成人看護学[13]
眼 第15版
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- 眼科疾患の看護に必要となる、解剖生理や病態、疾患の医学的知識を豊富に記述しています。臨床現場に即した内容となっているので、卒後までご活用いただけます。
- 序章では、網膜剝離をおこした男性の事例を取り上げています。講義の導入にお使いいただくことで、読者が患者像をイメージできるようにしています。
- 第2章から第5章では、眼疾患をもつ患者の看護の展開に必要とされる医学的な知識を解説しています。検査方法・器具、眼底検査所見といった眼科特有の内容を、豊富な図解と写真でわかりやすく示しています。
- 第6章では、冒頭で緑内障患者の事例をもとに経過別の看護を確認し、さらに看護過程に沿った具体的な看護を学んでいきます。
- 第7章では「緑内障患者の看護」と「糖尿病網膜症患者の看護」の事例をもとに、より具体的な患者像を対象として看護過程の展開を学びます。
- 視覚障害者の日常生活における見え方をシミュレーションした動画、歩行介助の方法を解説した動画に加え、点眼時・軟膏点入時の看護についての動画なども追加しました。
- 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-専門分野 |
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執筆 | 大鹿 哲郎 / 平井 明美 |
発行 | 2025年01月判型:B5頁:232 |
ISBN | 978-4-260-05680-9 |
定価 | 2,200円 (本体2,000円+税) |
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序文
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はしがき
発刊の趣旨
1967年から1968年にかけて行われた看護学校教育課程の改正に伴って,新しく「成人看護学」という科目が設けられた。
本教科のねらいとするところは,「看護の基礎理論としての知識・技術・態度を理解し,これを応用することによって,病気をもつ人の世話あるいは健康の維持・増進を実践・指導し,看護の対象であるあらゆる人の,あらゆる状態に対応していくことができる」という,看護の基本的な理念を土台として,「成人」という枠組みの対象に対する看護を学ぶことにある。
したがって,看護を,従来のように診療における看護といった狭い立場からではなく,保健医療という幅広い視野のなかで健康の保持・増進という視点においてとらえ,一方,疾患をもった患者に対しては,それぞれの患者が最も必要としている援助を行うという看護本来のあり方に立脚して学習しなければならない。
本書「成人看護学」は,以上のような考え方を基礎として編集されたものである。
まず「成人看護学総論」においては,成人各期の特徴を学び,対象である成人が,どのような状態のもとで正常から異常へと移行していくのか,またそれを予防し健康を維持していくためには,いかなる方策が必要であるかを学習し,成人の全体像と成人看護の特質をつかむことをねらいとしている。
以下,「成人看護学」の各巻においては,成人というものの概念を把握したうえで,人間の各臓器に身体的あるいは精神的な障害がおこった場合に,その患者がいかなる状態におかれるかを理解し,そのときの患者のニーズを満たすためにはどのようにすればよいかを,それぞれの系統にそって学習することをねらいとしている。
したがって,「成人看護学」の学習にあたっては,従来のように診療科別に疾病に関する知識を断片的に習得するのではなく,種々の障害をあわせもつ可能性のある1人ひとりの人間,すなわち看護の対象としての人間のあらゆる変化に対応できる知識・技術・態度を学びとっていただきたい。
