教育学 第8版
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- 人を教え導くという点において、教育と看護にはさまざまな共通点があります。そのため、教育学を学ぶことを通じて看護の役にたつ考え方や方法を見出すことができます。
- また、現代の教育のあり方や課題を見つめることは、現代社会そのものを理解することにも通じます。教育という視点から社会や人の営みを学ぶことは、それまでとは違う角度を持って考えたり、見たりするためのきっかけとなります。
- このような視点から教育そのものを理解するための基礎的な知識、さらに現代教育のあり方や課題を4部構成で記述しています。
- 第1部では、社会における看護と教育の共通点や、第2部以降を学ぶための教育学の対象や社会とのかかわりについて述べています。
- 第2部では、教育の要素である「教授」「訓育」「養護」「発達」を学び、第3部では、現代の教育のあり方を具体的に述べています。
- 第4部では、看護との関連も深い現代教育の5つの課題を取り上げています。
- 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
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- 序文
- 目次
序文
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はしがき
本書の趣旨と特徴
本書は,看護・医療にかかわることを目ざす学生の基礎教養として,教育学の考え方や知識をあらわしたものである。医療職者となったのちにも持ちつづけたいと思えるように,広く一般の教育学に関心をもつ人にも役だつように開かれた内容を取り上げている。
本書の特徴は,以下のとおりである。
[1]教育学の基本的なカテゴリーをできるだけわかりやすく説明している 教育学の体系性という視点からではなく,教育を構成する要素から教育学を描いている。
[2]教育の現状を意識し,その困難に焦点をあてている 教育の現代的な状況や課題に留意しながら,教育学がそれらにどのように対応しようとしているかをふまえて,その考え方と有効性をわかりやすく示している。
[3]看護・医療にかかわることを目ざす学生が,仕事との関係から関心をもてるような内容を取り入れている アンドラゴジー(成人教育)への視点も含めて,専門職性やケアの内容も組み込み,専門職としてのみずからの成長や意味を考えられるような工夫をしている。
[4]ひとりの市民としてもつべき教育学の基礎教養の獲得を指向している 医療職にかかわる社会人として,あるいは親としてもつべき教育学の教養を示している。教育問題や教育ということを人間の発達や社会との関係という点にまで戻って考え,判断できるような基礎をつちかうことを目ざしている。
本書の構成
本書の構成は全4部からなり,全体を通して教育学の基礎を今日の教育の課題とかかわらせながら学べるようにしてある。
第1部は,教育学に関する基礎的な知識などを示し,第2部以降を学習するための基礎的な理解を促す内容である。第2部は,教育をなりたたせる要素をより具体的に考察している。第3部は,教育の実践に必要な知識を学ぶとともに,そこで問われる問題にふれている。第4部は,現代の教育に求められている課題についてふれている。
なお,第1部を除き,第2~4部においては,各章の内容は基本的にA~Dの4節で構成されている。それぞれの節の内容は,以下の考えをもとに記載されている。
A節は導入にあたり,それぞれの章のポイントを整理した。看護・医療との関係づけを可能な限り意識するなど,できるだけ章の内容にスムーズに入れるように工夫した。
B節では,論点をしぼり,基本的な知識の確認と章全体の眺望を示している。
C節では,A・B節の理解を深めるために工夫をこらした。歴史的・比較的・政策的な視点を取り入れ,あるいは個別的実践の紹介を通して,A・B節で取り上げた内容をさらに咀そ嚼しゃくし,論点を浮かびあがらせている。
D節では,これまでの理解を実感としてとらえられるように,具体的な事例を掲げた叙述をできるだけ心がけた。章によってはグループワークの素材の提供という意味も込めている。
また,全体を通して,基本的なカテゴリーの説明やまとめを効果的にできるように図や写真を活用した。
さらに各章末には要約をおき,なにを学習したかをもう一度確認することができるようにした。それとともに,読書案内として,理解を深めるために参考となる著作を数冊取り上げ,簡単な概要とともに紹介している。
このテキストが,看護・医療関係の職を目ざす学生にとって少しでも意味があり役にたつものであれば幸いである。
2020年12月
木村 元
目次
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第1部 教育学を学ぶために
第1章 社会のなかの教育と看護
A 社会・文化・人間形成
B 機能化された社会における教育と看護
C 新しい世代をつくりあげるしくみ
第2章 教育とはなにか――「教育」の概念
A 日常用語としての「教育」
B 形成と教化の世界
C 子どもを価値とする<教育>
第3章 教育の対象――子ども観と発達
A 子ども観の形成とその背景
B 発達という見方
C 権利主体としての子ども
第4章 社会変動と教育
A 大衆社会の成立と変容
B 大衆消費社会と情報化社会
C 少子化動向
第5章 教育の組織化――学校
第2部 教育をなりたたせるもの
第6章 教授――人を教えるということ
A コミュニケーションとしての教えること――看護との比較
B 学ぶ・教えるということ
C 省察
D 「教える-学ぶ」の関係のなかでおきること
第7章 訓育――他者とのかかわりを導く
A かかわり合うことの困難
B 訓育とはなにか
C かかわりを導く技法
D 訓育の新たなかたち
第8章 養護――教育の受け手を見まもる
A 養護とは――看護・ケア・教育との異同から
B 学校における養護の機能
C 学校における養護の過程――子どもをまもりつつ育て,育てつつまもる
D 今日の学校における保健室の存在と役割
第9章 発達――教育を受けて成長する
A 発達を支える・促す
B 「教育による発達」の理論
C 発達における身体と感情
D 発達と教育の未来像
第3部 教育の営みを考える
第10章 学びの場――家庭と学校
A 学びの場=学校という規範
B 家族と学校の関係
C 家族にとっての学校の意味
D 「学校に行かない子ども」をどう考えるか
第11章 教育の目標と評価
A 評価と目標の関係
B 現在の目標・評価論
C パフォーマンス評価
D 評価の開発と実践
第12章 教育のメディア――教育をデザインする
A メディアと教育
B メディアとしての教師
C 学習者どうしのかかわり
D 学習を取り巻く物と空間
第13章 教育の担い手――専門性と専門職性
A 教育のさまざまな担い手と学校教員
B 教師の仕事の特質
C 現代教育改革と学校教員
D 養護教諭に学ぶ学校教員の専門性と専門職性
第14章 教育の場の変動――教育環境の変化にどう対応するか
A 発達保障のあり方を誰が決めるのか
B 教育政策のあり方を誰が決めるのか
C 教育要求はどのように組織化されるのか
D 教育の場の広がりにどう対応するか
第4部 現代教育の課題
第15章 キャリア教育(専門教育)
A キャリア教育の時代の到来
B キャリア教育にできること
C キャリア教育をつくる
D これからのキャリア教育
第16章 ジェンダーとセクシュアリティ
A ジェンダー,セクシュアリティとはなにか
B ジェンダーと教育の課題
C セクシュアリティと教育の課題
D 性の多様性
第17章 特別ニーズ教育・インクルーシヴ教育
A 障害・看護・教育
B 特別ニーズ教育・インクルーシヴ教育とはなにか
C 障害にどう向き合うか
D 発達障害に対する特別ニーズ教育・インクルーシヴ教育
第18章 生涯学習
A 生涯学習の必要性
B 成人はどこで学ぶのか
C 成人はどのように学ぶのか
D 看護師の生涯学習
第19章シティズンシップ教育
A 公共性とはなにか
B シティズンシップ教育とはなにか
C 政治的リテラシーの教育
D 「よき市民」から「無知な市民」へ
資料 教育基本法
索引
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