助産診断・技術学Ⅱ 第6版
[2]分娩期・産褥期

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①分娩期・産褥期の助産を効率よく学べます
分娩期・産褥期の解剖・生理から疾患、助産診断、介助法まで一連の流れにそって体系的に効率よく学べます。

②最新のデータや知識、発展的な内容も収載
つねに新しくなるデータや知識、発展的な内容は欄外の「NOTE」に収載されています。毎年、見直しを行うことで変化の速い助産の分野にも対応できます。

*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。

シリーズ 助産学講座 7
編集 我部山 キヨ子 / 藤井 知行
発行 2021年02月判型:B5頁:380
ISBN 978-4-260-04210-9
定価 5,280円 (本体4,800円+税)

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助産師をめぐる動向
 わが国においては少子化が進行し,産科医の減少や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が続いている。家族規模の縮小化と養育機能の低下など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化が進行し,高度生殖補助医療が日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。児童虐待相談件数が激増するなど,育児不安・子どもの虐待を含めた育児をめぐる問題も多様化・深刻化している。さらには,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害や,在日外国人や性的マイノリティに特有な母子保健の課題,女性へのドメスティック・バイオレンスといった,母子や性と生殖に関する課題が山積している。加えて,出生前診断や,精子・卵子・胚・卵巣組織の凍結保存,胎児組織の再生・移植医療への応用などといった生殖補助医療の発展に伴う倫理的問題についての社会的な整備も課題となっている。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして,正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。2008年には助産師の倫理綱領を採択し,2019年には基本的助産実践に必須のコンピテンシーを改訂した。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とし,2012年には専門職としての助産師教育のためのモデルカリキュラムの概要を発表した。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 このような背景をもとに,助産師教育の充実をはかるため保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。また,2011年施行の保健師助産師看護師学校養成所指定規則では助産師教育の単位数総計は28単位に,2022年施行の改正指定規則では31単位に増加し,更なる教育の充実が図られることとなった。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第6版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師や助産業務をめぐる今日的動向や課題に対応できる助産師養成の基盤を支えることにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 助産診断・技術学は,周産期のメンタルヘルスやハイリスク妊産婦への対応,正常な妊娠経過を診断する能力,正常からの逸脱の判断や異常を予測する臨床判断能力,緊急時に対応できる実践能力を養うために,現行の8単位から2単位増の10単位となった。今回の改訂ではこれらをふまえ,妊娠・分娩・産褥各期における母親と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,経過および正常からの逸脱を正しく診断し,対象に適切な援助を提供するための基礎的な助産診断や技術から,高次の助産診断・技術までをEBMをふまえて分かりやすく記述した。
 執筆者は各領域の最前線で活躍している教育者や実践家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第6版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2020年12月
 編者ら

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第1部 分娩期
 第1章 分娩の生理
  A 分娩に関する定義と種類
   1 分娩とは
   2 分娩開始と分娩の経過
   3 分娩の種類
  B 分娩の3要素
   1 娩出力
   2 産道
   3 娩出物(胎児および胎児付属物)
  C 分娩が母体・胎児に及ぼす影響
   1 分娩が母体に及ぼす影響
   2 分娩が胎児に及ぼす影響
 第2章 分娩期の助産診断
  A 分娩期の助産診断の特徴と診断類型
   1 分娩期の助産診断の視座
   2 分娩期の助産診断の特徴
   3 分娩予測
   4 分娩期の助産診断類型
  B 分娩期のフィジカルアセスメント
   1 産婦の健康診査
   2 分娩開始の診断
   3 分娩期の経過診断
   4 胎児の健康状態のアセスメント
   5 胎児付属物のアセスメント
   6 母体の健康状態のアセスメント
  C 分娩期の心理・社会的変化
   1 産婦の心理・社会的変化
   2 産婦の日常生活活動の充足と適応
   3 家族の心理・社会的変化
 第3章 分娩介助法
  A 分娩介助の目標と準備
   1 分娩介助の目標
   2 分娩介助の準備
  B 正常分娩介助法の実際
   1 正常分娩の技術と機転
   2 分娩体位による介助法
  C 胎児付属物の検査と計測
   1 検査の必要性
   2 観察項目
   3 計測の実際
 第4章 産婦への支援
  A 産婦への支援の基本
   1 対象をみる視点
   2 ケアの背景となる基本的知識
  B 分娩経過にそったケア
   1 分娩進行に伴う観察・アセスメント・ケア
   2 時期ごとの特徴をふまえたケア
 第5章 分娩期の異常・偶発疾患
  A 分娩の3要素の異常
   1 娩出力の異常
   2 産道の異常
   3 娩出物の異常
  B 分娩にともなう損傷・偶発疾患・合併症
   1 胎児機能不全
   2 分娩時の異常出血
   3 羊水塞栓症
   4 子宮内反症
   5 子宮破裂
   6 絨毛膜羊膜炎
   7 子癇発作
 第6章 ハイリスク・異常分娩時のアセスメントと支援
  A ハイリスク・異常分娩時のアセスメント
   1 ハイリスク分娩とは
   2 身体的ハイリスク因子のアセスメント
   3 心理・社会的ハイリスク因子のアセスメント
   4 異常分娩のアセスメント
  B ハイリスク・異常分娩時の産婦への支援
   1 分娩経過の異常への対応
   2 合併症をもつ妊産婦のアセスメントと支援
 第7章 産科手術および産科的医療処置
  A 産科手術の準備
   1 インフォームドコンセント
   2 術前検査
   3 産婦に対する準備
   4 手術人員および手術室の準備
   5 手術時の産婦の体位
  B 産科手術および産科的医療処置の各論
   1 分娩誘発・陣痛促進法
   2 骨盤位牽出術(骨盤位娩出術)
   3 器械的急速遂娩術
   4 子宮底圧迫法(クリステレル胎児圧出法)
   5 帝王切開術
   6 会陰切開術・縫合術
   7 会陰裂傷・腟壁裂傷縫合術
   8 外陰血腫・腟壁血腫に対する処置
   9 頸管裂傷縫合術
   10 胎盤用手剝離術
   11 双合(双手)子宮圧迫法
   12 臍帯脱出に際しての対応
   13 子宮内反症に対する整復術
   14 子宮破裂に対する手術
  C 産科麻酔
   1 分娩・出産の鎮痛法(無痛分娩)
   2 帝王切開術の麻酔
 第8章 救急処置
  A 救急処置の実際
   1 周産期救命救急の特徴
   2 救急蘇生法のプログラム
   3 ショックとその分類
   4 産科危機的出血(分娩前後の出血性ショック)への対応
   5 産科危機的出血における止血法
   6 非出血性ショック
  B 母体搬送における周産期医療連携
   1 搬送元施設における流れ
   2 搬送先施設における流れ

