米の看護管理をテーマにラケットで打ち合っているような,今までにないムードの看護管理読本である。経験を話しながら夢を語り,日米双方の医療保険制度や医療組織の違いを述べながら2人の対話は続く。
◆現状分析から問題解決志向で論じる
管理の説明をする時に必要なことは,どのような現場でその看護管理が実践されたのかだが,この点がどの話の中にも出てくる。現状分析から問題解決志向で論じられていて納得できる。
著者の1人である住吉蝶子氏の勤務された米国のプロビデンス病院の現状が具体的なデータで説明される序章から始まる。ベッド数と職員数の割合など,日本の病院,勤務している病院と比較しながら,問題意識を持って批判的に読むと興味深い。
第1章「人を育てる」では,ヴィジョンの共有化をどのようにするかが,プロビデンス病院と紙屋克子氏が看護部長として勤務された札幌麻生脳神経外科病院での場合とで述べられている。プロビデンス病院では病棟婦長にスタッフナースの採用権(人事権)があり,現在教育の費用等もそれぞれの現場婦長(ナースマネジャー)が責任と権限を持って運営しているという。日本では沖縄県浦添市の浦添総合病院でも同様なことが実践されたと聞いたが,日本の多くの病院では看護部長には採用権はない。日本の雇用とローテーションの実状や人件費・人事権を持たない看護部の話など2人の話の中から,看護の展望をイメージして大いに刺激を受ける。
第2章「スタッフの育成」では,リーダーシップとコミュニケーションを中心に看護観・教育観が述べられている。看護界でも豊かな表現力を高く評価されている紙屋氏がコミュニケーション能力について語っている中で“自分自身の欠点を克服する”という小見出しのついた頁は感慨深い。
こうして第6章まで続くのであるが,どの章にも臨床看護現場で,今話題のテーマが盛り込まれている。読みやすさの1つは対話のテーマと小見出しのおもしろさである。例えば看護とコミュニケーションの項の“バイタル語,皮膚語ってわかりますか?”,管理と人材育成の項の“後継者育成のポイントは変化に対応できること”,変化を起こすの項の“1年後,3年後,5年後と段階を追って夢を実現する”などである。またカットが楽しい。
さらに終章「医療におけるリスクマネジメント」の資料1「患者の安全と組織看護管理」を紙屋氏が,資料2「リスクマネジメントと看護者の役割」を住吉氏が担当しているのも今,現場の管理者に参考になる。
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