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チーム医療のための呼吸循環管理マニュアル

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専門的知識や技術がない若手の医師,あるいは最近の医学の進歩に戸惑いを感じている熟年の医師であっても,本書を参考にすればベッドサイドでスタッフとチームを組んで重症患者に対処できることを目的としたマニュアル。基礎的理論は手技遂行に必要な最低限の記述にとどめ,機器の使用法や手技を平易かつ具体的に記述した。
編集 塚本 玲三 / 相馬 一亥
発行 2002年01月判型:A5頁:200
ISBN 978-4-260-11991-7
定価 3,300円 (本体3,000円+税)
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  • 目次
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第1章 呼吸・循環不全の病態
 1 循環不全
 2 呼吸不全
第2章 呼吸・循環管理の基本手技
 1 一次救命処置
 2 二次救命処置
 3 気道分泌物の吸引法
 4 気管穿刺および気管切開
 5 胸腔穿刺およびドレーン挿入
 6 中心静脈ライン確保
 7 中心静脈ライン確保ができない場合の静脈確保(カットダウン)
 8 心膜腔穿刺,心膜腔ドレナージ
 9 開胸式心マッサージ
第3章 呼吸管理
 1 呼吸管理(酸素療法および人工呼吸管理)の意思決定
 2 酸素療法
 3 吸入療法
 4 マスクCPAP
 5 ベンチレータ人工呼吸
 6 非侵襲的な呼吸モニタリング
 7 侵襲的な呼吸モニタリング
 8 呼吸リハビリテーション
第4章 循環管理
 1 循環管理開始の意思決定
 2 非侵襲的な循環モニタリング
 3 侵襲的な循環モニタリング
 4 侵襲的な循環管理法
第5章 疾患別呼吸・循環管理の実際
 1 気管支喘息発作
 2 慢性閉塞性肺疾患の急性増悪
 3 神経・筋疾患
 4 溺水
 5 ARDS
 6 敗血症と多臓器不全(MOF)
 7 肺塞栓
 8 急性心不全
 9 心原性ショック

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チーム医療に不可欠の呼吸循環管理のエッセンス満載
書評者: 堀 進悟 (慶大助教授・救急部)
◆求められる医療のインフラストラクチャーの強化

 日本人の特性かもしれないが,個々の医療従事者の技量は優れていても,チーム医療は必ずしも得意ではない。そのために,さらに統合的な機能を求められる病院が,必ずしも市民の高い評価を得られない場合がある。診断・治療の進歩や医療需要の増加などのために医療の現場が過剰に忙しくなっていることが,基本的な医療の質を低下させる可能性が懸念される。医療にかかわる基本的な事項に関して,医師のみならずコメディカルを含めた医療従事者の教育,理解が均一ではないことが,無用の垣根を作り,この問題の解決をさらに困難にしている。将来を見据えて,今こそ医療のインフラストラクチャーを強化する必要がある。すなわち,医療従事者全体に対して,共通の理解の基に医療を行なうための教育を強化しなくてはならない。希望に燃えて医療の道に進んだ若人が,相応しい時期に必ずしもよい教育に恵まれず,相変わらず「一部のみに詳しい」医師,医療に積極的にかかわれないコメディカルが今日も作られ続けているのではないだろうか?

◆要領よくまとまっている呼吸循環管理の実際

 『チーム医療のための呼吸循環管理マニュアル』は,救急室や集中治療室で勤務する若い医師,コメディカルスタッフを対象として,呼吸循環管理に関して理解しておくべき知識と技量とを要領よくまとめた冊子である。編集者の塚本玲三氏は米国の呼吸器病学を本邦に導入され,また相馬一亥氏は北里大学救命センターで文字通り呼吸循環にかかわる重症患者の治療方針を指導されている専門医である。お二人ともに,若い医療者の教育に強い熱意を持たれ,項目を慎重に選定してこの本を作成された。さて,本書の内容は,「呼吸循環不全の病態」,「呼吸・循環管理の基本手技」,「呼吸管理」,「循環管理」,「疾患別呼吸循環管理の実際」と要領よく区分されている。研修医やコメディカルが救急室,あるいは集中治療室などで勤務する前に,あらためて本書に目を通すことによって,知識や治療手技のエッセンスを整理することができると思われる。大づかみに言えば,本書は救命に必要な知識と技術をまとめたACLS(Advanced Cardiac Life Support)の日本版,あるいは教育目標を提示したプログラムと言うことができるかもしれない。循環よりも呼吸管理に,救急室よりも集中治療室での医療に重点が置かれている点が,本書の特徴である。
 小冊子として読みやすく工夫されたために,この本の読者は記載された項目の個々について,理解が深まるとともにさらに疑問を持つ場合,あるいは物足りなく思う場合などもあるはずである。例えば,第2章の「開胸心マッサージ」の適応については,筆者も若干疑問を持たざるを得ない。しかし,この本をきっかけとして,読者と他のチームスタッフとの間に議論が生まれ,より深い理解につながることを期待したい。
いざ救命,医療スタッフに不可欠のポイントがいっぱい
書評者: 深澤 伸慈 (順大附属順天堂医院・吸入療法室)
現在の救命医療において,呼吸・循環の管理は不可欠です。また,安全で高度な医療を提供するためには,複数の医療スタッフが治療にかかわるチーム医療が必要です。

◆患者管理を系統的に幅広くアプローチ

 『チーム医療のための呼吸循環マニュアル』は,呼吸・循環不全の病態から始まり,この2面から患者管理を系統的に幅広くアプローチしています。しかも間欠的にまとめ上げられているため,臨床において必要または重要な項目を早く的確に把握することができます。そして救命処置や人工呼吸管理においては,フローチャートを使用することにより,より具体的な処置の方法を知ることができます。さらに臨床において必要な手技,医療機器については,写真または図解解説されてまとめられているため,治療方法,手技,使用される医療機器などを系統的に理解することができます。そして最後に疾患別呼吸・循環管理の症例をあげ,より具体的に学ぶことができる構成になっています。例えば,第3章の「呼吸管理」においては,「呼吸管理の意思決定」に始まり,「酸素療法」,「吸入療法」,「マスクCPAP」,「人工呼吸器」,「非侵襲的な呼吸モニタリング」,「侵襲的な呼吸モニタリング」,「呼吸リハビリテーション」の構成になっています。「人工呼吸器」の項については,「NPPV」より始まり,「人工呼吸器の選択」,「各人工呼吸器の特長と設定方法(NPPVも含む)」,「各モードの適応,効果,短所」,「トラブルシューティング」,「保守管理」,「ウィーニングのポイント」,「人工呼吸器の中止と抜管」,「人工呼吸管理のポイント(具体的な数値をあげて)」からなり,重要な項目がわかりやすく,探しやすく,箇条書きに解説されています。

◆本書を参考に重傷患者の呼吸・循環の管理を

 本書は,「患者に焦点を置き,本書を参考にしさえすれば,重傷患者の呼吸と循環の管理ができる」と著者が書かれているように,臨床における呼吸・循環管理のポイントを知るうえで,インデックス的なわかりやすいマニュアルとして評価が高いものと思います。またチーム医療を行なううえで大切な知識の共有という観点から,臨床工学技士,看護師,理学療法士など多くの医療スタッフの方々が呼吸・循環管理のポイントを理解するために参考になる著書であると考えられました。

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