標準産科婦人科学 第5版

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定評ある産科婦人科学教科書の改訂第5版。産婦人科診療の基本、婦人科、産科をこの1冊でカバーする(乳腺の構造・疾患、新生児、母子保健も含む)。産科婦人科学はリプロダクティブ・ヘルス、周産期、思春期から更年期、そして老年期まで女性の生涯を支援する広範な学問であり情報量は膨大なものとなるが、本書により読者は真の理解に到達できるだろう。今版よりオールカラーとなり、クロスリファレンスも充実。

シリーズ 標準医学
編集 綾部 琢哉 / 板倉 敦夫
発行 2021年03月判型:B5頁:752
ISBN 978-4-260-04265-9
定価 9,350円 (本体8,500円+税)

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第5版 序

 社会の変化とともに医学教育も変化している.医療技術を身につけた臨床医としての育成を急ぎ,問題解決能力の早期獲得を目指す.どちらも尤もなことである.しかしながら何が問題なのかを理解できる程度の基盤を予め身につけておかなければ努力は空回りする.変化しているのは教育方法であり,智の集積としての学問は静かに佇んでいる.
 本書の初版は1994年に上梓され,切磋琢磨の過程を経て第5版を重ねようとしている.かつては難しい専門書に喰いつき,自分の理解の及ぶ範囲でイメージを膨らませて全体像を構築することが一般的であった.今,視覚情報でイメージを脳に取り込み,知識の解説も容易に得られる時代にあって,情報量も膨大化している.生身の人間がその限られた時間の中で医師として社会に出るにあたり,本書では誤解なく速やかに内容を吸収できるように表現を工夫した.これは,世に阿り優しく易しく伝える,ということでは無い.読者は自ら情報を咀嚼し,全体の中での位置付けを把握し,思考の有機的な再編成により他領域との統合整理を図り,思索が腑に落ちるところまで到達することが,真の理解のために必要である.
 専門医制度のあり方が模索されガイドラインの充実が図られる昨今,「標準」の名を冠した本書は,入門書でもマニュアルでもない,文字通り教科書としての「標準」であることを志した.学問としての産婦人科学を教科書として提示すると,恰も真実が解明されているかの如き印象を与えるかもしれない.しかしながら多くの事象が未解明のまま残されている.教科書とは真実を伝える媒体ではなく,現時点での最大公約数的な到達点を紹介しているものなのである.その教科書で概念を定めて記述することは,内容を普遍的に伝える上で必須ではあるが,その枠の中で思考が固定され新たな萌芽を望めなくなる危険を孕む.それ故,知識ではなく,考え方を伝えて真の理解に至る資とする,ということを本書の理念とした.本書から,それぞれの著者の,読者への語りかけを聴き取り,さらにその先へといざなう息吹を感じとることができるはずである.それに応え,未解明の領域から真実を探り当てることを,読者に委ねたい.
 新たな「標準産科婦人科学」が,真の理解の彼方に広がる学問の魅力を読者に伝えることができるような教科書であり続けることを祈りつつ.

 2021年1月
 綾部琢哉・板倉敦夫

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 第1章 産婦人科診療

婦人科編
 婦人科編の構成マップ
 第2章 性分化・女性性器の発生とその多様性
 第3章 女性性器の構造
 第4章 女性の性機能
 第5章 月経
 第6章 思春期
 第7章 不妊症
 第8章 女性性器の疾患
 第9章 加齢と疾患
 第10章 女性性器の位置異常・骨盤臓器脱
 第11章 女性性器の損傷と瘻
 第12章 性感染症
 第13章 避妊・ファミリープランニング
 第14章 婦人科検査
 第15章 ホルモン療法
 第16章 婦人科がん薬物療法
 第17章 婦人科手術療法

産科編
 第18章 妊娠の生理
 第19章 妊娠の異常
 第20章 合併症妊娠・偶発合併症
 第21章 妊娠の管理
 第22章 分娩の生理
 第23章 分娩の異常
 第24章 分娩の管理
 第25章 産科処置
 第26章 産褥期
 第27章 新生児
 第28章 母子保健と医療制度

和文索引
欧文索引

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かなりハイレベルの必須知識を一冊で習得できる教科書
書評者:平松 祐司(岡山市立総合医療センター顧問/岡山大名誉教授)

 このたび『標準産科婦人科学』が10年ぶりに改訂され発刊された。まず目次を見ると,産婦人科診察法,症状の説明の後,婦人科編では性分化・女性性器の発生とその多様性から始まり,思春期,……,加齢と疾患,と続き,女性の一生にわたる各種疾患が網羅されている。症状の項では,産婦人科受診患者が訴える症状が網羅され,その好発年齢,診断のポイント,関連疾患の解説ページが記載され,医学生の臨床実習時,初期研修医の産婦人科研修時にも使用できるよう工夫されている。また,思春期の項を独立させ取り扱ったこと,乳房・乳腺疾患の充実も大きな改訂点である。さらにOncofertility,ロボット支援下手術など最新の話題も取り上げられている。

