理学療法評価学 第4版

もっと見る

基本をおさえたわかりやすい記述で、理学療法評価に必要な情報収集の進め方、検査・測定の方法、さらには病態に応じた検査の選び方と実施の工夫まで、臨床につながる思考力を培います。カリキュラム改訂に対応し、X線、脳画像、超音波画像、心電図などの画像評価を充実させました。さらに検査・測定方法の実際を付録動画で明示。また「検査・測定」の章を中心に復習問題を収載。学習の定着に活用できます。

*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学 専門分野
シリーズ監修 奈良 勲
編集 内山 靖 / 岩井 信彦
編集協力 横田 一彦 / 森 明子 / 鈴木 里砂
発行 2023年02月判型:B5頁:448
ISBN 978-4-260-04969-6
定価 6,600円 (本体6,000円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 正誤表を掲載しました。

    2023.03.10

  • 序文
  • 目次
  • 付録・特典
  • 正誤表

開く

第4版 序

 2001年1月に,本書は,「標準理学療法学 専門分野」シリーズの1冊として刊行された.初版から3年後の2004年に小改訂を行った第2版を刊行した.その後,15年の時を経て,2019年に大幅な改訂を行い,第3版を刊行した.今回,第3版の小改訂として第4版を刊行するに至った.この間の編集体制は,初版はシリーズ監修者である奈良勲氏と内山靖で担当し,第2版では内山,第3版では内山に岩井信彦が加わった.第4版では,2人の編集者に,編集協力者として森明子氏,横田一彦氏,鈴木里砂氏を加えた体制で臨んだ.
 初版から20年余りの間に,理学療法を取り巻く環境は大きく変化した.公的介護保険の施行,国際生活機能分類の提唱,エビデンスに基づく医療の推進とガイドラインの整備,地域医療計画に基づく地域包括ケアシステムの構築,多職種連携・チーム医療の推進,再生医療,ロボティクス,遠隔医療などの科学技術の革新による治療の進歩など,枚挙に暇がない.
 また,COVID-19の世界的な感染は,感染予防と対策による医療,ならびに医療とケアの継続を含む保健-医療-福祉のさらなる密接な関係を見直す契機となった.あわせて,教育方法へも大きな影響があり,オンライン・オンデマンドによる動画を含めた学習環境や教材の提供方法が一般化した.また,理学療法教育に直結するものとして2020年4月から新たな指定規則に基づく教育課程が始まり,これに対応した国家試験出題基準が示されたところである.
 このような時機に鑑み,第4版では,付録Web動画は第3版では12項目17本であったものを,16項目43本と大幅に拡充した.また,バイタルサイン,片麻痺運動機能を独立した項目とし,高齢者の記述を拡充し,ウィメンズヘルスをウィメンズ・メンズヘルスと改めた.あわせて,自己学習を促し,各章の理解をより深めるために新たに復習問題を示した.他方で,章立てを堅持しつつも各項目の重複や表現を推敲し,第3版のボリュームの維持に努めた.
 一方で,正確性がとくに求められる本書は,改訂の発議から刊行までに多くの時間を要するために,COVID-19に関する感染対策や実際の理学療法,最新の指定規則に対応した細部の内容には及んでいない.この点は紙媒体としての宿命ではあるが,臨機応変な対応が求められる今日において,出版社と編集者が乗り越えなければいけない課題である.
 引き続き,本書を多くの皆様にお使いいただき,お気づきの点やご意見をお寄せいただければ幸いである.さまざまなご要望に真摯に対応していくことで,理学療法評価学の標準化とさらなる質の向上に寄与していきたいと考えている.

 2023年1月
 内山 靖
 岩井信彦

開く

I 理学療法における評価
   A 理学療法と評価の概念
   B 情報の種類と収集の手段
   C 評価の流れ
   D 臨床推論の進め方
   E 評価を学ぶポイントとコツ(学び方を学ぶ)

II 情報収集
 1 情報収集の目的
   A 情報収集のもつ意味
   B 情報の種類
   C 情報収集の留意点
 2 医学的情報
   A カルテのみかた
   B 血液・生化学検査
   C 各種画像検査の知識
   D 医学的処置
   E 医学的情報を収集する意義
 3 社会的情報
   A 理学療法評価における社会的情報の必要性
   B 社会的情報収集の実際
   C 社会的情報収集に必要な基礎知識

