内視鏡外科手術 役立つテクニック100 [Web動画付]
エキスパートに学ぶ、内視鏡外科手術のコツ
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内視鏡外科手術は低侵襲性による様々なメリットの一方、技術的難度が高いという性格も持つ。本書は内視鏡手術に習熟したエキスパートの先生方に①この手技の意義(知っておくべき理由)、②手技(コツを中心に)、③特長(この手技の優れている点)、④注意すべき点(合併症など)をまとめていただいた。主な項目には、それぞれポイントを示す動画もQRコードで見られるように収載した。
編集 | 宮澤 光男 |
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発行 | 2020年10月判型:B5頁:312 |
ISBN | 978-4-260-04259-8 |
定価 | 10,450円 (本体9,500円+税) |
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- 目次
序文
開く
序
1987年,腹腔鏡下胆嚢摘出術が,世界で最初にフランスのDr. Mouretによって,また,わが国では1990年に当院の山川達郎教授によって施行されてから腹腔鏡下外科手術の歴史は30年余となる.外科手術自体は紀元前から行われていたと考えられているため,この内視鏡を取り入れた手術は,外科学の一つの手技としてまだまだ日の浅いものである.進化の途中にあるこの腹腔鏡下手術が,外科学の歴史の中に確固たる形として受け入れられるためには,この手術が「安全性,確実性,および低侵襲性」が担保されたまま進化しなければならない.本書は,「安全性,確実性,および低侵襲性」を維持したまま,腹腔鏡下手術が進化していくための一助となることを望んで編集した.
私も,1997年に留学から帰国し,腹腔鏡下胆嚢摘出術,腹腔鏡(補助)下肝切除術を始めた.私の専門としている肝臓の手術においても,最初は腹腔鏡を手術の補助として用い,体表の傷をいかに小さくするかという手術であったが,現在は,拡大肝切除においてもすべて腹腔内で行う完全腹腔鏡下肝切除術となり,急速に進化しつつある.しかし,この進化の過程において安全性を鑑みるに,まだまだ合併症がゼロとはなっていない.「開腹手術であったらこんな合併症は起こらなかっただろう」と考えられる症例も報告されており,適正な進化を遂げてきたとは言いがたい.本書においては,このような合併症を回避するため,学会発表のみでは知りえない細かなテクニックを身につけられることを期待している.
低侵襲性に関しては,例えば「reduced port surgeryとして,単孔式の手術をやりたい」と思っても,外科医は先達のやりかたを踏襲していくのが基本であり,その手技を行う手法,コツがわからないのが常である.確かな知識がなく,無理に低侵襲性を追求し,reduced port surgeryに拘るがあまり合併症を起こしてしまっては,真の意味での低侵襲とはならない.可能な限り細かな手技の要点となる部分を動画で提供し,どこが工夫されているところなのかがわかるように編集した.本書により,細かなコツを修得し,安全性を担保しながら,低侵襲性が確保できる知識が身につけられれば幸甚に思っている.
本書においては,外科分野のみではなく,婦人科の先生にもご執筆いただいた.各分野において種々の工夫がなされているが,その分野に固執することは進化を停滞させる.婦人科の先生は消化器外科の手技のよい部分を取り入れる,肝臓を専門としている先生は胃の手技を取り入れるというようことが可能となるように,本書を利用していただけたらと考えている.
本書が,自己の専門分野の技術を磨こうと考えている医師にとって,さまざまな分野の「役に立つテクニック」を取り入れ利益となるように願い,序の言葉にしたいと思います.
2020年夏
帝京大学医学部附属溝口病院
外科・緩和ケアセンター 教授
宮澤光男
1987年,腹腔鏡下胆嚢摘出術が,世界で最初にフランスのDr. Mouretによって,また,わが国では1990年に当院の山川達郎教授によって施行されてから腹腔鏡下外科手術の歴史は30年余となる.外科手術自体は紀元前から行われていたと考えられているため,この内視鏡を取り入れた手術は,外科学の一つの手技としてまだまだ日の浅いものである.進化の途中にあるこの腹腔鏡下手術が,外科学の歴史の中に確固たる形として受け入れられるためには,この手術が「安全性,確実性,および低侵襲性」が担保されたまま進化しなければならない.本書は,「安全性,確実性,および低侵襲性」を維持したまま,腹腔鏡下手術が進化していくための一助となることを望んで編集した.
