眼の組織・病理アトラス
「眼の組織・病理アトラス」の集大成
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『臨床眼科』誌(医学書院発行)に約15年連載された「眼の組織・病理アトラス」の集大成。九州大学眼科学教室が連綿として蓄えてきた貴重な資料の大パノラマであり、長年待望された出版でもある。著者の長年のひたすらな努力の結実でもある本書は、学会にとっても大きな財産となるだろう。すべての眼科医に新鮮な感動を与えること必至。
著 | 猪俣 孟 |
---|---|
発行 | 2001年02月判型:B5頁:384 |
ISBN | 978-4-260-13772-0 |
定価 | 30,800円 (本体28,000円+税) |
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発生 結膜 角膜 前房隅角 緑内障 水晶体 硝子体・チン小帯 虹彩 毛様体 脈絡膜 ぶどう膜炎 網膜 網膜疾患 視神経 眼瞼・皮膚 涙腺 眼窩
書評
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貴重な眼病理学の知識の共有を実現した名著
書評者: 西田 輝夫 (山口大教授・眼科学)
正常組織の形や動きとともに,病的な状態での形態や機能の変化を知ることは,診断と治療の出発点となります。その意味で病理学は,私たち臨床医にとってきわめて大切なものですが,残念ながら眼科領域では,生検材料や剖検材料がなかなか手に入らず,十分な情報を自分では手に入れられないのが現状です。
◆見事な文章とともに生きる九大眼科学教室の知恵
猪俣孟教授は,九州大学医学部眼科学教室の伝統を継承され,わが国での眼病理学の領域を永年にわたってリードされてきました。このたびご退官されるのを機会に,1986年以来14年余りにわたり毎月,雑誌「臨床眼科」に掲載されてきた連載「眼の組織・病理アトラス」を立派な1冊の本にまとめあげられました。本書では,見開き2頁に1つの項目が見事にまとめられています。1冊の書物を最初の頁から通読することも大切ですが,興味ある部分から,あるいは日常診療で疑問に思ったところだけを読む,拾い読みも大切です。本書では,貴重な症例の写真を交えながら,光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡レベルでの代表的な美しい写真とともに明解で要領を得た記載により,1つひとつのトピックスについて学ぶことができます。簡潔な記述の中に大切な情報がすべて凝縮している,内容のきわめて濃いものです。九州大学医学部眼科学教室の永年の知恵が,篤学の猪俣教授による見事な文章とともにいきいきと生きていることを読者は感じられるでしょう。また,病理を理解するために必要な正常構造の記載にも多くの頁を割かれています。眼底検査や細隙灯顕微鏡検査により,私たち眼科医が毎日目にする病変の裏に,このようなミクロの世界の変化があることを学ぶことで,日々の診療がより深く楽しいものになることと思います。
情報化時代の現代,病理組織を得にくい眼科領域でこそ経験や知識を共有することの重要性は議論の余地がありません。また,遺伝情報の科学がいちじるしい進歩を見せるゲノムの時代だからこそ,細胞・組織レベルでどのような変化を示しているのかを知ることの重要性がかえって増しているのではないかと考えます。このような時に,1冊の書物として刊行された猪俣孟教授の『眼の組織・病理アトラス』は,わが国における貴重な眼病理学の知識の共有を実現した名著であり,今後長く標準的な教科書となることは疑いもありません。
歴史に残る畢生の名著
書評者: 河崎 一夫 (金沢大附属病院長・眼科教授)
一生を研究に捧げた学者の退任を飾るに最も相応しいのは,厚さを競う業績目録集でもなく,名士を連ねた記念講演会でもなく,ましてや豪華な祝賀会でもない。研究成果を著書として後世に残すことこそ最高の退任記念と願う教授は多いが,その実例は希有である。この難事を見事に成し遂げたのが,常日頃から深く尊敬する畏友猪俣孟教授である。
◆眼科医の願いを満たす快挙
本書は,10数年にわたる「臨床眼科」誌上の連載を端緒とする。実は,この連載の開始当時から,華麗とも言える見事な組織写真と眼科臨床を念頭に置いた的確な記載内容に深く感動し,「別冊2部を毎号送ってほしい」と猪俣教授に厚かましくもお願いした。以来,毎号欠かさず別冊2部が届けられた。2部はそれぞれ当眼科図書室と小生の自室の書架に綴じて備えてある。「臨床眼科」を毎号購読しながらも,別冊を入手してこれをまとめて綴じたいと思ったのは,とりもなおさずこの貴重な成果を1冊の書物として座右に常備したいとの願いに他ならない。今回の本書の刊行は,多くの眼科医のこの願いをあまねく満たす快挙である。
本書のずしりとした重みを楽しみつつ繙くと,特に網膜の正常構造の写真の美しさにしばし見惚れる。「真理は美しい」とはかの有名な科学者の至言であるが,その典型例をここに見る。眼科を志す者すべてがまず本書で眼の正常構造を学ぶべきである。
