眼感染症クリニック

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一時期克服したかに見えた感染症であるが、近年新しい病態も加わり注目度著しいものがある。眼感染症の世界も同様である。斯界の第一人者の編集、執筆による最新の眼感染症ハンドブック。臨床を中心に、基礎からわかりやすく記述されている。
編集 臼井 正彦 / 大橋 裕一 / 田川 義継 / 秦野 寛 / 林 皓三郎
発行 2000年11月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-13765-2
定価 21,450円 (本体19,500円+税)
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臨床の場ですぐに役立つ眼感染症の実用ガイド
書評者: 鬼木 信乃夫 (鬼木眼科医院長)
◆眼科におけるすべての感染症を網羅

 抗生物質・抗菌剤の出現により感染症は減少したと思っている方が多いのではなかろうか。しかし,人類が存在する限り感染症とのつきあいは絶えない。
 今回,医学書院から出版された『眼感染症クリニック』は,眼科におけるすべての感染症について懇切丁寧に解説され,その主な構成は,臨床像・治療薬・検査・基礎知識の4章から成り立っている。
 臨床像の章では,起炎菌からみた分類ではなく,眼組織を部位的にみた分類となっているのが特徴である。すなわち,眼瞼・結膜・角膜・強膜・ぶどう膜・視神経と眼筋・涙器の順に感染症とのかかわりを,きれいな付図と要領よくまとめられた付表をふんだんに使いながら説明している。また,各疾患での検査手順も親切で,忙しい開業医向けとじっくりと検査できる勤務医向けに分けているのも心にくい。

◆眼組織を部位別に分類して解説

 治療薬の章では,各種薬剤の作用機序がわかりやすく解説されており,検査の章では,材料採取の基本,および病原体の分離・同定から各種免疫学的検査の解釈まで,手とり足とり記述されている。
 基礎知識の章では,単なる形態,増殖伝播様式,感染病理のみなず,細菌と眼組織との親和性,ウイルスの再活性化,新しいウイルス(HHV-6/7)の紹介などもあり,とかく難解になりがちな細菌学やウイルス学の基礎がわかりやすく解説されている。
 このように,1つの起炎菌による眼感染症について,臨床像と治療法と検査法と基礎知識とをそれぞれに独立させているため4回も反復学習できるようになっている。
 従来も,眼感染症に関する成書は出版されたことはあるが,細菌性・ウイルス性・寄生虫性など起炎菌別分類によるものであった。今回の眼局所別分類はユニークで,開業医・勤務医・研修医の区別なく誰でも抵抗なく読めて,すぐ役に立つすばらしい眼感染症の解説書である。
 ところで,平成13年夏期に開催される日本眼科医会が企画した第42回生涯教育講座のテーマは「眼感染症-病原体別トレーニング」である。本書はまさに時宜を得た出版で,この講座の前後に合わせ読まれれば,生涯教育講座もさらに充実したものになると思う。

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