小児科学 第3版

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小児科専門医・研修医のためのリファレンスブックとして好評の書を、新たな編集・執筆体制により6年ぶりに改訂。総論部分は「重要な病態と小児科学に関連した重要事項」の章を新設するなど旧版の構成を大きく変更。臨床でみる疾患を網羅した各論部分も近年の小児科領域における進歩を踏まえ全面的に手を入れた。病態を中心としたカラーグラフも充実し、情報量は前版を大きく上回った最新版テキスト。
総編集 大関 武彦 / 近藤 直実
編集 内山 聖 / 杉本 徹 / 田澤 雄作 / 田村 正徳 / 原田 研介 / 福嶋 義光 / 松石 豊次郎 / 山口 清次 / 脇口 宏
発行 2008年04月判型:B5頁:1924
ISBN 978-4-260-00512-8
定価 30,800円 (本体28,000円+税)

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はじめに(第3版)

 『小児科学』は体裁と内容を一新し,ここに第3版として上梓する運びとなった。本書はこれまでわが国における最も信頼される小児科学のテキストブックにあげられてきた。第3版においてはより充実した最高の教科書を目標としたが,おおいに満足いただける形で完成できたと考えている。その理由としてはまず,最新の医学情報が十分なスペースで詳細にわかりやすく記載されていることがある。それに加え,日本のエビデンスに基づいて構成されていることもあげられる。小児医療は各国において疫学・病態から治療方針に至るまで差異が認められ,行政の施策や法規,学校や家庭などの社会的環境は,わが国の実態に即した記載が求められる。同時に医学の水準としては世界的にみて最新のレベルの知識が述べられている必要がある。
 本書の企画・編集そして執筆にあたっては,このような目的が達成できるよう各章の編集者および執筆者に十分に配慮いただき,必要により追加や修正を加えた。これにより日本の小児科学そして小児医療のための質の高い教科書が出来上がったといえる。米国をはじめ医学水準の高い国々には各国を代表する小児科学の定本がある。本書もわが国における代表的な小児科学の教科書として,読者諸氏にご評価いただけることを期待している。
 小児科学においては分子生物学の進歩を例にあげるまでもなく,遺伝子解析や遺伝子工学などにより,診断から治療に至るまで大きな進歩がもたらされた。のみならず小児科学に対する社会的要請としては救急医療,予防医学,虐待などへの対応,精神発達や心理疾患などを含め,ますます広い領域と多くの新たな疾患への対応が求められている。年齢的には出生前から成人期までのヒトの生涯全般を視野に入れる必要がある。これらに関連する膨大な情報を網羅し,かつわかりやすく集録するために,今版では活字やレイアウトに最新の形式を採用し,内容量を大幅に増やすとともに,読みやすい構成を行うことができた。
 本書はわが国における小児科学各領域のリーダーとして活躍中の先生方に分担編集をお願いし,第一線で研究・診療されている方々に執筆いただいた。第3版がこのように充実したのは,旧版からの経験と実績がその基盤にあり,また初版以来の編集および執筆にたずさわった皆様の努力に負うところが少なくない。医学書院の諸氏には長期間にわたり大変にお世話になった。総編集者としてこのような充実した仕事にかかわる機会を得たことを誇りに感じ,併せて関係各位に心より敬意と感謝の意を表したい。この書物が小児科学にたずさわる多くの皆様のお役に立つことを願っている。
 2008年3月
 総編集 大関武彦・近藤直実

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序 小児科学序論
1 小児の成長と発達
2 栄養
3 治療
4 小児保健
5 救急医療
6 重要な病態と小児科学に関連した重要事項
7 先天異常・遺伝疾患
8 先天代謝異常症,代謝疾患
9 新生児
10 感染症
11 免疫疾患
12 膠原病・自己免疫疾患
13 アレルギー疾患
14 呼吸器疾患
15 循環器疾患
16 消化器疾患
17 血液・造血器疾患
18 新生物・類似疾患
19 腎泌尿・生殖器疾患
20 女性医学
21 内分泌疾患
22 神経・筋疾患
23 精神疾患・心身医学的問題
24 眼科疾患
25 耳鼻科疾患
26 皮膚疾患
27 骨と関節の疾患
索引

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新知見も充実,さらに深く,幅広い内容に
書評者: 澤田 淳 (京府医大名誉教授・小児科学)
 『小児科学 第3版』は1924頁の分厚い教科書です。私も編集を担当した初版(1997年発行)の1680頁に比べ,約14%増え,執筆者も204名から350名に増えており,専門性が高められ,充実した内容の本になっています。執筆者は第一線の小児科開業医から大学医学部小児科学の臨床系教授のほか,社会学系,栄養学系,リハビリ関連,行政職の方まで,幅広く,深く専門性が高められています。世界的に有名な英文の小児科学教科書,通称『ネルソン小児科学』(Nelson's TEXTBOOK OF PEDIATRICS)に内容的には匹敵する教科書です。医学生にはちょっと重いけれど,研修医,修練医(後期研修医)には小児科全般の知識の詰まった宝石箱として,小児科専門医には,新知見を習得できる必読の書として座右に置いてほしいと思います。小児科以外の専門医には,自分の専門分野の知識と比較しながら小児科全般の知識の取得に役立てていただけるでしょう。

 また,学生時代に勉強したことがどのように変化してきたかを知るための百科事典的利用にも役立つでしょう。新しい疾患概念,病態の新知見,診断技術・治療の進歩を教えてくれ,学ぶことができます。きっと,時代とともに変化するスピードに驚かれることと思います。

 第3版では巻頭に16頁のカラーグラフがあり,代表的な疾患を目で見つけることができるようになるかもしれません。目次は27章に分かれ,初版の38章から一見縮小されたように見えますが,知識の分散を避け,うまくまとめられた結果と思われます。

 例えば,第1章「小児の成長と発達」では,小児,特に思春期の心理的,社会的な問題への対応として,家庭,友達,社会や受験勉強,情報化などとのかかわりなど,広範に記載されています。特に神経系の発達について,脳の分化・発達は「脳の時代」にふさわしく,よく分かるよう詳細に書かれています。

 第3章「治療」では,栄養,保温,安静や薬物療法,ターミナルケアまで広範で,各論では薬物,輸液,静脈栄養のほか透析治療や生物製剤(輸血)による問題点,移植・再生医療,遺伝子治療とまとめられ,治療時の心理の問題に至るまで医師のかかわりが書かれています。

 第6章では「重要な病態と小児科学に関連した重要事項」として,QOL,インフォームド・コンセントや医療・研究の倫理問題,電子カルテや新しい研修制度を含めた医学教育にまで及び,現在の小児科医療のあり方が社会的な問題として記載されています。

 第7章「先天異常・遺伝疾患」では基礎的部分を理解しやすく解説し,遺伝カウンセリングの意義にも及んでいます。そのほかにも,新生児,低出生体重児,多胎児の医療の現状や倫理対応の詳細,白血病や類似疾患,新生物・類似疾患の分子生物学を含めた新しい診断と治療の詳細,神経疾患の難解な病態が分かりやすく記載されているのはありがたいことです。さらに,近年,小児科でも急増し,大きな課題となっている精神疾患・心身医学的問題について,苦手な先生にも理解しやすく記載されています。小児科医に必要な他科疾患に役立つ記載もあり,他科に紹介すべき時期の判断に役立ちます。

 読んでみると,最近の小児科学の進歩のすごさに驚きを感じ,小説を読むより魅入られるでしょう。

 良い本です。ぜひとも,新しい知識の習得と整理に使ってほしいと思います。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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