 産科編では,まず産科編の構成マップが示され,読者がどのページをめくれば得たい情報にたどり着けるかわかりやすく示されている。記載内容は,妊娠の生理,妊娠の異常,合併症妊娠・偶発合併症,……,産褥期と続くが,他の産婦人科教科書との大きな違いとして,新生児の章,母子保健と医療制度の章が含まれている点がある。医学生の時から公衆衛生学の知識を学ぶことは重要であり母子保健と医療制度の章は役立つものと思う。また,日本産科婦人科学会,関連学会から発刊されている最新のガイドラインとの整合性をとるよう細かい配慮がなされているように思う。さらに,産科救急などでは執筆者の豊富な経験から得た内容も各所に記載され,後期研修以降も参考になる内容になっている。

 全体を通じて,(1)現在活躍されている各分野のレーダー的な医師により基礎から最新の知識までが要領よくまとめられていること,(2)カラー図表,写真がふんだんに使用されわかりやすく解説されていること,(3)もう少し深く勉強したい読者に対し,各項目の最後に重要参考文献が紹介されていることなどがあり,学生,初期研修医が産婦人科領域のかなりハイレベルまでの必須知識を一冊で習得できるコンパクトにまとまった教科書に仕上がっているように思う。

 実際の診療に当たっては,本書で得た知識をベースにして,その後,日本産科婦人科学会より出版されている産婦人科研修の必修知識,各種ガイドライン,そして産婦人科のサブスペシャリティー学会発刊のガイドライン,取り扱い規約などを参照するのが良いと考える。また,本書も産科婦人科学会,関連学会などのガイドライン,取り扱い規約の改訂に併せてマイナーチェンジを行い,常に医学生,初期研修医が最新の産婦人科領域知識を得るために最初に手に取る教科書であり続けるように努力して欲しいと念願する。


女性の健康全般を扱う学問を思考し理解するのに有用
書評者:藤井 知行(医療法人財団順和会山王病院病院長/国際医療福祉大大学院教授)

 産科婦人科学は従来,女性の生殖現象にかかわる臓器,機能の,生理と病理を明らかにし,臨床への還元を志向する学問として,産科学として周産期医学を,婦人科学として生殖内分泌学,婦人科腫瘍学を扱ってきた。しかし,現在の産科婦人科学は,女性医学として,女性特有の生理・病理の基本的理解のもとに,思春期から生殖期,妊娠期,老年期までの,女性の健康維持・増進,疾病の予防・治療などの諸問題を統合的・全人的に把握し,臨床への還元を志向する学問になっている。

 このように産科婦人科学は,今や,女性の健康全般を扱う学問であり,教育すべき内容は膨大である。その全てを1冊の教科書で記述することは,そもそも不可能である。近年,医学部の学生教育は,講義などによる座学部分を大きく減らし,臨床現場で主体的に学習し,知識を深める方向に変わっている。教科書も,産婦人科の全てを記載するのではなく,自ら主体的に学習を進めていくための基礎的な素地を提示することが重要である。『標準産科婦人科学 第5版』は,読者が学習するための考え方を伝えて真の理解に至る資とする,ということを理念として作成された。本書を基に読者が情報を消化し,自ら思考することで,産婦人科を真に理解できるように構成されており,膨大な内容を包含する女性医学としての産婦人科を学ぶ教科書として,大変優れている。

 近年,多くの診療ガイドラインが,臨床試験をはじめとするエビデンスに基づいて作成され,臨床現場では,ガイドラインを基準として,診療がなされるようになった。そうすることが最も安全であり,楽であり,結果が悪くても批判される可能性が低いからである。しかし,実臨床では,ガイドラインをそのまま適用できない症例に当たることも多い。そうした場合には,自らの医学知識と,さらなる知識の収集により,自分の頭で思考し,最適な医療を患者に提供しなければならない。そのためには,それぞれの検査,治療がなぜ必要なのかという基礎の医学知識が必要である。本書は,単に検査法や治療法を記載するのではなく,その基となる基礎知識も記載しており,そうした場合にも非常に役立つものである。

 『標準産科婦人科学 第5版』は,綾部琢哉帝京大主任教授と板倉敦夫順天堂大大学院教授が編集し,わが国のトップリーダーの臨床家,研究者が執筆した。医学部学生だけでなく,日々診療に当たっている医師にとっても,極めて有用な1冊である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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