救急看護学 第7版
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- 救急看護領域の第一線で活躍する著者陣を迎え、救急場面における「看護」独自の視点を盛り込んだテキストです。
- 救急看護は救命救急センターやERなどでのみ行われるものではなく、すべての看護職者が実施者であるとの考えのもと、3次救急だけにかたよらず、1次・2次救急やプレホスピタル、地域医療や災害医療についても紙面を割きました。
- 救急看護において重要なポイントの1つであるアセスメント方法・処置の流れを、わかりやすくていねいに解説しています。
- 救急場面でとくに看護師に求められる患者やその家族の理解とケアについても、充実した解説を心がけました。
- 第7版では、地域・在宅医療との連携やチーム医療の視点、エンドオブライフケア、意思決定支援を含む終末期看護、感染症への対応などについて、これまで以上に充実させました。
- 基礎教育での学習にはもちろん、臨床に出てからも十分にご活用いただける内容となっています。
- 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
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- 序文
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序文
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はしがき
救急医療は医の原点ともいわれる。われわれ人類は先史時代から,急病やけがに対して薬草や祈祷(きとう),傷の手当てなどを施してきた。こうした行為は,古代の救急処置そのものであって,現在の医療へとつながる治療とケアのはじまりととらえることができる。救急処置に始まる現代医療は,疾病や外傷を治すだけでなく,病気を予防し健康の維持と促進を目ざすようになった。昨今の救急医療でも,最初の処置である医療の「入り口」だけではなく,治療後の継続医療や地域医療への橋渡しなどの「出口」にも目が向けられるようになった。これは,諸外国に例をみないスピードで高齢化が進むわが国の医療構造の変化を反映したものでもある。また,傷病者の命を救い社会復帰に導くための一連の流れである「救命の連鎖」において,「心停止の予防」が位置づけられ,救急医療における疾病予防も重要視されるようになった。このように,医の原点として出発した救急医療は,最初の救急処置を主体としながらも,予防から社会復帰までの幅広い視野をもつようになった。
救急看護は,救急医療の変化を受けてその役割が拡大してきた。かつて,救急看護とは,救急病院の初療室や救急外来での看護とみなされてきたが,プレホスピタルケアでの活動,災害急性期の看護,一般市民への救急処置と急病予防の教育などの役割も担うようになった。さらに,地域包括ケアシステムにおける救急看護の果たす役割についても議論されるようになった。また,医療におけるタスクシフト・タスクシェアが推進され,業務の移管と共同化が進められるようになり,救急看護師の役割にも影響を及ぼすようになった。それに伴い,救急看護の専門性も掘り下げられ,役割が拡大するだけでなく役割の深化が進んでいる。
本書の基本的コンセプトは,救急看護はすべての看護職が学ぶべきものという考えのもと,看護師として知っておくべき救急看護の知識と技術を解説するというものである。何度か改訂を重ねてきたが,このコンセプトはかわっていない。加えて,救急看護の拡大する役割にこたえ,救命救急センターや救急病院での救急看護の展開だけでなく,プレホスピタルケア,院内救急,災害救急,在宅看護領域での救急,学校保健や産業保健における救急などにも言及している。
本書は,看護の初学者の学習に適したテキストであるとともに,拡大と深化が進む救急看護の役割を専門的な視点で解説したテキストでもある。救急看護の基礎から臨床実践へと応用できる知識と技術を,本書から学び取ってほしい。
2023年11月
著者を代表して
山勢博彰
目次
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第1章 救急看護の概念 (山勢博彰・増山純二・山勢善江)
A 救急看護とは
1 救急看護の定義と役割
2 救急看護師と救急看護の専門性
3 救急看護の課題と展望
B 救急医療体制
1 わが国の救急医療体制
2 諸外国の救急医療体制
C 救急看護の場
1 プレホスピタルケア(病院前救護)
2 インホスピタルケア
3 災害医療
4 地域医療
D 救急看護と法的・倫理的側面
1 関連法規と救急看護
2 倫理面への配慮
第2章 救急看護の対象の理解 (山勢博彰・山勢善江)
A 救急患者の特徴
1 救急出動件数からみた特徴
2 患者背景の特徴
3 発症様式と病態の特徴
4 心理的特徴
