THE内科専門医問題集1 [WEB版付]
総合内科ⅠⅡⅢ・消化器・循環器・内分泌・代謝・腎臓
内科専門医受験にまず手に取るべき「1冊目の臨床問題集」
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内科専門医をめざす研修医・専攻医のための臨床トレーニング問題集&WEBアプリ。トップ指導医たちがレビューを重ねて磨き上げた「スタンダード430問」(1&2巻合計)により内科臨床の基礎を一通り学ぶことができる。スマホ、タブレット、PCで「いつでも、どこでも」専門医試験対策が可能になるWEB版付(1年間の利用ライセンス)。内科全領域のスタンダードをスキマ時間に効率的に学ぶことができる。まず手に取るべき「1冊目の臨床問題集」。
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総合内科専門医資格認定試験実施延期にともなう弊社関連サービスご利用期限延長のお知らせ
2021.10.29
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序文
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序
「問題集」といえば「=試験対策」と思われる方が多いのではないだろうか.学生時代から種々の試験でお世話になってきた問題集も,試験対策以上の意味を持つことはなく試験が終われば用なしとなっていたかもしれない.この「問題集」へのイメージが大きく覆されたのは米国臨床留学を経てからである.米国の内科専門医試験対策で定番とされるMKSAP(Medical Knowledge Self-Assessment Program)という問題集に出会い,これまでの問題集に対する印象が大きく変わった.
MKSAPを使用すると,そこで得られる知識は試験だけでなく実臨床においても大きく役立つことを日々実感するようになった.米国らしい,実践や結果重視の問題集を作成されていることに深い感銘を受けた.医学教育の観点で米国と比べるとどうしてもまだ発展の余地があると言える日本で,日本版のMKSAPをいつか作ることができれば,と考えていた矢先に医学書院より今回のお話をいただいた次第である.
本問題集は内科専門医制度の新しいカリキュラムを丁寧に検討し,内科医として必修のトピックを中心に拾い上げ,臨床内科の基礎を一通り学べるように設計されている.問題はすべて内科系専門医試験の形式に合わせて作成されており,専門医試験対策に大いにご活用いただきたい.一方で試験対策のためだけでなく,内科医としての素養を高めるためにも多くの工夫を行っている.各問題が扱う臨床トピックについて日米欧の最新のガイドラインとエビデンスを踏まえた必要十分な解説が設けられており,各領域の執筆者,パートエディターおよびチーフエディターとの徹底した議論のもとに作成されている.グローバル・スタンダードと日本の医療現場の実際を踏まえた内容になっていると言える.また,新内科専門医のカリキュラムに領域としては位置付けられていないものの,実質的には内科医にも必須のスキルと考えられる集中治療を章として追加したのも1つの特徴である.
近年のIT化に伴い,勉強方法も多様化している.それに合わせてWEB版(1年間の利用ライセンス)付の書籍としており,スマートフォンやタブレット,パソコンでいつでもどこでも学習できるように配慮されている.
本問題集の作成にあたり,多忙の中,問題の作成および編集に携わってくださった日本全国の秀逸な仲間である先生方,また甚大な量の問題の編集に際してリモートワークを駆使して尽力いただいた医学書院の滝沢英行氏に厚く御礼を申し上げる.
これからの日本の医療を背負う先生方には,本問題集を,内科専門医試験の突破だけでなく,内科臨床の素養をさらに高めるためのツールとしてご活用いただければ幸いである.
