老年看護 第7版

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・高齢者を取り巻く社会をふまえ、生活者である高齢者という視点から老年看護を学習する構成をとっています。
・高齢者の暮らしを支える看護について、実際の看護技術,病態と疾患、治療と処置について多くの紙面を割いています。第7版では、第4~6章の記述について大幅に見直しをはかりました。フレイルやサルコペニア、軽度認知障害といった今日的な内容についても、新規項目を設けています。
・カリキュラムの改正に対応しています。第8章の在宅療養と看護では、地域包括ケアの概念や制度から在宅看護技術、訪問看護、そして療養者の家族の看護にいたるまで記述を充実させました。
・第8章では、自立度に応じた在宅看護について事例を掲載しています。地域包括ケアの概念に基づきながら、どのような看護が求められるか具体的に学習することができます。
・各章末に、准看護師試験対策に活用できる復習問題を設けています。

シリーズ 新看護学 13
著者代表 六角 僚子
発行 2022年01月判型:B5頁:280
ISBN 978-4-260-04712-8
定価 2,200円 (本体2,000円+税)

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はしがき

学習にあたって
 長寿・高齢社会という喜ぶべき現実のなかで,その反面として障害をもつ高齢者は増加している。近年の高齢化問題は,高齢化の進展の「速さ」だけではなく,割合(高齢化率)も問題となっている。2020年10月の65歳以上人口は3619万人であり,高齢化率も28.8%と非常に高いものであった。65歳以上人口は今後も増加傾向が続くとされ,2042年に3935万人でピークを迎えると推計されている。さらに,認知症高齢者数は2025年には700万人をこえるという推計がある。
 厚生労働省は,2025年をめどに,住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。地域包括ケアシステムは,市町村や都道府県が地域の特性に応じてつくりあげていくことが必要であるとされている。つまり,この高齢社会をのりこえるためには「地域づくり」が不可欠であり,これは地域住民1人ひとりの努力によってしかなしえない。この地域包括ケアシステムが普及すると,在宅医療を提供する医療機関と,介護サービスを提供する事業者の多機関・多職種連携が進み,療養者は在宅で一貫した医療・介護サービスを受けられるようになっていくと展望されている。
 高齢者介護の確立はわが国全体の大きな課題であり,そのなかで看護に求められていることは多い。とくに高齢者の暮らしの場は,自宅・施設・病院と多様化しており,その意味では保健・医療・福祉の各機関の連携の強化も重要である。看護は,そこにおいても大きな役割を担っている。
 これからの高齢者看護には,高齢者が現存能力を発揮し,安全にそして安心してその人らしい生活が継続できるように,地域や家族とともに支援していくことが求められている。そのためには,身体面の正確なアセスメントに加え,心理・社会面や生活習慣などの多角的なアセスメントが必要となる。
 本書は,准看護師教育課程のテキストとして編集されたものである。そのなかでも,とくに高齢者の暮らしを支えることに学習の力点をおいた。本書での学習によって,必要とされる知識・技術・態度を身につけ,私たちの目ざす,高齢者への理想的な看護を実現するための能力を養ってもらいたい。

改訂の趣旨
 第7版の改訂では,全体的な内容の更新に加え,高齢者看護において近年とくに重要視されている,地域包括ケアシステムや胃瘻,フレイル,サルコペニア,アドバンスケアプランニングなどについて,新規に項目を設けて解説した。また,高齢者の在宅療養と看護について,第8章の内容を拡充した。各章で加筆・修正を行ったおもな点は以下のとおりである。
 第1章では,近年拡大してきているアドバンスケアプランニング(ACP)について項目を新たに追加した。
 第2章では,高齢者の家族に関する内容について記述を新しくした。
 第3章では,高齢者総合的機能評価(CGA)について,評価項目とともに解説を追加した。
 第4章では,胃瘻に関する項目を新規に設けた。また,排泄,清潔,衣生活,運動と睡眠・休息について,図版を含め内容を刷新した。
 第5章では,高齢者看護において重要となる,フレイルとサルコペニアの項目を追加した。また,褥瘡やスキンテアといった,皮膚の症状・疾患と看護について内容を新たにしている。
 第6章は,全面的に記述を見直した。患者が安心して安全に治療・処置を受けられるような看護や,寝たきりを防ぎ早期に退院ができるような支援について解説している。
 第7章では,認知症についてより広く学習ができるように,軽度認知障害(MCI)と若年性認知症の項目を新規に設けた。
 第8章は,全体の構成を見直し,高齢者の在宅療養と看護について大きく扱った。訪問看護と家族への看護を含め,具体的な事例とともに丁寧な解説を心がけた。また,近年ますます重要となっている地域包括ケアシステムについても,理念や制度について学習ができるようにした。
 なお,編集にあたって,文中での表現の煩雑さを避けるため,特定の場合を除いて看護師・准看護師に共通する事項は「看護師」と表現し,准看護師のみをさす場合には「准看護師」として示した。また,保健師・助産師・看護師・准看護師など看護の有資格者をさす場合には「看護職」あるいは「看護職者」としたので,あらかじめご了解いただきたい。
 執筆者は,それぞれが高齢者看護における専門性をいかしながら本書にかかわっており,准看護師教育課程の学習に有用で,活用しやすいテキストとなるように努力していきたいと考えている。積極的で,かつ批判的なご意見をお寄せいただければ幸いである。

