身体機能作業療法学 第4版

もっと見る

身体機能分野における作業療法の教科書、待望の付録動画付きで改訂。今版では、写真やイラストでは伝わりにくい手技や脊髄損傷患者独特の動きを動画で解説し、学生のより深い理解を促す。また新カリキュラムの「嚥下障害」、「喀痰吸引」についても新たに解説を加える。本書は主な疾患・障害に関する治療原理や実践課程を網羅しており、国家試験はもちろん臨床実習や卒後においても作業療法士の心強い味方になる一冊である。

*「標準作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準作業療法学 専門分野
シリーズ監修 矢谷 令子
編集 山口 昇 / 玉垣 努 / 李 範爽
発行 2021年12月判型:B5頁:532
ISBN 978-4-260-04682-4
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 正誤表を更新しました。

    2023.10.18

  • 正誤表を掲載しました。

    2022.12.14

  • 序文
  • 目次
  • 付録・特典
  • 正誤表

開く

第4版 序

 作業療法が実施される分野には,大きく分けて5領域(本シリーズの構成でいえば,身体機能,精神機能,発達過程,高齢期,地域)がある.どの分野で実施される作業療法であっても,作業療法は対象者が望む“意味ある作業”に取り組めるようにすることを目指している.そのために作業療法士は,対象者がかかえる障害や問題だけでなく利点(機能している点)をも含めて,また心身両面にわたって対象者を包括的にとらえ,アプローチ(治療・指導・援助)を行っている.領域を分けるのは,どの側面により重点をおいてアプローチしているかである.その点からいえば,本書は身体機能の側面に重点をおいた作業療法を解説している.
 第4版では,前版と同じく2部構成とし,第1部では身体機能作業療法の基礎と治療原理をまとめて解説した.第1部を受けて第2部では,国家試験出題基準を参考にしながら臨床場面で遭遇することの多い疾患を選択し,作業療法がどのように展開されるかを解説した.その構成は,作業療法を実施するうえで欠かせない医学的知識と作業療法の関連,作業療法評価,目標設定,急性期から地域生活を送るうえでの作業療法プログラムとし,各疾患で可能なかぎりこの構成となるよう統一した.
 第4版での変更点は,章末にあったキーワードの解説を本文のなかに配して理解しやすくするとともに,ボディメカニクスや脳血管疾患,脊髄損傷で動画を参照できるようにした.動画からは,文章では得られない深い理解が得られるだろう.また,2020年度入学生より,カリキュラムの改正がなされた.本書との関連でいえば,「画像評価」と「喀痰等の吸引」の必修化がそれに該当する.「画像評価」については,従来より各種疾患のなかで解説をしていた.「喀痰等の吸引」については,新たに項を設けてカリキュラム改正に対応できるようにした.「摂食・嚥下」や「喀痰等の吸引」は,学内でそれらを完全に習得することは難しく,命に直結する側面もあるため卒後の勉学・研修が必須であるが,在学中に少なくともその基礎を習得しておくことが求められる.
 身体機能作業療法の分野では,急性期の医療施設から回復期リハビリテーション病棟や介護老人保健施設を経て地域生活へという流れが定着してきている.そして,病院を含めた施設の滞在時間を可能なかぎり短縮するよう求められ,在宅での生活が強調されるようになった.それに伴って,作業療法士に求められる知識・技術もさらに幅広いものとなっている.医療色が強い施設では医学的な知識と技術が,地域もしくは在宅生活を援助するうえではより福祉的な知識と技術が必要である.作業療法士は対象者の“意味ある作業” を実現する役割を担ってはいるが,作業療法士は医療職であり,どの臨床場面であってもしっかりとした医学的知識と技術がそのベースになければならない.本書ではそれを学んでほしい.
 身体機能作業療法の分野で対象とするのは,ほとんどが自分の祖父母あるいは父母ともいえる社会経験を積んだ方々である.その方々の“意味ある作業”を実現するには,それまでに対象者が歩んできた個人的な生活歴を理解するとともに,社会的な出来事を知り,それをもとに対象者の今おかれている状況に共感できる必要がある.それを可能にするのは,本書の初版の序にあるように“出逢い体験” と“作業体験”である.作業療法士にとって無駄となる経験はない,すべての経験が臨床のための糧となる.勉学は当然のことであるが,それとともに多くの体験をしてほしいと願う.

 2021年11月 執筆者を代表して
 山口昇

開く

1 身体機能作業療法学概論
 I 身体機能作業療法学の基礎
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  1 身体機能作業療法学を学ぶ皆さんへ
  2 身体機能作業療法の目的と方法,対象
  3 身体機能作業療法学の枠組み
  4 身体機能作業療法学の実践
 II 身体機能作業療法の治療原理
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  1 対象者とセラピストのためのボディメカニクス
  2 運動制御理論と運動学習
  3 関節可動域の維持・拡大
  4 筋力と筋持久力の維持・増強
  5 筋緊張異常とその治療
  6 不随意運動とその治療
  7 協調運動障害とその治療
  8 感覚・知覚再教育
  9 廃用症候群とその対応
  10 摂食・嚥下障害
  11 喀痰吸引
  12 物理療法の基礎

2 疾患別身体機能作業療法
 III 中枢神経疾患
  1 脳血管疾患
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  2 頭部外傷
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  3 脊髄損傷
  GIO,SBO,修得チェックリスト
 IV 運動器疾患
  1 骨折
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  2 加齢性関節疾患
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  3 関節リウマチおよびその類縁疾患
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  4 上肢の末梢神経損傷
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  5 腱損傷
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  6 熱傷
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  7 切断と義肢
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  8 腰痛症
  GIO,SBO,修得チェックリスト
 V 神経筋疾患
  1 ギラン-バレー症候群
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  2 多発性硬化症
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  3 重症筋無力症
  GIO,SBO,修得チェックリスト
 VI 神経変性疾患
  1 パーキンソン病
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  2 脊髄小脳変性症
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  3 筋萎縮性側索硬化症
  GIO,SBO,修得チェックリスト
 VII 内部疾患
  1 心疾患
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  2 呼吸器疾患
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  3 糖尿病
  GIO,SBO,修得チェックリスト
 VIII 悪性腫瘍(がん)
  1 悪性腫瘍切除術後
  GIO,SBO,修得チェックリスト
  2 ターミナルケア(終末期がん)
  GIO,SBO,修得チェックリスト

身体機能作業療法学の発展に向けて

さらに深く学ぶために

索引

開く

●web動画

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 正誤表を更新しました。

    2023.10.18

  • 正誤表を掲載しました。

    2022.12.14