米国精神医学会治療ガイドライン クイックリファレンス
米国の最新の治療スタンダードをコンパクトにまとめた1冊
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『米国精神医学会治療ガイドライン コンペンディアム』(医学書院刊)収載の治療ガイドラインのうち、「精神医学的評価法」を除く10のガイドラインを要約。フローチャートと図表のみで構成されており、治療の流れやポイントが初学者にも理解しやすい。米国の最新の治療スタンダードがコンパクトにまとめられているので、精神科専門医はもとより、心理職をはじめ精神医療に携わるコメディカル職にもお薦め。
著 | American Psychiatric Association |
---|---|
監訳 | 佐藤 光源 |
発行 | 2006年05月判型:A5頁:224 |
ISBN | 978-4-260-00246-2 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
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- 目次
- 書評
目次
開く
趣旨
はじめに
せん妄
アルツハイマー病と老年期の認知症
HIV/AIDS患者の精神医学的ケア
統合失調症
大うつ病性障害
双極性障害
パニック障害
摂食障害
境界性パーソナリティ障害
自殺行動の評価と精神医学的ケア
索引
はじめに
せん妄
アルツハイマー病と老年期の認知症
HIV/AIDS患者の精神医学的ケア
統合失調症
大うつ病性障害
双極性障害
パニック障害
摂食障害
境界性パーソナリティ障害
自殺行動の評価と精神医学的ケア
索引
書評
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標準化された精神科医療を習得・実践するために
書評者: 平安 良雄 (横浜市立大学大学院教授・精神医学)
米国精神医学会は精神科領域において最もよく経験する10の疾患や病態に関する治療ガイドラインを,臨床現場で手軽に用いられるようにまとめたクイックリファレンスを発行した。本書は東北福祉大学大学院の佐藤光源教授の監訳によって翻訳された日本語版である。
わが国の精神科医療においてこれまでしばしば指摘されてきたことに,診療医または診療施設間の診断や治療方針,家族への対応などにばらつきが大きいという問題があった。この原因として,医師の教育・研修・生涯教育に一定の基準がないこと,さらに,特定の疾患に対して標準化された治療ガイドラインの必要性が十分に理解されていないことなどがあった。ガイドラインに対しては,賛否両論があり,精神疾患の多様性を公式にのっとった治療方針で解決することはできないというのが反対理由の1つである。しかし,この反論はガイドラインの趣旨を誤解していると思う。
本書に目を通していただければ,前述の反論が的外れであることがよく理解できる。ガイドラインは一定の公式に基づいて治療することを意味するのではなく,多様な精神疾患の病態をさまざまな角度から評価し,診断し,治療方針を立て,治療効果を評価し,さらに,個々の患者さんに応じた支援や疾患管理教育の方針を,エビデンスに基づいてもれなく合理的に進めていく手法を提供するものである。したがって,ガイドラインを用いることで,誰が治療をしても同じプロセスを経て疾患や病態が評価され,基準に基づいた治療方針が策定されることになる。治療の実践に関しては,それぞれの施設の環境や地域の社会資源によって当然違いは出るが,ガイドラインを1つの理由として治療環境の整備を行政などに働き掛ける材料とすることもできる。
また,本書は評価・診断から治療そして社会資源を用いた介入までを簡潔にまとめてあるので,クリニカルパス策定などにも参考となる。医師が治療方針を作成するうえで,急性期の治療のみならず,安定期から社会復帰を見据えた治療計画を考慮する習慣をつけることができる。精神科医療の特徴であるチーム医療にも対応した治療の流れが明確で,学生・研修医をはじめコメディカルスタッフにも理解がしやすく,教育的にも有効である。ぜひ,本書を活用し,国際的な治療ガイドラインを理解,実践することで,患者さんや社会に標準化された精神科医療を提供するきっかけとしていただきたい。
書評者: 平安 良雄 (横浜市立大学大学院教授・精神医学)
米国精神医学会は精神科領域において最もよく経験する10の疾患や病態に関する治療ガイドラインを,臨床現場で手軽に用いられるようにまとめたクイックリファレンスを発行した。本書は東北福祉大学大学院の佐藤光源教授の監訳によって翻訳された日本語版である。
わが国の精神科医療においてこれまでしばしば指摘されてきたことに,診療医または診療施設間の診断や治療方針,家族への対応などにばらつきが大きいという問題があった。この原因として,医師の教育・研修・生涯教育に一定の基準がないこと,さらに,特定の疾患に対して標準化された治療ガイドラインの必要性が十分に理解されていないことなどがあった。ガイドラインに対しては,賛否両論があり,精神疾患の多様性を公式にのっとった治療方針で解決することはできないというのが反対理由の1つである。しかし,この反論はガイドラインの趣旨を誤解していると思う。
本書に目を通していただければ,前述の反論が的外れであることがよく理解できる。ガイドラインは一定の公式に基づいて治療することを意味するのではなく,多様な精神疾患の病態をさまざまな角度から評価し,診断し,治療方針を立て,治療効果を評価し,さらに,個々の患者さんに応じた支援や疾患管理教育の方針を,エビデンスに基づいてもれなく合理的に進めていく手法を提供するものである。したがって,ガイドラインを用いることで,誰が治療をしても同じプロセスを経て疾患や病態が評価され,基準に基づいた治療方針が策定されることになる。治療の実践に関しては,それぞれの施設の環境や地域の社会資源によって当然違いは出るが,ガイドラインを1つの理由として治療環境の整備を行政などに働き掛ける材料とすることもできる。
また,本書は評価・診断から治療そして社会資源を用いた介入までを簡潔にまとめてあるので,クリニカルパス策定などにも参考となる。医師が治療方針を作成するうえで,急性期の治療のみならず,安定期から社会復帰を見据えた治療計画を考慮する習慣をつけることができる。精神科医療の特徴であるチーム医療にも対応した治療の流れが明確で,学生・研修医をはじめコメディカルスタッフにも理解がしやすく,教育的にも有効である。ぜひ,本書を活用し,国際的な治療ガイドラインを理解,実践することで,患者さんや社会に標準化された精神科医療を提供するきっかけとしていただきたい。
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