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ボダージュ先生の医学英語論文講座

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本書は、東京大学医学教育国際協力研究センターで大好評だった“Scientific Writing”講義をよりわかりやすく再現したものである。Lesson 1では日本人が苦手とする科学的な論文構成について、Lesson 2ではまちがいやすい英語表現について、Lesson 3では執筆・投稿の手順について、具体例を挙げて解説。さらにLesson 4では実際の抄録添削例を紹介する。
ジョージ・ボダージュ(Georges Bordage)
大滝 純司 / 水嶋 春朔 / 當山 紀子
発行 2009年06月判型:A5頁:128
ISBN 978-4-260-00593-7
定価 2,750円 (本体2,500円+税)
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Getting Your Manuscript AcceptedPreface (Georges Bordage)/
推薦の序 (加我君孝)/はじめに (大滝純司)

Getting Your Manuscript AcceptedPreface
Writing for scientific publication is always demanding, especially when one is writing in a foreign language. The logic is not always the same across languages and cultures;the syntax varies;and the precise meaning of words is not always obvious. The purpose of this book is to provide Japanese authors with some practical advice about writing manuscripts for scientific publication and thus maximizing one's chances of getting the manuscripts accepted. The three chapters address in turn issues of (a) getting started by paying attention to the central message and importance of the study and manuscript, identification of the audience, and selection of an appropriate journal, (b) overcoming some English difficulties, including sentence and paragraph structure, and intricacies of English words and expressions, and (c) preparing the manuscript for submission. Writing is demanding and time consuming but the sense of accomplishment it provides is very satisfying and rewarding.

Georges Bordage, MD, PhD
Professor of Medical Education
College of Medicine
University of Illinois at Chicago

Honorary Research Fellow
International Research Center for Medical Education
University of Tokyo Graduate School of Medicine


推薦の序
 Bordage教授は,2004年4月に東京大学医学教育国際協力研究センターに,3代目の外国人客員教授として着任され,6か月の滞在の間,医学教育研究の指導にあたっていただきました。この東京大学医学教育国際協力研究センター(International Research Center for Medical Education:IRCME)は東京大学の中で20番目に発足したセンターです。
 まず,Bordage教授の前に着任された2人の教授の活躍ぶりをご紹介します。というのは,本書はその上の積み重ねの金字塔というにふさわしいテキストだからです。
 初代のInui客員教授(ハーバード大学教授)には,東京大学医学部の旧式の学部教育を改革するためのマスタープランを,小生を含む臨床系教授によるプロジェクトチームとともにまとめあげていただきました。これをもとに,30年ぶりに卒前教育の大改革が実行され,カリキュラムはすっかり新しくなりました。
 2代目のNoel教授(オレゴン大学教授)には,新しいカリキュラムの内容を充実させるために大きな貢献をしていただきました。例えば,クリニカル・クラークシップやチュートリアル教育,研修医教育までと幅広く,教育の実際を現代化する指導をしていただきました。そのお陰で現在の東京大学医学部の卒前教育があるといっても過言ではありません。
 Bordage教授には,前任の2人の先生の実績の上に積み重なる内容を,ユーモアを交えながら指導していただきました。教育の改革というものは,改革したことに安心するのではなく,それ自体を研究の対象として,計画を立て,データを統計的に評価し,実態を科学的に扱い,真実を明らかにし,次のステップを考えるようにという指導は新鮮でした。Bordage教授は臨床研究と医学教育研究の戦略とその成果を論文としていかにまとめて発表するか,センターのスタッフのために連続的にセミナーを開催し,医学教育研究について細かく議論する場を設けてくださいました。
 それと同時に,学内外に向けて,英語による論文発表の方法と医学教育研究についての公開セミナーを毎月開催していただきました。その内容は具体的で,初学者にとってもベテランの研究者にとっても大いに刺激されるもので,ぜひテキストとして出版することを,センター長の私自身が強く希望しました。当時のスタッフであった大滝純司先生,水嶋春朔先生,當山紀子先生の3人が私の意を酌んで翻訳を担当し,ここに約4年の歳月をかけて刊行の運びになったことは,Bordage先生と私の夢がついに実現したことであり,たいへん嬉しく思います。
 日本人や欧米人の著者による,論文や英文論文の書き方に関する本は多数あります。しかし,本書がこれまでのどの本とも違い,優れているのは,著者のBordage教授が日本人の英文論文の論理構成と英語の両方の弱点をよく理解した上での指導テキストであり,かつ本人が欧米で最高クラスの研究論文の書き方の指導者であることです。
 この本の出版を決めた医学書院医学書籍編集部に感謝申し上げます。
 本書が広く医学教育の座右の書として使われ,今まで以上に容易に研究を世界へ発信できるようになることを期待します。

