健康支援と社会保障制度[1]
医療概論

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・これから看護を学ぶ学生のために,医療の全体像を概観できる構成になっています。
・読者がわがこととして読み進められるように,患者とのかかわりを描く事例を多数掲載しています。
・全体に平易な表現に努め,それがむずかしい場合は補足説明に努めています。
・①人がどのように生まれ・老い・病み・死ぬか,②医学がどのように歩みを進め,現代の医療を支えているか,③わが国の社会保障制度・保健制度,医療・介護システムの概要,④医療倫理・医療安全・医薬品・医療情報・最先端医療の概要と,その今日的な問題点,⑤医療と経済・政策とのかかわりなどについて学ぶことができます。

*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。

シリーズ 系統看護学講座-専門基礎分野
康永 秀生
発行 2021年01月判型:B5頁:224
ISBN 978-4-260-04224-6
定価 2,200円 (本体2,000円+税)

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はしがき

 本書「医療概論」を手に取っていただいた学生の皆さんへ。本書は,医療者を目ざす皆さんを応援しサポートするために書いた一冊です。希望にあふれ,夢をいだいている皆さんに,著者は本書を通して心からのエールを送ります。
 医療の現場は,生きることと死ぬこと,喜びと悲しみ,希望と絶望が行き交う,人間味あふれる世界です。医療はときに,病に苦しむ患者を絶望の淵ふちから救い出すことができます。しかし医療は限界があり,ときに無力です。患者が不治の病によって生きる道をふさがれ,手の施しようがないという厳しい現実に直面することもあります。
 医療者の仕事は,けっして生やさしいものではありません。どんなときにも医療者は,つねに患者に寄り添い,ともに病気に向き合っていかねばなりません。その責任を果たすには,十分な知識や技術に裏打ちされた,職業人としてのプロ意識が必要です。医療者を志す皆さんは,このことを心にとめて,勉学に励んでください。
 本書は,皆さんが医療を学ぶ第一歩として,医療全体を見渡し,すべての教科につながる基礎知識を学び,将来医療を実践する心がまえを身に着けるためのヒントを多く盛り込んでいます。
 第1章「生きることと死ぬこと」を読んで,生命を尊ぶ心,死を悼いたむ心,健やかに生きること,おだやかに死ぬことについて,学び,考えてください。
 第2章「医学と医療」では,医学の歴史,科学としての医学,エビデンスに基づく医療について解説しています。
 第3章「保健・医療・介護──切れ目ないサポートの実現」では,社会保障制度,保健・医療・介護システムなどの幅広い分野について,基本的な内容を解説しています。本章は,皆さんがこれから学ぶ各教科,なかでも『看護学概論』や「健康支援と社会保障制度」の各巻(『社会福祉・社会保障』『公衆衛生』『看護関係法令』)を学ぶ前準備として,現代の医療全体を概観できるものになっています。
 第4章「医療と社会」では,医の倫理,医療安全,医薬品,最先端医療,医療情報といった,現代の医療にかかわる諸問題についてわかりやすく解説しています。
 第5章「医療経済学と医療政策」では,医療現場の視点にとどまらず,社会全体の視点に立って,経済学や政策を通じて医療をよくするという考え方の基本を学んでください。
 さらに本書の特徴として,「医療者を志すあなたへ」と題し,学生の皆さんへの熱いメッセージを多く盛り込みました。医療現場で働く看護師・保健師,その他の医療者の方々に直接取材し,彼ら・彼女らの生の声を反映しています。本文中にも,医療や保健の現場での実際のエピソードを題材に,現場の息づかいが伝わるようないきいきとした挿話を随所にちりばめました。本文の少しかた苦しい文章を読んだ後,息抜きとして楽しみながら読める内容です。それでいて,きっと皆さんの向上心を刺激し,職業意識を高めてくれるでしょう。
 本書が一冊の教科書という枠をこえ,単なる基礎知識の習得にとどまらず,皆さんの夢と希望をサポートし,一人前の医療者としての心がまえを身に着けることに役だてば幸いです。

 2020年10月
 康永秀生

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第1章 生きることと死ぬこと
 A 生命を尊ぶ心
  ①誕生の喜び
  ②命をいつくしむ心
  ③生命の価値
  ④生活の質(QOL)
  ⑤死生学(サナトロジー)
 B 健やかに生きる
  ①健康とは
  ②ヘルスリテラシー
  ③ヘルスプロモーション──人々の健康をサポートする
  ④社会と健康
 C 老いてこそ人生
  ①老年病学──老いに向き合う医学
  ②高齢患者の権利をまもる
  ③「老い」と向き合う
  ④認知症と向き合う
 D おだやかに死ぬこと──終末期を考える
  ①死にいたる3つのパターン
  ②がんの緩和ケア
  ③非がんの緩和ケア
  ④終末期の栄養管理
  ⑤終末期における患者の意思決定