私も,1997年に留学から帰国し,腹腔鏡下胆嚢摘出術,腹腔鏡(補助)下肝切除術を始めた.私の専門としている肝臓の手術においても,最初は腹腔鏡を手術の補助として用い,体表の傷をいかに小さくするかという手術であったが,現在は,拡大肝切除においてもすべて腹腔内で行う完全腹腔鏡下肝切除術となり,急速に進化しつつある.しかし,この進化の過程において安全性を鑑みるに,まだまだ合併症がゼロとはなっていない.「開腹手術であったらこんな合併症は起こらなかっただろう」と考えられる症例も報告されており,適正な進化を遂げてきたとは言いがたい.本書においては,このような合併症を回避するため,学会発表のみでは知りえない細かなテクニックを身につけられることを期待している.
低侵襲性に関しては,例えば「reduced port surgeryとして,単孔式の手術をやりたい」と思っても,外科医は先達のやりかたを踏襲していくのが基本であり,その手技を行う手法,コツがわからないのが常である.確かな知識がなく,無理に低侵襲性を追求し,reduced port surgeryに拘るがあまり合併症を起こしてしまっては,真の意味での低侵襲とはならない.可能な限り細かな手技の要点となる部分を動画で提供し,どこが工夫されているところなのかがわかるように編集した.本書により,細かなコツを修得し,安全性を担保しながら,低侵襲性が確保できる知識が身につけられれば幸甚に思っている.
本書においては,外科分野のみではなく,婦人科の先生にもご執筆いただいた.各分野において種々の工夫がなされているが,その分野に固執することは進化を停滞させる.婦人科の先生は消化器外科の手技のよい部分を取り入れる,肝臓を専門としている先生は胃の手技を取り入れるというようことが可能となるように,本書を利用していただけたらと考えている.
本書が,自己の専門分野の技術を磨こうと考えている医師にとって,さまざまな分野の「役に立つテクニック」を取り入れ利益となるように願い,序の言葉にしたいと思います.
2020年夏
帝京大学医学部附属溝口病院
外科・緩和ケアセンター 教授
宮澤光男
目次
開く
止血法・癒着予防法
01 出血予防① Pringle法
02 出血予防② 中心静脈圧,気腹圧,気道内圧の調整
03 器機を用いた止血法① ソフト凝固
04 器機を用いた止血法② 超音波凝固切開装置
05 器機を用いた止血法③ 電気メス
06 器機を用いた止血法④ ラジオ波凝固
07 縫合止血(肝臓)
08 止血用縫合糸の選択(V-LocTMなど)
09 止血用クリップの選択
10 神経周囲の止血法
11 癒着防止法① 液体
12 癒着防止法② シート
縫合手技
01 消化管①(上部) 腹腔鏡下胃癌手術における体腔内縫合手技
02 消化管②(上部) 腹腔鏡下肥満・糖尿病外科手術における体腔内消化管吻合手技
03 消化管③(下部) 腹腔鏡下結腸吻合縫合手技
04 胆管 胆管空腸吻合
05 婦人科(卵管,子宮)
術野の展開法
01 胆囊(critical viewの展開法)
02 肝臓①(後区域,体位による) 後区域肝腫瘍に対する体位と肋間ポートの応用
03 肝臓②(左半側臥位,後区域切除)
04 膵臓①(肝臓/胃を挙上)
05 膵臓②(腸管を下方へ) 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術における
膵鈎部周辺の適切な解剖把握(trans-mesocolic approach)
06 上部消化管①(胃)
07 上部消化管②(食道)
08 下部消化管①(右側)
09 下部消化管②(左側,直腸)
10 胸腔内①(上部)
11 胸腔内②(食道)
12 膀胱・尿管の剝離と視野を維持するための工夫
13 婦人科(子宮)
14 視野をクリアにする方法(煙を消す)
器機の整理法(コードの整理法)