本書の真価への感動と賞賛は,「病眼の組織」に読み込んでますます高まる。光顕像・電顕像のみに留まらず,臨床診断にすぐに役立つように,それぞれの眼病に対応した眼底写真・外眼部写真まで添え,各項目ごとに臨床に直結した解説のみならず文献まで付し,しかも1項目あたり見開き2頁にまとめる読みやすさ,いずれも読者への著者の誠実で真摯な気配りには心底感服する。眼科専門医制度試験にも眼病理の問題が過去毎年出題されているので,この試験の受験勉強にも本書は不可欠であろう。
本書を近年稀にみる眼科医必読の書として,万感の確信と,この壮挙を成し遂げた九大眼科一門への深甚の感謝と敬意をもって,推挙する次第である。
書評者: 西田 輝夫 (山口大教授・眼科学)
正常組織の形や動きとともに,病的な状態での形態や機能の変化を知ることは,診断と治療の出発点となります。その意味で病理学は,私たち臨床医にとってきわめて大切なものですが,残念ながら眼科領域では,生検材料や剖検材料がなかなか手に入らず,十分な情報を自分では手に入れられないのが現状です。
◆見事な文章とともに生きる九大眼科学教室の知恵
猪俣孟教授は,九州大学医学部眼科学教室の伝統を継承され,わが国での眼病理学の領域を永年にわたってリードされてきました。このたびご退官されるのを機会に,1986年以来14年余りにわたり毎月,雑誌「臨床眼科」に掲載されてきた連載「眼の組織・病理アトラス」を立派な1冊の本にまとめあげられました。本書では,見開き2頁に1つの項目が見事にまとめられています。1冊の書物を最初の頁から通読することも大切ですが,興味ある部分から,あるいは日常診療で疑問に思ったところだけを読む,拾い読みも大切です。本書では,貴重な症例の写真を交えながら,光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡レベルでの代表的な美しい写真とともに明解で要領を得た記載により,1つひとつのトピックスについて学ぶことができます。簡潔な記述の中に大切な情報がすべて凝縮している,内容のきわめて濃いものです。九州大学医学部眼科学教室の永年の知恵が,篤学の猪俣教授による見事な文章とともにいきいきと生きていることを読者は感じられるでしょう。また,病理を理解するために必要な正常構造の記載にも多くの頁を割かれています。眼底検査や細隙灯顕微鏡検査により,私たち眼科医が毎日目にする病変の裏に,このようなミクロの世界の変化があることを学ぶことで,日々の診療がより深く楽しいものになることと思います。
情報化時代の現代,病理組織を得にくい眼科領域でこそ経験や知識を共有することの重要性は議論の余地がありません。また,遺伝情報の科学がいちじるしい進歩を見せるゲノムの時代だからこそ,細胞・組織レベルでどのような変化を示しているのかを知ることの重要性がかえって増しているのではないかと考えます。このような時に,1冊の書物として刊行された猪俣孟教授の『眼の組織・病理アトラス』は,わが国における貴重な眼病理学の知識の共有を実現した名著であり,今後長く標準的な教科書となることは疑いもありません。
歴史に残る畢生の名著
書評者: 河崎 一夫 (金沢大附属病院長・眼科教授)
一生を研究に捧げた学者の退任を飾るに最も相応しいのは,厚さを競う業績目録集でもなく,名士を連ねた記念講演会でもなく,ましてや豪華な祝賀会でもない。研究成果を著書として後世に残すことこそ最高の退任記念と願う教授は多いが,その実例は希有である。この難事を見事に成し遂げたのが,常日頃から深く尊敬する畏友猪俣孟教授である。
◆眼科医の願いを満たす快挙
本書は,10数年にわたる「臨床眼科」誌上の連載を端緒とする。実は,この連載の開始当時から,華麗とも言える見事な組織写真と眼科臨床を念頭に置いた的確な記載内容に深く感動し,「別冊2部を毎号送ってほしい」と猪俣教授に厚かましくもお願いした。以来,毎号欠かさず別冊2部が届けられた。2部はそれぞれ当眼科図書室と小生の自室の書架に綴じて備えてある。「臨床眼科」を毎号購読しながらも,別冊を入手してこれをまとめて綴じたいと思ったのは,とりもなおさずこの貴重な成果を1冊の書物として座右に常備したいとの願いに他ならない。今回の本書の刊行は,多くの眼科医のこの願いをあまねく満たす快挙である。
本書のずしりとした重みを楽しみつつ繙くと,特に網膜の正常構造の写真の美しさにしばし見惚れる。「真理は美しい」とはかの有名な科学者の至言であるが,その典型例をここに見る。眼科を志す者すべてがまず本書で眼の正常構造を学ぶべきである。
本書の真価への感動と賞賛は,「病眼の組織」に読み込んでますます高まる。光顕像・電顕像のみに留まらず,臨床診断にすぐに役立つように,それぞれの眼病に対応した眼底写真・外眼部写真まで添え,各項目ごとに臨床に直結した解説のみならず文献まで付し,しかも1項目あたり見開き2頁にまとめる読みやすさ,いずれも読者への著者の誠実で真摯な気配りには心底感服する。眼科専門医制度試験にも眼病理の問題が過去毎年出題されているので,この試験の受験勉強にも本書は不可欠であろう。
本書を近年稀にみる眼科医必読の書として,万感の確信と,この壮挙を成し遂げた九大眼科一門への深甚の感謝と敬意をもって,推挙する次第である。
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