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神経眼科学を学ぶ人のために 第3版

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眼科医、視能訓練士に必要な「神経眼科学」の知識を網羅した実践的テキスト。簡潔な文章とふんだんな図版で構成されたビジュアル性の高い紙面により、難解に捉えられがちな「神経眼科学」を分かりやすく解説。眼科医、視能訓練士のほか、神経内科や神経耳科、脳神経外科などの医療者の強い味方となる1冊。日本のトップランナーによる神経眼科学の集大成。

三村 治
発行 2021年04月判型:B5頁:386
ISBN 978-4-260-04636-7
定価 10,450円 (本体9,500円+税)

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第3版の序

 『神経眼科学を学ぶ人のために』は2014年10月に初版,2017年9月に第2版を出版させていただいた.その後も神経眼科学の進歩は目覚ましく,神経眼科疾患に対する自己抗体検査の普及と分子標的薬を中心とする免疫抑制療法の開発や承認などが相次いだ.特に2019年末には私が責任医師を務めた難治性視神経炎への大量免疫グロブリン静注療法の適応拡大が承認され,2020年夏には抗AQP4抗体陽性の視神経脊髄炎関連疾患の再発抑制にサトラリズマブが承認された.この改訂版では,視神経炎の項を抗AQP4抗体,抗MOG抗体の2つのグリア細胞関連自己抗体の関与を中心に,分類も含め全面的に改訂させていただいた.さらに,新たに本文に10項目の疾患の解説と12項目のCloseUpを追加させて充実を図った.特に新規治療法の開発や適応拡大に関しては膨大な情報量があることから,既に治療実績が確立されたものは本文に移し,まだ認可されて間もないものや実績の乏しいもの,治験段階のもの,さらに個人的な見解をCloseUpに記載するようにした.
 本書は決して眼科医や視能訓練士だけに向けたものではなく,事実脳神経内科医や耳鼻咽喉科医,脳神経外科医,放射線治療医の先生方からも読まれた感想をお寄せいただいている.ただ,あくまで主に私個人の診療実績と論文検索に基づいた記載が中心のため,不十分な情報や最新でない記述もあるかもしれない.読者からのご指摘やご批判があれば,版を重ねる度に修正させていただく予定である.
 最後に兵庫医科大学眼科学講座主任教授,寄付講座神経眼科治療学特任教授在任中,あるいはこれらを辞したのちも,私の各地の特殊外来に神経眼科疾患患者をご紹介いただいている多くの先生方,ならびに受診していただいた患者様方に心よりの感謝を捧げたい.本書が眼科医だけでなく,多くの読者に神経眼科学の知識と診療技術を普及させることで,神経眼科疾患に悩む患者の診療の一助になれば筆者にとってこの上ない喜びである.

 2021年4月
 三村 治

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第1章 神経眼科の解剖と生理
 A 視覚路
 B 眼球運動系
 C 対光反射経路

第2章 神経眼科診察法
 A 問診
 B 視診
 C 眼位・眼球運動検査
 D 視神経乳頭の見方(検眼鏡および眼底写真による)
 E 瞳孔・対光反射の観察
 F 中心フリッカ値の測定
 G 視野の測定
 H 色覚検査
 I OCT検査
 J 自発蛍光検査
 K 電気生理学的検査
 L 放射線画像検査
 M 遺伝子診断
 N 髄液検査
 O 特殊自己抗体検査

第3章 視神経・視路疾患
 A 視神経に腫脹をきたす疾患
 B 遺伝性視神経症
 C 外傷性視神経症
 D 圧迫性視神経症
 E 栄養欠乏性視神経症
 F 中毒性視神経症
 G 悪性腫瘍による視神経症
 H 放射線視神経症
 I 視神経萎縮
 J 視神経の先天異常
 K 視神経の腫瘍
 L 視交叉の異常
 M 視交叉以降の視路病変
 N 視神経疾患と間違えやすい網膜疾患

第4章 眼球運動障害
 A 核上性眼球運動障害
 B 核および核下性眼球運動障害
 C 眼運動神経先天異常
 D 神経筋接合部障害
 E 筋原性眼球運動障害および機械的眼球運動制限

第5章 眼振・異常眼球運動
 A 眼振の定義と分類
 B 先天眼振,乳児眼振
 C 後天眼振
 D 眼振様運動

第6章 眼瞼の異常
 A 眼瞼の位置・形態異常
 B 眼瞼の機能異常

第7章 瞳孔異常をきたす疾患
 A 緊張瞳孔,Adie症候群
 B Horner症候群
 C ハーレクイン症候群
 D 楕円瞳孔,中脳性瞳孔偏位
 E Argyll Robertson瞳孔
 F 動眼神経麻痺
 G 前眼部虚血(ASI)

