健康支援と社会保障制度[2]
公衆衛生 第14版
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- 看護基礎教育のなかの専門基礎分野であることを鑑み、これから看護を学ぶ学生の方に必要な「看護のための公衆衛生」の知識と、地域(コミュニティ)を見すえる力を養うエッセンスを盛り込みました。
- 公衆衛生に関連する主要な法制度・統計の知識を網羅し、毎年、可能な限りのデータ更新を行います。
- 地域がますます重視されるなかで、保健師課程教育のカリキュラムや公衆衛生看護学へのつなぎを意識した内容にしました。学生が卒後、看護の臨床に出たあとで、地域との連携を考えることができる基盤となる力を養ってほしいと考えました。
- 初学者にイメージしやすいよう、事例を多く掲載しています。また、この事例による学習で、例えば、病院実習などで受け持った患者の社会的背景に思いをよせる意識づけができます。
- 公衆衛生の最新の動向と、国際的視点が盛り込まれています。
- 第14版の改訂では、各保健分野に関連する法制度や政策・行政事業の解説の拡充、国家試験対策となる内容の強化などを行いました。
- 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-専門基礎分野 |
---|---|
著 | 神馬 征峰 / 大森 純子 / 宮本 有紀 / 吉岡 京子 / 橋爪 真弘 / 鈴木 まき / 有本 梓 / 蔭山 正子 / 小野 若菜子 / 相田 潤 / 梅田 麻希 / 廣金 和枝 / 渡井 いずみ / 原田 奈穂子 |
発行 | 2019年02月判型:B5頁:404 |
ISBN | 978-4-260-03574-3 |
定価 | 2,420円 (本体2,200円+税) |
- 2024年春改訂
- 改訂情報
更新情報
-
正誤表を掲載しました。
2023.12.18
- 序文
- 目次
- 正誤表
序文
開く
はしがき
第14版の序
「公衆衛生」はむずかしい。名前からしてなじみがうすい。中身をみても,数字が多い,法律が多い,人の香りがしない。この「公衆衛生」をわかりやすく伝え,学生に身近なテキストをつくる。これは,いわゆる「ミッション・インポッシブル!」(不可能な任務!)である。
この任務を果たすため,わかりやすくするためにはどうしたらよいか? 2つの工夫をした。まずは事例(ストーリー)をとり入れた。ストーリーが記憶に残るように工夫をこらしたイラストも加えた。次に,公衆衛生のいくつかの用語や概念がわかりやすくなるようなコラム,「公衆衛生ナビ」もいくつかの章に盛り込んだ。
さらに,読者に身近なテキストにするためにはどうするか? そのためには「看護学生のためのテキスト」である,という原点に立ち返ることである。いくつかの事例のなかに,読者と同じ看護学生やその家族,看護師さんにも多く登場してもらった。事例には,フィクションとノンフィクションのものがある。しかしフィクションといえども,実例をもとにつくりあげたものである。
最後に,国際的視点にも配慮した。国内の健康課題を取り扱うにしても,国際的視点をもつともたないとでは,見方が変わってくる。例えば,2018年,ノーベル平和賞に選ばれたのは,性暴力と闘ってきた医師とテロ組織ISIS(自称イスラム国)の被害女性であった。2018年は,国内においてもスポーツ界などにおけるパワーハラスメントやセクシャルハラスメントが話題になった年であった。性暴力が世界の課題として取り上げられることにより,この課題はまれな個別事例ではなく,多くの人々の健康にかかわる公衆衛生課題でもあることがわかってくる。看護師の関心も意識も,こうして世界に関心をもつことによって広がってくる。
