看護教育学研究
発見・創造・証明の過程

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看護教育学研究を行う研究者が研究を行う上で必要な知識と技術,研究に取り組む姿勢について解説。さらに,行われた研究が看護教育学の体系の中にどのように位置づけられるかを明確にするとともに,看護学教員が教授活動の自己評価,他者評価に活用できる5種類の測定用具も紹介されている。
舟島 なをみ
発行 2002年04月判型:B5頁:244
ISBN 978-4-260-33197-5
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 目次
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第1章 看護教育学研究の体系
 I. 看護教育学の理念と看護教育学研究
 II. 看護学教育研究の動向と看護教育学研究の課題
 III. 看護教育学研究の体系
 IV. 看護教育学研究に必要な倫理的配慮
第2章 看護教育学における理論開発に必要な研究方法論
 I. 看護概念創出法
 II. 看護教育学における測定用具の開発
 III. 看護における理論検証
第3章 看護教育学研究のための測定用具
 I. デモグラフィックデータを収集する
 II. 教授活動(教員行動)を測定する
 III. 授業過程を測定する

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看護教育学研究に必要な知識と技術を解説
書評者: 小川 妙子 (順天堂医療短大教授)
 看護学教員は,専門の看護学各領域の教育研究に取り組んでいる方も多いであろう。本書は,「看護教育学」と言う,「看護学各領域に普遍的に存在する要素である看護教育制度やカリキュラム,看護学教員や看護学生,看護学教育評価などを対象として研究を展開する学問」の研究に関する著作である。本書は,あらゆる看護学領域の実践者や教育者に共有できる普遍的な知識を生み出すために必要な知識,技術,態度を体系的に提示している。

◆ありのままの現実から理論を開発する姿勢が持つ説得力

 本書の第1の特徴は,1979年の国立大学唯一の看護教育学講座(千葉大学)開設以後の20余年にわたる看護教育学の研究成果の蓄積をもとに,要所に多様な研究成果の紹介がなされ,その結果に基づいた論述ゆえの説得力である。またその説得力は,著者の「看護実践や教育のありのままの現実から理論を開発する」と言う,一貫した姿勢からもきている。

 第2の特徴は,看護教育学研究の研究成果を,看護実践や教育に還元し,現実を改善するという理念から,開発した測定用具を読者が実際に実践に活用できるレベルまで,詳細に論述がなされていることである。

 本書は,3つの部分から構成されている。

 第1章は,看護教育学の目的達成のために,個々の研究が体系のどこに位置づけられるのか,基盤研究,応用研究,統合研究の意義と特徴が示されている。また,看護教育学研究に必要な倫理的配慮の指針と手続き,倫理的問題が示されている。

 第2章は,看護教育学の理論開発に必要な研究方法論について,独自に開発された「看護概念創出法」の目的と機能をはじめ,具体的展開が紹介されている。次に,看護教育学における現実適合性の高い測定用具の開発は,「看護学実習教授活動自己評価尺度」の実際の開発過程に沿って,理論的枠組みから信頼性・妥当性の検証の各段階について論述されている。さらに理論検証は,キング看護理論の検証について,詳細な文献検討と推考からの課題を提言している。

 第3章は,「看護教育学研究のための測定用具」について,5種類の測定用具を提示し,デモグラフィックデータ収集,教授活動の測定,授業過程評価のための測定用具の作成過程から活用方法を説明している。

◆知的刺激に満ちた看護教育学研究

 まさに本書は,そのタイトルが示すように,看護教育学の理論となる知識を発見し,創造し,検証する過程を,研究成果に基づいて緻密に展開している。同時に,「看護教育学」という看護学の中の後発学問が,看護教育学研究によってどのように体系化されていくのか,その道筋が見える,知的刺激に満ちた書である。看護実践や教育に携わる多くの方々が,本書に掲載された測定用具を実際に活用され,実践に役立てられることを確信し,お勧めしたい。

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