第8章 眼窩に異常をきたす疾患
 A 甲状腺眼症(GO,TAO)
 B 特発性眼窩炎症
 C 粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALTリンパ腫)
 D IgG4関連眼疾患
 E 頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF)
 F 眼窩先端症候群,上眼窩裂症候群
 G 眼窩先端部真菌症
 H 副鼻腔粘液囊胞・膿囊胞
 I 眼窩蜂巣炎,眼窩周囲蜂巣炎
 J 眼窩壁骨折(眼窩吹き抜け骨折)
 K 眼窩静脈瘤

第9章 全身疾患と神経眼科
 A 重症筋無力症(MG)
 B 多発性硬化症(MS)
 C 急性散在性(播種性)脳脊髄炎(ADEM)
 D 甲状腺眼症(GO,TAO)
 E 肥厚性硬膜炎
 F 側頭動脈炎
 G 内頸動脈解離
 H 脳腫瘍
 I Arnold-Chiari奇形
 J 神経線維腫症1型
 K 転換性(非器質性)視覚障害
 L visual snow症候群
 M 不思議の国のアリス症候群

索引

Close Up目次
 ・M経路とP経路
 ・眼球摘出後変化? でも臨床的に重要な接合部暗点!
 ・プリーの移動や脆弱化で斜視が起こる!
 ・メラノプシン含有網膜神経節細胞
 ・偽乳頭浮腫は先天性? 後天性?
 ・Humphrey視野は5つのリングで読もう!
 ・パターンVEPではブラウン管と液晶画面で潜時が異なる!
 ・斜視へのボツリヌス毒素注射─建前とコツ─
 ・北米では多施設治療トライアルNORDIC studyが終了!
 ・ANCA関連血管炎は疾患名も抗体名も名称が変わっている!
 ・小児の視神経炎は成人とは大きく異なる!
 ・3種類の血液浄化療法にはそれぞれに長所・短所がある!
 ・日本初の難治性視神経炎急性期治療法─IVIG─
 ・難治性視神経炎再発予防法─サトラリズマブ─
 ・反復性視神経炎recurrent(relapsing)optic neuritis(RON)
 ・抗MOG抗体
 ・新型コロナウイルスで乳頭血管炎が起こる!
 ・女性の虚血性視神経症では抗カルジオリピン抗体も原因の1つ!
 ・日本発のイデベノンがLHONに有効!
 ・DOAでは実は患者はそれほど困っていない!
 ・視神経近傍血管腫では手術で視機能悪化も!
 ・Wernicke脳症
 ・強度変調放射線療法(IMRT)
 ・下垂体卒中
 ・鞍結節髄膜腫でも妊娠で悪化することがある!
 ・蝶形骨縁髄膜腫
 ・トルコ鞍空洞症候群empty sella syndrome
 ・中心性同名半盲では読書困難が起こる!
 ・側方注視麻痺と共同偏視
 ・Collier徴候
 ・Fisher症候群は検査結果が出るまで必ず治ると言ってはいけない!
 ・動眼神経麻痺の複視消失率にはトリックがある!
 ・動眼神経麻痺後には眼瞼に異常連合運動が起こる!
 ・先天上斜筋麻痺は後天滑車神経麻痺とは別物!
 ・滑車神経麻痺は確定するまで両側性を疑え!
 ・下直筋鼻側移動術では内転作用に注意!
 ・外転神経麻痺では内直筋後転より外直筋短縮を!
 ・甲状腺眼症の従来のパルス療法は今や時代遅れかも!
 ・意外と有効なトリアムシノロンアセトニド局所注射!
 ・斜視のボツリヌス毒素注射は甲状腺眼症の内斜視から始めよう!
 ・満足度の高い甲状腺眼症の斜視手術!
 ・局麻剤ブピバカインは外眼筋にとって善玉か悪役か?
 ・再発性眼窩筋炎では早期に免疫抑制薬の導入を!
 ・上外直筋縫合術では付着部から8mmの筋腹に制御糸を!
 ・稀な遺伝性疾患でも積極的に対症療法を!
 ・高騰する米国での鼻内視鏡手術の合併症訴訟!
 ・眼振は緩徐相が重要!
 ・眼振の頻度は意外に多い!
 ・潜伏眼振は乳児内斜視とDVDを合併しやすい!
 ・Arnold-Chiari奇形では多彩な眼振がみられる
 ・色素変性末期の眼振患者の動揺視への最終手段は水平4直筋後転?
 ・下斜筋ミオキミアって本当にあるの?
 ・ボツリヌス療法とは?
 ・眼輪筋切除には炭酸ガスレーザーを用いるのが便利!
 ・ベノキシール点眼が開瞼失行を改善する!
 ・先天Horner症候群
 ・散瞳薬点眼試験による交感神経障害部位判定法
 ・アプラクロニジン点眼試験
 ・Tolosa-Hunt症候群はステロイドへの反応での診断・治療が可能!
 ・外眼筋が癒着していない斜視手術はかえって厄介なことがある!
 ・アイステストの機序
 ・clinically isolated syndrome(CIS)の診断基準
 ・日本発のフィンゴリモド