テキスト作成にあたっては,公衆衛生を専門とした諸先輩からのメッセージを何度も参考にした。この不可能と思われる使命達成のために,若手の力は欠かせない。しかし第二次世界大戦後,日本の公衆衛生を活性化し,世界一の平均寿命達成に貢献された大先輩たちの熱い思いは引き継ぐべきである。
橋本正己氏と大谷藤郎氏による『対談 公衆衛生の軌跡とベクトル』(医学書院,1990)のなかから,このテキストの使命とも関連する2つのメッセージを届けたい。
「…(中略)…公衆衛生の教科書は,マニュアルとか技術書だけではだめで,社会に対する姿勢が明確に示されていて判りやすくなければ…(以下略)」(p.17)
「…(中略)…わたしの考える『よき社会』とは,常識としての人間の正義にかなうことであり,力を持つ人,金のある人が力や富をほしいままにするのを許すのではなく,たまたまそこにおかれた病気の人,弱者が,そのハンディキャップにかかわらず,人間としての誇りを持って生きていけるような社会システムとすることです…(中略)…よき社会への理想の扉を公衆衛生の人びと自らの手によって,公衆衛生の旗を高く掲げて,同じように「よき社会」を願っている他の分野の人びととともに,社会の先頭に立って新しい平成時代への門を勇気を持って押し開いて欲しい…(以下略)」(p.207~8)
公衆衛生には「よき社会」への理想の扉を開く力がある,という大先輩たちの力強いメッセージ。私たちはこの思いを引き継ぎ,このメッセージを導き手として,本書を公衆衛生の面白さ,大切さを皆さんに伝えるテキストにしたつもりである。病院で働くことになったとしても,同じ理想の扉を開くことができるような,看護師に育ってほしい。本書は,このような使命感と思いをもって作ったテキストである。
なお,今回の改訂にあたっては,前版発行後に教育現場から寄せられた意見を反映し,より授業に使いやすいものとした。具体的には以下の点に配慮した。
実際に教授をされる先生方には,さまざまなお考えもあるはずである。ぜひ,忌憚のないご意見,ご批判,ご叱正をお願いしたい。それを受けて,このテキストを一層成長させていきたいと思う。
2019年1月
著者を代表して
神馬征峰
第14版の序
「公衆衛生」はむずかしい。名前からしてなじみがうすい。中身をみても,数字が多い,法律が多い,人の香りがしない。この「公衆衛生」をわかりやすく伝え,学生に身近なテキストをつくる。これは,いわゆる「ミッション・インポッシブル!」(不可能な任務!)である。
この任務を果たすため,わかりやすくするためにはどうしたらよいか? 2つの工夫をした。まずは事例(ストーリー)をとり入れた。ストーリーが記憶に残るように工夫をこらしたイラストも加えた。次に,公衆衛生のいくつかの用語や概念がわかりやすくなるようなコラム,「公衆衛生ナビ」もいくつかの章に盛り込んだ。
さらに,読者に身近なテキストにするためにはどうするか? そのためには「看護学生のためのテキスト」である,という原点に立ち返ることである。いくつかの事例のなかに,読者と同じ看護学生やその家族,看護師さんにも多く登場してもらった。事例には,フィクションとノンフィクションのものがある。しかしフィクションといえども,実例をもとにつくりあげたものである。
最後に,国際的視点にも配慮した。国内の健康課題を取り扱うにしても,国際的視点をもつともたないとでは,見方が変わってくる。例えば,2018年,ノーベル平和賞に選ばれたのは,性暴力と闘ってきた医師とテロ組織ISIS(自称イスラム国)の被害女性であった。2018年は,国内においてもスポーツ界などにおけるパワーハラスメントやセクシャルハラスメントが話題になった年であった。性暴力が世界の課題として取り上げられることにより,この課題はまれな個別事例ではなく,多くの人々の健康にかかわる公衆衛生課題でもあることがわかってくる。看護師の関心も意識も,こうして世界に関心をもつことによって広がってくる。
