日常生活活動学・生活環境学 第6版
ADLの評価と実際が理解できる定番書が動画付きでパワーアップ!
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・日常生活活動学「第6章 ADL評価の実際」を新設。BIの「部分介助」と「自立」の違いは何か? FIMとの違いは何か? 症例を提示して評価項目の解釈や点数間の幅を具体的に示し、理学療法士ならではの視点と介入を疾患別に解説します。
・生活環境学ユニバーサルデザインやバリアフリーを実践する科目です。生活環境を評価し、改善点を見つけ、制度を活用しながら解決する具体的なプロセスが学べます。
シリーズ | 標準理学療法学 専門分野 |
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シリーズ監修 | 奈良 勲 |
編集 | 鶴見 隆正 / 隆島 研吾 |
編集協力 | 大森 圭貢 |
発行 | 2021年12月判型:B5頁:392 |
ISBN | 978-4-260-04751-7 |
定価 | 5,940円 (本体5,400円+税) |
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序文
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第6版 序
早いもので第5版を発行してから4年が経過した.この間,何よりも大きい出来事は2019年にパンデミックとなり世界を震撼させたCOVID–19(新型コロナウイルス感染症)であろう.このウイルスの出現は緊急事態宣言発令という事態をまねき,ステイホームの推奨や在宅勤務,オンライン会議など,われわれの生活を大きく変えてしまった.今後もこの流れがなくなることは考えにくく,むしろこれを機会に,新しい生活スタイルの構築が進んでいくものと思われる.
現在でも急性期・回復期・維持期(生活期)を通して,切れ目ないリハビリテーションサービスが提供されているところであるが,サービス提供の連続性の確保にはまだまだ課題がある.近年の介護予防事業の幅は,健康増進段階から障害の重度化予防まで広がっている.
第5版の序でも述べたように,2014(平成26)年度診療報酬改定において,急性期病棟でのADL機能向上体制に加算がなされた.また,地域包括ケアシステムの構築に向けて「地域包括ケア病棟」が新設され,理学療法士の病棟配置が可能となっている.すなわち,急性期からADLに対するアプローチが意識され,回復期・維持期(生活期)においても継続的に行われる体制が可能となった.これにより在宅生活をおくっていた高齢者らが,感染症罹患などにより病院に入院してもADLの低下を最小限に抑え,早急に在宅生活に戻れる体制が整ったといえる.また,市町村総合事業による介護予防や,障害の重度化予防などに従事するセラピストも増えている.こうした領域においてもADL指導は中核的な位置を占めており,より具体的で,きめ細かい生活障害のとらえ方と,その改善方法などを提供することで,疾患の治療・回復とともに生活障害の予防や障害の重度化予防に寄与することが可能となる.
本書は刊行以来,日常生活活動学と生活環境学を合冊しており,生活障害を幅広くとらえられるように意図している.これにより,理学療法士を目指す学生や臨床の第一線で理学療法に取り組まれている方々に対して,ADLの概念,ADL評価とその指導にかかわる知識・技術,人の生活環境をとりまく諸制度などの最新情報を織り交ぜながら,標準的な教科書になるよう努めてきた.
第6版では,新しく大森圭貢先生に編集協力をお願いし,このコンセプトを踏襲したうえで適宜最新の情報に更新するとともに,新たに片麻痺者への具体的なADL指導方法についてWeb付録動画として収載した.残念ながら今回は新型コロナウイルスの影響もあり,臨床的に多い片麻痺者のみの掲載となったが,今後も症例の追加を検討していきたいと考えている.第5版に引き続き国家試験の過去問題についても各章末に「復習問題」として掲載したので,本書で学んだことが国家試験ではどのような形で出題されているのか,具体的なイメージをもっていただければ幸いである.巻末付録では,日常生活活動学と生活環境学を実感して学べる体験型演習プランとそれぞれの授業プラン(シラバス案)についても内容の充実をはかった.引き続き学生への指導・教育に携わる方々の一助となることを願っている.
最後に,お忙しいなか短い期間で執筆していただいた先生方に深謝申し上げ,また,今回の改訂にあたってお世話くださった医学書院の編集部と制作部の方々にお礼申し上げる次第である.
