高次脳機能作業療法学 第2版
高次脳機能障害の具体的な症状が見てわかるWeb動画も付いた、初学者向けテキスト
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“目に見えない”障害である高次脳機能障害。本テキストでは好評の初版から引き続き、高次脳機能障害の基礎知識から始まり、評価から治療に至る作業療法の実践に至るまで、事例も豊富に織り交ぜながら平易に解説している。今版ではさらに、失語や半側空間無視、失行・失認といった高次脳機能障害の代表的な症状を示した動画を収載したWeb付録も付いて、より理解を深めることができる。就労支援や自動車運転などトピックも充実。
*「標準作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 標準作業療法学 専門分野 |
---|---|
シリーズ監修 | 矢谷 令子 |
編集 | 能登 真一 |
発行 | 2019年03月判型:B5頁:340 |
ISBN | 978-4-260-03818-8 |
定価 | 4,400円 (本体4,000円+税) |
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序文
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第2版 序
本書の改訂第2版がこのたび発行の運びとなった.高次脳機能障害も広く医学のなかの1つの対象として治療,研究され,それが日々進歩していることを考慮すると,今回の改訂が初版から7年が経過してしまったことをまずもってお詫び申し上げたい.しかしながら,その充電期間があったからこそ,今回の第2版は初版に比べて1ページ1ページが益々開き甲斐のある内容に仕上がったと自負するとともに,そのことに免じてご容赦いただきたいと思う.それでは,その内容について順に説明していきたい.
まず,すぐに気づくと思うが,紙面の印刷がカラーになった.見出しや表が見やすくなっただけではなく,何より脳の図や検査バッテリーの写真などはとても見やすくわかりやすくなっているのがおわかりいただけると思う.色は気づきや記憶の強化因子でもあるので,読者の皆様の理解を促進できるものと確信している.
また,評価表を初版よりも多く掲載している.それは決して評価のためだけのマニュアル化を意図したのではなく,評価表のなかの1つひとつの設問に直接触れることが症状の理解や評価のポイントをつかみやすくなると考えたからである.
そして最大のアピールポイントは,主要な高次脳機能障害の症状や評価場面について動画による閲覧を可能にしたことである.“百聞は一見に如かず”というが,高次脳機能障害ほど想像したり理解することが難しい症状はないものと思われる.だとすると,難解な症状を“観て理解する”ことはとても貴重な手段となりうるはずである.
今から約30年前,筆者が学生だった頃,学んだ教科書の中身はほとんどが文字ばかりであった.それでも,その文字や文脈から症状の定義の意味や特徴を何とか理解しようと努力したものである.昨今は,そのような教科書にも図や表が加わり,そこに色が添えられた.そして今回ついに動画が加わったのである.作業療法士を目指す学生や新人の作業療法士にはこれ以上ない環境が整ったのではないだろうか.ぜひこれらのコンテンツを最大限に活用して大いに学んでほしい.
最後に,ここに紹介してきた本書の進化は編集・印刷技術の向上やIT環境の整備によってもたらされたものであることはもちろんであるが,それ以上に,あらゆるコンテンツは実際に高次脳機能障害を患った対象者の苦労とその治療に挑んだ先人たちの努力によってもたらされたものであるということに気づいていただけるとありがたい.特に今版の長所として収載した動画は,その撮影に快く協力してくれた対象者の理解があってこそ実現したものである.動画を閲覧する際にはそのことに敬意を表し,多少であっても感謝の念を抱いてほしいと思っている.そして,対象者が願う先には,いつの日かその症状が回復して,以前のような生活,ささやかだけれども対象者にとって何ごとにも代えがたい幸せがあることを忘れないように,そしてそれに対する支援を行えるのが作業療法士であるということを常に意識してほしい.
2019年1月
能登 真一
本書の改訂第2版がこのたび発行の運びとなった.高次脳機能障害も広く医学のなかの1つの対象として治療,研究され,それが日々進歩していることを考慮すると,今回の改訂が初版から7年が経過してしまったことをまずもってお詫び申し上げたい.しかしながら,その充電期間があったからこそ,今回の第2版は初版に比べて1ページ1ページが益々開き甲斐のある内容に仕上がったと自負するとともに,そのことに免じてご容赦いただきたいと思う.それでは,その内容について順に説明していきたい.
まず,すぐに気づくと思うが,紙面の印刷がカラーになった.見出しや表が見やすくなっただけではなく,何より脳の図や検査バッテリーの写真などはとても見やすくわかりやすくなっているのがおわかりいただけると思う.色は気づきや記憶の強化因子でもあるので,読者の皆様の理解を促進できるものと確信している.
