地域作業療法学 第4版
OTを目指す学生に向けて、地域作業療法の全体像とともに実践事例を示す
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作業療法士養成施設で「地域作業療法学」を学ぶ学生に向けたテキストの改訂第4版。本書では地域作業療法学の基盤と背景、制度や社会生活支援、多職種連携といった、地域作業療法のフィールドの全体像を示すとともに、多様な地域作業療法の実践として、前版で示した実践事例に加え、第4版では今後増えてくると思われる介護予防事業や放課後等デイサービスへの作業療法士の関わりなどについても記載している。
シリーズ | 標準作業療法学 専門分野 |
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編集 | 大熊 明 / 根本 悟子 |
編集協力 | 机 里恵 / 林 安希子 |
発行 | 2023年01月判型:B5頁:336 |
ISBN | 978-4-260-05061-6 |
定価 | 4,400円 (本体4,000円+税) |
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序文
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第4版 序
「地域作業療法学」が作業療法士の養成課程の専門科目となり23年が経った.本書も初版の刊行から17年の歳月が経ち,第4版の改訂を迎えることとなった.私自身は,初版の編者である小川恵子先生のご指導により,初版から執筆に関わらせていただいている.先生からは,地域作業療法の歴史を通して,作業療法の今日までの道のりを教えていただいた.「全人的に人を見て,その人とともに作業を考え,その作業を推し進めるための環境を整えていく」という「中心的な原理」は「普遍のものと思われる」という先生の第2版序文を胸に刻んでいる.
今日の作業療法士の養成を取り巻く状況は,養成施設の指定規則改定など,さまざまな社会情勢の変化の影響を受けているが,「地域作業療法学」はその専門性を保ち,現在でも専門科目としての位置づけは変わりなく,ゆるぎないものとなっている.
しかし,第3版から第4版へと改訂される時間の流れのなかで,社会が最も大きな影響を被ったのは,“新型コロナウイルス感染症”であった.作業療法士もまた,教育から臨床現場まで,未知の感染症という未曾有の危機的な状況のなかで,対象者の医療・保健・福祉をどう保障していったらよいのか,苦悩の日々を過ごしており,現在もなお闘いは続いている.本書の編集にあたっても,“新型コロナウイルス感染症”への対応をどう記述していくかが課題となり,事前に執筆者へのアンケートを実施することとなった.結果としては,臨床現場においては基本的な感染症対策が十分にとられていることが把握されたので,特別に実施している感染症対策のみを執筆していただくこととした.“基本的な感染症対策はすべての臨床現場において実施されている”ということを前提にして,本書を読み進めていただきたい.
本書の全体を貫く基本的な観点・考え方は,こうしたさまざまな社会情勢の変化の中においても,弛むことなく地域で積み重ねられている作業療法士の実践を基盤に,“実践の学問”としての理論的な構築を図り,地域作業療法のあるべき姿を希求することにある.社会保障制度の変革の流れの中で,作業療法士の働く領域は,教育,就労,介護予防など広がりを見せている.しかし,作業療法士全体の就業領域を見ると,まだ圧倒的に医療機関が多く,新たな広がりは“点”でしかない.今後はこの“点”を“線”につなげ,“線”を“面”へと拡充することが求められている.また,医療機関が地域に開かれ,地域とのつながりを深めることにより連携が図られ,地域作業療法を確固たるものとして,将来への発展につながるものと確信している.
第4版の改訂にあたっては,新しい社会の流れを敏感に感じとり,作業療法の新たな知識や技術などの知見を有する作業療法士の方々に,執筆や編集協力,編者として本書への新たな参画をお願いした.「地域作業療法学」を学ぶ学生が本書を通じてその息吹を感じとり,学び合い,作業療法士として羽ばたくことに役立てていただければ幸いである.
2022年11月
執筆者を代表して
大熊 明
目次
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I 地域作業療法学の基盤と背景
GIO,SBO,修得チェックリスト
1 地域作業療法を考察する
A 地域作業療法の概念
B 地域のとらえ方
C 地域の文脈
D 地域作業療法と生活障害
2 地域リハビリテーションの流れをとらえる
A 地域医療活動の成り立ち
B 地域リハビリテーションの概念
C 地域社会に根ざしたリハビリテーション
D 地域リハビリテーション活動の変遷
E わが国における地域作業療法と活動の変遷
本章のキーワード
II 地域作業療法を支える制度・社会生活支援・連携
GIO,SBO,修得チェックリスト
1 制度・施策とのつながりを知る
A 社会保障制度
B 介護保険制度における作業療法士
C 障害者総合支援法における作業療法士
2 社会生活支援を理解する
A 作業と社会参加への広がり
B 地域での社会生活支援
3 地域における多職種連携と協働を理解する
A 地域における多職種の連携の取り組みとその経緯
B 多職種連携と多職種連携教育及びその関係
C 地域課題にIPWで臨む
D 連携する職種の業務と役割
本章のキーワード
III 地域作業療法の実践
GIO,SBO,修得チェックリスト
1 地域作業療法の評価の視点
A 地域生活と評価の視点
B 地域診断と地域づくり
2 住環境の改善からまちづくりへ
3 支援プログラムとマネジメントを学ぶ
A 個別支援プログラム
B 集団支援プログラムと地域づくり
C 生活行為向上マネジメント
D リスクマネジメント
4 地域作業療法の実践の場を知る
A 医療
B 障害福祉
C 介護
D 行政,相談窓口
E 教育(発達支援)
F 就労支援
G 企業
H 自治会,ピアサポート
本章のキーワード
IV 地域作業療法の実践例
1 病院(身体機能領域)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
2 病院(精神機能領域)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
3 診療所(クリニック)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
4 介護老人保健施設
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
5 通所介護施設(デイサービスセンター)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C その他 通所介護作業療法士に求められる役割
D 今後の課題
6 通所リハビリテーション(デイケアセンター)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
7 訪問作業療法
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
8 地域包括支援センター
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
9 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
10 発達支援
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題──人材の養成
11 教育(特別支援学校)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
12 地域生活移行(精神障害者の地域生活支援)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際──特定非営利活動法人いねいぶるの取り組み
C 今後の課題──これからの地域支援のために
13 就労支援(高次脳機能障害)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
14 認知症支援
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
15 在宅(終末期)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 在宅(終末期)の特徴
B 作業療法士の役割
C 作業療法士の活動の実際
D 今後の課題
16 放課後等デイサービス
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
17 介護予防事業
GIO,SBO,修得チェックリスト
A 作業療法士の役割
B 作業療法士の活動の実際
C 今後の課題
本章のキーワード
地域作業療法学の発展に向けて──課題と展望
さらに深く学ぶために
巻末資料
【資料1】介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)
【資料2】主な診療報酬,施設基準など一覧
索引
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