助産診断・技術学Ⅱ 第6版
[1]妊娠期
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①助産診断・技術学の総論を記載
本講座では、助産診断技術学Ⅱとして「[1]妊娠期」「[2]分娩期・産褥期」「[3]新生児期・乳児期」の3巻に分けて解説しています。本巻では、助産診断・技術学を学ぶうえでの総論として「助産診断技術学の概要」の章を設け、解説しています。
②妊娠期における助産診断や支援、技術を豊富な図を用いて解説
正常妊婦およびハイリスク妊婦のアセスメントから支援までを、豊富な図表でわかりやすく解説しています。
③充実した画像所見を掲載して、最新の産科学的知識を詳述
妊娠の生理から検査・治療までの最新の産科学的知識を記載。詳細な解説に加え、充実した画像所見により理解が深まるようになっています。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
更新情報
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正誤表を更新しました。
2024.02.29
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正誤表を掲載しました。
2021.05.20
- 補遺
- 序文
- 目次
- 正誤表
補遺
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2021(令和3)年3月31日付で,厚生労働省より「母子健康手帳の任意記載事項様式について」(子母発0331第4号)が発出されました。このなかで,「妊産婦のための食生活指針」(2006年)の見直しに伴い,推奨される妊婦の体重増加量の目安が変更となっています。「子母発0331第4号」で示された新旧対照表を補遺として掲載いたします。
序文
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序
助産師をめぐる動向
わが国においては少子化が進行し,産科医の減少や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が続いている。家族規模の縮小化と養育機能の低下など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化が進行し,高度生殖補助医療が日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。児童虐待相談件数が激増するなど,育児不安・子どもの虐待を含めた育児をめぐる問題も多様化・深刻化している。さらには,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害や,在日外国人や性的マイノリティに特有な母子保健の課題,女性へのドメスティック・バイオレンスといった,母子や性と生殖に関する課題が山積している。加えて,出生前診断や,精子・卵子・胚・卵巣組織の凍結保存,胎児組織の再生・移植医療への応用などといった生殖補助医療の発展に伴う倫理的問題についての社会的な整備も課題となっている。
このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして,正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。2008年には助産師の倫理綱領を採択し,2019年には基本的助産実践に必須のコンピテンシーを改訂した。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とし,2012年には専門職としての助産師教育のためのモデルカリキュラムの概要を発表した。
わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
このような背景をもとに,助産師教育の充実をはかるため保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。また,2011年施行の保健師助産師看護師学校養成所指定規則では助産師教育の単位数総計は28単位に,2022年施行の改正指定規則では31単位に増加し,更なる教育の充実がはかられることとなった。
改訂の趣旨
改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第6版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師や助産業務をめぐる今日的動向や課題に対応できる助産師養成の基盤を支えることにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
助産診断・技術学は,周産期のメンタルヘルスやハイリスク妊産婦への対応,正常な妊娠経過を診断する能力,正常からの逸脱の判断や異常を予測する臨床判断能力,緊急時に対応できる実践能力を養うために,現行の8単位から2単位増の10単位となった。今回の改訂ではこれらをふまえ,妊娠・分娩・産褥各期における母親と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,経過および正常からの逸脱を正しく診断し,対象に適切な援助を提供するための基礎的な助産診断や技術から,高次の助産診断・技術までをEBMをふまえて分かりやすく記述した。