また,評価表を初版よりも多く掲載している.それは決して評価のためだけのマニュアル化を意図したのではなく,評価表のなかの1つひとつの設問に直接触れることが症状の理解や評価のポイントをつかみやすくなると考えたからである.
そして最大のアピールポイントは,主要な高次脳機能障害の症状や評価場面について動画による閲覧を可能にしたことである.“百聞は一見に如かず”というが,高次脳機能障害ほど想像したり理解することが難しい症状はないものと思われる.だとすると,難解な症状を“観て理解する”ことはとても貴重な手段となりうるはずである.
今から約30年前,筆者が学生だった頃,学んだ教科書の中身はほとんどが文字ばかりであった.それでも,その文字や文脈から症状の定義の意味や特徴を何とか理解しようと努力したものである.昨今は,そのような教科書にも図や表が加わり,そこに色が添えられた.そして今回ついに動画が加わったのである.作業療法士を目指す学生や新人の作業療法士にはこれ以上ない環境が整ったのではないだろうか.ぜひこれらのコンテンツを最大限に活用して大いに学んでほしい.
最後に,ここに紹介してきた本書の進化は編集・印刷技術の向上やIT環境の整備によってもたらされたものであることはもちろんであるが,それ以上に,あらゆるコンテンツは実際に高次脳機能障害を患った対象者の苦労とその治療に挑んだ先人たちの努力によってもたらされたものであるということに気づいていただけるとありがたい.特に今版の長所として収載した動画は,その撮影に快く協力してくれた対象者の理解があってこそ実現したものである.動画を閲覧する際にはそのことに敬意を表し,多少であっても感謝の念を抱いてほしいと思っている.そして,対象者が願う先には,いつの日かその症状が回復して,以前のような生活,ささやかだけれども対象者にとって何ごとにも代えがたい幸せがあることを忘れないように,そしてそれに対する支援を行えるのが作業療法士であるということを常に意識してほしい.
2019年1月
能登 真一
目次
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1 高次脳機能障害作業療法学の基礎
GIO,SBO,修得チェックリスト
I 高次脳機能とその発達
A 高次脳機能とは
B 脳の進化と発達
C 脳の側性化と利き手
D 脳と意識
[COLUMN]神経心理学と二重解離の原理
II 脳解剖と画像診断
A 脳の主な部位の名称
B 大脳動脈とその灌流領域
C 画像所見の診かた
[COLUMN]脳に男女差はあるか?─ヤコブレフのトルクの謎
III 評価と治療の流れ
A 作業療法の実践過程
[COLUMN]サヴァン症候群の才能とその魅力
IV 多職種連携と作業療法士の役割
[COLUMN]働きバチの分業とハチの巣,あるいはクモの巣について
本章のキーワード
2 高次脳機能作業療法症状と評価・治療
GIO,SBO,修得チェックリスト
I 注意障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
II 記憶障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]“おばあちゃん細胞”はあるか?
III 失語
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]言葉を理解するゴリラ
IV 失行
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]Pusher 現象は高次脳機能障害か?
V 失認(対象認知の障害)
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]バリント(Bálint)症候群の不思議
[COLUMN]病態失認の正直さとミラーボックスの発明
VI 半側空間無視
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]半側空間無視患者さんの告白
VII 遂行機能障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]ホモ・サピエンスと遂行機能
[COLUMN]ストループ効果とストループテスト
VIII 社会的行動障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]フィネアス・ゲイジの悲劇と貢献
IX 認知症
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
本章のキーワード
3 高次脳機能作業療法に対する作業療法の実際
I 注意障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
II 記憶障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
[COLUMN]高次脳機能障害から回復するということ
III 失語
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 結果
D 類似例に対するアドバイス
[COLUMN]奇跡の脳と最も必要だった40のこと
IV 失行
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
V 視覚失認
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
VI 半側空間無視
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
VII 半側空間無視(プリズム順応)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A プリズム順応課題と効果判定の実施方法
B 自験例の紹介
症例提示
C おわりに
VIII 遂行機能障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
IX 社会的行動障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
X 認知症
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
本章のキーワード
4 高次脳機能障害と社会復帰支援
