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地域母子保健・国際母子保健 第6版

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①制度・施策についての最新の知識
地域で母子保健活動を推進するうえで必要な地域母子保健行政のしくみをわかりやすく解説しています。また、制度・施策の最新の情報を学習できます。

②実践につながる内容の充実
第1~4章で基礎的な知識を学習し、第5章で実践的な内容を学習できる構成としました。

③最新かつわかりやすい「国際母子保健」
「第6章 国際母子保健」の記述を刷新。最新の情報に基づいて世界の母子保健の現状と問題点、母子保健活動の実際をわかりやすく解説しています。

*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 助産学講座 9
編集 我部山 キヨ子
執筆 安達 久美子 / 藤内 修二 / 中谷 芳美 / 福永 一郎 / 上原 里程 / 市川 香織 / 渕元 純子 / 岡本 登美子 / 今村 理恵子 / 大坪 三保子 / 大橋 優紀子 / 山岸 由紀子 / 内木 美恵 / 入山 茂美
発行 2023年01月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-05004-3
定価 3,850円 (本体3,500円+税)

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    2023.03.15

  • 序文
  • 目次
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助産師をめぐる動向
 わが国においては少子化が進行し,産科医の減少や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が続いている。家族規模の縮小化と養育機能の低下など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化が進行し,高度生殖補助医療が日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。児童虐待相談件数が激増するなど,育児不安・子どもの虐待を含めた育児をめぐる問題も多様化・深刻化している。さらには,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害や,在日外国人や性的マイノリティに特有な母子保健の課題,女性へのドメスティック・バイオレンスといった,母子や性と生殖に関する課題が山積している。加えて,出生前診断や,精子・卵子・胚・卵巣組織の凍結保存,胎児組織の再生・移植医療への応用などといった生殖補助医療の発展に伴う倫理的問題についての社会的な整備も課題となっている。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして,正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。2008年には助産師の倫理綱領を採択し,2019年には基本的助産実践に必須のコンピテンシーを改訂した。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とし,2012年には専門職としての助産師教育のためのモデルカリキュラムの概要を発表した。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 このような背景をもとに,助産師教育の充実をはかるため保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。また,2011年施行の保健師助産師看護師学校養成所指定規則では助産師教育の単位数総計は28単位に,2022年施行の改正指定規則では31単位に増加し,更なる教育の充実が図られることとなった。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第6版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師や助産業務をめぐる今日的動向や課題に対応できる助産師養成の基盤を支えることにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 本巻(地域母子保健・国際母子保健)は,第1章から第5章が「地域母子保健」,第6章が「国際母子保健」という構成となっている。
 「地域母子保健」では,母子保健制度や施策,統計データなど,最新の知識を整理し,地域で活動・実践につながる学習内容となるように工夫した。また,2022年3月に公表された「保健師助産師看護師国家試験出題基準令和5年版」の項目を網羅するよう,「育児支援」「産後ケア事業」「児童虐待予防」「メンタルヘルスケア」「性教育」などの項目について,地域母子保健の視点からの記載を追加している。
 また,「国際母子保健」では,最新のデータに基づき,国際母子保健の現状と課題を記載している。海外在住日本人母子のケア,在留外国人母子のケアについて,実践につながる内容となっている。
 執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第6版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2022年11月
 編者ら

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第1章 地域母子保健の基本
 A 地域母子保健の考え方
  1 地域母子保健の概念
  2 地域母子保健活動の意義
  3 地域における助産師の役割
  4 地域における多職種連携
 B 母子の健康にかかわる因子
  1 社会
  2 自然環境
  3 文化
  4 地域ネットワーク
  5 保健・医療・福祉
  6 家族
  7 生活行動

第2章 母子保健の動向と課題
 A 統計にみる母子保健の動向
  1 人口動態統計
  2 母体保護統計
 B 母子保健に関する課題
  1 少子高齢化
  2 家族形態の多様化
  3 経済格差,医療の地域格差
  4 育児支援の必要性

第3章 母子保健行政の体系
 A 母子保健行政のしくみ
  1 母子保健行政の動向
  2 母子保健にかかわる法律
  3 母子保健行政における国・都道府県・市町村の役割
 B 母子保健にかかわる制度
  1 母子保健制度の概要
  2 健康診査
  3 保健指導
  4 療養援護
  5 医療対策
  6 予防接種
  7 不妊に対する相談と治療費助成
  8 ひとり親家庭の支援
  9 職域における母子保健
  10 女性保護
 C おもな母子保健施策
  1 健やか親子21(第2次)
  2 成育医療等の提供に関する施策の総合的
  3 少子化対策
  4 次世代育成支援対策
  5 産前・産後サポート事業と産後ケア事業
  6 子育て世代包括支援センター
  7 妊産婦のための食生活指針
  8 授乳・離乳の支援

第4章 地域母子保健活動の基盤
 A 母子保健活動における連携・協働
  1 地域包括ケアシステム
  2 関係機関との連携と調整
 B 地域のさまざまな場における助産師の役割
  1 助産所
  2 病院・診療所
  3 産後ケア施設
  4 周産期母子医療センター
  5 市町村保健センター・保健所
  6 子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)
  7 職能団体

第5章 地域母子保健活動の実際
 A 産前の地域母子保健活動
  1 妊婦訪問指導
  2 出産準備教育
 B 産後の地域母子保健活動
  1 新生児訪問指導
  2 褥婦訪問指導
  3 産後ケア事業
  4 育児支援
  5 民間組織・自助グループ
 C 特定の状況における地域母子保健活動
  1 児童虐待予防
  2 メンタルヘルスケア
  3 性教育
  4 災害時の地域母子保健活動

第6章 国際母子保健
 A 諸外国の母子保健活動
  1 母子保健の現状と課題
  2 母子保健施策
  3 開発途上国における母子の問題と母子保健活動の実際
 B 海外在住日本人の母子保健
  1 海外在住日本人妊産褥婦への助産ケア
  2 海外で出産する日本人女性
  3 妊娠した海外在住日本人女性が直面する問題とその対策
  4 海外で生まれた乳児の健康にかかわる問題とその対策
 C 在留外国人の母子保健
  1 在留外国人母子の現状と課題
  2 在留外国人母子が利用できる母子保健制度
  3 在留外国人母子への助産ケア

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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    2023.03.15