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敷居は低く,読み込めば深い知識が得られる良書
書評者:園田 康平(九大教授・眼科学)

 本書は2014年に世に出て,わかりやすい解説が評判となり,眼科医・視能訓練士はもちろん,他診療科関係者にもわたる幅広い読者を獲得した。三村治先生の神経眼科学に対する経験と考え方が凝集された名著である。今回第3版が刊行され,改訂を重ねることで最新の内容が織り込まれている。特に「難治性視神経炎」の記述が充実し,大量免疫グロブリン静注療法や抗IL-6レセプター抗体であるサトラリズマブ治療をはじめとする治療法は詳細に記載されている。大量免疫グロブリン療法は三村先生ご自身が責任医師を務められた治験の成果であり,今多くの眼科医が知りたいと思っている内容である。この部分の記述量と深みは他の成書にない本書の特徴であろう。

 本書は図や写真が多く,神経眼科を苦手と感じている読者にとって手に取りやすく,必要な情報をすぐに取り出せるように構成が工夫されている。第1章の「神経眼科の解剖と生理」では神経眼科を理解するために必要最小限の知識を短時間で整理することができる。分厚い解剖の本を読み直さなくてもよいのがとてもありがたい。第2章の「神経眼科診察法」では,神経眼科にかかわる診察法と検査法が,すぐに役立つという視点で手順から応用まで実践的に記述されている。検査室において皆で参照するにも適するように作られている。第3章以降は病態や症候別に,具体的な症例写真がふんだんに盛り込まれた明快な解説が述べられる。「診断」「病因」「治療・予後」と統一のフォーマットで記載されているのもありがたい。

 本書のもう一つの特徴は,要所にちりばめられた「Close Up」コーナーである。あたかも三村先生がそこにいて,語りかけるように大事なことを書いてくださっている。新知見あり,こぼれ話・苦労話あり,三村先生ならではのこだわりありの内容で,コーヒーブレイク的に読みながら,重要な部分がより印象に残った。

 神経眼科は基本的な知識を身につけることが第一歩であり,それさえ乗り越えれば体系的に病変部位や病態把握ができるところが面白いといわれる。しかし,多くの読者にとっては,最初の一歩が大変なのだと思う。三村先生は,それは決して難解でも特別な知識でもないといわれ,多くの非専門家の立場を考えて敷居を低く取り上げていただいている。私自身は神経眼科の専門家ではないが,神経眼科の診療はさまざまな側面で求められるために,避けては通れない領域であると認識している。私は本書を手に取って,最初に全体を通読したが,無理なく読み進めることができた。そして読み進む中で自分の知識の曖昧さを思い知らされ,その部分を取り出して後日何度か読み返しを行った。神経眼科領域にあらためて魅力を感じると同時に,進歩を目の当たりにして心から感動した。

 本書はとっつきやすい構成を取りながら,一冊読み込めば深い知識が得られるように工夫されている。神経眼科を今から学ぼうとする人にも,得意とする人にも,その要望にきちんと応えられることができる良書である。


初学者から専門医まで,読みごたえのある名著
書評者:村上 晶(順大大学院教授・眼科学)

 私自身,神経眼科学については,系統立った教育を受けないまま,眼科医として仕事をしている。したがって,この領域は正直いってあまり得意ではない。苦手といってもよいかもしれない。そういう私が頼りにしている一冊が,三村治先生の執筆による『神経眼科学を学ぶ人のために』である。おそらく,神経眼科を基本から学ぶ入門書としても,どう診断するか迷う症例の答えを探すときにも多くの眼科医が手に取っているのではと思う。

 今回,改訂第3版が発刊され,これまで以上に見やすいイラストと懇切丁寧に解説された臨床画像が満載されており,さらに頼もしい一冊になっている。専門外の者にとっては,神経眼科疾患を前にして,どう診察を始めていいか迷うことが少なくない。そういう気持ちを察するかのように,診断のコツ,そして優先すべき検査を明解に記述くださっているのがありがたい。余裕のないときは,ボールドで印刷されているところに注意を払って読んでいくことで大切なことを逃さずに要点を整理できる構成になっている。治療についても,最初の一手からその後の経過の見方まで,豊富な経験と最新の知見をもとにポイントをしぼった形で記載されている。エビデンスの蓄積が待たれるような新しい知見や,専門家の視線で注目している事柄の記載がコラム「Close Up」として各所にちりばめられているのでじっくり読み込む楽しみもある。