III 検査・測定
 1 バイタルサイン
   A バイタルサインの概要と目的
   B バイタルサインの実際
   C バイタルサイン検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 2 姿勢と形態
  I 姿勢検査
   A 姿勢検査の概要と目的
   B 姿勢検査の実際
  II 形態測定
   A 形態測定の概要と目的
   B 形態測定の実際
  ●復習問題
 3 関節可動域
  I 関節可動域総論
   A 関節可動域とは何か
   B 関節可動域表示と測定法
   C 関節可動域測定の目的
   D 測定の手順
  II 関節可動域測定の実際
   A 上肢測定
   B 手指測定
   C 下肢測定
   D 体幹測定
  ●復習問題
 4 筋力
  I 筋力総論
   A 筋力とは何か
   B 筋力検査の目的と方法
   C 測定手順
  II 筋力検査の実際
   A 上肢の徒手筋力検査
   B 下肢の徒手筋力検査
  ●復習問題
 5 感覚
   A 感覚評価の目的・適用
   B 感覚評価の実際
   C 感覚評価に必要な基礎知識
  ●復習問題
 6 反射・筋トーヌス
  I 反射検査
   A 反射検査の概要と目的
   B 反射検査の実際
   C 反射検査に必要な基礎知識
  II 筋トーヌス検査
   A 筋トーヌス検査の概要と目的
   B 筋トーヌス検査の実際
   C 筋トーヌス検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 7 片麻痺運動機能
   A 片麻痺運動機能検査の概要と目的
   B 片麻痺運動機能検査の実際
   C 片麻痺運動機能検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 8 脳神経
   A 脳神経検査の概要と目的
   B 脳神経検査の実際
   C 脳神経検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 9 協調運動機能
   A 協調運動機能検査の概要と目的
   B 協調運動機能検査の実際
   C 協調運動機能検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 10 高次脳機能障害
  I 高次脳機能障害の定義と検査の意義
   A 高次脳機能障害の検査の概要と目的
   B 高次脳機能障害の検査前に確認・留意すべき事項
  II 認知機能テスト(注意機能,知的機能)
   A 検査の概要と目的
   B 検査の実際
   C 検査に必要な基礎知識
  III 抑うつ
   A 検査の概要と目的
   B 検査の実際
   C 検査に必要な基礎知識
  IV 無視症候群
   A 検査の概要と目的
   B 検査の実際
   C 検査に必要な基礎知識
  V 失行
   A 検査の概要と目的
   B 検査の実際
   C 検査に必要な基礎知識
  VI 失語
   A 検査の概要と目的
   B 検査の実際
   C 検査に必要な基礎知識
  VII その他の高次脳機能障害
   A プッシャー症候群
   B 病的把握現象
   C Gerstmann(ゲルストマン)症候群
   D 検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 11 呼吸
   A 呼吸機能検査の概要と目的
   B 呼吸機能検査の実際
   C 呼吸機能検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 12 循環
   A 循環機能検査の概要と目的
   B 循環機能検査の実際
   C 循環機能検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 13 パフォーマンステスト
   A パフォーマンステストの概要と目的
   B パフォーマンステストの実際
   C パフォーマンステストに必要な基礎知識
  ●復習問題
 14 嚥下
   A 嚥下機能検査の概要と目的
   B 嚥下機能検査の実際
   C 嚥下機能検査に必要な基礎知識
  ●復習問題
 15 痛み
   A 痛みの評価の概要と目的
   B 痛みの評価の実際
   C 痛みの検査・測定評価に必要な基礎知識
  ●復習問題
 16 運動発達
   A 運動発達検査の概要と目的
   B 運動発達検査の実際
   C 運動発達検査に必要な基礎知識
  ●復習問題

IV 画像検査とその評価法
 1 単純X線像(胸部)
   A 胸部単純X線像を読影する意義
   B 胸部単純X線像の異常所見
 2 単純X線像(四肢)
   A 理学療法評価における単純X線像の意義
   B 理学療法評価における単純X線像のみかた
  ●復習問題
 3 脳画像
   A 脳画像情報を理学療法評価に取り入れる意義
   B 頭部CTと各種MRIの特徴と病変のとらえ方
   C 理学療法評価において注目すべき所見
  ●復習問題
 4 超音波画像(運動器)
   A 肩関節の超音波画像
   B 肘関節の超音波画像
   C 股関節の超音波画像
   D 膝関節の超音波画像
   E 足関節の超音波画像
 5 心電図
   A 理学療法評価における心電図評価の意義
   B 心電図評価で重要なこと
   C 運動に伴う正常な心電図変化
   D 運動に伴うST変化の意義
   E 運動に伴う不整脈の意義
  ●復習問題

V 活動・参加・QOL
 1 日常生活活動(ADL)
   A ADLの概念と評価の目的
   B ADL評価の実際
   C ADL評価に必要な知識,注意点
  ●復習問題
 2 参加
   A 生活機能としての参加状況評価の意義と目的
   B 参加状況評価の実際
   C 参加状況評価に必要な基礎知識
 3 健康関連QOL
   A 健康関連QOLの概念と評価の目的
   B QOL評価の実際
   C QOL評価に必要な基礎知識
  ●復習問題

VI 姿勢・動作分析
   A 姿勢・動作分析の概念と評価の目的
   B 姿勢・動作観察の実際
   C 姿勢・動作分析に必要な基礎知識

VII 病態に応じた検査の選び方と実施の工夫
 1 神経・筋系
  I 脳血管障害(急性期・回復期・生活期)
  II Parkinson病
  III 脊髄小脳変性症
  IV 筋萎縮性側索硬化症
  V 多発性硬化症
  VI 外傷性脳損傷
  VII 筋ジストロフィー
  VIII 脳性麻痺
 2 骨・関節系
  I 変形性関節症
  II 骨折・脱臼・靱帯損傷
  III 関節リウマチ
  IV 頸椎・頸髄疾患
  V 腰椎・腰随疾患
  VI 切断
  VII 肩関節周囲炎・腱板損傷
 3 呼吸・循環・代謝系
  I 急性呼吸不全
  II 慢性閉塞性肺疾患
  III 虚血性心疾患
  IV 閉塞性動脈硬化症
  V 糖尿病
  VI 慢性腎臓病
 4 高齢者
   A 検査の選び方
   B 検査の進め方
 5 TOPICS
   TOPIC 1 足(フットケア)
   TOPIC 2 精神科領域
   TOPIC 3 スポーツ領域
   TOPIC 4 ウィメンズヘルス・メンズヘルス
   TOPIC 5 産業保健
   TOPIC 6 がん

索引

開く

付録Web動画のご案内

本書で紹介している代表的な検査方法の実際について、Web動画をご覧いただけます。

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

上記正誤表でご案内しております本文の修正PDFは下記をご参照ください。
理学療法評価学 第4版_本文修正PDF

  • 正誤表を掲載しました。

    2023.03.10