成人看護学[4]
血液・造血器 第16版

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  • 序章では、白血病の患者の事例を取り上げ、本書で学ぶことが具体的にイメージできるようになっています。
  • 治療については最新の動向までをカバーし、看護学生として知っておくべき要点をまとめました。
  • 疾患の解説は一新され、図表も多く取り入れることで、基礎的な理解から臨床での考え方までをわかりやすく整理しました。
  • 看護については、最新の治療の動向をふまえ、化学療法の外来看護とセルフケア指導についての説明、造血幹細胞移植のドナーの看護などが充実した内容となっています。
  • 第6章「患者の看護」のA節「疾患をもつ患者の経過と看護」では、1人の白血病患者の事例について、発症から治療、そして再発までの経過を連続的に示し、健康レベルの変化に応じた看護の移行とつながりがみえるようにしました。
  • 造血器腫瘍や先天性疾患への看護など、系統に特徴的な患者への看護の要点について、必要な知識をまとめています。
  • 治療や病態をイメージできるよう、アニメーション動画を新たに収載します。
  • 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門分野
執筆 飯野 京子 / 鈴木 隆浩 / 清水 陽一 / 長岡 波子 / 森 文子
発行 2024年01月判型:B5頁:264
ISBN 978-4-260-05306-8
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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    2024.10.16

  • 序文
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はしがき

発刊の趣旨
 1967年から1968年にかけて行われた看護学校教育課程の改正に伴って,新しく「成人看護学」という科目が設けられた。
 本教科のねらいとするところは,「看護の基礎理論としての知識・技術・態度を理解し,これを応用することによって,病気をもつ人の世話あるいは健康の維持・増進を実践・指導し,看護の対象であるあらゆる人の,あらゆる状態に対応していくことができる」という,看護の基本的な理念を土台として,「成人」という枠組みの対象に対する看護を学ぶことにある。
 したがって,看護を,従来のように診療における看護といった狭い立場からではなく,保健医療という幅広い視野のなかで健康の保持・増進という視点においてとらえ,一方,疾患をもった患者に対しては,それぞれの患者が最も必要としている援助を行うという看護本来のあり方に立脚して学習しなければならない。
 本書「成人看護学」は,以上のような考え方を基礎として編集されたものである。
 まず「成人看護学総論」においては,成人各期の特徴を学び,対象である成人が,どのような状態のもとで正常から異常へと移行していくのか,またそれを予防し健康を維持していくためには,いかなる方策が必要であるかを学習し,成人の全体像と成人看護の特質をつかむことをねらいとしている。
 以下,「成人看護学」の各巻においては,成人というものの概念を把握したうえで,人間の各臓器に身体的あるいは精神的な障害がおこった場合に,その患者がいかなる状態におかれるかを理解し,そのときの患者のニーズを満たすためにはどのようにすればよいかを,それぞれの系統にそって学習することをねらいとしている。
 したがって,「成人看護学」の学習にあたっては,従来のように診療科別に疾病に関する知識を断片的に習得するのではなく,種々の障害をあわせもつ可能性のある1人ひとりの人間,すなわち看護の対象としての人間のあらゆる変化に対応できる知識・技術・態度を学びとっていただきたい。
 このような意味において,学習者は対象の健康生活上の目標達成のために,より有効な援助ができるような知識・技術を養い,つねに研鑽を続けていかなければならない。
 以上の趣旨のもとに,金子光・小林冨美栄・大塚寛子によって編集された「成人看護学」であるが,日進月歩をとげる医療のなかで,本書が看護学の確立に向けて役だつことを期待するものである。

カリキュラムの改正
 わが国の看護・医療を取り巻く環境は,急速な少子高齢化の進展や,慢性疾患の増加などの疾病構造の変化,医療技術の進歩,看護業務の複雑・多様化,医療安全に関する意識の向上など,大きく変化してきた。それに対応するために,看護教育のカリキュラムは,1967年から1968年の改正ののち,1989年に全面的な改正が行われ,1996年には3年課程,1998年には2年課程が改正された。さらに2008年,2020年にも大きく改正され,看護基礎教育の充実がはかられるとともに,臨床実践能力の強化が盛り込まれてきた。