2021年3月
筒泉貴彦
山田悠史
目次
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付録WEB版ご利用にあたって
総合内科I(一般) 問題番号001-015
総合内科II(高齢者) 問題番号016-025
総合内科III(腫瘍) 問題番号026-039
消化器 問題番号040-065
循環器 問題番号066-100
内分泌・代謝 問題番号101-130
腎臓 問題番号131-155
資料
索引
書評
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試験対策を超えて実践的知識を学べる「日本版MKSAP」
書評者:濱口 杉大(福島医大教授・総合内科)
私の所属部署では抄読会として米国内科学会が発行する臨床問題集『MKSAP(Medical Knowledge Self-Assessment Program)』を解いて勉強している。その素晴らしさは『MKSAP』を知るもの全てが実感していることであろう。『THE内科専門医問題集』を手に取り実際に解いてみると,まさにこれは「日本版MKSAP」であった。
一見構成を見ると内科専門医試験対策のための問題集と思われるが,問題の質が高く,臨床現場で多く遭遇するポイントに焦点が当たり,まさに実践的な問題集となっている。その上Web版がついていてスマートフォンからも問題が解け,どこにいても学習することが可能である。
これまでの内科の試験問題集は知識を想起することに焦点が当たっていた。時には一般内科医として臨床現場であまり遭遇しないようなかなり専門的な知識を問う問題があったりした。そのような知識をつける問題集も必要である一方で,あくまで試験合格のための問題集となってしまい,現場で実践的に使用できるかは疑問である。文法が満点でも英語がうまく使えないことに似ている。
問題を解けば解くほどただの内科専門医試験対策の問題集ではないことがわかってくる。編集や執筆された先生方の総合内科的能力が極めて高いことがうかがわれる。内科専門医試験対策を超えており,2冊終えた後には試験対策はもとより,内科臨床の広い範囲の実践的知識が身につくだろう。専攻医だけでなく全ての内科医にお薦めの1冊と考える。
本来の内科医に必要な知識,判断力を試す良問が並ぶ
書評者:岡 秀昭(埼玉医大総合医療センター院長補佐/教授・総合診療内科・感染症科)
良問だなあ。これが全分野で一通りできれば目標の明確な内科専門医になれるのではないだろうか? まずは感染症や総合内科の問題を解きながらそう思った。
もう10年近く前になるだろうか。私が総合内科専門医試験を受験したときのことだ。日常診療の合間で試験勉強する時間も確保できず,当時あった赤と青の問題集のうち,自分の苦手な神経や循環器などの分野だけをなんとか目を通し本番に臨んだ。
結果的には合格できたものの,試験後の感想は全く手応えがなかったことを覚えている。
さらに,その試験の問題を通じて,総合内科専門医とはどういうものかが,全く見えなかった。消化管内視鏡ができて,心臓カテーテルもできて,骨髄移植をできる医者なのか? そのような医師をめざしているかのような問題がたくさんあった。
本問題集は目標が明確だ。総合内科専門医の試験目的ではあるものの,本来の総合内科専門医とはこうあるべきだと,それに必要な知識,判断力を試す問題が多くを占めている。
感染症領域では,専門性の高いHIVの抗ウイルス療法(ART)には一切触れられていないが,HIV患者をいかに診断するか,そしてそのヘルスメンテナンスや感染予防についての知識を問う内科医なら知っておくべきよく考えられた問題を通して最新の知識を効率的に学ぶことができる。
総合内科専門医をすでに取得されている医師も,良いトレーニングになるだろう。そして,私も勉強せねば。そうやる気にさせてくれる問題集である。
さて,最後に1つ注意点を挙げたい。もしかしたら,本問題集は総合内科専門医試験の対策には正直心配な点がある。それは問題作成者の日本スタンダードだ。拙著の『感染症プラチナマニュアル』(MEDSi)のAmazonでのレビューに,「細菌性髄膜炎の経験治療はカルバペネムだろ! 本書籍を盲信しないほうが良い」と酷評いただいた。しかし,本問題集の肺炎球菌による細菌性髄膜炎の経験治療の正解はプラチナマニュアル同様にバンコマイシンとセフトリアキソンである。
日本の大人の事情を考慮しないと危険かもしれない。
最後に本来の総合内科専門医試験が,本書の著者陣のように現場の臨床を知る臨床家により作成されることで,社会的ニーズにあった総合内科専門医が量産されることを願ってやまない。
総合内科の新たな幕開けにふさわしい問題集
書評者:藤谷 茂樹(聖マリアンナ医大教授・救急医学)
私のMKSAPとの最初の出合いは,2000年にハワイ大総合内科(GIM)プログラムに入ってからのこととなる。毎年全米のGIMプログラムのレジデントがIn-service examinationを受け,プログラムのみでなく,自分の順位を知ることになる。各プログラムディレクターは,レジデントのためにMKSAPや参考書の購入などを行い,研修内容の充実とともに各プログラムの評価を重んじた。そして,それ故に,MKSAPには,米国内科学会がGIMの教育のために作成した良問が収載されている。
MKSAPでは,現病歴,既往歴,薬剤,身体所見,L/Dなどが提示された症例問題から,鑑別疾患をいくつか考えさせ,そして,現在ガイドラインで推奨されている診療スタンダードを問うものが多く出題されている。また,その解説が秀逸であり,その問題を解いているだけで診察状況を思い描くことができる。私も,帰国して,2012年に前任地にてGIMプログラムの立ち上げに関与してきた。勉強会では,MKSAPを使用し,GIM専攻医には,In-service examinationを受験してもらった。
それから早10年が経過した。この内科専門医問題集は,前任地でGIMプログラムの立ち上げで一緒に汗を流した米国総合内科専門医である2名のチーフエディターにより監修がなされ,各所にさまざまな工夫が凝らされている。まず,この内科専門医問題集は,上記のMKSAPのコンセプト(問題の構成,解説,ガイドライン準拠,web版の利用)を盛り込み,さらに,日本内科学会専門医試験にも対応できる内容となっている。これは,まさに総合内科(GIM)の新たな幕開けにふさわしい問題集である。
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。