第2章 医学と医療
 A 温故知新──医学の歴史に学ぶ
  ①ヒポクラテスに学ぶ──現代に通じる医療哲学
  ②ヴェサリウスに学ぶ──医学の基本は観察
  ③スノーに学ぶ──疫学の始祖
  ④フレミングに学ぶ──医学をかえた大発見
  ⑤ナイチンゲールに学ぶ──看護の科学的実践
  ⑥西洋医学の隆盛
  ⑦わが国の医学・医療を支えた先人たち
 B 臨床疫学とEBM
  ①科学とは
  ②医学と医療の違い
  ③臨床疫学──医療の不確実性に挑む科学
  ④臨床疫学研究の実際
  ⑤エビデンスに基づく医療(EBM)
  ⑥エビデンスをみずから生み出す

第3章 保健・医療・介護──切れ目ないサポートの実現
 A 保健・医療・介護を取り巻く社会環境の変化
  ①少子高齢化と地域社会の変容
  ②疾病構造の変化
 B 社会保障制度
  ①社会保険
  ②公的扶助
  ③社会福祉
 C 公衆衛生と保健
  ①公衆衛生の概要
  ②感染症対策──見えない敵とたたかう
  ③母子保健──ママと子ども,そろって健やかに
  ④学校保健──学びの場での安全と健康
  ⑤産業保健──働く人々の安全と健康
  ⑥精神保健──心を病む人々のサポート
  ⑦環境保健──公害の歴史から学ぶこと
  ⑧国際保健──国境をこえる健康問題
  ⑨生活習慣病予防──メタボリックシンドロームへの介入
  ⑩がん予防
 D わが国の医療システム
  ①病院と診療所
  ②医療従事者
  ③受診から入院までの流れ
  ④地域医療連携
 E 救急医療・集中治療
  ①プレホスピタルケア
  ②救急医療体制
  ③災害医療
  ④集中治療
 F がん治療
 G 周産期医療
  ①新生児集中治療室,母体・胎児集中治療室
  ②周産期母子医療センター
 H 放射線診断
  ①X線撮影
  ②コンピュータ断層撮影(CT)
  ③磁気共鳴画像法(MRI)
  ④超音波検査
  ⑤核医学検査
 I チーム医療
  ①耐性菌対策・院内感染対策と感染制御チーム
  ②栄養管理と栄養サポートチーム
  ③褥瘡予防と褥瘡管理チーム
 J リハビリテーション
  ①障害の3つの次元
  ②リハビリテーションチーム
  ③おもな疾患のリハビリテーション
 K 介護
  ①介護保険サービス
  ②介護がかかえるさまざまな課題
  ③地域包括ケア

第4章 医療と社会
 A 医の倫理
  ①倫理とは
  ②生命倫理とは
  ③患者の権利
  ④研究倫理
 B 医療安全
  ①医療事故と医療過誤
  ②医療安全対策のはじまり
  ③医療過誤の原因と対策
  ④医療事故調査制度
 C 医薬品
  ①医薬品の分類
  ②医薬分業
  ③新薬の開発
  ④後発医薬品
  ⑤ポリファーマシー
  ⑥かぜに対する抗菌薬使用の問題
  ⑦医薬品の有害事象
  ⑧薬害
 D 最先端医療
  ①臓器移植医療
  ②生殖補助医療
  ③再生医療
  ④ゲノム医学
 E 医療情報
  ①医療情報と個人情報保護
  ②医療ビッグデータ
  ③人工知能(AI)による医療支援

第5章 医療経済学と医療政策
 A 経済学を用いて医療を読みとく
  ①医療者が経済学を学ぶ意義
  ②医療サービスの特殊性
  ③公的医療保険がなぜ必要か――誰もが安心して受けられる医療
  ④医療の質評価と情報公開
  ⑤医療サービスの規制
  ⑥医療職の不足
 B 転換を迫られる医療政策
  ①国民医療費
  ②これまでの医療費抑制策
  ③急性期医療の集約化
  ④医療サービスの費用効果分析
  ⑤まとめ──医療者がもつべきコスト意識

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