2021年9月
鶴見隆正
隆島研吾
大森圭貢
目次
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日常生活活動学
I 総論
1 ADLの概念と範囲
A ADL概念形成をめぐる歴史的展開
B ADL概念よりみたADL範囲
C 理学療法にとってのADLの位置づけ
復習問題
2 ADLと障害
A 障害分類の動向とADL
B 障害がADLに及ぼす影響・因子
復習問題
3 ADLとQOL
A QOLとは
B ADLとQOL
C QOL評価とは
4 ADLの運動学的分析
A なぜADLに運動学的視点が必要なのか
B 運動学的分析の基礎
C 背臥位からの起き上がり動作
D 椅子座位からの立ち上がり動作
E 車椅子とベッド間の移乗動作
5 ADL評価
A ADL評価の意義と目的
B 臨床場面におけるADL評価の役割
C ADL評価の範囲
D 治療場面におけるADL評価の活用
復習問題
6 ADL評価の実際――BIとFIMを中心に
A “できるADL”“しているADL”の評価の実際――BIとFIMによる評価
B ADLの再獲得に向けた理学療法プログラム立案のための評価
C ADL評価の効率的な進め方
D BIとFIMの意義
復習問題
7 ADLを支援する機器
A 自助具・日常生活用具
B 歩行補助具
C 車椅子
復習問題
II 各論――ADL指導の実際
1 片麻痺
A 脳卒中の障害像
B ADL評価とプログラム作成
C ADL指導時の留意点
D ADL指導の実際
E 生活関連活動(APDL)
F 高次脳機能障害を合併している場合
復習問題
2 脊髄損傷
A 評価
B ADLの達成
C ADL指導のポイント
D 生活関連活動(APDL)
復習問題
3 脳性麻痺
A 脳性麻痺の障害構造とその特性
B ADL評価とプログラム作成
C ADL指導の実際
D 生活関連活動(APDL)
E 成長に伴う長期的な支援
復習問題
4 関節リウマチ
A 関節リウマチの障害特性
B ADLの評価とプログラム作成
C ADL指導の実際
D 生活関連活動(APDL)
E 心理上の課題と生活指導
F 代償動作の獲得から予防・改善へ
復習問題
5 人工股関節全置換術後
A THAのリハビリテーション
B ADL指導のポイント
C ADL指導の実際
復習問題
6 下肢切断
A 切断前・後のオリエンテーション
B 切断者の生活管理指導
C 義足の特徴とADL指導
D 高齢下肢切断者のADL
E 展望
復習問題
7 呼吸器疾患・循環器疾患
A 呼吸器疾患のADL
B 循環器疾患のADL
8 神経筋疾患・難病
A 神経難病のリハビリテーション
B 神経筋疾患・難病のADL
復習問題
9 ロービジョン(視覚障害)
A 視覚障害者の実態
B 視覚障害者のADL障害
C ADL指導の実際
D 歩行指導(屋外,階段含む)
10 在宅生活に向けたADL指導
A 退院・退所に向けたADL指導の意義
B 退院・退所時のADL評価の要点
C 本人・家族へのADL指導
復習問題
生活環境学
I 総論
1 生活環境学の概念
A 理学療法と生活環境学との関連性
B 生活環境学の教育概念
C 生活環境と障害
復習問題
2 生活環境の評価と改善計画
A 生活環境の評価
B 生活環境評価における調査内容
C 生活環境評価における問題点の抽出
D 生活環境改善計画上の一般的視点
E 生活環境評価および改善指導を進めるうえでの考慮点
F 生活環境改善計画の実際
G 障害別改善計画のポイント
H 生活環境改善計画の記録,フォローアップ
3 生活環境と法的諸制度
A 社会保障制度とは何か
B 社会福祉制度の歴史的変遷
C 社会保障制度の概要と現状
D 高齢者保健福祉施策
E 障害者保健福祉制度
F 身体障害者福祉制度
G 障害児福祉施策
H 精神障害者保健福祉施策
I 法的諸制度の役割
復習問題
II 各論
1 生活環境としての住宅と住宅改修
A 障害者をとりまく生活環境の整備
B 住宅の機能と基本的要件
C 住まいと障害
D 住宅改修の基本と進め方
E 理学療法士と住宅改修
F 今後の課題と展望
2 生活を支える福祉・リハビリテーション関連用具
A 生活支援
B 生活支援機器
復習問題
3 地域環境と公共交通
A バリアフリー・ユニバーサルデザイン化の流れ
B 地域環境
C 公共交通
D スペシャルトランスポートサービス(STS)
4 高齢者の在宅支援サービス
A 地域包括ケアシステムと在宅支援
B わが国における在宅支援サービス
C 生活期における在宅支援と理学療法の実践
復習問題
5 高齢者の転倒予防と環境調整
A 高齢者の転倒の特徴
B 転倒の要因
C 転倒予防と生活指導の意義
復習問題
6 災害時における避難所の環境調整
A 災害と避難所
B 災害時のリハビリテーション支援
C 避難所および応急仮設住宅の環境調整
D 風水害への対応
E 感染症対策
F 理学療法士の役割
巻末付録
付録1 日常生活活動学・生活環境学を実感できる演習プラン
A 動線を調査するさまざまな演習プラン
B 動線確認――教室で実施する机上演習
C 動線確認――学外で実施するフィールドワーク
D 学生の反応と評価
付録2 日常生活活動学・生活環境学の授業プラン
付録3 法制度関連資料
復習問題解答と解説
索引
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