B 救急患者家族の特徴
1 家族システムへの影響
2 心理・社会的特徴
3 家族のニーズ
第3章 救急看護体制と看護の展開 (菅原美樹・福島綾子・石川幸司・山勢善江・山田裕紀)
A 初期・第二次救急医療における対応
1 看護体制
2 看護の展開
B 第三次救急医療における対応
1 看護体制
2 看護の展開
C 災害時における対応
1 救急看護に求められる災害時の対応
2 看護の展開
3 他機関多職種との連携
D 院内急変時における対応
E 終末期における対応
1 看護師の役割と対応
2 連携システム
3 脳死への対応
F 在宅療養における対応
1 在宅療養をめぐる状況
2 看護の展開
G 学校保健における対応
第4章 救急患者の観察とアセスメント (冨岡小百合・清村紀子・坂口達哉・平尾明美・菅原美樹・須田果穂・山勢博彰)
A 周囲の状況確認と感染予防対策
1 初療場面における周囲の状況確認と感染予防対策
2 院内急変時における周囲の状況確認と感染予防対策
3 在宅急変時における周囲の状況確認と感染予防対策
4 学校や産業の場での救急時における周囲の状況確認と感染予防対策
5 急性感染症(インフルエンザ,COVID-19など)の対応における周囲の状況確認と感染予防対策
B 全身の概観の観察とアセスメント
1 救急の場におけるフィジカルアセスメント
2 全身の概観の観察とアセスメントの方法
C 緊急検査
1 血液の検査
2 尿検査
3 感染症に関連した検査
4 生理機能検査
5 画像検査
D 脳・神経系
1 脳・神経系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
E 呼吸器系
1 呼吸器系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
F 循環器系
1 循環器系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
G 消化器系
1 消化器系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
H 泌尿器・生殖器系
1 泌尿器・生殖器系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
I 筋・骨格系
1 筋・骨格系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
J 内分泌・代謝系
1 内分泌・代謝系の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
K 精神状態
1 精神状態の観察とアセスメント
2 随伴症状の観察とアセスメント
第5章 主要病態に対する救急処置と看護 (佐藤憲明・平尾明美・菅原美樹・須田果穂・清村紀子・石川幸司・増山純二・坂口達哉・山勢善江・山勢博彰)
A 心肺停止状態への対応
1 一次救命処置(BLS)
2 二次救命処置(ALS)
3 小児の心肺蘇生
B 意識障害への対応
C 呼吸障害への対応
D ショック・循環障害への対応
E 急性腹症への対応
F 泌尿器・生殖器障害への対応
1 腰背部痛
2 尿閉
3 血尿
4 不正性器出血
G 体液・代謝異常への対応
1 脱水・溢水
2 カリウムバランスの異常
3 血糖の異常
H 感染症への対応
1 敗血症
2 破傷風
3 ウイルス性呼吸器感染症
I 体温異常への対応
1 熱中症
2 悪性高熱症
3 悪性症候群
4 低体温症
J 外傷への対応
K 熱傷への対応
L 中毒への対応
M 溺水への対応
N 刺咬症への対応
O 精神症状への対応
第6章 救急時の看護技術 (山田裕紀・冨岡小百合・佐藤憲明・立野淳子)
A 救急患者の搬送
1 ストレッチャーでの移送
2 担架での搬送
B 止血法
1 直接圧迫止血法
2 間接圧迫止血法
3 止血帯法
4 鼻出血の止血
5 耳出血の止血
C 酸素投与
D 人工呼吸
E 気管切開
F 吸引
1 口腔・鼻腔内吸引
2 気管内吸引(気管吸引)
G 血管確保
1 末梢静脈血管確保
2 中心静脈ライン確保
H 輸液と輸血
1 輸液
2 輸血
I 心電図モニター
J 観血的動脈圧モニター
K 膀胱内留置カテーテル
L 胃管挿入・胃洗浄
M 穿刺
1 胸腔穿刺
2 胸腔ドレナージ
3 心囊穿刺
4 腹腔穿刺
5 腰椎穿刺
N 整復固定と牽引
1 整復固定
2 牽引
O 創傷処置
P 開胸心マッサージ
第7章 救急時に使用される医薬品 (伊勢雄也)
A 救急時の医薬品使用時の注意点
B 救急時に使用するおもな医薬品
1 昇圧薬
2 降圧・冠血管拡張薬
3 抗不整脈薬
4 抗てんかん薬
5 鎮静薬
6 筋弛緩薬・拮抗薬
7 鎮痛薬
8 止血薬(特異的中和薬)
9 その他の救急医薬品(利尿薬,電解質製剤)
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