このような意味において,学習者は対象の健康生活上の目標達成のために,より有効な援助ができるような知識・技術を養い,つねに研鑽を続けていかなければならない。
以上の趣旨のもとに,金子光・小林冨美栄・大塚寛子によって編集された「成人看護学」であるが,日進月歩をとげる医療のなかで,本書が看護学の確立に向けて役だつことを期待するものである。
カリキュラムの改正
わが国の看護・医療を取り巻く環境は,急速な少子高齢化の進展や,慢性疾患の増加などの疾病構造の変化,医療技術の進歩,看護業務の複雑・多様化,医療安全に関する意識の向上など,大きく変化してきた。それに対応するために,看護教育のカリキュラムは,1967年から1968年の改正ののち,1989年に全面的な改正が行われ,1996年には3年課程,1998年には2年課程が改正された。さらに2008年,2020年にも大きく改正され,看護基礎教育の充実がはかられるとともに,臨床実践能力の強化が盛り込まれてきた。
改訂の趣旨
今回の「成人看護学」の改訂では,カリキュラム改正の意図を吟味するとともに,1999年に発表され,直近では2022年に改定された「看護師国家試験出題基準」の内容をも視野に入れ,内容の刷新・強化をはかった。また,日々変化する実際の臨床に即し,各系統において統合的・発展的な学習がともに可能となるように配慮した。
序章「この本で学ぶこと」では,事例を用いて,これから学ぶ疾患をかかえた患者の姿を示した。また,本書で扱われている内容およびそれぞれの項目どうしの関係性が一見して把握できるように,「本書の構成マップ」を設けている。
第1章「眼の看護を学ぶにあたって」では,系統別の医療の動向と看護を概観したあと,患者の身体的,心理・社会的特徴を明確にし,看護上の問題とその特質に基づいて,看護の目的と機能が具体的に示されている。
第2~5章では,疾患とその医学的対応という視点から,看護の展開に必要とされる医学的な基礎知識が選択的に示されている。既習知識の統合化と臨床医学の系統的な学習のために,最新の知見に基づいて解説されている。今改訂では第5章の冒頭に「A.本章で学ぶ眼疾患」を新設し,第5章で学習する疾患の全体像をつかめるように工夫をこらした。
第6章「患者の看護」では,第1~5章の学習に基づいて,経過別,症状別,検査および治療・処置別,疾患別に看護の実際が提示されている。これらを看護過程に基づいて展開することにより,患者の有する問題が論理的・総合的に理解できるように配慮されている。とくに経過別については「A.疾患をもつ患者の経過と看護」として,事例を用いて患者の姿と看護を経過別に示すとともに,それらの看護と,疾患別の看護などとの関係を示してある。
第7章「事例による看護過程の展開」では,1~3つの事例を取り上げ,看護過程に基づいて看護の実際を展開している。患者の有するさまざまな問題を提示し,看護の広がりと問題解決の過程を具体的に学習できるようにしている。
また,昨今の学習環境の変化に対応するために,成人看護学においても積極的に動画教材を用意し,理解を促すようにした。
巻末には適宜付録を設け,各系統別に必要となる知識を整理し,学習の利便性の向上をはかっている。
今回の改訂によって看護の学習がより効果的に行われ,看護実践能力の向上,ひいては看護の質的向上に資することをせつに望むものである。ご活用いただき,読者の皆さんの忌憚のないご意見をいただければ幸いである。
2024年11月
著者ら
目次
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序章 この本で学ぶこと (平井明美)
眼疾患をもつ患者の姿
本書の構成マップ
第1章 眼の看護を学ぶにあたって (平井明美)
A 医療の動向と看護
B 患者の特徴と看護の役割
1 身体的な問題とその援助
2 心理・社会的な問題とその援助
3 家族への援助
第2章 眼の構造と機能 (大鹿哲郎)
A 眼球
1 角膜・強膜
2 ぶどう膜
3 網膜
4 水晶体
5 硝子体
6 前房・後房
B 視神経・視路
C 眼球付属器