改訂の趣旨
 今回の「成人看護学」の改訂では,カリキュラム改正の意図を吟味するとともに,1999年に発表され,直近では2022年に改定された「看護師国家試験出題基準」の内容をも視野に入れ,内容の刷新・強化をはかった。また,日々変化する実際の臨床に即し,各系統において統合的・発展的な学習がともに可能となるように配慮した。
 序章「この本で学ぶこと」では,事例を用いて,これから学ぶ疾患をかかえた患者の姿を示した。また,本書で扱われている内容およびそれぞれの項目どうしの関係性が一見して把握できるように,「本書の構成マップ」を設けている。
 第1章「血液・造血器の看護を学ぶにあたって」では,系統別の医療の動向と看護を概観したあと,患者の身体的,心理・社会的特徴を明確にし,看護上の問題とその特質に基づいて,看護の目的と機能が具体的に示されている。
 第2~5章では,疾患とその医学的対応という視点から,看護の展開に必要とされる医学的な基礎知識が選択的に示されている。既習知識の統合化と臨床医学の系統的な学習のために,最新の知見に基づいて解説されている。今改訂では第5章の冒頭に「A.本章で学ぶ血液・造血器疾患」を新設し,第5章で学習する疾患の全体像をつかめるように工夫をこらした。
 第6章「患者の看護」では,第1~5章の学習に基づいて,経過別,症状別,検査および治療・処置別,疾患別に看護の実際が提示されている。これらを看護過程に基づいて展開することにより,患者の有する問題が論理的・総合的に理解できるように配慮されている。とくに経過別については「A.疾患をもつ患者の経過と看護」として,事例を用いて患者の姿と看護を経過別に示すとともに,それらの看護と,疾患別の看護などとの関係を示してある。
 第7章「事例による看護過程の展開」では,1~3つの事例を取り上げ,看護過程に基づいて看護の実際を展開している。患者の有するさまざまな問題を提示し,看護の広がりと問題解決の過程を具体的に学習できるようにしている。
 また,昨今の学習環境の変化に対応するために,成人看護学においても積極的に動画教材を用意し,理解を促すようにした。
 巻末には適宜付録を設け,各系統別に必要となる知識を整理し,学習の利便性の向上をはかっている。
 今回の改訂によって看護の学習がより効果的に行われ,看護実践能力の向上,ひいては看護の質的向上に資することをせつに望むものである。ご活用いただき,読者の皆さんの忌憚のないご意見をいただければ幸いである。

 2023年11月
 著者ら

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序章 この本で学ぶこと (飯野京子)
 血液・造血器疾患をもつ患者の姿
 本書の構成マップ

第1章 血液・造血器の看護を学ぶにあたって (飯野京子)
 A 医療の動向
  1 血液・造血器疾患の概要と疾病統計
  2 主要な疾患における医療の動向
 B 患者の特徴と看護の役割
  1 身体的問題とその援助
  2 心理・社会的問題とその援助

第2章 血液の機能と造血のしくみ (鈴木隆浩)
 A 血液の成分と機能
  1 血球の性状と機能
  2 止血機構と線溶
 B 造血のしくみ
  1 造血に必要な要素
  2 血球の分化

第3章 症状・身体所見とその病態生理 (鈴木隆浩)
 A 貧血
 B 発熱
 C リンパ節腫脹
 D 脾腫
 E 出血傾向
 F 血栓傾向

第4章 検査と治療 (鈴木隆浩)
 A 検査
  1 末梢血検査
  2 骨髄穿刺・骨髄生検
  3 出血傾向・血栓傾向の検査
  4 リンパ節生検
  5 細胞表面マーカー検査
  6 染色体検査
  7 遺伝子検査
  8 画像検査
 B 治療
  1 化学療法
  2 分子標的療法
  3 放射線療法
  4 造血幹細胞移植
  5 腫瘍免疫療法
  6 支持療法

第5章 疾患の理解 (鈴木隆浩)
 A 本章で学ぶ血液・造血器疾患
 B 赤血球系の異常
   a 鉄欠乏性貧血
   b 慢性疾患に伴う貧血
   c 腎性貧血
   d 巨赤芽球性貧血
   e 再生不良性貧血
   f 赤芽球癆
   g 鉄芽球性貧血
   h 溶血性貧血
 C 白血球系の異常
  1 白血球の数や機能の異常
   a 白血球増加症
   b 白血球減少症
   c 好中球機能異常症
  2 造血器腫瘍
   a 造血器腫瘍の分類と特徴
   b 急性白血病
   c 骨髄異形成症候群(MDS)
   d 慢性骨髄性白血病(CML)
   e 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
   f 慢性リンパ性白血病(CLL)
   g 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)
   h 悪性リンパ腫
   i 骨髄腫および類縁疾患
   j 血球貪食症候群
 D 血小板の異常
   a 免疫性血小板減少症(ITP)
   b 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
   c 溶血性尿毒症症候群(HUS)
   d ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
   e 血小板機能異常症
 E 凝固系の異常
   a 血友病
   b 後天性血友
   c フォン-ヴィルブランド病(vWD)
   d 播種性血管内凝固症候群(DIC)

第6章 患者の看護 (飯野京子・清水陽一・長岡波子・森文子)
 A 疾患をもつ患者の経過と看護
 B 主要症状を有する患者の看護
  1 貧血のある患者の看護
  2 易感染(白血球減少)状態にある患者の看護
  3 出血傾向のある患者の看護
 C 検査を受ける患者の看護
  1 末梢血検査
  2 骨髄穿刺
  3 骨髄生検
 D 治療を受ける患者の看護
  1 がん薬物療法を受ける患者の看護
  2 腫瘍免疫療法を受ける患者の看護
  3 放射線療法を受ける患者の看護
  4 造血幹細胞移植を受ける患者の看護
  5 輸血療法
 E 疾患をもつ患者の看護
  1 造血器腫瘍患者に共通する看護
  2 急性骨髄性白血病患者の看護
  3 急性リンパ性白血病患者の看護
  4 慢性骨髄性白血病患者の看護
  5 悪性リンパ腫患者の看護
  6 多発性骨髄腫患者の看護
  7 免疫性血小板減少症患者の看護
  8 血友病患者の看護

第7章 事例による看護過程の展開 (森文子)
 A 急性骨髄性白血病患者の寛解導入時の看護
  1 患者についての情報
  2 看護過程の展開
  3 事例のふり返り
 B 悪性リンパ腫患者の外来における看護
  1 患者についての情報
  2 看護過程の展開
  3 事例のふり返り

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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    2024.10.16