基礎看護[4] 第16版
臨床看護概論

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  • 患者・家族が身体・精神・社会的にどのような状況におかれ、どのような援助を必要とするのか、医療・看護の視点から多角的に学習できます。
  • 疾病の経過、受療の場所、患者の症状、実施される治療・処置の側面から、臨床看護に必要な基本的知識が得られるように構成してあります。
  • カリキュラムの改正に対応し、在宅医療・看護に関する記述を充実させました。在宅療養患者の生活の理解につながる内容を追記しています。
  • 各章末(第4・5章は各節末)に復習や試験対策に活用できる復習問題を設けています。
シリーズ 新看護学 8
著者代表 新村 洋未
発行 2022年01月判型:B5頁:288
ISBN 978-4-260-04715-9
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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はしがき

カリキュラム改正
 本書は,1970年に初版が発行されて以来,看護を取り巻く社会の変化に伴って改訂を重ねてきた。
 2022年度から開始されるカリキュラムでは,教育の基本的考え方について,保健・医療・福祉を取り巻く状況等をふまえた内容の明確化がはかられた。それに伴って,2002年度から専門基礎科目に位置づけられていた「看護と倫理」と「患者の心理」が,「基礎看護」のなかで教育されることになった。
 今回の改訂においては,カリキュラムの改正の意図を吟味し,「基礎看護」はこれまでの3巻構成を抜本的に見直すこととなった。その結果,大幅に内容を拡充・刷新して4巻構成に再編成するにいたった。

学習にあたって
 皆さんはこれまで,「看護概論」と「基礎看護技術」の学習を通して,看護がどのようなもので,どのようにして行われなければならないか,つまり看護の概念(目的・対象・機能)と方法について,基本的なことを学んできた。そこで学習した内容は,健康・不健康を問わず,健康上の援助を必要とするあらゆる人々に対して,専門的に看護を行う者に等しく必要とされる知識・技術であり,看護者としての主体的なあり方である。
 本書「臨床看護概論」では,これらの学習をもとに,対象を健康障害のある人々(患者)にしぼり,患者とそれを支える家族が身体的・精神的・社会的にどのような状況におかれ,どのような援助を必要とするようになるかを,医療および看護の視点から多角的に学習する。すなわち,①看護の対象としての患者と家族,②疾病の経過,③受療の場,④患者の示す症状,⑤行われる治療・処置,という5つの側面から臨床看護に必要な基本的知識を得ることを目的としている。
 これら臨床看護の詳細については,「成人看護」「老年看護」「母子看護」「精神看護」で順次学習するので,ここでは,これらの学習に必要な基本的な事項を総合的に学習し,次の臨床看護の学習に応用できるようにすることが重要である。

本書の構成と改訂の趣旨
 准看護師にとって重要な臨床看護への理解を深めるために,本書では次のような構成をとるとともに,具体的なイメージがつかめるよう事例を交えて解説した。各章で学ぶ学習の要点は次のとおりである。
 第1章「患者と家族の理解」では,患者となって生活する人々に共通するいくつかの問題を取り上げ,援助の対象である患者と家族への理解を深める。近年の医療を取り巻く環境の変化は著しいものがある。その変化をとらえたうえで,患者となって味わう苦痛や不安とその背景にあるもの,またそれがどのような葛藤とともに行動としてあらわれてくるかを知る。
 そして患者にとって家族とはなにか,また家族関係の変化と多様化について学び,患者をかかえることによって家族はどのような状態になるか,患者の安楽や回復に家族がどのような役割を果たしているかを理解する。
 第2章「疾病の経過と患者の看護」では,疾病の経過を4つの経過概念,すなわち急性期・慢性期・回復期(リハビリテーション期)・終末期という観点で学ぶ。そして各期における患者の心理・特徴を理解したうえで,看護のポイントを学習する。
 第3章「さまざまな場における看護」では,病院における外来看護の役割と,入院および退院時の看護について基本的なことを学習する。そのうえで施設から在宅へ療養の場が拡大していることから,在宅看護の基礎についても学習する。
 第4章「症状を示す患者の看護」では,症状・機能障害という観点から病態をとらえ,それに対する看護のポイントを学習する。ここで学習する症状は,人間の生命維持と人間としての存在にかかわる主要症状である。
 第5章「治療・処置を受ける患者の看護」では,健康障害に対して最もよく用いられる各治療法・処置の意義・目的・特徴などを理解したうえで,それらを受ける患者の看護のポイントを学習する。
 なお,文中では表現の煩雑さを避けるため,特定の場合を除いて看護師・准看護師に共通する事項は「看護師」として表現し,准看護師のみをさす場合には「准看護師」として示した。あらかじめご了解をいただきたい。
 今後とも准看護師教育の向上・発展を願い,有用な使いやすいテキストとしていきたい。意は尽くしたつもりではあるが,まだまだ不十分な点やわかりにくい点もあるかと考える。読者および有識者の皆さんの率直なご意見をお寄せいただければ幸いである。