テキスト作成にあたっては,公衆衛生を専門とした諸先輩からのメッセージを何度も参考にした。この不可能と思われる使命達成のために,若手の力は欠かせない。しかし第二次世界大戦後,日本の公衆衛生を活性化し,世界一の平均寿命達成に貢献された大先輩たちの熱い思いは引き継ぐべきである。
橋本正己氏と大谷藤郎氏による『対談 公衆衛生の軌跡とベクトル』(医学書院,1990)のなかから,このテキストの使命とも関連する2つのメッセージを届けたい。
「…(中略)…公衆衛生の教科書は,マニュアルとか技術書だけではだめで,社会に対する姿勢が明確に示されていて判りやすくなければ…(以下略)」(p.17)
「…(中略)…わたしの考える『よき社会』とは,常識としての人間の正義にかなうことであり,力を持つ人,金のある人が力や富をほしいままにするのを許すのではなく,たまたまそこにおかれた病気の人,弱者が,そのハンディキャップにかかわらず,人間としての誇りを持って生きていけるような社会システムとすることです…(中略)…よき社会への理想の扉を公衆衛生の人びと自らの手によって,公衆衛生の旗を高く掲げて,同じように「よき社会」を願っている他の分野の人びととともに,社会の先頭に立って新しい平成時代への門を勇気を持って押し開いて欲しい…(以下略)」(p.207~8)
公衆衛生には「よき社会」への理想の扉を開く力がある,という大先輩たちの力強いメッセージ。私たちはこの思いを引き継ぎ,このメッセージを導き手として,本書を公衆衛生の面白さ,大切さを皆さんに伝えるテキストにしたつもりである。病院で働くことになったとしても,同じ理想の扉を開くことができるような,看護師に育ってほしい。本書は,このような使命感と思いをもって作ったテキストである。
なお,今回の改訂にあたっては,前版発行後に教育現場から寄せられた意見を反映し,より授業に使いやすいものとした。具体的には以下の点に配慮した。
・ | 日本各地で過去になされた,みんなの健康をまもるたたかいに再び関心をもってもらえるよう,四日市や沢内村の例を紹介した。 |
・ | 現在,日本で行われている,健康日本21(第二次)などに代表される,国民の健康に関する諸施策の内容が理解できるよう,より説明を手厚くした。 |
・ | 各自治体で,住民の健康をまもるためにどのような体制づくりが行われ,政策が実施されているかが具体的にわかるよう,説明を盛り込んだ。 |
・ | 世界的に感染症リスクが高まっている現状をふまえ,「感染症対策」を単独の章とし,「環境と健康」の後に置いた。 |
・ | 気候変動が世界的公衆衛生課題となってきていることを鑑み,「環境と健康」の大幅な改訂を行い,教育現場の要請と時代の変化に合わせるようにした。 |
2019年1月
著者を代表して
神馬征峰
目次
開く
序章 公衆衛生を学ぶにあたって(神馬征峰)
A みんなの健康
B 「ひとり」から「みんな」の看護へ
1 きっかけとしてのクリミア戦争
2 反省と新たなたたかい
3 地域社会での健康教育
4 みんなのための看護活動
C 「みんなの健康」をどうまもるか
1 上から,そして草の根へ
2 みんなの声が社会を動かす
3 1人ひとりがみんなのために
4 みんなの健康をみんなでまもる―ポジティブデビエンス-アプローチ
第1章 公衆衛生のエッセンス(神馬征峰)
A 公衆衛生とはなにか
1 パブリック(公衆)とはなにか
2 ヘルス(衛生・健康)とはなにか
3 公衆衛生とはなにか
B 世界の公衆衛生の歴史─はじまりの物語
1 テルマエ-ロマエ─環境保健のはじまり
2 ペストの悲劇─感染症対策のはじまり
3 富の増大と職業病─産業保健のはじまり
4 貧困とのたたかい─衛生改革のはじまり
5 水道ポンプの封鎖─疫学のはじまり