GIO,SBO,修得チェックリスト
I 高次脳機能障害支援事業
A 高次脳機能障害支援事業の成り立ちと背景
B 高次脳機能事業支援普及事業
C 症例提示
D 考察
II 高次脳機能障害と就労支援
A 作業療法士による就労支援
B 就労形態に応じた制度と支援機関
C 復職
D 職業準備性
E 国際生活機能分類(ICF)に基づく包括的支援
F 病期別の作業療法士の役割
G 就労支援における課題
症例提示
H 就労支援で目指すもの
III 高次脳機能障害と運転
A 高次脳機能障害を有する脳損傷患者の自動車運転と
交通安全上のリスク,疫学的リスク
B 運転中止後のQOL低下や予後悪化へのリスク
C 脳損傷患者の運転再開の背景にある制度─道路交通法について
D 自動車運転再開に向けた評価・支援の流れ
症例提示
E まとめ─自動車運転再開において作業療法士に期待される役割
本章のキーワード
高次脳機能作業療法学の発展に向けて
A 高次脳機能障害と作業療法士の関係
B 作業療法士にできること
C 作業療法士をめざす皆さんに期待すること
さらに深く学ぶために
索引
GIO,SBO,修得チェックリスト
I 高次脳機能とその発達
A 高次脳機能とは
B 脳の進化と発達
C 脳の側性化と利き手
D 脳と意識
[COLUMN]神経心理学と二重解離の原理
II 脳解剖と画像診断
A 脳の主な部位の名称
B 大脳動脈とその灌流領域
C 画像所見の診かた
[COLUMN]脳に男女差はあるか?─ヤコブレフのトルクの謎
III 評価と治療の流れ
A 作業療法の実践過程
[COLUMN]サヴァン症候群の才能とその魅力
IV 多職種連携と作業療法士の役割
[COLUMN]働きバチの分業とハチの巣,あるいはクモの巣について
本章のキーワード
2 高次脳機能作業療法症状と評価・治療
GIO,SBO,修得チェックリスト
I 注意障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
II 記憶障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]“おばあちゃん細胞”はあるか?
III 失語
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]言葉を理解するゴリラ
IV 失行
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]Pusher 現象は高次脳機能障害か?
V 失認(対象認知の障害)
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]バリント(Bálint)症候群の不思議
[COLUMN]病態失認の正直さとミラーボックスの発明
VI 半側空間無視
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]半側空間無視患者さんの告白
VII 遂行機能障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]ホモ・サピエンスと遂行機能
[COLUMN]ストループ効果とストループテスト
VIII 社会的行動障害
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
[COLUMN]フィネアス・ゲイジの悲劇と貢献
IX 認知症
A 定義と分類
B 責任病巣
C メカニズム
D 評価
E 治療
本章のキーワード
3 高次脳機能作業療法に対する作業療法の実際
I 注意障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
II 記憶障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
[COLUMN]高次脳機能障害から回復するということ
III 失語
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 結果
D 類似例に対するアドバイス
[COLUMN]奇跡の脳と最も必要だった40のこと
IV 失行
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
V 視覚失認
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
VI 半側空間無視
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
VII 半側空間無視(プリズム順応)
GIO,SBO,修得チェックリスト
A プリズム順応課題と効果判定の実施方法
B 自験例の紹介
症例提示
C おわりに
VIII 遂行機能障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
IX 社会的行動障害
GIO,SBO,修得チェックリスト
X 認知症
GIO,SBO,修得チェックリスト
症例提示
A 評価
B 治療
C 類似例に対するアドバイス
本章のキーワード
4 高次脳機能障害と社会復帰支援
GIO,SBO,修得チェックリスト
I 高次脳機能障害支援事業
A 高次脳機能障害支援事業の成り立ちと背景
B 高次脳機能事業支援普及事業
C 症例提示
D 考察
II 高次脳機能障害と就労支援
A 作業療法士による就労支援
B 就労形態に応じた制度と支援機関
C 復職
D 職業準備性
E 国際生活機能分類(ICF)に基づく包括的支援
F 病期別の作業療法士の役割
G 就労支援における課題
症例提示
H 就労支援で目指すもの
III 高次脳機能障害と運転
A 高次脳機能障害を有する脳損傷患者の自動車運転と
交通安全上のリスク,疫学的リスク
B 運転中止後のQOL低下や予後悪化へのリスク
C 脳損傷患者の運転再開の背景にある制度─道路交通法について
D 自動車運転再開に向けた評価・支援の流れ
症例提示
E まとめ─自動車運転再開において作業療法士に期待される役割
本章のキーワード
高次脳機能作業療法学の発展に向けて
A 高次脳機能障害と作業療法士の関係
B 作業療法士にできること
C 作業療法士をめざす皆さんに期待すること
さらに深く学ぶために
索引
更新情報
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