01 消化器①(上部)
02 消化器②(下部)
03 肝臓(凝固装置,ペダルの位置,吸引管など)
04 婦人科
05 呼吸器
患者固定法
01 食道
02 胃
03 大腸①(右)
04 大腸②(直腸)
05 肝右葉切除
06 肝左葉切除
07 肝後区域
08 婦人科
09 呼吸器
臓器圧排法
01 肝臓
02 膵
03 消化管
04 肺
結紮法
01 体外結紮法①
02 体外結紮法②
03 体内結紮法
ICG蛍光法
01 消化管(食道)
02 消化管(大腸) 大腸手術におけるICG蛍光法
03 肝臓
04 胆管
05 婦人科
鉗子の拘り
01 腸管(把持鉗子)
02 婦人科
03 肺(把持鉗子,圧排鉗子)
ポートへの拘り
01 消化器
02 婦人科
電気メス・リガシュア®
01 電気メスの使用法(剝離法,熱傷などの合併症なしの使用法)
02 リガシュア®の使用法
超音波凝固切開装置
01 使用法① ハーモニック®
02 使用法② サンダービート®
自動縫合器の選択
01 腸管切離①(上部)
02 腸管切離②(下部)
03 気管支
カメラポートの挿入法
01 TANKO
02 消化管(小開腹法,直接穿刺法)
03 肥満(特別な工夫)
04 redo surgery:消化管(第1ポートの挿入)
05 redo surgery:肝臓(第1ポートの位置)
カメラポートの固定法
01 臍での固定法 その①
02 臍での固定法 その②
切離術・離断術
01 膵切離法(自動縫合器の使用法)
02 肝離断法① CUSA法
03 肝離断法② クラッシュ法
ポートの挿入位置
01 上部消化管①(食道)
02 上部消化管②(胃)
03 下部消化管①(右大腸)
04 下部消化管②(左大腸)
05 直腸
06 鼠径ヘルニア(右,左,両側)
07 虫垂炎
08 肝臓(左葉,右葉)
09 膵(頭部,体部,尾部)
10 産婦人科
11 肺
シート固定法
01 ヘルニアなどのシート固定法①(タッカーの固定法を中心に)
02 ヘルニアなどのシート固定法②(体表の操作を中心に)
補助器具
01 誘導器具(Pringle法で用いる補助器具を中心に)
02 誘導器具(hanging法で用いる補助器具を中心に)
03 自動縫合器用組織補強材の使用法:膵
04 自動縫合器用吻合器補強材の使用法:胸腔
癒着剝離法
01 急性胆囊炎
02 腹腔内①(上腹部)
03 腹腔内② 腹腔内癒着剝離のブレイクスルー
04 婦人科
血管剝離法
01 上部消化管①(食道,胸腔内)
02 上部消化管②(胃,腹腔内)
03 下部消化管①(腹腔内)
04 下部消化管②(骨盤周囲)
05 肝門部(肝切除後,胆摘後)
06 呼吸器
リンパ節郭清法
01 消化器①(胸腔内)
02 消化器②(腹腔内) 腹腔内リンパ節郭清手技
─腹腔鏡下胃切除における膵上縁郭清手技
03 産婦人科
胸腔鏡下手術
01 気管支形成術
腹膜閉鎖法
01 腹膜閉鎖法
索引
01 出血予防① Pringle法
02 出血予防② 中心静脈圧,気腹圧,気道内圧の調整
03 器機を用いた止血法① ソフト凝固
04 器機を用いた止血法② 超音波凝固切開装置
05 器機を用いた止血法③ 電気メス
06 器機を用いた止血法④ ラジオ波凝固
07 縫合止血(肝臓)
08 止血用縫合糸の選択(V-LocTMなど)
09 止血用クリップの選択
10 神経周囲の止血法
11 癒着防止法① 液体
12 癒着防止法② シート
縫合手技
01 消化管①(上部) 腹腔鏡下胃癌手術における体腔内縫合手技
02 消化管②(上部) 腹腔鏡下肥満・糖尿病外科手術における体腔内消化管吻合手技
03 消化管③(下部) 腹腔鏡下結腸吻合縫合手技
04 胆管 胆管空腸吻合
05 婦人科(卵管,子宮)
術野の展開法
01 胆囊(critical viewの展開法)