 2021年12月
 著者ら

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第1章 患者と家族の理解
 A.医療を取り巻く環境の変化
  1.疾病構造の変化
  2.科学技術の進歩
  3.家族・地域とのつながりの変化
  4.健康をめぐる状況・意識
  5.人々の健康状態と受療状況
  6.医療・看護の標準化
  7.急速な変化のなかで求められる看護
 B.患者の理解
  1.患者とは
  2.患者のおかれた状況の理解
  3.患者を理解したうえでの看護の役割
 C.家族の理解
  1.家族とは
  2.患者を取り巻く家族の理解
  3.家族関係の変化・多様化
  4.家族に対する看護のかかわり

第2章 疾患の経過と患者の看護
 A.急性期の患者の看護
  1.急性期の特徴
  2.急性期の患者の心理
  3.急性期の患者の看護の実際
 B.慢性期の患者の看護
  1.慢性期の特徴
  2.慢性期の患者の心理
  3.慢性期の患者の看護の実際
 C.回復期・リハビリテーション期の患者の看護
  1.回復期・リハビリテーション期の特徴
  2.回復期・リハビリテーション期の患者の心理
  3.回復期・リハビリテーション期の患者の看護の実際
 D.終末期の患者の看護
  1.終末期の特徴
  2.終末期を迎える場所
  3.全人的ケア
  4.終末期の患者の看護の実際
  5.死後の処置(エンゼルケア)
 E.各疾患の経過例
  1.胃がん
  2.脳梗塞
  3.糖尿病
  4.交通事故による外傷
  5.誤嚥性肺炎

第3章 さまざまな場における看護
 A.外来医療における看護
  1.外来医療の特徴
  2.外来患者の看護の実際
 B.入院医療における看護
  1.入院医療の特徴
  2.入院患者の看護の実際
  3.退院時の患者の看護の実際
 C.在宅医療における看護
  1.在宅医療の特徴
  2.在宅療養患者の看護の実際
 D.継続看護
  1.生涯を通じての継続看護
  2.医療機関や施設における継続看護

第4章 症状を示す患者の看護
 A.全身症状を示す患者の看護
  1.痛み
  2.倦怠感
  3.かゆみ(瘙痒)
  4.発熱
  5.脱水
  6.めまい
  7.高血糖・低血糖
  8.痙攣
  9.易感染状態
  10.肥満・やせ
 B.呼吸器症状を示す患者の看護
  1.呼吸困難
  2.咳嗽・喀痰
  3.喀血
 C.循環器症状を示す患者の看護
  1.貧血
  2.出血傾向
  3.動悸
  4.チアノーゼ
  5.浮腫
  6.ショック
 D.消化器症状を示す患者の看護
  1.摂食・嚥下困難
  2.食欲不振
  3.吐きけ・嘔吐
  4.腹部膨満感
  5.吐血
  6.下血
  7.便秘
  8.下痢
  9.黄疸
 E.腎・泌尿器症状を示す患者の看護
  1.尿の量・回数の異常
  2.尿の性状の異常
  3.観察・看護のポイント
 F.脳・神経症状を示す患者の看護
  1.意識障害
  2.感覚障害(知覚障害)
  3.運動麻痺
 G.精神症状を示す患者の看護
  1.抑うつ
  2.不安
  3.不眠

第5章 治療・処置を受ける患者の看護
 A.検査を受ける患者の看護
  1.検査の意義・目的
  2.検査の種類・特徴
  3.検査を受ける患者の看護の実際
 B.安静療法を受ける患者の看護
  1.安静療法の意義・目的
  2.安静療法の特徴
  3.安静療法を受ける患者の看護の実際
 C.食事療法を受ける患者の看護
  1.食事療法の意義・目的
  2.食事療法の特徴
  3.食事療法を受ける患者の看護の実際
 D.薬物療法を受ける患者の看護
  1.薬物療法の意義・目的
  2.薬物療法の特徴
  3.薬物療法を受ける患者の看護の実際
 E.輸液療法を受ける患者の看護
  1.輸液療法の意義・目的
  2.輸液療法の特徴
  3.輸液療法を受ける患者の看護の実際
 F.運動療法を受ける患者の看護
  1.運動療法の意義・目的
  2.運動療法の特徴
  3.運動療法を受ける患者の看護の実際
 G.救急処置を受ける患者の看護
  1.救急処置の意義・目的
  2.救急処置の特徴
  3.救急処置を受ける患者の看護の実際
 H.手術療法を受ける患者の看護
  1.手術療法の意義・目的
  2.手術療法の特徴
  3.手術療法を受ける患者の看護の実際
 I.集中治療を受ける患者の看護
  1.集中治療の意義・目的
  2.集中治療の特徴
  3.集中治療を受ける患者の看護の実際
  4.集中治療室の弊害
 J.放射線療法を受ける患者の看護
  1.放射線療法の意義・目的
  2.放射線の特徴
  3.放射線療法の特徴
  4.放射線療法を受ける患者の看護の実際
 K.透析療法を受ける患者の看護
  1.透析療法の意義・目的
  2.透析療法の特徴
  3.透析療法を受ける患者の看護の実際
 L.精神療法を受ける患者の看護
  1.精神療法の意義・目的
  2.精神療法の特徴
  3.精神療法を受ける患者の看護の実際

さくいん

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