 2021年11月
 著者ら

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第1章 高齢者の理解
 A.人としての高齢者を理解する
  1.加齢と成長すること
  2.エイジズムとサクセスフルエイジング
  3.倫理的な課題
 B.加齢による身体的側面の変化
  1.老化と老化現象
  2.加齢に伴う身体の器質・機能の変化
 C.加齢による心理・社会的側面の変化
  1.加齢に伴う心理・精神的機能の変化
  2.加齢と社会的変化
  3.老年期の社会的変化とストレス
 D.高齢者と発達課題
  1.高齢者の発達のとらえ方
  2.エリクソンの発達課題
  3.ハヴィガーストの発達課題

第2章 高齢者を取り巻く社会と社会システム
 A.高齢社会の統計的理解
  1.高齢者人口の推移
  2.高齢者の健康状態
  3.高齢者の生活構造
 B.保健医療福祉のしくみ
  1.高齢者を支える社会システム
  2.高齢者を取り巻く医療制度
  3.高齢者を取り巻く福祉制度
  4.高齢者の暮らしを支える制度
  5.地域のネットワーク
 C.高齢者の権利擁護
  1.高齢者虐待の防止
  2.成年後見制度
  3.日常生活自立支援事業
 D.高齢者にとっての家族
  1.家族のサイクル
  2.高齢者と家族
  3.家族の役割と悩み

第3章 高齢者の暮らしを支える看護の視点
 A.高齢者看護の視点
  1.チームでのアプローチ
  2.高齢者看護の姿勢
  3.高齢者の包括的アセスメント(高齢者総合的機能評価)
 B.高齢者と健康増進(ヘルスプロモーション)
  1.高齢者の健康増進
  2.高齢者への健康増進と生活習慣病予防対策
  3.予防の視点――介護予防・転倒および認知症の予防
 C.高齢者と自立支援
  1.高齢者と自立の考え方
  2.エンパワーメント
 D.高齢者と障害受容
 E.看護観察と看護記録
  1.高齢者看護と観察
  2.高齢者看護と記録
  3.高齢者看護と報告
 F.高齢者とコミュニケーション
  1.高齢者看護におけるコミュニケーション
  2.高齢者のコミュニケーションの特徴
  3.高齢者看護とコミュニケーション技術
  4.認知症高齢者とコミュニケーション

第4章 高齢者の暮らしを支える看護の実際
 A.健康生活の維持
  1.生活環境
  2.姿勢と動作
  3.食生活と栄養
  4.排泄
  5.清潔
  6.衣生活
  7.運動と睡眠・休息
 B.高齢者の生活とリスクマネジメント
  1.病院におけるリスクマネジメント
  2.福祉施設におけるリスクマネジメント
  3.独居の場合におけるリスクマネジメント
  4.災害時におけるリスクマネジメント

第5章 高齢者の病態・疾患と看護
 A.高齢者に多い疾患とその特徴
  1.高齢者に多い疾患
  2.高齢者の疾患の特徴
  3.老年症候群
 B.系統別にみる症状・疾患と看護
  1.脳・神経系の症状・疾患と看護
  2.循環器系の症状・疾患と看護
  3.呼吸器系の症状・疾患と看護
  4.消化器系の症状・疾患と看護
  5.代謝機能に関連する症状・疾患と看護
  6.運動器の症状・疾患と看護
  7.感染症の症状・疾患と看護
  8.皮膚の症状・疾患と看護
  9.感覚機能の低下を伴う疾患と看護
  10.精神活動に関連する症状と看護
  11.せん妄状態と看護

第6章 治療・処置を受ける患者の看護
 A.外来受診をする高齢者の看護
  1.受診時の心理的特徴
  2.受診時の看護
 B.検査を受ける高齢者の看護
  1.検査を受ける高齢者の看護問題
  2.検査前の援助
  3.検査中の援助
  4.検査後の援助
 C.薬物療法を受ける高齢者の看護
  1.高齢者と薬物の関係
  2.薬剤の管理と服用の援助
 D.入退院を必要とする高齢者の看護
  1.入院を必要とする高齢者の問題
  2.入退院時の看護
  3.退院後の生活への看護
 E.手術を受ける高齢者の看護
  1.手術を受ける高齢者の看護問題
  2.手術前の看護
  3.手術後の看護
 F.救急対応を要する高齢者の看護
  1.早期発見のための対策
  2.緊急連絡
  3.応急処置の実際

第7章 高齢者が豊かに生きるために
 A.自分の世界を生きる──認知症高齢者の看護
  1.認知症
  2.認知症を引きおこす4つの原因別疾患
  3.認知機能障害のアセスメントと対応
  4.行動・心理症状のアセスメントと対応
  5.認知症者への援助
  6.認知症の疾患別のケア
  7.認知症者と家族
 B.高齢者のリハビリテーション
  1.高齢者におけるリハビリテーションの現状
  2.リハビリテーションにおける看護の役割
 C.高齢者のセクシュアリティ
  1.異性への関心
  2.認知症高齢者の性
 D.アクティビティケア
  1.あたり前の生活の大切さがわかること
  2.活性化の方法としてのアクティビティケア
  3.活性化への援助の実際──リアリティオリエンテーション
  4.認知症者へのアクティビティケア
 E.別れを迎えるとき──エンドオブライフケア
  1.人生の最終段階と看護
  2.遺族へのケア

第8章 高齢者の在宅療養と看護
 A.在宅看護の概念
  1.在宅看護とは
  2.地域包括ケアシステム
 B.在宅看護の実際
  1.在宅看護の対象
  2.在宅看護の場
  3.在宅看護の内容
 C.在宅療養を支える看護
  1.訪問看護の概要
  2.訪問看護の制度とその対象
  3.訪問看護ステーション
  4.訪問看護師に必要な能力
  5.多職種連携によるケアチーム
  6.施設内の看護
 D.在宅療養者の家族への看護
  1.療養者にとっての家族
  2.家族が行う介護
  3.家族看護の展開
 E.在宅看護の事例

さくいん

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