執筆者は各領域の最前線で活躍している教育者や実践家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと願っている。
なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第6版を重ねるにいたった。ここにあらためて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。
2020年12月
編者ら
目次
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第1章 助産診断・技術学の概要と助産診断
A 助産診断・技術学成立の経緯
1 助産診断学の成立
2 助産診断学から助産診断・技術学へ
3 助産診断・技術学の重要性──助産師の専門性強化へ
B 助産過程の概要
C 助産診断学の概要
1 診断の定義と意義
2 助産診断の範囲
3 助産診断類型
4 助産診断の分類
5 助産診断の過程
6 診断に必要な能力
7 診断に関する問題点
D 助産技術学の概要
1 専門職が有する技術の要件
2 助産技術の意義
3 助産技術の基盤
4 助産技術学の内容
5 助産技術学の実践過程
E 助産診断学・助産技術学の理論構築に向けて
1 助産診断・助産実践に重要な概念
2 助産学において用いられる概念と支持理論
3 助産学においてよく用いられる理論
第2章 妊娠の生理
A 妊娠とそれに伴う母体の変化
1 妊娠の概念
2 妊娠の成立
3 妊娠の維持
4 妊娠による母体の変化
B 胎児の発育と胎児付属物
1 胎児の成長と発達
2 胎児付属物
3 胎児期における臓器の成熟
第3章 妊娠期の異常・ハイリスク妊娠
A 妊娠期の異常
1 妊娠疾患
2 妊娠持続期間異常
3 着床異常
4 胎児の異常
5 子宮内胎児死亡
6 胎児付属物の異常
B ハイリスク妊娠
1 偶発疾患合併妊娠
2 母子感染症
第4章 妊娠期の助産診断
A 妊娠期の助産診断の特徴と診断類型
1 妊娠期の助産診断の視座
2 妊娠期の助産診断の特徴
3 妊娠期の助産診断類型
B 妊娠期のフィジカルアセスメント
1 妊婦の健康診査
2 妊婦の健康診査に必要な技術
3 妊娠の診断
4 妊娠期の経過診断
5 胎児発育・健康状態の診断
C 日常生活行動の診断
1 食事と栄養
2 嗜好品(喫煙,飲酒,カフェインなど)
3 活動,運動,姿勢
4 移動,旅行
5 睡眠,休息
6 排泄行動
7 清潔行動
8 衣生活
9 性生活
D 妊婦と家族の心理・社会的側面の診断
1 妊婦・家族の心理的側面の診断
2 妊婦・家族の社会的側面の診断
第5章 妊婦への支援
A 健康生活の診断と保健指導
1 妊婦とその家族への助産師の保健指導
2 日常生活行動の変化
3 母子健康手帳の活用
4 定期健康診査受診の推奨
B 日常生活適応へのケア
1 栄養摂取と食生活行動
2 体重の変化
3 化学物質
4 正しい姿勢と日常生活動作
5 運動(エクササイズ),体操
6 移動,旅行
7 睡眠,休息
8 排泄,排泄習慣行動
9 身体の清潔
10 皮膚の変化
11 口腔衛生
12 嗜好品
13 性生活
14 妊娠期のマイナートラブルへの支援
15 災害への備え
C 心理・社会的支援
1 妊婦の心理面への支援
2 新しい家族関係形成への支援
3 出産・育児期の準備支援(社会的資源の活用)
D 就労女性への支援
1 就労妊婦の現状とニーズの把握
2 就労女性に対する母性保護規定・制度
第6章 ハイリスク妊娠・異常妊娠の妊婦のアセスメントと支援
A ハイリスク妊娠・異常妊娠のアセスメント
1 妊娠経過に伴う合併症のアセスメント
2 合併症妊娠のアセスメント
3 心理・社会的にハイリスクな妊婦のアセスメント
B ハイリスク妊娠・異常妊娠の妊婦の支援
1 ハイリスク妊娠・異常妊娠の妊婦のケア
2 母子感染のリスクのある妊婦への支援
3 社会的心理的ハイリスク妊婦のケア
付章 1 周産期に用いられる検査法
A 周産期における検査と行われる時期
B 超音波診断
1 超音波診断の基本
2 妊娠初期の超音波診断
3 妊娠中・後期の超音波診断
4 分娩期・産褥期の超音波検査
C ノンストレステスト・コントラクションストレステスト
1 ノンストレステスト(NST)
2 コントラクションストレステスト(CST)
D 分娩監視装置
1 胎児心拍信号と心拍数計
2 陣痛計
3 胎児心拍数の用語と定義
4 胎児機能不全の診断と対応
E その他の検査
1 基礎体温
2 尿検査
3 血液学的検査
4 化学検査,血清学的検査
5 胎児採血
付章 2 周産期に用いる薬物
A 妊娠診断薬
B 妊娠・分娩・産褥期における薬剤投与の原則
1 妊産婦に対する薬剤投与の考え方
2 使用前に確認しておくべき事項
3 胎児に対する副作用の可能性
C 妊娠期に使用する薬物
1 妊娠中に使用可能な薬剤と使用不可の薬剤
2 異常妊娠に用いる薬剤
3 合併症妊娠に用いる薬剤
D 分娩期に使用する薬物
1 子宮収縮薬(陣痛促進剤)
2 子宮収縮抑制薬
3 麻酔薬
4 頸管熟化薬
E 産褥期に使用する薬物
1 子宮収縮薬
2 抗菌薬
3 鎮痛薬
4 解熱薬
F 授乳と薬物
1 薬物の母乳移行
2 乳汁分泌に影響する薬物
付章 3 妊娠期に行われる産科手術
A 人工妊娠中絶
1 人工妊娠中絶手術(~11週)
2 人工妊娠中絶手術(12週~)
B その他の手術
1 頸管縫縮術
2 外回転術
索引
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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2021.05.20