 国立病院機構東京医療センター・臨床研究(感覚器)センター長
 東京大学名誉教授
 東京大学医学教育国際協力研究センター名誉センター長
 加我君孝


はじめに
 ジョージ・ボダージュ教授についてひと言で紹介するとすれば,「医学教育研究の大御所」ということになるでしょう。しかしこの本は,医学教育の研究をするための本ではありません。様々な領域で研究論文を英語で書きたいと考えている人のための本です。
 ボダージュ先生は,カナダのフランス語圏にある田舎町の雑貨屋に生まれ,バサースト大学理学部を卒業後,ラバル大学医学部で学ばれ,インターンを終えてケース・ウェスタン・リザーブ大学で生物統計学・情報科学の修士課程に進み,さらにミシガン州立大学で教育心理学の博士課程を修められ,その後は,医学教育領域の研究者として精力的な活動を続けておられます。1992年にはイリノイ大学シカゴ校の医学教育部門の教授となられ,同部門の修士課程の学科長(2003年まで)として運営にも尽力され,同部門を世界トップクラスの医学教育研究機関に育て上げました。
 主な研究テーマは,臨床推論に関する認知心理学的研究やその評価で,中でも“key features”の理論は,カナダの医師国家試験の理論的基盤として採用され,その質の高さが世界的に注目を集めています。2005年には米国の医学教育領域で最大の学術団体である米国医科大学協会(the Association of American Medical Colleges:AAMC)から同学会の最高栄誉であるAbraham Flexner Awardを授与されました。2006年秋に,New England Journal of Medicine誌に臨床推論の教育に関する総説(Bowen, JL:Educational Strategies to Promote Clinical Diagnostic Reasoning. N Engl J Med 355:2217‐25, 2006.)が掲載され,医学教育関係者の話題になりましたが,その総説で引用されていた研究論文23編のうち,ボダージュ先生が筆頭著者であるものが5編,二番目の著者であるものが3編含まれており,この領域の研究に先生がいかに貢献されてきたかがうかがえます。
 ボダージュ先生は医学教育領域の代表的な国際学術雑誌であるMedical Education誌の編集委員長を務める傍ら,幅広い領域の研究デザインや論文の書き方に関する教育活動も世界各国で展開しておられます。我々は,ボダージュ先生が2004年に東京大学医学教育国際協力研究センター(International Research Center for Medical Education:IRCME)に客員教授として半年間滞在された際に,その研究能力と指導能力のすばらしさに触れ,“Scientific Writing”の連続講義をしていただく機会に恵まれました。この本は,その講義の内容を翻訳し編集・加筆したものです。ボダージュ先生の,明快でわかりやすく,またユーモラスで情熱的で元気づけられるような講義の様子が,読者の皆様に少しでもお伝えできれば,そして英文での論文執筆の一助になれば幸いです。
 ボダージュ先生を招聘された当時のIRCMEでセンター長を務めておられた加我君孝先生には,推薦のお言葉をいただきました。また,医学書院の金井真由子さんには,企画の段階から出版まで,辛抱強く支援していただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 2009年5月 編集・翻訳者を代表して
 大滝純司

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推薦の序
はじめに
Introduction~連続講義は大好評!!