02 肝臓①(後区域,体位による) 後区域肝腫瘍に対する体位と肋間ポートの応用
03 肝臓②(左半側臥位,後区域切除)
04 膵臓①(肝臓/胃を挙上)
05 膵臓②(腸管を下方へ) 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術における
膵鈎部周辺の適切な解剖把握(trans-mesocolic approach)
06 上部消化管①(胃)
07 上部消化管②(食道)
08 下部消化管①(右側)
09 下部消化管②(左側,直腸)
10 胸腔内①(上部)
11 胸腔内②(食道)
12 膀胱・尿管の剝離と視野を維持するための工夫
13 婦人科(子宮)
14 視野をクリアにする方法(煙を消す)
器機の整理法(コードの整理法)
01 消化器①(上部)
02 消化器②(下部)
03 肝臓(凝固装置,ペダルの位置,吸引管など)
04 婦人科
05 呼吸器
患者固定法
01 食道
02 胃
03 大腸①(右)
04 大腸②(直腸)
05 肝右葉切除
06 肝左葉切除
07 肝後区域
08 婦人科
09 呼吸器
臓器圧排法
01 肝臓
02 膵
03 消化管
04 肺
結紮法
01 体外結紮法①
02 体外結紮法②
03 体内結紮法
ICG蛍光法
01 消化管(食道)
02 消化管(大腸) 大腸手術におけるICG蛍光法
03 肝臓
04 胆管
05 婦人科
鉗子の拘り
01 腸管(把持鉗子)
02 婦人科
03 肺(把持鉗子,圧排鉗子)
ポートへの拘り
01 消化器
02 婦人科
電気メス・リガシュア®
01 電気メスの使用法(剝離法,熱傷などの合併症なしの使用法)
02 リガシュア®の使用法
超音波凝固切開装置
01 使用法① ハーモニック®
02 使用法② サンダービート®
自動縫合器の選択
01 腸管切離①(上部)
02 腸管切離②(下部)
03 気管支
カメラポートの挿入法
01 TANKO
02 消化管(小開腹法,直接穿刺法)
03 肥満(特別な工夫)
04 redo surgery:消化管(第1ポートの挿入)
05 redo surgery:肝臓(第1ポートの位置)
カメラポートの固定法
01 臍での固定法 その①
02 臍での固定法 その②
切離術・離断術
01 膵切離法(自動縫合器の使用法)
02 肝離断法① CUSA法
03 肝離断法② クラッシュ法
ポートの挿入位置
01 上部消化管①(食道)
02 上部消化管②(胃)
03 下部消化管①(右大腸)
04 下部消化管②(左大腸)
05 直腸
06 鼠径ヘルニア(右,左,両側)
07 虫垂炎
08 肝臓(左葉,右葉)
09 膵(頭部,体部,尾部)
10 産婦人科
11 肺
シート固定法
01 ヘルニアなどのシート固定法①(タッカーの固定法を中心に)
02 ヘルニアなどのシート固定法②(体表の操作を中心に)
補助器具
01 誘導器具(Pringle法で用いる補助器具を中心に)
02 誘導器具(hanging法で用いる補助器具を中心に)
03 自動縫合器用組織補強材の使用法:膵
04 自動縫合器用吻合器補強材の使用法:胸腔
癒着剝離法
01 急性胆囊炎
02 腹腔内①(上腹部)
03 腹腔内② 腹腔内癒着剝離のブレイクスルー
04 婦人科
血管剝離法
01 上部消化管①(食道,胸腔内)
02 上部消化管②(胃,腹腔内)
03 下部消化管①(腹腔内)
04 下部消化管②(骨盤周囲)
05 肝門部(肝切除後,胆摘後)
06 呼吸器
リンパ節郭清法
01 消化器①(胸腔内)
02 消化器②(腹腔内) 腹腔内リンパ節郭清手技
─腹腔鏡下胃切除における膵上縁郭清手技
03 産婦人科
胸腔鏡下手術
01 気管支形成術
腹膜閉鎖法
01 腹膜閉鎖法
索引
更新情報
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