第2部 産褥期
 第9章 産褥の生理
  A 産褥期の全身の変化と特徴
   1 産褥の定義
   2 産褥期の全身の変化の特徴
   3 産褥期の器官別の変化の特徴
  B 産褥期の局所的な変化と特徴
   1 後陣痛
   2 子宮復古
   3 悪露
   4 乳汁分泌
   5 月経の再開
 第10章 産褥期の助産診断
  A 産褥期の助産診断の特徴と診断類型
   1 産褥期の助産診断の視座
   2 産褥期の助産診断の特徴
   3 産褥期の助産診断類型
   4 両親の発達的・社会的側面の健康状態の診断
  B 産褥期のフィジカルアセスメント
   1 褥婦の健康診査に必要な技術
   2 産褥経過の診断
   3 母乳栄養確立の診断
  C 産褥期の心理・社会的変化
   1 褥婦の心理・社会的変化
   2 褥婦の日常生活行動の充足と適応
   3 家族の形成と社会的変化
 第11章 褥婦への支援
  A 退行性変化促進の支援
   1 子宮復古促進のためのケア
   2 会陰部創傷の治癒の促進
  B 産後の生活に関する支援
   1 日常生活適応への支援
   2 心理・社会的側面への支援
   3 産後の家族計画への支援
   4 家庭・社会生活復帰への支援
   5 育児行動獲得への支援
   6 家族への支援
 第12章 産褥期の異常・偶発疾患
  A 産褥期におこる身体的な問題
   1 性器の異常
   2 周産期感染症
   3 血管に関連する異常
   4 乳房・乳腺異常,乳汁分泌異常
   5 産後後遺症
  B 産褥期におこる精神的な問題
   1 マタニティブルーズ
   2 産褥精神病
 第13章 ハイリスク・異常褥婦へのアセスメントと支援
  A ハイリスク・異常因子のアセスメント
   1 身体的ハイリスク・異常因子のアセスメント
   2 心理・社会的ハイリスク・異常因子のアセスメント
  B ハイリスク・異常褥婦への支援
   1 支援の基本
   2 産褥期に特有な疼痛に対する支援
   3 異常状態・産褥合併症をもつ褥婦への支援
   4 心理・社会的ハイリスク褥婦への支援
   5 特殊な状況にある褥婦への支援
 第14章 乳房管理
  A 母乳育児の推進
   1 母乳育児推進の歴史
   2 母乳代用品の国際規準と安全性
   3 母乳育児のための社会資源
  B 正常経過にある褥婦の乳房管理のためのアセスメントとケア
   1 ポジショニングとラッチオン
   2 扁平乳頭と陥没乳頭
   3 乳房充満(生理的緊満)と乳房緊満(病的緊満)
   4 母乳分泌促進
   5 母乳分泌過多
  C 健康逸脱・異常状態およびハイリスク状態にある褥婦の乳房管理のためのアセスメントとケア
   1 乳頭痛と乳頭損傷
   2 産褥乳腺炎
   3 乳がんの合併
   4 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)キャリア
   5 母乳代用品を用いることが許容される医学的適応

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