6 病原菌の特定・ワクチンの開発─予防医学のはじまり
7 国境をこえる感染症─国際保健のはじまり
8 母と子・学童・地域社会─対人保健のはじまり
C 日本における公衆衛生─はじまりと発展
1 日本における衛生行政のはじまり
2 戦争,健康増進,厚生省
3 日本国憲法のなかの公衆衛生
4 日本国憲法と世界人権宣言における健康と人権
D 戦後の展開─新たな公衆衛生の理念
1 プライマリヘルスケア(PHC)
2 ヘルスプロモーション
E 公衆衛生を看護に取り込む力─サイエンスとアートの活用
第2章 公衆衛生の活動対象(大森純子)
A 自分の生活と健康に関係する社会集団
B 看護職の公的責任と活動対象
1 看護職は「みんな」の権利をまもる専門職
2 万国共通の看護職の公的責任
3 守護神たちの「望遠鏡」
C 社会集団をとらえる視座
1 種類と大きさの見きわめ─社会集団の多様性と重層性をとらえるために
2 環境要因と生活・健康を見る3つのメガネ─社会集団を多角的にとらえるために
3 車輪に見たてる─社会集団の全体像を系統的にとらえるために
4 宝さがし─社会集団の「望み」を見いだして「弱み」を「強み」に変換するために
5 ハイリスクとポピュレーションの複眼─社会集団の健やかな生活を保障するために
D 社会集団のなかにある特定集団
第3章 公衆衛生のしくみ(吉岡京子)
A 政策展開
1 法律と政策・施策・事業の位置づけ
2 計画と政策の関係
3 計画・政策の例
B 国と地方自治体の役割
1 国レベル
2 地方自治体レベル
3 保健所と保健センター
C 専門職のはたらき
1 公衆衛生における看護職のはたらき
2 関連職種との協働
D 多職種との協働
1 医師
2 歯科医師
3 薬剤師
4 栄養士・管理栄養士
5 歯科衛生士
6 精神保健福祉士
E 住民との協働
1 住民組織・自助グループ・サポートグループ
2 NPO・民間セクター
3 民生委員・母子保健推進員・健康推進員
第4章 集団の健康をとらえるための手法─疫学・保健統計(宮本有紀)
A 集団としての人々の健康をまもる
1 公衆衛生活動を進めるうえでたどる段階
2 エビデンス
3 疫学とは
B 公衆衛生の場での疫学─集団をとらえる
1 疾患の発生状況を把握する
2 健康状態や医療水準を把握する
3 健康指標の基礎資料─人口を把握する
4 集団の健康をとらえるための統計資料
C 公衆衛生の場での疫学─原因を分析する
1 曝露
2 疫学的因果関係
D 公衆衛生の場での疫学─対策を計画・実施する
1 因果関係に基づく対策の計画
2 対策の効果の見積もり
E エビデンスを使う,つくる
1 疫学を利用する
2 エビデンスをつくる
第5章 環境と健康(橋爪真弘)
A 環境と健康
B 地球規模の環境と健康
1 地球温暖化
2 オゾン層の破壊
3 生物多様性の損失
4 水質汚濁
5 大気汚染
6 土壌汚染
7 放射性物質
C 身のまわりの環境と健康
1 室内環境の安全確保
2 食品の安全確保
3 家庭用品の安全確保
4 ごみ・廃棄物問題
5 バリアフリー対策
D 日本の環境行政
第6章 感染症とその予防対策(鈴木まき)
A 感染症とその予防の基礎知識
1 感染とその発症
2 感染の成立の3大要因
3 感染症の予防
4 感染症の流行
B わが国の感染症予防対策
1 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)と
その予防対策
2 検疫
3 予防接種
C 院内感染とその予防
1 院内感染とは
2 注意すべき院内感染
3 院内感染対策
D 公衆衛生上の重要な感染症とその対策
1 新型インフルエンザ
2 結核
3 エイズ,HIV感染症
4 ウイルス性肝炎
5 ヒトTリンパ球向性ウイルス1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型,HTLV-1)感染症