1 眼瞼
2 結膜
3 涙器
4 眼筋
5 眼窩
第3章 症状とその病態生理 (大鹿哲郎)
A 視機能に関連した症状
B 視機能に関連しない症状
第4章 検査と治療・処置 (大鹿哲郎)
A 診察と診断の流れ
B 検査
1 視力検査
2 コントラスト感度検査
3 屈折検査
4 開瞼法
5 眼瞼反転法
6 細隙灯顕微鏡検査
7 前眼部三次元画像解析
8 眼底検査
9 眼底画像診断
10 眼圧検査
11 隅角検査
12 瞳孔検査
13 眼球突出検査
14 涙液分泌検査
15 視野検査
16 色覚検査
17 調節力検査
18 眼位検査
19 眼球運動・輻湊・複視の検査
20 両眼視機能検査
21 網膜電図(ERG)検査
22 超音波検査
23 放射線診断
C 治療・処置
1 点眼法
2 洗眼法
3 眼帯
4 注射
5 涙囊洗浄,プロービング,涙道内視鏡による診療
6 光凝固
7 冷凍凝固
8 屈折矯正
9 視能矯正
10 義眼
11 麻酔
12 手術
第5章 疾患の理解 (大鹿哲郎)
A 本章で学ぶ眼疾患
B 機能の障害
1 屈折の異常
2 調節の異常
3 色覚の異常
4 弱視
5 眼位・眼球運動の異常
C 部位別の疾患
1 眼瞼の疾患
2 結膜の疾患
3 涙器の疾患
4 角膜の疾患とその手術
5 強膜の疾患
6 ぶどう膜の疾患
7 網膜・硝子体の疾患と手術
8 水晶体の疾患と手術
9 緑内障とその手術
10 眼球・眼窩の疾患
11 視神経・視路の疾患
D 外傷
1 化学的損傷
2 異物
3 裂傷
4 打撲
5 熱傷
6 物理的損傷
E 全身疾患との関連
第6章 患者の看護 (平井明美)
A 疾患をもつ患者の経過と看護
B 症状に対する看護
1 視力障害のある患者の看護
2 視野異常のある患者の看護
3 夜盲のある患者の看護
4 複視のある患者の看護
5 飛蚊症のある患者の看護
6 虹視症のある患者の看護
7 充血のある患者の看護
8 流涙のある患者の看護
9 眼脂のある患者の看護
10 羞明のある患者の看護
11 異物感のある患者の看護
12 瘙痒感のある患者の看護
13 眼痛のある患者の看護
C 診察時の看護
1 診察室の整備
2 検査・処置・診察時の一般的看護
3 患者誘導・介助法
D 検査を受ける患者の看護
1 視力検査を受ける患者の看護
2 細隙灯顕微鏡検査を受ける患者の看護
3 眼底検査を受ける患者の看護
4 蛍光眼底造影検査・デジタル眼底検査を受ける患者の看護
5 光干渉断層計(OCT)検査を受ける患者の看護
6 眼圧検査を受ける患者の看護
7 涙液分泌検査を受ける患者の看護
8 視野検査を受ける患者の看護
E 治療・処置を受ける患者の看護
1 点眼法を受ける患者の看護
2 眼軟膏注入を受ける患者の看護
3 洗眼法を受ける患者の看護
4 眼帯を貼用する患者の看護
5 注射を受ける患者の看護
6 涙囊洗浄,プロービングを受ける患者の看護
7 光凝固を受ける患者の看護
8 屈折矯正をする患者の看護
9 義眼を装着する患者の看護
10 球後麻酔を受ける患者の看護
11 麦粒腫・霰粒腫切開を受ける患者の看護
F 手術を受ける患者の看護
1 手術前の看護
2 手術後の看護
G 疾患をもつ患者の看護
1 白内障の患者の看護
2 緑内障の患者の看護
3 網膜剝離の患者の看護
4 糖尿病網膜症の患者の看護
5 斜視の患者の看護
6 角膜移植を受ける患者の看護
7 眼外傷の患者の看護
8 フォークト-小柳-原田病の患者の看護
9 感染性疾患患者の看護
H 継続看護
I 失明をした患者の看護
J ロービジョンケア
第7章 事例による看護過程の展開 (平井明美)
A 緑内障患者の看護
1 患者についての情報
2 看護過程の展開
3 事例のふり返り
B 糖尿病網膜症患者の看護
1 患者についての情報
2 看護過程の展開
3 事例のふり返り
眼科領域でよく用いられる略語
動画一覧
索引
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