Lesson 1 論文を科学的に構成する5つのステップ
 Lesson 1 について
  1-1 メッセージは何か?:そのメッセージは誰のため?
  1-2 キーポイントは何か?:構造化抄録 Structured abstract
  1-3 タイトルのつけ方:トピック+メッセージ=タイトル
  1-4 誰が著者になれるか?:Who's an author?
  1-5 どのジャーナルに投稿するか?

Lesson 2 日本人のまちがいやすい英語表現を克服するポイント
 Lesson 2 について
  2-1 文の構造:Sentence structure
  2-2 パラグラフ:Paragraphs
  2-3 順序が重要
  2-4 日本人によくあるミス:7つのチェックポイント

Lesson 3 アクセプトされるための執筆・投稿のポイント
 Lesson 3 について
  3-1 書き始める前に
  3-2 下書き:何度も下書きをしよう
  3-3 磨きをかける
  3-4 親しい人に批判してもらう:Friendly critique
  3-5 査読者(reviewer)の好き嫌い
  3-6 アクセプトされるための4つの理由
  3-7 編集者(editor)は何を求めているか?
  3-8 投稿前の確認チェックリスト
  3-9 投稿後の流れ
  付録 文字数がオーバーした時のアブストラクトの縮め方

Lesson 4 ボダージュ先生の添削教室
 Lesson 4 について
  例題1
  例題2
  例題3

索引

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良い論文作成のための手引きとなる重要なエッセンス
書評者: 新保 卓郎 (国立国際医療センター研究所医療情報解析研究部長)
 今やあまたのコミュニケーション技術が利用され,個人は多数の表現手段で社会とつながっている。論文を作成するというのも,一つのコミュニケーションの手段であろう。自分の経験や思考を自分の中だけにとどめず,皆が共有できる情報として伝えていく。

 また,論文を書くことそのものが,コミュニケーション技能を磨くための重要な医学研修の方法であろう。論文を書こうと思えば,読者の思考の流れに思いをはせなければまとめることができない。この方法の習得に,近道はないものと思われる。多数の医学文献を読み,論文作成の経験を積み,同僚や上司から指摘を繰り返し受け,多数のreject letterを積み重ねて,修得されるものであろう。

 しかし,手引きがあればありがたい。本書はこのような論文作成の優れた手引書である。ポイントが簡潔に整理され,まとめられている。恐らく半日で読み終える分量であろう。その中に重要なエッセンスが多数盛り込まれている。

 著者のボダージュ先生は,東京大学医学教育国際協力研究センターに3代目の客員教授として来日された。ご自身が診断推論に関して重要な報告を多数なされており,また医学教育の領域では重要な雑誌であるMedical Education誌の編集委員長である。このため日本人に何を伝えればよいのか,詳しい。

 本書に記載されている内容は,論文の構成,英語の用い方,査読者・編集者がどのような点を評価するかなどについての解説である。いずれも論文をまとめる時点では知っておくべき重要なトピックスである。一読すれば,自分でも何とか論文が書けるような気になる,また英語論文の記載に関する教科書をさらに読んでみたいと思う入り口となる書である。

 自分が本書を読んだのは,ちょうど一つの論文を執筆中の時期であった。立ち止まって自分の技量を見直すためのツールとなった。脱稿時に本書のチェックリストを用いれば,自信を持って書き終えたと判断できるであろう。

 臨床医にとって論文作成にかけられる時間は極めて限定されており,時には私的な時間を削ってこれに充てる。それだけに効率的に実施したい。英語は専門業者に依頼すれば校正はしてくれる。しかしなるべく正しい英語で原文を作成して校正を依頼するほうが,誤解も少なく,完成度も高まる。

 良い論文作成のためには,幾つかのポイントがあることを本書は教えてくれる。

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