 近年の神経免疫学の進歩には目覚ましいものがあり,視神経脊髄炎関連疾患の診療は大きく変わってきている。神経眼科を専門としない者でも,視神経疾患を疑った場合は適切な治療へと患者さんを導いていくことが求められている。本書の「第3章 視神経・視路疾患」「A 視神経に腫脹をきたす疾患」は,今回の改訂を急がれた理由の一つであるが,このことは「序」で述べられているので,ぜひ繰り返し精読しておくべきと思う。

 もう一つ個人的な感想になるが,私自身が最も苦手なことの一つに「眼球運動障害の診断」がある。診察しているうちにどうしても頭の中が混乱してきてしまい,すぐに専門家に相談できないときは,いくつかの成書を並べて確認しながらなんとか診断を行うこともある。本書の「眼球運動障害」の項は,図と豊富な症例の写真が使われていて,類書と比べて断然理解しやすい記述になっているので,同じ悩みを持つ方には,手元に備えておくことをお勧めしたい。

 それにしても神経眼科の新しい知見を盛り込むために,2014年の初版から,約3年で第2版を刊行され,その3年半後に第3版をまとめ上げる著者の責任感と情熱には敬服するばかりである。繰り返しになるが初学者から眼科専門医まで,さらにORTや他科の医療者にとっても読みごたえのある名著である。


名著,『神経眼科学を学ぶ人のために』がさらにバージョンアップ!
書評者:近藤 峰生(三重大大学院教授・眼科学)

 日常の眼科診療では,眼球運動障害,視神経萎縮,原因不明の視野欠損など,神経眼科の知識を必要とする患者によく遭遇する。しかしその一方で,神経眼科の分野は少し苦手という眼科医はかなり多い。その理由は,神経眼科の疾患を理解するために眼球運動や瞳孔反応の神経回路や異常メカニズムを理解する必要があるからであろう。しかし,一度これらを理解し,いくつかのコツやパターンさえ身につけてしまえば,神経眼科は実にわかりやすく面白い領域である。その事実に気付かせてくれたのが,本書『神経眼科学を学ぶ人のために』である。これまでも神経眼科専門医の誰もが推薦する名著であったが,今回さらに大幅なバージョンアップがなされ,誌面もカラフルに生まれ変わった第3版が上梓された。

 本書の最大の特徴は,「見やすさ,わかりやすさ」にある。著者である三村治先生の講演を聴いた方ならわかるであろうが,平易な言葉で,診断のコツがどこにあるかが切れ味よく解説されている。第2版も図や写真が多くて読みやすい本だったが,第3版ではさらにカラーのイラストが増えており,視覚に訴えて理解させたいという著者の情熱が伝わってくる。

 次に強調したい点は,神経眼科疾患の診断における近年のイメージングの重要性を考慮し,眼底画像検査,特にOCTの結果が多く提示されていることである。総論だけでなく,各論の具体的な疾患でもOCTを用いた乳頭周囲の網膜神経線維層(cpRNFL)やganglion cell complex(GCC)の結果がカラーマップで示され,詳しく説明されている。これは,実際の患者さんから得られたOCTの結果と照らし合わせる際に非常に役立つ。

 さらに秀逸なのは,「Close Up」と呼ばれるコラムである。このコラムは,よく耳にする話題や最新のトピックスに焦点をあて,三村先生が短い読み物として書いたものである。このコラムには三村先生の経験談や個人的な感想などが散りばめられていて実に面白く,私は最初にこのコラムだけを1日で読破してしまった。

 最新データがふんだんに盛り込まれている点もありがたい。例えば,視神経炎の項目では,AQP4抗体,MOG抗体陽性の視神経炎の内容を加えて大幅な改訂が行われており,それらの最新の臨床試験の結果も知ることができる。AQP4抗体陽性の難治性視神経炎に対するサトラリズマブ(エンスプリング®)の臨床試験結果や,新型コロナウイルスで乳頭血管炎が起こる話題などにも触れているが,これはつい先日の話題である。

 読み物としてじっくり楽しむのもよし,外来に置いて調べ物として使うのもよし。これから神経眼科を勉強したいと考えている若い眼科医に,そして既に本書の初版と第2版を持っている三村先生ファンの眼科医にも,ぜひともお薦めしたい一冊である。

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