6 多剤耐性菌
7 動物由来感染症
8 食中毒
第7章 国際保健(神馬征峰)
A 世界との出会い
B 経済格差と健康格差
C 健康格差の解消のために
D 国際保健の担い手
E 国際保健の共通目標
F 国際保健と日本
G 正解のない課題を前にして
第8章 地域における公衆衛生の実践(大森純子・有本梓・蔭山正子・小野若菜子・宮本有紀・相田潤・梅田麻希)
A 公衆衛生看護とは
1 公衆衛生看護とはなにか
2 保健指導の原理・原則
B 母子保健
1 母子保健をめぐる環境・基盤整備の歩み
2 母子保健の活動理念としくみ
3 母体保護のための母子保健活動
4 育児支援のための母子保健活動
5 児童虐待防止のための母子保健活動
6 親性をはぐくむ母子保健活動(思春期含む)
7 地域の母親によるエンパワメント
C 成人保健
1 成人保健の活動理念
2 健康づくり対策の変遷
3 健康診断・検診
4 生活習慣病対策
5 がん対策
6 健康教育
7 家族のライフステージに応じた健康課題と健康づくり
D 高齢者保健
1 高齢化の現状と対策
2 高齢者保健の活動理念
3 日本の高齢者保健に関する法制度と施策
4 地域包括ケアシステムの構築
5 高齢者保健の課題
6 地域コミュニティによる支えとは
E 精神保健
1 精神保健の活動理念
2 地域生活を支えるためのしくみ
3 精神科医療の動向
4 自殺予防対策
5 当事者の力
F 歯科保健
1 歯科保健の重要性
2 歯科保健の法的根拠
3 歯科疾患・口腔保健状態の現状と目標値
4 各ライフステージにおける歯科・口腔保健
G 障害者保健・難病保健
1 障害・難病とは
2 障害者保健・難病保健活動に関する法律
3 障害者保健・難病保健の地域支援システム
第9章 学校と健康(廣金和枝)
A 学校における健康とは
1 学校保健とその構造
2 学校保健と看護職(養護教諭)
3 現代の子どもの健康課題
B 学校保健の展開
1 健康診断
2 感染症の予防と対策
3 慢性疾患のある児童生徒への対応
4 心の問題などのある児童生徒への対応
5 「生きる力」の育成
C 特別な支援を必要とする子どもたち
第10章 職場と健康(渡井いずみ)
A 職場における健康
1 産業保健とは
2 現代の日本における職場の重要性
B 職場における健康をまもるしくみ
1 日本の産業保健関連法令の変遷
2 労働基準法に基づく労働災害の補償と予防
3 労働安全衛生法に基づく職場での健康管理
4 職場の健康管理体制
C 産業保健活動の展開
1 産業保健における看護職の役割
2 産業保健活動の実際
D 産業保健における今後の課題と新たな動き
1 企業の責任(CSR)
2 ヘルシーカンパニー
3 働き方改革
4 男女共同参画とワークライフバランス
5 ワークエンゲイジメント
第11章 健康危機管理・災害保健(原田奈穂子)
A 健康危機管理
1 健康危機管理の体制
2 地域保健における健康危機管理の実際
B 災害保健
1 災害の定義
2 災害の種類
3 災害対策に関する制度
4 災害時の保健活動
5 災害時に特別な配慮を必要とする人々の支援
6 自身が被災しながら災害保健医療活動にかかわる際の注意点
索引
A みんなの健康
B 「ひとり」から「みんな」の看護へ
1 きっかけとしてのクリミア戦争
2 反省と新たなたたかい
3 地域社会での健康教育
4 みんなのための看護活動
C 「みんなの健康」をどうまもるか
1 上から,そして草の根へ
2 みんなの声が社会を動かす
3 1人ひとりがみんなのために
4 みんなの健康をみんなでまもる―ポジティブデビエンス-アプローチ
第1章 公衆衛生のエッセンス(神馬征峰)
A 公衆衛生とはなにか
1 パブリック(公衆)とはなにか
2 ヘルス(衛生・健康)とはなにか
3 公衆衛生とはなにか
B 世界の公衆衛生の歴史─はじまりの物語
1 テルマエ-ロマエ─環境保健のはじまり
2 ペストの悲劇─感染症対策のはじまり
3 富の増大と職業病─産業保健のはじまり
4 貧困とのたたかい─衛生改革のはじまり
5 水道ポンプの封鎖─疫学のはじまり
6 病原菌の特定・ワクチンの開発─予防医学のはじまり
7 国境をこえる感染症─国際保健のはじまり
8 母と子・学童・地域社会─対人保健のはじまり
C 日本における公衆衛生─はじまりと発展
1 日本における衛生行政のはじまり
2 戦争,健康増進,厚生省
3 日本国憲法のなかの公衆衛生
4 日本国憲法と世界人権宣言における健康と人権
D 戦後の展開─新たな公衆衛生の理念
1 プライマリヘルスケア(PHC)
2 ヘルスプロモーション
E 公衆衛生を看護に取り込む力─サイエンスとアートの活用
第2章 公衆衛生の活動対象(大森純子)
A 自分の生活と健康に関係する社会集団
B 看護職の公的責任と活動対象
1 看護職は「みんな」の権利をまもる専門職
2 万国共通の看護職の公的責任
3 守護神たちの「望遠鏡」
C 社会集団をとらえる視座
1 種類と大きさの見きわめ─社会集団の多様性と重層性をとらえるために
2 環境要因と生活・健康を見る3つのメガネ─社会集団を多角的にとらえるために
3 車輪に見たてる─社会集団の全体像を系統的にとらえるために
4 宝さがし─社会集団の「望み」を見いだして「弱み」を「強み」に変換するために
5 ハイリスクとポピュレーションの複眼─社会集団の健やかな生活を保障するために
D 社会集団のなかにある特定集団
第3章 公衆衛生のしくみ(吉岡京子)
A 政策展開
1 法律と政策・施策・事業の位置づけ
2 計画と政策の関係
3 計画・政策の例
B 国と地方自治体の役割
1 国レベル
2 地方自治体レベル
3 保健所と保健センター
C 専門職のはたらき
1 公衆衛生における看護職のはたらき
2 関連職種との協働
D 多職種との協働
1 医師
2 歯科医師
3 薬剤師
4 栄養士・管理栄養士
5 歯科衛生士
6 精神保健福祉士
E 住民との協働
1 住民組織・自助グループ・サポートグループ
2 NPO・民間セクター
3 民生委員・母子保健推進員・健康推進員
第4章 集団の健康をとらえるための手法─疫学・保健統計(宮本有紀)
A 集団としての人々の健康をまもる
1 公衆衛生活動を進めるうえでたどる段階
2 エビデンス
3 疫学とは
B 公衆衛生の場での疫学─集団をとらえる
1 疾患の発生状況を把握する
2 健康状態や医療水準を把握する
3 健康指標の基礎資料─人口を把握する
4 集団の健康をとらえるための統計資料
C 公衆衛生の場での疫学─原因を分析する
1 曝露
2 疫学的因果関係
D 公衆衛生の場での疫学─対策を計画・実施する
1 因果関係に基づく対策の計画
2 対策の効果の見積もり
E エビデンスを使う,つくる
1 疫学を利用する
2 エビデンスをつくる
第5章 環境と健康(橋爪真弘)
A 環境と健康
B 地球規模の環境と健康
1 地球温暖化
2 オゾン層の破壊
3 生物多様性の損失
4 水質汚濁
5 大気汚染
6 土壌汚染
7 放射性物質
C 身のまわりの環境と健康
1 室内環境の安全確保
2 食品の安全確保
3 家庭用品の安全確保
4 ごみ・廃棄物問題
5 バリアフリー対策
D 日本の環境行政
第6章 感染症とその予防対策(鈴木まき)
A 感染症とその予防の基礎知識
1 感染とその発症
2 感染の成立の3大要因
3 感染症の予防
4 感染症の流行
B わが国の感染症予防対策
1 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)と
その予防対策
2 検疫
3 予防接種
C 院内感染とその予防
1 院内感染とは
2 注意すべき院内感染
3 院内感染対策
D 公衆衛生上の重要な感染症とその対策
1 新型インフルエンザ
2 結核
3 エイズ,HIV感染症
4 ウイルス性肝炎
5 ヒトTリンパ球向性ウイルス1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型,HTLV-1)感染症
6 多剤耐性菌
7 動物由来感染症
8 食中毒
第7章 国際保健(神馬征峰)
A 世界との出会い
B 経済格差と健康格差
C 健康格差の解消のために
D 国際保健の担い手
E 国際保健の共通目標
F 国際保健と日本
G 正解のない課題を前にして
第8章 地域における公衆衛生の実践(大森純子・有本梓・蔭山正子・小野若菜子・宮本有紀・相田潤・梅田麻希)
A 公衆衛生看護とは
1 公衆衛生看護とはなにか
2 保健指導の原理・原則
B 母子保健
1 母子保健をめぐる環境・基盤整備の歩み
2 母子保健の活動理念としくみ
3 母体保護のための母子保健活動
4 育児支援のための母子保健活動
5 児童虐待防止のための母子保健活動
6 親性をはぐくむ母子保健活動(思春期含む)
7 地域の母親によるエンパワメント
C 成人保健
1 成人保健の活動理念
2 健康づくり対策の変遷
3 健康診断・検診
4 生活習慣病対策
5 がん対策
6 健康教育
7 家族のライフステージに応じた健康課題と健康づくり
D 高齢者保健
1 高齢化の現状と対策
2 高齢者保健の活動理念
3 日本の高齢者保健に関する法制度と施策
4 地域包括ケアシステムの構築
5 高齢者保健の課題
6 地域コミュニティによる支えとは
E 精神保健
1 精神保健の活動理念
2 地域生活を支えるためのしくみ
3 精神科医療の動向
4 自殺予防対策
5 当事者の力
F 歯科保健
1 歯科保健の重要性
2 歯科保健の法的根拠
3 歯科疾患・口腔保健状態の現状と目標値
4 各ライフステージにおける歯科・口腔保健
G 障害者保健・難病保健
1 障害・難病とは
2 障害者保健・難病保健活動に関する法律
3 障害者保健・難病保健の地域支援システム
第9章 学校と健康(廣金和枝)
A 学校における健康とは
1 学校保健とその構造
2 学校保健と看護職(養護教諭)
3 現代の子どもの健康課題
B 学校保健の展開
1 健康診断
2 感染症の予防と対策
3 慢性疾患のある児童生徒への対応
4 心の問題などのある児童生徒への対応
5 「生きる力」の育成
C 特別な支援を必要とする子どもたち
第10章 職場と健康(渡井いずみ)
A 職場における健康
1 産業保健とは
2 現代の日本における職場の重要性
B 職場における健康をまもるしくみ
1 日本の産業保健関連法令の変遷
2 労働基準法に基づく労働災害の補償と予防
3 労働安全衛生法に基づく職場での健康管理
4 職場の健康管理体制
C 産業保健活動の展開
1 産業保健における看護職の役割
2 産業保健活動の実際
D 産業保健における今後の課題と新たな動き
1 企業の責任(CSR)
2 ヘルシーカンパニー
3 働き方改革
4 男女共同参画とワークライフバランス
5 ワークエンゲイジメント
第11章 健康危機管理・災害保健(原田奈穂子)
A 健康危機管理
1 健康危機管理の体制
2 地域保健における健康危機管理の実際
B 災害保健
1 災害の定義
2 災害の種類
3 災害対策に関する制度
4 災害時の保健活動
5 災害時に特別な配慮を必要とする人々の支援
6 自身が被災しながら災害保健医療活動にかかわる際の注意点
索引
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
更新情報
-
正誤表を掲載しました。
2023.12.18